2017年9月21日 (木)

曽田本その1の1神傳流和之事原文10夏原流和之事6本手之移1障子返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
6)本手之移 
始終相手本手之組掛之通二取来也
一本目障子返
本手之移 
始終相手本手之組掛之通に取来也
障子返
 使者捕の業耳て引たをさんとす類を支耳津べ可へり須る也
読み
本手之移(ほんてのうつし)  
始終相手 本手の組み掛りの通りに取り来る
 
障子返(しょうじかえし)
 使者捕の業にて 引き倒さんとするを機に つべかえりする也
参考 使者捕の業 夏原流和之事捕手和之事一本目使者捕
 楽々對し坐したる時向の右の手を我か右之手二亭取り向の右之膝を足二亭踏我右脇へ引た於してかたむる也
読み
 楽々対し坐したる時 向うの右の手を我が右の手にて取り 向うの右の膝を足にて踏み 我が右脇へ引き倒し堅むる也
 

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2017年9月20日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10、夏原流和之事5小具足割10浦ノ波

曽田本その1
1.神傳流秘書読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
十本目浦ノ波
以上十本
浦ノ波
 影の切懸の通り耳後ゟ髻を取ッ亭打込を後へ振り向き我可右の手を當て打懸亭躰をもたれ懸り亭倒す
以上十本
読み
浦ノ波(うらのなみ)
 影の切懸の通りに 後より髻を取って打ち込むを 後へ振り向き 我が右の手を当て打ち懸けて 体をもたれ懸りて倒す
以上十本
参考 小具足の十一本目影切掛
 是ハ相手我後ゟ歩ミ来り我可髻を取り短刀を抜亭打込むを其侭後へ向位の弛の如く右之手二亭出合を留中耳入りたを春
読み
影切掛(かげきりかかり)
 是は相手後ろより歩み来たり 我が髻を取り 短刀を抜きて打込むを 其の侭 後ろへ向き
位の弛の如く 右の手にて出合うを留め 中に入り倒す
参考 小具足の八本目位ノ弛
 相手胸を取るを左の手二亭取り合手立上り短刀を抜て打込むを我右の手二亭打込ミ留躰を入川て中耳入り倒ス
読み
位ノ弛(くらいのゆるみ・くらいのはずし)
 相手胸を取るを左の手にて取り 相手立ち上がり 短刀を抜いて打込むを 我れ右の手にて打込み留め 体を入って中に入り倒す
読み解く
 「影の切懸」とは小具足の十一本目影切掛のことでしょう。

さらにここで小具足の八本目位ノ弛の業の動作を要求しています。

 この伝書は省略が多くて、其の都度前の業を振り返る事になって文章だけから業を演じようとするとこの様に厄介です。然し稽古には前の業を充分習熟できれば容易な事でしょう。

 相手我が後ろより来たりて我が髻を取り短刀を抜いて打ち込んで来るので、我は透かさず後へ振り向き、右手を上げ相手の短刀を持つ右手首に打ち懸けて留め、そのままもたれる様に体をあびせて倒す。

 以上十本で小具足割を終わります。小具足割の割の意味はどうやら変化技を表す夏原流独特の言葉だったようです。

 小具足割の書き出しに「八文字二坐ス」と有りました。我は立膝に座し、相手は同様に坐して居るか、立って前より歩み寄る、又は後ろより歩み来ると相手の状況が異なります。

 

 

 

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2017年9月19日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割10浦ノ波

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
十本目浦ノ波
浦ノ波
 影の切懸の通り耳後ゟ髻を取ッ亭打込を後へ振り向き我可右の手を當て打懸亭躰をもたれ懸り亭倒す
読み
浦ノ波(うらのなみ)
 影の切懸の通りに 後より髻を取って打ち込むを 後へ振り向き 我が右の手を当て打ち懸けて 体をもたれ懸りて倒す
参考 小具足の十一本目影切掛
 是ハ相手我後ゟ歩ミ来り我可髻を取り短刀を抜亭打込むを其侭後へ向位の弛の如く右之手二亭出合を留中耳入りたを春
読み
影切掛(かげきりかかり)
 是は相手後ろより歩み来たり 我が髻を取り 短刀を抜きて打込むを 其の侭 後ろへ向き
位の弛の如く 右の手にて出合うを留め 中に入り倒す
参考 小具足の八本目位ノ弛
 相手胸を取るを左の手二亭取り合手立上り短刀を抜て打込むを我右の手二亭打込ミ留躰を入川て中耳入り倒ス
読み
位ノ弛(くらいのゆるみ・くらいのはずし)
 相手胸を取るを左の手にて取り 相手立ち上がり 短刀を抜いて打込むを 我れ右の手にて打込み留め 体を入って中に入り倒す
 

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2017年9月18日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割9逆ノ返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
九本目逆ノ返
逆ノ返
 う川保付の通り耳腰を取ッ亭打を右の手二亭受留左の手二亭合手の足を逆手二取り躰を□ふて阿をの介耳倒す也
読み
逆ノ返(ぎゃくのかえし)
 うつぼ付(靭付)の通りに腰を取って打つを 右の手にて受け留め 左の手にて相手の足を逆手に取り 体を□ふて仰のけに倒す也
「躰を□ふて阿をの介耳倒す也(体を□ふて仰のけに倒す也)」の「□ふて」は誤記かも知れません。河野百錬先生の「無双直伝英信流兵法叢書では「体を込みて仰向に倒す也」です。
参考 小具足の十本目靭付
靭付(ウツボ、矢入レ 曽田メモ)
 相手我右脇ゟ歩来り我可帯を取打込んとす類をす具耳相手の膝と足と耳手を掛押倒す
読み
靭付(うつぼつき)
 相手 我が右脇より歩み来たり 我が帯を取り 打ち込まんとするを 直ぐに相手の膝と足とに手を掛け押倒す
靭は靫の誤記でしょう。原本のままにしておきます。
読み解く
 「うつぼ付」は小具足の十本目靭付(うつぼつき)、靭は矢入れの事と曽田メモがあります。
 この靭付は我は八文字に坐して居る処へ、相手が右脇から近寄ってきて、矢庭に帯を取って、右手に短刀を握って打ち込まんとするので、直ぐに相手の膝に手を掛け、右手で相手の足首に手を懸けて引き押し倒しました。

 今度の「逆ノ返」は、靭付のように帯を取って右手で打ち込んでくるので、右手で相手の手首を受け留め、左手で相手の足を逆手に取って体を付け入って仰のけに倒す。

 「躰を□ふて仰のけに倒す」の□の文字は判読不能です。河野先生は無双直伝英信流居合兵法叢書では「体を込て仰向に倒す」とされていますが、「躰を□ふてあおのけに倒す」なので□を特定出来ません。

 動作としては、右手で相手の打ち込みを受けているのですから、左手は相手の右足を逆手で手前に払って仰のけに倒す、としてみました。

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2017年9月17日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割9逆ノ返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
九本目逆ノ返
逆ノ返
 う川保付の通り耳腰を取ッ亭打を右の手二亭受留左の手二亭合手の足を逆手二取り躰を□ふて阿をの介耳倒す也
読み
逆ノ返(ぎゃくのかえし)
 うつぼ付(靭付)の通りに腰を取って打つを 右の手にて受け留め 左の手にて相手の足を逆手に取り 体を□ふて仰のけに倒す也
「躰を□ふて阿をの介耳倒す也(体を□ふて仰のけに倒す也)」の「□ふて」は誤記かも知れません。河野百錬先生の「無双直伝英信流兵法叢書では「体を込みて仰向に倒す也」です。
参考 小具足の十本目靭付
靭付(ウツボ、矢入レ 曽田メモ)
 相手我右脇ゟ歩来り我可帯を取打込んとす類をす具耳相手の膝と足と耳手を掛押倒す
読み
靭付(うつぼつき)
 相手 我が右脇より歩み来たり 我が帯を取り 打ち込まんとするを 直ぐに相手の膝と足とに手を掛け押倒す
 

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2017年9月16日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割8岩波

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
八本目岩浪
岩波
 髻附の通り二押付来るを我可右の手を其の手へ打懸津べ可へりす類
読み
岩波(いわなみ)
 髻附(もとどりつけ)の通りに押し付け来るを 我が右の手を其の手へ打ち懸け つべかえりする
参考 夏原流和之事小具足九本目髻附
髻附
 此事ハ亦常の通り坐して居時相手後より手を廻した婦さを取て押伏セむとする事を支耳其手を前へ押者川し堅る
読み
髻附(もとどりつけ・もとどりつき)
 此の事は また 常の通り坐している時 相手後ろより手を廻し 髻(たぶさ)を取りて押し伏せんとするを機に其の手を前へ押し外し堅める
読み解く
 岩波と髻附を合体させてみます。原文では読みにくいので読み下しにします。
「此の事は また 常の通り坐し居る時 相手後より手を廻し 髻を取りて押し伏せんとするを
我が右の手を其の手へ打ち懸け つべかえりする」
 この場合の相方の位置関係は、「相手後より手を廻し」の読み解きから、「相手は後ろに坐し手を廻して髻をとる」、或は、「我と向き合って座し前から手を廻した髻を取る」のいずれかです。
 しかし、「髻を取りて押し伏せんとする」と「つべかえりする」を想定しますと「相手は後ろに坐し手を廻し髻を取って前に押し被さる様に押しつけて来る」と想定して「我は右手で髻を掴んでいる相手の手に一打ちしてハットさせておいて、前に「つべかえりする」。
 「つべかえる」は「でんぐりかえる」であれば前に「でんぐりかえって」危機を抜け出ると取るのが良さそうです。
 相手が前に居たのでは、「つべかえる」のに邪魔になります。「髻附」の様に前に押し伏せることになります。
此の岩波は、「髻附の通り」と有るので八文字に坐した攻防にしましたが、立業としても良いでしょう。
 「立っている処、相手後ろから来て、我が髻を掴んで押しかぶせて来る、我は相手の手に右手を打ち懸けるや、前に「でんぐりかえって」倒す。」

 「我が右の手を其の手へ打懸け」の打懸けのイメージをどのようにするかがこのポイントでしょう。
 「つべかえりする」は「でんぐりかえって」見ましたが、どこぞの方言かこの夏原流の独特の言い回しです。

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2017年9月15日 (金)

第八回古伝研究の集い

土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い

 

第八回古伝研究の集い

 

 古伝神傳流秘書を曽田虎彦先生の書き写された直筆本から読み解いて同じ思いの仲間を募って、その古伝研究をやってまいりました。

 今回は第八回目の御案内をいたします。

 

内容:古伝神傳流秘書による詰合・大剣取

    古伝英信流目録による小太刀之位

 

 講義とか実演では無く、参加していただき木刀及び小木刀を持って古伝の解釈及び形の稽古をご一緒にさせていただきます。
 異なる伝承の方々と一つの教本から古伝研究を実施する中で、「私はこの『古伝』はこう解釈する」と自由な考え方から幾つもの疑問を解きほぐして見たいと思います。

 ご参加いただいた方が、師匠であるとご認識いただければ幸いです。

 

1、期日:平成29年10月12日(木)

              1500分~1700

 

      平成29年10月26日(木)

              1300分~1700

 

      平成29年11月09日(木)

             1300分~1700

 

2、場所:鎌倉体育館 格技室

   使用会名:湘南居合道研修会 鎌倉道場

 

3、住所:248-0014神奈川県鎌倉市

            由比ガ浜2-9-9

       TEL:0467-24-3553

 

4、アクセス:JR横須賀線・総武線快速

        鎌倉駅東口下車海岸方向へ

                 徒歩10分(駐車場あり)

 

5、費用:会場費割勘のみ(500円)

 

6、参加の御連絡はこのブログへコメント
    
していただくか直接ご来場ください。

 
7、御案内責任者 ミツヒラ

                    平成29914

 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割8岩波

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
八本目岩浪
岩波
 髻附の通り二押付来るを我可右の手を其の手へ打懸津べ可へりす類
読み
岩波(いわなみ)
 髻附(もとどりつけ)の通りに押し付け来るを 我が右の手を其の手へ打ち懸け つべかえりする
参考 夏原流和之事小具足九本目髻附
髻附
 此事ハ亦常の通り坐して居時相手後より手を廻した婦さを取て押伏セむとする事を支耳其手を前へ押者川し堅る
読み
髻附(もとどりつけ・もとどりつき)
 此の事は また 常の通り坐している時 相手後ろより手を廻し 髻(たぶさ)を取りて押し伏せんとするを機に其の手を前へ押し外し堅める
 
 

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2017年9月14日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割7勝句廻

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
七本目勝句廻
勝句廻
 立合くる時相手左の手二亭我可胸を取り我可右の手二亭其の手首を取る相手右の手二亭打込む我可左の手二亭受留我可右の手を相手の脇下ゟ送込ミ躰も共二廻りたをす也
読み
勝句廻(かちくまわり・しょうくまわり・しょうこうまわり?)
 立合い来る時 相手左の手にて我が胸を取り 我が右の手にて其の手首を取る 相手右の手にて打込む 我が左の手にて受け留め 我が右の手を相手の脇の下より送り込み 体も共に廻り倒す
読み解く
 業名の「勝句廻」はどの様に読めばいいのでしょう。かちくまわり、しょうくまわり何れもピンと来ませんがご存知の方はご教授ください。
 「句」の文字が俳句や和歌に通ずる意味合いを持つかもしれません。この神傳流秘書の書かれた頃江戸では雑俳句として川柳が流行、「川柳評勝句」が出されています。一万句程の応募があって其の中から高得点の句を「勝句」と云って刷り物にして配って盛行だったそうです。小具足割りとの意味合いは知りません。

 小具足割の「八文字に坐す」は五本目までで後の五本は相掛です。
相掛かりに行合い、相手が我が胸を左手で取ってくるので、右手で相手の左手首を取る。
 相手は透かさず右手で打ち込んでくるので左手で受け留め、右手を相手の左手から放すや左脇の下に送り込み付け入って左へ廻り我と共に倒す。

 「相手右の手にて打込む」は、ここでは素手で打ち込むのでしょう。打ち込むですから上から顔面に打ち込むのか、突き込むとは言っていませんが何れでも応じるのでしょう。短刀を抜いて打ち込まれる事も有ると思う処です。

 

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2017年9月13日 (水)

曽田本その1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割7勝句廻

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
七本目勝句廻
勝句廻
 立合くる時相手左の手二亭我可胸を取り我可右の手二亭其の手首を取る相手右の手二亭打込む我可左の手二亭受留我可右の手を相手の脇下ゟ送込ミ躰も共二廻りたをす也
読み
勝句廻(かちくまわり・かちこうまわり?)
 立合い来る時 相手左の手にて我が胸を取り 我が右の手にて其の手首を取る 相手右の手にて打込む 我が左の手にて受け留め 我が右の手を相手の脇の下より送り込み 体も共に廻り倒す
 

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2017年9月12日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割6村雨

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
六本目村雨
村雨
 左足耳行違う時相手左の手二亭我可左の手を取るを此方ゟ其手を尓き類相手打込むを右の手二亭請留其の手を直耳合手の額耳押當相手の足を我可右の足二亭蹴る一拍子耳阿於の介耳た於す也
読み
村雨(むらさめ)
 左足に行き違う時 相手左の手にて我が左の手を取るを 此方より其の手を握る 相手打込むを右の手にて請け留め 其の手を直ぐに相手の額に押し当て 相手の足を我が右の足にて蹴る 一拍子に仰のけに倒す
読み解く
 小具足割は八文字に坐す、とあったのですがこの業は双方歩み寄って行き違いざまの技の攻防です。しかし遣方が座したままもよいでしょう。
 左足で行き違う時とは相手が我が左側を行き違う時です。
 相手が左手で我が左手を取ってくる、我はその手を握り返すと、相手は右手で短刀を抜いて左廻りに向き直って、打ち込んで来るので右手で相手の打ち込む右手首を請け留め、その手を直ぐに「会手の顔」は「相手の顔」に押し当てると一拍子に相手の足を、わが右足で蹴って仰のけに倒す。

 この技の掛け方は、小具足の五本目繰返の立業及び六本目逆の剱でしょう。
小具足の繰返「又前(相手左の手にて我が胸を取る我が左の手にてその手首を取る)の如く手首を留たる時相手短刀を抜て打込を右の手にて留其手を相手の額に押當あおのけにねぢたおす」

 

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2017年9月11日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割6村雨

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
六本目村雨
村雨
 左足耳行違う時相手左の手二亭我可左の手を取るを此方ゟ其手を尓き類相手打込むを右の手二亭請留其の手を直耳合手の額耳押當相手の足を我可右の足二亭蹴る一拍子耳阿於の介耳た於す也
読み
村雨(むらさめ)
 左足に行き違う時 相手左の手にて我が左の手を取るを 此方より其の手を握る 相手打込むを右の手にて請け留め 其の手を直ぐに相手の額に押し当て 相手の足を我が右の足にて蹴る 一拍子に仰のけに倒す
 
 
 

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2017年9月10日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割5切返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
五本目切返
切返
 如前胸を取り手を此方ゟ取り相手打込を右の手二亭留う川伏耳引た於し堅むる也
読み
切返(きりかえし)
 前の如く胸を取り 手を此方より取り 相手打込むを右の手にて留め 俯けに引き倒し堅むる也
読み解く
 前の如くは、小具足割四本目滝落の「相手我が胸を取り抜突けんとする・・」ですから、相手左手で我が胸を取る、此方より其の手首を取る、相手右の手で短刀を抜いて打ち込んで来るのを右手で相手の右手首を取って留める。
其の機をとらえて、左手を相手の右手の肘のかがみに懸ける様にして右脇に引き倒しかためる。

小具足の四本目繰返の業が「相手左の手にて我が胸を取る、我は其の手首を留たる時相手短刀を抜て打込を右の手にて留其の手を相手の額に押當あおのけにねじたおす」と云う業でした。

今度は俯けに引き倒すのですから、相手の打ち込んで来る力を一瞬留めてグット力をこめ押しかかる処を利用して引き倒すとしてみました。

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2017年9月 9日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割5切返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
五本目切返
切返
 如前胸を取り手を此方ゟ取り相手打込を右の手二亭留う川伏耳引た於し堅むる也
読み
切返(きりかえし)
 前の如く胸を取り 手を此方より取り 相手打込むを右の手にて留め うつ伏せに引き倒し堅むる也
 
 

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2017年9月 8日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割4滝落

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
四本目滝落
滝落
 相手我可胸を取り抜突んとす類を我左の手二亭相手の手首を取り右の手を相手の手の上ゟ送り込ミ躰を左へ廻ッ亭う川む介耳伏す
読み
滝落(たきおとし)
 相手我が胸を取り 抜き突けんとするを 我が左の手にて相手の手首を取り 右の手を相手の手の上より送り込み 体を左へ廻って俯けに伏す
読み解く
 相手が我が胸を左手で取って、右手で短刀を抜いて突こうとするのを、我は左手で相手の左手首を取り、右手を相手の左手の上から送り込んで左に廻りながら相手をうつむけに伏させる。左手の上から懸けた右手で相手の右手首を取る事もできるでしょう。

 この業には小具足の四本目に滝返という業があるので、対比してみましょう。
「滝返:前の如く胸を取を我も前の如く其手首を取り右の手をひじに懸けうつむけに横へふせる也」

 相手が左手で我が胸を取るので、我はその左手首を左手で取って、右手を相手のひじに懸けてそのままうつぶせに左横に倒す。相手は短刀を抜いていない処が違うようです。

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2017年9月 7日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割4滝落

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
四本目滝落
滝落
 相手我可胸を取り抜突んとす類を我左の手二亭相手の手首を取り右の手を相手の手の上ゟ送り込ミ躰を左へ廻ッ亭う川む介耳伏す
読み
滝落(たきおとし)
 相手我が胸を取り 抜き突けんとするを 我が左の手にて相手の手首を取り 右の手を相手の手の上より送り込み 体を左へ廻って俯けに伏す
 
 

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2017年9月 6日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割3自籠詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
三本目自籠詰
自籠詰
 我可膝を立膝耳して居処へ相手歩ミ来り我可胸を取り短刀を抜亭突んと須るを先手の如く取ッ亭横へた於す毛の也
読み
自籠詰(じろうつめ)
 我が膝を立膝にして居る処へ 相手歩み来たり我が胸を取り 短刀を抜きて突かんとするを 先手の如く取って横へ倒すもの也
「先手の如く取ッ亭」は小具足の三本目先手です。
先手
 如前胸を取我右の手二亭相手の手首を取相手短刀を抜んとする処をす具耳右の手を相手の胸耳押當足を込ミ亭阿をの希ニ倒す
読み
先手(さきて)
 前の如く胸を取る 我が右手にて相手の手首を取り 相手短刀を抜かんとする処 直ぐに右の手を相手の胸に押し当て 足を込みて仰のけに倒す
読み解く
 自籠詰は、(じろうつめ、じこもりつめ)でしょう。

 我は立膝に座し居る処へ、相手はスカスカと歩み来りて、腰を屈めて我が胸を左手で取り、右手で短刀を抜いて突こうとする処を、我は左手で相手の左手首を取り、右手で相手の右手を取って相手の胸に押当て右足を踏込み、左足を引いて左脇に引き倒す。

 先手では右足を踏み込んで押し倒しますが、此処では押し込んでから左足を引いて体を変わり乍ら横へ引き倒す。

 小具足と小具足割の違いはこのあたりの変化技を指すのではと思うのですが、いかがでしょう。

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2017年9月 5日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割3自籠詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
三本目自籠詰
自籠詰
 我可膝を立膝耳して居処へ相手歩ミ来り我可胸を取り短刀を抜亭突んと須るを先手の如く取ッ亭横へた於す毛の也
読み
自籠詰(じろうつめ)
 我が膝を立膝にして居る処へ 相手歩み来たり我が胸を取り 短刀を抜きて突かんとするを 先手の如く取って横へ倒すもの也
「先手の如く取ッ亭」は小具足の三本目先手です。
先手
 如前胸を取我右の手二亭相手の手首を取相手短刀を抜んとする処をす具耳右の手を相手の胸耳押當足を込ミ亭阿をの希ニ倒す
読み
先手(さきて)
 前の如く胸を取る 我が右手にて相手の手首を取り 相手短刀を抜かんとする処 直ぐに右の手を相手の胸に押し当て 足を込みて仰のけに倒す
 
 

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2017年9月 4日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割2向剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
二本目向剣
向剣(向剱)
 相手左二亭我可胸を取り突んとするを我可左の手二亭相手の手首を取り右の手をひぢの可ゞ美二懸下へ押伏セる
読み
向剣(向剱 曽田先生は剱の漢字を剣に訂正)(むこうけん)
 相手 左にて我が胸を取り突かんとするを 我が左の手にて相手の手首を取り 右の手を肘のかがみに懸け 下へ押し伏せる
参考 小具足の二本目剱當詰
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二亭突手を打落引伏セ堅
読み
 相手 左の手にて我が胸を取る 我が左の手にて其の手首を取る 相手小太刀を抜いて知多を突くを 左の膝を少し立て替えりて外し 右の手にて突き手を打ち落し引き伏せ堅む
*
読み解く
 相手左の手で我が胸を取り右の手で短刀を抜いて突こうとする時、我は左手で相手の右手首を取って突き手を制し、左足を引いて体を左に開いて右手を相手の右手のひじのかがみに懸け右脇下へ押し伏せる。
 小具足の二本目剱當詰では、相手は左手で我が胸を取って右手で小太刀を抜いて下を突いて来るのを左足を引いて外し右手で突き手を打ち落す。
 小具足割の向剣では突こうとする右手首を左手で取って右手で相手の右肘に懸け押し伏せる。

 小具足と小具足割は似たような状況での攻防を述べて居ます。小具足の呪巻では相手が我が胸を左手で取り右手で短刀を胸に押し当てて来るのを両手相手の肘に打ちもぎしています、小具足割の弛では、相手はうちもぎされそうなのでそれを避けて外し再度打ち込んで来るのを右手で制するのでした。

 

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2017年9月 3日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割2向剣

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
二本目向剣
向剣(向剱)
 相手左二亭我可胸を取り突んとするを我可左の手二亭相手の手首を取り右の手をひぢの可ゞ美二懸下へ押伏セる
読み
向剣(向剱 曽田先生は剱の漢字を剣に訂正)(むこうけん)
 相手 左にて我が胸を取り突かんとするを 我が左の手にて相手の手首を取り 右の手を肘のかがみに懸け 下へ押し伏せる
参考 小具足の二本目剱當詰
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二亭突手を打落引伏セ堅
読み
 相手 左の手にて我が胸を取る 我が左の手にて其の手首を取る 相手小太刀を抜いて知多を突くを 左の膝を少し立て替えりて外し 右の手にて突き手を打ち落し引き伏せ堅む

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2017年9月 2日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事5小具足割1弛

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
5)小具足割
一本目弛
小具足割 八文字二坐ス
一本目弛
 呪巻の介んを胸耳押あ當てる時耳ひぢと手首を打拂ふ相手避て上へ取り又打込を右の手二亭留引た於す也
読み
 弛(ゆるみ・はずし)
 呪巻の剱(短刀)を胸に押し当てる時に 肘と手首を打ち払う 相手避けて上へ取り 又 打ち込むを右の手にて留め 引き倒す
*参考 小具足の一本目呪巻
 相手左の手二亭胸を取る右之手二亭短刀を抜胸二押當テたる時我左右之手二亭相手の両のひぢを打もぎす具耳相手の右之手首を取て一方の手を比ぢ耳懸てう津む希耳引伏セ堅める
読み
呪巻(のろいまき)
 相手左の手にて胸を取る 右の手にて短刀を抜き胸に当てたる時 我左右の手にて相手の両の肘を打ち捥ぎ 直ぐに相手の右の手首を取って一方の手を肘に懸けて 俯けに引き伏せ堅める
読み解く
 夏原流和之事の五番めは小具足割です。
 これは八文字に坐す、とありますから前の小具足と同様に「両方足を爪立左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に坐す」でしょう。この小具足割の「割」の意味はおいおい理解できるでしょう。
「呪巻の・・」は小具足の一本目呪巻のことで「相手左の手にて胸を取る右の手にて短刀を抜胸に押當てたる時我左右の手にて両のひじのを打もぎすぐに相手の右の手首を取て一方の手をひじに懸てうつむけに引伏せ堅める」の業です。

この業名「弛」は「ゆるみ」と読むのですが神傳流秘書では曽田先生は「はずし」と読ませています。
 相手、左の手で我が胸を取り、右手で短刀を抜き我が胸に押當て来る時、我は左右の手で相手の左肘と右手首を打ち払う。相手それを上に弛し、又打ち込んで来るのを右手で相手の右手首を留め左手を相手の肘のかがみに取り右脇に引き倒す。

ここでは、小具足の呪巻で応じた処、相手に躱され、再び責められた処を仕留める技となっています。

 

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2017年9月 1日 (金)

第七回古伝研究の集い

土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い

 

第七回古伝研究の集い

 

 古伝神傳流秘書を曽田虎彦先生の書き写された直筆本から読み解いて同じ思いの仲間を募って、その古伝研究をやってまいりました。今回は第七回目の御案内をいたします。

 

内容:古伝神傳流秘書による詰合・大剣取

    古伝英信流目録による小太刀之位

 

 講義とか実演では無く、参加していただき木刀及び小木刀を持って古伝の解釈及び形の稽古をご一緒にさせていただきます。
 異なる伝承の方々と一つの教本から古伝研究を実施する中で、「私はこの『古伝』はこう解釈する」と自由な考え方から幾つもの疑問を解きほぐして見たいと思います。

 ご参加いただいた方が、師匠であるとご認識いただければ幸いです。

 

1、期日:平成29年9月14日(木) 

      平成29年9月28日(木)

 

2、時間:14日:15時00分~19時00

      28日:15時00分~17時00分

 

3、場所:鎌倉体育館 格技室

   使用会名:居合道研修会 

 

4、住所:248-0014神奈川県鎌倉市

      由比ガ浜2-9-9

    TEL:0467-24-3553

 

5、アクセス:JR横須賀線・総武線快速

        鎌倉駅東口下車海岸方向へ

        徒歩10分(駐車場あり)

 

6、費用:会場費割勘のみ(500円)

 

7、参加の御連絡はこのブログへコメントしていただくか直接ご来場ください。

8、御案内責任者 ミツヒラ

 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事5小具足割1弛

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
5)小具足割
一本目弛
小具足割 八文字二坐ス
一本目弛
 呪巻の介んを胸耳押あ當てる時耳ひぢと手首を打拂ふ相手避て上へ取り又打込を右の手二亭留引た於す也
読み
 弛(ゆるみ・はずし)
 呪巻の剱(短刀)を胸に押し当てる時に 肘と手首を打ち払う 相手避けて上へ取り 又 打ち込むを右の手にて留め 引き倒す
*参考 小具足の一本目呪巻
 相手左の手二亭胸を取る右之手二亭短刀を抜胸二押當テたる時我左右之手二亭相手の両のひぢを打もぎす具耳相手の右之手首を取て一方の手を比ぢ耳懸てう津む希耳引伏セ堅める
読み
呪巻(のろいまき)
 相手左の手にて胸を取る 右の手にて短刀を抜き胸に当てたる時 我左右の手にて相手の両の肘を打ち捥ぎ 直ぐに相手の右の手首を取って一方の手を肘に懸けて うつむけに引き伏せ堅める
 

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2017年8月31日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合11櫓落

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
十一本目櫓落
櫓落
 相懸り耳相手の胸を我可左の手二亭逆耳取右の手を又阿以へ送込ミ引か津き上扨如何様二も落すべし
 以上 十一
読み
櫓落(やぐらおとし)
 相懸りに 相手の胸を我が左の手にて逆に取り 右の手を股あいへ送り込み 引きかづき上げ 扨 如何様にも落とすべし
 以上 十一
読み解く
櫓落
 相懸りに近寄るや、相手の胸を我が左手で逆手に取って、体を沈み込んで、右の手を「又阿以へ(股あいへ)」は股間へ送り込み、引き担ぎ上げ、さて、いか様にも投げ落とすべき。

こんなところでしょう。

以上十一本で後立合は終わります。

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2017年8月30日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合11櫓落

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
十一本目櫓落
櫓落
 相懸り耳相手の胸を我可左の手二亭逆耳取右の手を又阿以へ送込ミ引か津き上扨如何様二も落すべし
 以上 十一
読み
櫓落(やぐらおとし)
 相懸りに 相手の胸を我が左の手にて逆に取り 右の手を股あいへ送り込み 引きかづき上げ 扨 如何様にも落とすべし
 以上 十一
 
 
 

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2017年8月29日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合10大殺

曽田本その1
1.神傳流秘書原を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
十本目大殺
大殺
 相手跡ゟ付来り組付処を一寸ひぢを張り直耳踏ミ志さり中耳入りたをす
読み
大殺(おおごろし、だいさつ)
 相手跡(後ろ)より付き来たり組付く処を 一寸肘を張り 直ぐに踏みしさり中に入り倒す
読み解く
 この業名は「大殺」読みは訓読みで「おおごろし」でしょう。現代風には音読みで「だいさつ」と読みたい処です。それにしても大げさな業名です。
 相手が後ろから来て、両手で組み付いて来る、即座に肘を一寸張って組付を緩めて後ろに下がり相手の中に入り其の儘押し倒す。倒す際に足を我が足で掬うとか、掛けるとかあるでしょうが、そこは状況次第でしょう。

 この業は、大小詰や大小立詰に似たように後ろから組み付かれる業があります。ここでは刀を差していない場合の攻防です。大小立詰の電光石火が最も近い業かもしれません。
「電光石化:前の如く後より来り組付を躰を下り相手の右の手をとり前に倒す」

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2017年8月28日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合10大殺

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
十本目大殺
大殺
 相手跡ゟ付来り組付処を一寸ひぢを張り直耳踏ミ志さり中耳入りたをす
読み
大殺(おおごろし、だいさつ)
 相手跡(後ろ)より付き来たり組付く処を 一寸肘を張り 直ぐに踏みしさり中に入り倒す

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2017年8月27日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合9浪返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
九本目浪返
浪返
 相手我可たふさを取らんと手を出須を躰を下り弛し其侭相手の跡ゟ右の手を廻し左の手二亭相手の足の可ゞ美をさ(多?)具り横捨て須る也
読み
浪返(なみがえし)
 相手 我が髻(たぶさ)を取らんと手を出すを 体を下り弛し 其の侭相手の跡より右の手を廻し 左の手にて相手の足のかがみをたぐり横捨てにする也
読み解く
 此の業は、双方相対して立っての業でしょう。相手が我がたぶさ(髻、もとどり)を取ろうと手を伸ばして来るのを、体を沈めるや、相手の後に右手を廻し腰を取って、左手で相手の出足のかがみ(膝の後ろ)を手繰り寄せる様にして横捨てにする。

 「相手の足のかがみをたぐり横捨てにする」の「かがみをたぐり」は河野先生は「かがみをさぐり」とされましたが、此処は「多具利」の草書体ですから「たぐり」でしょう。
「たぐり」は手元へ引き寄せると解されますので、この浪返に相当すると思います。

河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書の読みの様に読めば「左具利=さぐり」ですが、この業は互に向き合って居る時、相手が髻に手を懸けようとするので、取られる前に体を沈めて相手の後の腰に右手を廻し、左手は探らなくとも相手の膝の後に手を懸ける事は出来るはずです。

 

 

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2017年8月26日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合9浪返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
九本目浪返
浪返
 相手我可たふさを取らんと手を出須を躰を下り弛し其侭相手の跡ゟ右の手を廻し左の手二亭相手の足の可ゞ美をさ具り横捨て須る也
読み
浪返(なみがえし)
 相手 我が髻(たぶさ)を取らんと手を出すを 体を下り弛し 其の侭相手の跡より右の手を廻し 左の手にて相手の足のかがみを探り横捨てする也
 

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2017年8月25日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合8稲妻

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
八本目稲妻
稲妻
 合手両下手二組込頭を我可胸耳付来を我可左の手を小脇耳取り右足を踏ミ込ミ大腰の様二して左脇へ那介る又相手押可介類を直耳ひぢの可ゞ美上ゟ押たをすも有
読み
稲妻(いなづま)
 相手 両下手に組み込み 頭を我が胸に付け来るを 我が左の手を小脇に取り 右足を踏込み大腰の様にして左脇へ投げる 又 相手押し懸けるを直ぐに 肘のかがみ上より押し倒すも有り
*読み解く
 「合手」は相手でしょう。相手が両手で袴の帯下に組み込み、頭を我が胸に付けて来るのを、我は左手を相手の「小脇に取り」は相手の右腕に左手を上から脇に指し込み、右足を踏み込み相手を右腰に乗せ「大腰の様に」して左脇へ投げる。
 又、相手が両手で組み付き我が胸に頭を付けて押しかかって来る時、直ぐに相手の肘のかがみの上から両手を懸けて押し倒すのも有る。

「大腰」は現代の柔道の技にありますからその方法で応じてみました。

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2017年8月24日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合8稲妻

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
八本目稲妻
稲妻
 合手両下手二組込頭を我可胸耳付来を我可左の手を小脇耳取り右足を踏ミ込ミ大腰の様二して左脇へ那介る又相手押可介類を直耳ひぢの可ゞ美上ゟ押たをすも有
読み
稲妻(いなづま)
 相手 両下手に組み込み 頭を我が胸に付け来るを 我が左の手を小脇に取り 右足を踏込み大腰の様にして左脇へ投げる 又 相手押し懸けるを直ぐに 肘のかがみ上より押し倒すも有り

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2017年8月23日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合7回腕崩

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
七本目回腕崩
回腕崩
 如前組多る時相手左を突懸るを敵の左の拳を我可右之手二亭取り左の手を敵の脇つぼゟ廻し我可肩へ引伏セる
参考 「如前組多る時」
 前は六本目回腕捕
 楽々左二組・・・
読み
回腕崩(かいわんくずし)
 前の如く 組みたる時 相手左を突き懸けるを 敵の左の拳を我が右の手にて取り 左の手を敵の脇坪より廻し我が肩へ引き伏せる
読み解く
 「前の如く組たる時」は六本目回腕捕之事を言うのでしょう。
 「楽々左に組相手右を突懸る処・・」です。従ってここは、楽々左手で相手の胸を取って組む時、相手左手で突きかかって来る、その相手の左拳を我が右手で取り、我が左手を相手の左脇坪に下から廻し、体を入って我が左肩に引き伏せる。

 引き伏せた後の処理がありませんが、業名の通り「回腕崩」によって相手の体を我が左肩に引き伏せて崩してしまえば肘折りなど、如何様にも出来るでしょう。

 

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2017年8月22日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合7回腕崩

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
七本目回腕崩
回腕崩
 如前組多る時相手左を突懸るを敵の左の拳を我可右之手二亭取り左の手を敵の脇つぼゟ廻し我可肩へ引伏セる
参考 「如前組多る時」
 前は六本目回腕捕
 楽々左二組・・・
読み
回腕崩(かいわんくずし)
 前の如く 組みたる時 相手左を突き懸けるを 敵の左の拳を我が右の手にて取り 左の手を敵の脇坪より廻し我が肩へ引き伏せる
 
 
 

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2017年8月21日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合6回腕捕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
六本目回腕捕
回腕捕
 楽々左二組相手右を突懸る処を支耳膝を突右脇へ多於す
読み
回腕捕(かいわんとり)
 楽々左に組み 相手右を突き懸かる処を機に 膝を着き 右脇へ倒す

読み解く
 回腕法といえば、書道の筆を持つ方法にそんなものがあるのですが、ここは和之事です。
「楽々左に組」の楽々はこの流の得意な言い回しです。実態は解りませんが文字通りに楽に肩の力を抜いて、組み合うのも柔らかくとしておきましょう。
 互いに、どのように組み合うかは、「左に組」とあるばかりです。左手で双方とも相手の胸を取り合うのでしょう。特に指定されていません。好きなように組んで見ることです。

 相手が右手にグット力をこめて突きかかって来るのを機に、我はスット沈み込んで右膝を着き、我が右脇に倒す。

 ここで業名の「回腕捕」を思い出して見ます。相手の突き懸って来る右手首を右手で取り、左手をその右手に回腕して膝をついて右脇に倒す。ややこしい事をつい思いつきますが、余計な事をしないでもよさそうです。

 
 

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2017年8月20日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合6回腕捕

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
六本目回腕捕
回腕捕
 楽々左二組相手右を突懸る処を支耳膝を突右脇へ多於す
読み
回腕捕(かいわんとり)
 楽々左に組み 相手右を突き懸かる処を機に 膝を着き 右脇へ倒す
 

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2017年8月19日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合5柱体

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
五本目柱体
柱体
 我ハ或ハ柱など耳添ふて居心持なり相手歩ミ来り両の手二亭我可胸を取り我可左の手二亭手首を取り相手のひぢの可ゞ美を右の手二亭下ゟ廻し亭取り我と一拍子耳左へねぢたをす也
読み
柱体(ちゅうたい)
 我は或は 柱などに添うている心持なり 相手歩み来たり両の手にて我が胸を取り 我が左の手にて手首を取り 相手の肘のかがみを右の手にて下より廻して取り 我と一拍子に左へねじたおす也
読み解く
 「我は或は」の書き出しはあまり見かけない気がしますが、柱など或は何かに添うようにして立っている心持でいる事というのでしょう。壁でもいいのでしょう。
 相手が歩み来たりて両手で我が胸を取るので我は左手で相手の手首を取り、相手のひじのかがみに右の手を下から廻しかけて取るや否や左へねじ倒す。

 相手が胸を取っても後ろに倒れたりすることはないような場取りです。下肢をしっかりさせて立ち、上体は緩やかにして、応じろとでもいうのでしょう。
 相手はどの様に両手で胸を取るのかが何も書かれていません。和服ですから右手で胸の辺り左衿を取り左手はその下か右衿でしょう。

 「我が左手にて(相手の)手首を取り」は相手の右手首を取り、「相手のひぢの可ゞ美を右の手二亭下ゟ廻し亭取り」でしょう。

 「我と一拍子耳左へねぢたをす」この表現を忠実にするには、相手が両手で胸を取り押す拍子に、我は相手を制し(相手退く・あるいはそのままの)その拍子に我も共に左へねじ倒せと言うのでしょう。

 

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2017年8月18日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合5柱体

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
五本目柱体
柱体
 我ハ或ハ柱など耳添ふて居心持なり相手歩ミ来り両の手二亭我可胸を取り我可左の手二亭手首を取り相手のひぢの可ゞ美を右の手二亭下ゟ廻し亭取り我と一拍子耳左へねぢたをす也
読み
柱体(ちゅうたい)
 我は或は 柱などに添うている心持なり 相手歩み来たり両の手にて我が胸を取り 我が左の手にて手首を取り 相手の肘のかがみを右の手にて下より廻して取り 我と一拍子に左へねじたおす也

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2017年8月17日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合4七里引

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
四本目七里引
七里引
 行合二我可手を取らんと手を出ス処を其手を此方ゟ取り指を折て我可躰を廻る遍し相手自らた於るゝ也
読み
七里引(しちりびき)
 行き合いに我が手を取らんと手を出す処を 其の手を此方より取り 指を折りて 我が体を廻るべし 相手自ら倒るゝ也
読み解く
 七里引は現代の合気道にもその名称があるようです。
ここでは、双方スカスカと歩み寄り行き合う時に、相手が我が手を取ろうと手を出して来る処、此方よりその手を取って、指を折り上げ、左廻りに体を開けば相手は勝手に倒れる。

この夏原流の七里引は特に関節を如何こうしろとは言っていません。自然体でゆるゆる応じろとでも言うようです。

 

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2017年8月16日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合4七里引

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
四本目七里引
七里引
 行合二我可手を取らんと手を出ス処を其手を此方ゟ取り指を折て我可躰を廻る遍し相手自らた於るゝ也
読み
七里引(しちりびき)
 行き合いに我が手を取らんと手を出す処を 其の手を此方より取り 指を折りて 我が体を廻るべし 相手自ら倒るゝ也
 
 

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2017年8月15日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合3屏風返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
三本目屏風返
屏風返
 玉多れの通り耳取り来るを是は相手の後へ我可右足を踏込ミ我も共耳阿をの介耳そり後へた於す也

読み
屏風返(びょうぶかえし)
 玉たれ(立合の六本目玉簾(たますだれ)でしょう)の通りに取り来るを 是は相手の後ろへ我が右足を踏み込み 我も共に 仰のけに反り 後へ倒す也
参考 立合六本目玉簾
 相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きりを入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す
読み解く
 「玉たれ」は「たますだれ玉簾」の欠字でしょう。
 玉簾は夏原流和之事二番目の立合の六本目玉簾「相手我が左右の指を取り上へ折上る処を 此方より其親指をにぎり 躰を入って 相手の手を引もじ 指を肩にかけて相手の左の手を前へ取り躰をぬけて引廻す」。という業でした。

 相手に指を取られて上へ折り上げるならば、此方から相手の親指を握りこんで、相手の後ろに右足を踏み込み、諸共に相手を仰のけに後ろに反り倒す。相手が指を取る手を制してしまえば後は如何にかなるでしょう。
 
 玉簾のように相手は前から我が左右の指を取りに手を伸ばして来るので、取られる前に我は相手の後ろに右足を踏み込み、相手の肩を取って諸共に相手を仰のけに反り返って後ろに倒す。左右の指を取られる前に後ろに廻ってみました。

 屏風返の業名は、我も共に、ぱたんと屏風を閉じる様に密着して、相手を後に倒す様でしょう。

 

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2017年8月14日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合3屏風返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
三本目屏風返
屏風返
 玉多れの通り耳取り来るを是は相手の後へ我可右足を踏込ミ我も共耳阿をの介耳そり後へた於す也

読み
屏風返(びょうぶかえし)
 玉たれ(立合の六本目玉簾(たますだれ)でしょう)の通りに取り来るを 是は相手の後ろへ我が右足を踏み込み 我も共に 仰のけに反り 後へ倒す也
参考 立合六本目玉簾
 相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きり躰を入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す

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2017年8月13日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合2車返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合
二本目車返
車返
 行合耳我可右の手を相手の面耳打込す具耳躰を入って中に入り倒す也
読み
車返(くるまかえし・くるまがえし)
 行き合いに我が右の手を相手の面に打込み 直ぐに体を入って(行って ?)中に入り倒す也
読み解く
 業名は車返ですが、業はどうでしょう。双方スカスカと歩み寄り、行き合う時(すれ違う寸前)に我の方から相手の顔面に右手を打ち込み、直ぐに体を相手に附け入って中に入り倒す。

 「躰を入って中に入り倒す」の方法が記述されていません。相手の顔面に一当て打ち込んでいますから一瞬のけぞって気が遠くなる処を押し倒す。或は突き倒す。
 体を沈めて右手で顔面を、左手で相手の右足を取って仰のけに倒す。此処は幾つもの技が繰り出せそうです。
 それにしても、古伝は命を懸けた攻防を伝えて来るので、現代居合における雰囲気とは雲泥の差です。何しろ相手の仕掛けに応じるのが現代居合です。この業も、行き違う寸前に相手の害意を察したと解すれば良いのでしょうが、少々手前勝手な理屈です。

参考
 夏原流和之事2項目立合二本目無想(2017年5月27,28日)
 行合二相手の足を取り送り右の手二亭膝を押の希てた於春  

読み
 行合に相手の足を取り送り右の手にて膝を押のけてたおす

 業名は「無想」何も思わずにと云うのでしょう。「行合」ですから、双方立って行き合う、所謂歩み寄る時、ふっと身を屈め左手で相手の右足を取って引き上げるようにして送り込み、右手で左足の膝を押し除ける様に引き込み後ろに倒す。
 此の、無想も我から一方的に仕掛けています。或は当然敵であると認識して双方殺気を漲らせて行き合うのでしょう。 

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2017年8月12日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合2車返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合
二本目車返
車返
 行合耳我可右の手を相手の面耳打込す具耳躰を入って中に入り倒す也
読み
車返(くるまかえし・くるまがえし)
 行き合いに我が右の手を相手の面に打込み 直ぐに体を入って中に入り倒す也
 

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2017年8月11日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合1上留

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合也
一本目上留
支剱の通り取って手を折を以やとすくばる支耳手を抜上介押付ヶ亭引廻し倒す
読み(うえどめ・うわとめ)
支剱の通り 取って手を折るを いやとすくばる機に 手を抜上げ押し付けて 引き廻し倒す
参考 「支剱の通り取って手を折を」
 夏原流和之事の2項目立合(皆相掛)の四本目支剱(2017年7月1日・2日)
支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す
読み解く
 夏原流和之事の4項目は後立合の業名で、どの業も「始終立合」と言って立っての攻防です。
 夏原流の2項目に立合(皆相掛)が有りました。此の「後立合」の業シリーズは、立合の後の立合、いわゆる続立合と云う意味の様です。

 支劔の通り、相手我が胸を左の手にて取る、我が右の手にて其手首を取り、手首を折る様にすると、相手いやとすくむ様にする、其の機を捉えて相手の手を抜き上げて相手の顔に押し付け左脇に引き廻し倒す。
 「いやとすくばる」いやと身をちじめる、いやとすくむ、などと同意義であろうと思います。
 「手を抜上げ押付け」は、我が手を緩めては相手に其の機に乗ぜられそうです。相手の左手首を持ったまま下又は上に折れば相手が「いやとすくばる」様に我が胸から左手を離して引こうとするその機に顔面に押しつけてみました。

古伝の文言が抜けていて、動作が解らない処はあれやこれやと自分で研究しろと云って居ると思えばいいのでしょう。
 一人演武の空間刀法の居合稽古では得られない、相手との攻防での相手の動きと我の態勢、心と体の一致などの処を夏原流和之事は教えてくれています。

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2017年8月10日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合1上留

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合也
一本目上留
支剱の通り取って手を折を以やとすくばる支耳手を抜上介押付ヶ亭引廻し倒す
読み
支剱の通り 取って手を折るを いやとすくばる機に 手を抜上げ押し付けて 引き廻し倒す
参考 「支剱の通り取って手を折を」
 夏原流和之事の2項目立合(皆相掛)の四本目支剱(2017年7月1日・2日)
支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す

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2017年8月 9日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足11影切掛

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
十一本目影切掛
影ノ切掛
 是は相手我後ゟ歩ミ来り我可髻を取り短刀を抜亭打込むを其侭後へ向位の弛の如く右之手二亭出会を留中耳入りたを春
以上十一
読み
影ノ切掛(かげのきりかかり)
 是は相手我が後ろより歩み来たり 我が髻を取り 短刀を抜きて打込むを 其の侭後ろへ向き位の弛の如く 右の手にて出合いを留め中に入り倒す
以上十一
参考 小具足八本目位ノ弛
 ・・相手後より手を廻した婦さを取て押伏せむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
 ・・相手後ろより手を廻し たぶさを取りて押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
読み解く
 この業名の影ノ切掛は、かげのきりかかりでしょうか。読みがわかりません。神傳流秘書松原流和之事小具足割十本目浦ノ波では「影の切懸」で「掛」が「懸」となっています。
河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「影之切掛」とあります。

 我は八文字に座す処、相手後ろよりスカスカと歩み来たり、腰を屈め我が髻を取り短刀を抜いて上から打ち込んで来るのを、座したまま後ろへ振り向き、相手の打ち込みを右手で受け留めさらに相手に付け入って左手で相手の右肘を取り右脇に引き倒す。

「短刀を抜て打込むを其儘後へ向位の弛の如く右の手にて出合を留」の其儘後へは、後ろへ振り向き「位の弛」のように受け留めるとしてみました。
「位ノ弛」は小具足の八本目にある業で、相手が前から我が胸を左手で取ってくるのを、我も左手でその手を取る、相手立ち上がって短刀を抜いて打ち下ろしてくるので、我が右手で突き上げるようにその右手に打ち込み留めています。

 前向き後ろ向きの違いがありますが、打ち込みを留める処が「・・如く」なのでしょう。

 以上十一本で小具足は終ります。

 小具足は「両方足を爪立左の膝を付き右之膝を浮けて折る八文字に坐す」ですから、是は現在で云う立膝の座仕方、居合膝の座仕方でしょう。

 敵は短刀を抜いて打込む程の近間での攻防です。相対する間合いは体軸で120cm4尺位でしょう。膝と膝で2尺でしょう。
 起こりを見せない様にするにはもっと近い膝と膝で1尺位の間を取る方が良いのでしょうが、人は互にどこまで膝詰め出来るでしょうか。
敵と意識すれば膝詰めは2尺がせいぜいでしょう、激論の末膝がぶつかる程の事も有かな・・など互にやって見ると良いかも知れません。

 此処での短刀は現代の刀の分類と同様かどうかは解りません。刃渡り1尺未満の短刀攻防と思われますが確証は有りません。刃渡り1尺から1尺5寸未満のものまではこの手附でやって見るのも良いだろうと思いますが、1尺5寸から2尺未満のものでは打太刀の動作は違うと思います。

 参考に小具足の一本目は短刀、二本目は小太刀、三本目は短刀、四本目不明、五本目短刀、六本目は短刀、七本目は立合の支剱に同じで不明、八本目は短刀、九本目は不明、十本目は不明、十一本目は短刀です。二本目小太刀ですが短刀で良いでしょう。不明の所は短刀を抜く前に勝負がついていますのでこれも短刀で良いでしょう。

短刀と小太刀の違いは、現代の刀剣の区分に至るまでの変遷が有るもので、あえて取り上げません。扱いやすく稽古しやすい長さのものを見出すのも業のうちでしょう。

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2017年8月 8日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足11影切掛

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
十一本目影切掛
影切掛
 是は相手我後ゟ歩ミ来り我可髻を取り短刀を抜亭打込むを其侭後へ向位の弛の如く右之手二亭出会を留中耳入りたを春
以上十一
影切掛(かげきりかかり)
 是は相手我が後ろより歩み来たり 我が髻を取り 短刀を抜きて打込むを 其の侭後ろへ向き位の弛の如く 右の手にて出合いを留め中に入り倒す
参考 小具足八本目位ノ弛
 ・・相手後より手を廻した婦さを取て押伏せむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
 ・・相手後ろより手を廻し たぶさを取りて押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
 

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2017年8月 7日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足10靭付

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
十本目靭付
靭付(ウツボ、矢入レ 曽田メモ)
 相手我右脇ゟ歩来り我可帯を取打込んとす類をす具耳相手の膝と足と耳手を掛押倒す
読み
靭付(うつぼつき)
 相手 我が右脇より歩み来たり 我が帯を取り 打ち込まんとするを 直ぐに相手の膝と足とに手を掛け押倒す
 「靭」とは矢入と有りますが、これではなめし革を意味します。これは「靫」の漢字で差し込むの意味の矢入れの「うつぼ」でしょう。(藤堂明保編学研漢和辞典)
 靭は靫の誤用と広辞苑も記述しています。

読み解く
 靭付は、靫附(付)(うつぼつき)でしょう。「我が帯に手を差し込み取る」で業名と何となくしっくっり来ます。
 
 我は八文字に座すところ、相手右脇よりスカスカと歩み来たり、腰を屈めて我が帯に左手を差し込み取り、右手で短刀を抜いて打ち込まんとする。
 我は即座に、相手の中腰になった右膝に右手を掛けて押し、その足首に左手を掛けて手前に引いて倒す。
 

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2017年8月 6日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足10靭付

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
十本目靭付
靭付(ウツボ、矢入レ 曽田メモ)
 相手我右脇ゟ歩来り我可帯を取打込んとす類をす具耳相手の膝と足と耳手を掛押倒す
読み
靭付(うつぼつき)
 相手 我が右脇より歩み来たり 我が帯を取り 打ち込まんとするを 直ぐに相手の膝と足とに手を掛け押倒す
「靭」とは矢入と有りますが、これではなめし革を意味します。これは「靫」の漢字で差し込むの意味の矢入れの「うつぼ」でしょう。(藤堂明保編学研漢和辞典)
靭は靫の誤用と広辞苑も記述しています。

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2017年8月 5日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足9髻附

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、夏原流和之事
9)小具足
九本目髻附
髻附(ケイ、モトドリ、タブサ 曽田メモ)
 此事ハ亦常の通り坐して居時相手後より手を廻した婦さを取て押伏セむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
*読み
髻附(もとどりつき、たぶさつき)
 此の事は亦 常の通り坐して居る時 相手後ろより手を廻し 髻(たぶさ)を取りて 押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
読み解く
この業は、八文字に対座している時、相手がせり出してきて我が後ろに両手を廻し髻(たぶさ)を取り押し伏せようとされたので、掴まれた相手の手を掴んで「押しはづし」押し返すようにはずして前にかためる。

 髻はたぶさ、もとどりの読みで良いのでしょう。この文面からは、相手はどこに座していたのか、「常の通り座して居時」ですから対座でしょう。ここまでの八本がすべて対座していますからその様に解する方が自然でしょう。

 髻を取らせてしまったのは不覚ですが、相手もそれとなくスッと髻を取るのでしょう。いや、我から髻を取らせる様にしたのでしょう。
「押伏せむとするをきに」の「き」をとらえられなければ押伏せられてしまいます。髻の無い現代では此の業は替え業を考えてみるのも面白い様です。

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2017年8月 4日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足9髻附

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
3、夏原流和之事
9)小具足
九本目髻附
髻附(ケイ、モトドリ、タブサ 曽田メモ)
 此事ハ亦常の通り坐して居時相手後より手を廻した婦さを取て押伏セむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
*読み
髻附(もとどりつき、たぶさつき)
 此の事は亦 常の通り坐して居る時 相手後ろより手を廻し 髻(たぶさ)を取りて 押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
 

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2017年8月 3日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足8位ノ弛

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
八本目位ノ弛
位ノ弛
 相手胸を取るを左の手二亭取り合手立上り短刀を抜て打込を我右の手二亭打込ミ留躰を入って中耳入り倒す
読み
位ノ弛(くらいのゆるみ・くらいのはずし?)
 相手胸を取るを 左の手にて取り 相手立ち上がり短刀を抜いて打込むを 右の手にて打込み留め 体を入って中に入り倒す
読み解く
 この業名の読みですが「くらいのはずし」と「弛」を「はずし」と読ませている様ですが、シ・チ「弛」の意味はゆるむ・ゆるめる。ぴんと張った弓がだらりとながく伸びることをあらわす会意兼形声文字で古訓では「ユミハツス・ハツス・ハツル・ユルフです。(藤堂明保偏 学研漢和辞典)
 この「位ノ弛」の業では、「はずし」は「外し」とも違う様です。
*
 互いに八文字に座す処、相手腰を上げ右足を踏み出し、左の手で我が胸を取る。我は即座に腰を上げ右足を踏み出し、相手の左手首を左の手で取る。
 相手立ち上がり短刀を抜いて我が頭上に打ち込んで来るのを、我は下から右手で相手の右手首を打ち留め、体を相手に付け入って押し倒す。

 相手が立ち上がり短刀を打ち込む際、我は低く相手に附け入って右手で叩き留める。さらに体を沈めて付け入って倒す・・相手が立ち上がっても中腰に座したまま短刀を打ち下ろす相手の右手首に我が右手を突き上げて留める。そのまま付け入って倒す。
 「相手立上り短刀を抜て打込むを我右の手にて打込み留」の文言の通りの打ち込みは相手の動作にどの様に応じるかは稽古次第でしょう。

 

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2017年8月 2日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足8位ノ弛

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
八本目位ノ弛
位ノ弛
 相手胸を取るを左の手二亭取り合手立上り短刀を抜て打込を我右の手二亭打込ミ留躰を入って中耳入り倒す
読み
位ノ弛(くらいのゆるみ・くらいのはずし?)
 相手胸を取るを 左の手にて取り 相手立ち上がり短刀を抜いて打込むを 右の手にて打込み留め 体を入って中に入り倒す
 
 

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2017年8月 1日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足7逆ノ折

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
七本目逆ノ折
逆ノ折
 此事ハ立合の支剱の事耳同し坐して居る違ひ計也
読み
逆ノ折(ぎゃくのおり)
 此の事は立合の支剱の事に同じ坐して居る違い計り也
参考 立合の四本目支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春
読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す
読み解く
 立合の支剱は立業ですから、逆ノ折は坐して行います。
 相手がわが胸を左手で取る(つかむ)、我は右手でわが胸を掴んでいる相手の左手首を取る。相手は右拳で打ち込んで来るので我は左手で其れを請け止め、右手を相手の肘のかがみに外側から巻き懸けて相手の肘を折る。普段の稽古では引き廻して倒す。

 「相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折」ですが、我が左手は相手の打ち込む右手を請け止めて制し、右手は相手の左手首を取っています。その右手を放し相手の右手の肘のかがみに外より懸け肘折りする。
 又は、我が右手は相手の左手首を持ったまま相手の右肘のかがみに懸ける事も相手次第で可能です。
いずれも、骨折させてしまいそうです。

 常の稽古では、相手の左右の手を取った状態で左廻りに引き倒すでしょう。

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2017年7月31日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足7逆ノ折

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
七本目逆ノ折
逆ノ折
 此事ハ立合の支剱の事耳同し坐して居る違ひ計也
読み
逆ノ折(ぎゃくのおれ・ぎゃくのおり)
 此の事は立合の支剱の事に同じ坐して居る違い計り也
参考 立合の四本目支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春
読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す

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2017年7月30日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足6逆ノ剱

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
六本目逆ノ剱
逆ノ剱
 如前相手の手首を留多る時相手短刀を抜以て突んとするを膝を少し立弛し右の手二亭其突手を取り如前阿の希耳倒春也
読み
逆ノ剱(ぎゃくのつるぎ・ぎゃくのけん)
 前の如く相手の手首を留たる時 相手短刀を抜いて突かんとするを 膝を少し立て弛し
右の手にて其の突き手を取り 前の如く仰のけに倒す也
参考
「如前相手の手首を留多る時」の前は二本目剱當詰迄戻ります。「相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る」
「右の手二亭其突手を取り如前阿能希耳倒春」の前は五本目繰返でしょう。「相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押當阿能希ニねじ多を春」
読み解く
 神傳流秘書の文章は、省略が多くてこのように業毎の読み切りにすると厄介です。
前の如く(如前)が六本目逆ノ劔から五本目繰返、四本目瀧返、三本目先手と四回続きました、二本目劔當詰まで戻る事になります。

 前の如く相手の手首を留たる時は「相手左の手にて我が胸を取る我が左の手にて其手首を取る・・」ですから、相手が腰を上げ右足を踏み込んで左手で我が胸を取るのを我は即座に腰を上げ、右足を踏み込んで其の手首を取る。

 相手短刀を逆手に抜いて突こうとするのを、我は、右足を引き弛ずし右手で其の突き手を取り前の如くは前回の五本目繰返の「相手短刀を抜て打込を右の手にて留其手を相手の額に押當あおのけにねじたおす」でしょう。ここで業名の「逆ノ劔」に拘って相手は短刀を逆手に抜出し、突いて来るのでしょう。
相手の突き手を制して額に押し付け左手を引き左脇にあおのけにねじ倒す。

 「膝を少し立弛し」は右足を引いて膝を付け、左足を踏み込んで右脇にあおのけに倒すのも出来そうです。前の如くが二回もあって、省略しているのですが、此処はポイントだと示されて居る様な気のする処です。

 

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2017年7月29日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足6逆ノ剱

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
六本目逆ノ剱
逆ノ剱
 如前相手の手首を留多る時相手短刀を抜以て突んとするを膝を少し立弛し右の手二亭其突手を取り如前阿の希耳倒春也
逆ノ剱(ぎゃくのつるぎ・ぎゃくのけん)
 前の如く相手の手首を留たる時 相手短刀を抜いて突かんとするを 膝を少し立て弛し
右の手にて其の突き手を取り 前の如く仰のけに倒す也
参考
「如前相手の手首を留多る時」の前は二本目剱當詰迄戻ります。「相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る」
「右の手二亭其突手を取り如前阿の希耳倒春」の前は五本目繰返でしょう。「相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押當阿能希ニねじ多を春」
 

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2017年7月28日 (金)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業ハ切先返

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
ハ)切先返し
 
◎意義
 敵我が真向に斬込み来るを左斜めに受流し、左手を刀に添へて敵の面部を引き切り、直ちに腹部を刺突して勝つ。
◎動作
 前進しながら右足を前に踏込み刀を頭上に抜き上げ(刀刃は後方にして切先を左に下げ我が頭部と肩をかこひ表鎬にて受流す)敵の刀を左斜に受流すや、直ちに左手を刀の棟に(物打の下方に)添へ、少し体を沈めつつ柄を右腰に下げ乍ら敵の面部を引き切り、左足を一歩前に踏込んで(左手を刀棟に添へたまま)敵の腹部を刺突す。残心し左足を後方に一歩退き刀を右に開いて納刀す。
 「切先返し」は伯耆流の「切先返し」を基にしています。
伯耆流磯波会江島敬隆著星野宣敏校閲の伯耆流居合術教本昭和17年1942年の教本によって稽古して見ます。カタカナを仮名に直してあります。線画が付属していますが省略します。
切先返し(立姿)
 正面より斬り下す敵に対して抜き流して、受け流し、間髪を入れず、敵の顔面を断ち斬り、更に腹を突きて倒すのである。
 踏み込んで受け流すところ、顔面を断ち切る動作並に其の姿勢より突く所、妙味ある事である。
1、前方より斬りかゝらんとするものあり之に応じてすゝみ寄る。
2、敵が斬り下したる刀を抜き放って受け流す。
3、頭上に刀をかざして攻撃をとる。
4、敵の顔を断ち斬る。
5、突の構え。
6、敵の腹を突いて倒す。
7、残心。
8、引き上げ。
9、納の構。
 刀法の切先返しが体を沈めつつ敵の顔を引き切るのに対し、伯耆流の切先返しは頭上に刀をかざし攻撃の体勢をとって顔面を断ち斬るの違いがあります。
 この違いは、受け流されて間近くある敵の顔面を引き切り戦意を消失させるか、顔面を「断ち斬る」の文言にひかれ、頭上よりズンと断ち割り致命傷を与え、止めに刺突するかの想定の違いを思い浮かべてしまいます。
 河野百錬先生の大日本居合道図譜の切先返しの写真では、敵刀を受流すや、直ちに左手を刀の腰に(ほぼ中央)に添え、右足先を稍々左に向け左後足は受け流した位置の侭、左手を十分前に延ばし、右下後ろに、右手を十分引いて敵の面部を引きかき切る。とされていますが、受け流された敵は間近に顔は有ります、これでは受け流された敵が即座に後方に引かない限り、我が刀は敵の頭上に斬り込んでしまい、意図する「面部を引き切る」とはなりそうにもありません。
 この河野先生の面部引き切りの左足捌きは、無外流の中川先生の写真にも見られますので制定当時の動作であったのでしょう。
 河野百錬先生、福井聖山先生、池田聖昂先生の動画により意義に対する動作を拝見してみます。
 お三人とも動作は形も拍子も夫々です。河野先生の受け流してから左手を物打ち下に添えて、何とも曖昧な顔面切り、その左足の固定された捌きは敵の動きをどの様に意識されたのか術理が不明瞭です。
 福井先生の受流すや左手を物打ち下に添える際、下から突き上げる様にして敵頭上から断ち割るが如き動作は、「左手を刀に添へて敵の面部を引き切り」の意義に合いません。
 両大家とも、敵の打ち込みをひょいと受けてすり流す様です。敵刀の打ち込みをどの様に受けているのでしょう。なり行き任せに見えてしまいます。
 当代は、刀を抜きつつ、敵の上段からの打ち下しに、もぐりこみ突き上げる様に表鎬にて受流すや物打ちに左手を添え、即座に切先を敵の顔面に当てる様に引き切る。
 右入身、左入身の体捌きにこの業の進化の歴史を見るようです。
 ある地区の指導者は福井先生の様に左手を物打ち下に添え、切先を後ろに刃を上向け床に水平に取り、敵の頭上に切先を付けて断ち割っている様です。しかも切先は敵の体に深く放物線を描く様に入っていますから、右腰に刀を引き下ろすことは現実的に難しそうです。
 第七代会長による「刀法」解説
敵刀を受け流すポイントを上げてみます。
 少し腰を沈め気味に刀を抜き込み、右半身となって、右手は進行方向に平行、右肩の線上にあり、刀刃は後方に向かい切先は左斜下方にあり、我が顔面・頭部並びに左肩を覆う形で我が顔前頭上にある。
 刀を下から上に突き上げ、腰を左に捻る気が大切。
 上段から打ち込んで来る敵刀を受ける際、敵刀の打ち下ろす物打ちを受けるのではなく鍔元近くで受けます。
 摺落すのではなく、当り拍子に腰を左に捻って右入身となって敵刀を受け流します。この受け流しは修練を積んだ人にしか理解できないかもしれません。擦り流しは受け流しではありません。
 受け流すや、直ちに左手を刀の棟(物打ち手前)に添え、柄を我が乳の高さに下げつつ切先を敵の顔面に当て、引き切る様に切先を敵の正中線を通して斬り下す。
 左手の添え手の位置は肩幅で物打ち下に添えると指導された古参がおられますが其れでは深く斬り込み過ぎになります。
 此の時、右爪先を軸に左廻りに右爪先を正面に90度に向け、左膝を右膝のかがみに引き寄せ右足先が真横になる瞬間に引き切り、左膝を右ふくらはぎの上に重ね左入身になる。
 この際刀を右腰にとり腰を沈める、柄は右腰より二拳位後方、刀は水平袴の帯下に把持する。顔面引き切って「刀を右腰にとり腰を沈め」次の刺突の準備に速やかに移行するには左足の捌きは重要です。受流した時の左足の位置のままでは敵の動きに付いてはいけません。
 この引き切りでも、勘違いして切先が敵顔面に付けた位置より深く孤を描いて斬り割く如き動作をしている人が見られます。飽くまでも、引き切る切先であるべきでしょう。切先は顔面に当てた位置からスッと下り、右腰に引き付けられるべきです。
 其の為には左手の添え手の位置は重要です。当然引き切って引き付けられた左手は体(左腰)から離れている筈です。
 沈めた腰を上げながら左入身のまま左足を踏込み、「敵の腹部を刺突す」が敵の上腹部(臍と水月の間)を刺突すると特定されています。左手は空手の手刀の突き手、刺突した切っ先は敵の腹部から水月の高さに刺突する。
 「腹部を水平に刺突する」、かつての教えの変わった部分ですが、中には腹部から切先は喉元まで突き上げると、指導されたとされている人もいます。
 低い位置から腰を上げながら刺突すれば手の内を変えなければ自然に水月の辺りに突き上げます。喉元まで突き上げるには手で突き上げる事になりその必要はあるでしょうか。
 刀法の意義を充分熟読し想定を描くならば、動作の書き足りない部分は自ずから浮かんでくるはずです。
*
 「なま兵法大疵のもと」と宮本武蔵は五輪書の地之巻に書いています。
 業技法は進化するべきなのに、昔習っただけに拘るなどは怠け者としか言い様は有りません。
 当代の解説を熟読し、講習会に参加し、習った通りに反復した上で、自論を述べるのは良しとしても、刀法は全日本居合道刀法であって基準の動作は当代の動作基準が最優先であるべきものでしょう。
 当代より最高の允可を受けながら心得違いは業技法に拘る姿勢よりも、何を学びどの様に指導すべきかの根本理念に指導者としての問題が有りそうです。自論に拘るならば当代に直に進言すべきものでしょう。
 ある地区では指導に当たって、A十段が当代会長の剣理と術理を説明し、B十段が模範演武をするに当たって自分流を得々と演じられます。
 是では、教習を受けに来た者には何をすべきかがわからなくなります。当然審査や競技の判定にもそれは現れるでしょう。
 全日本居合道刀法は剣理、術理ともに統一されていなければその存在の意味は無いものです。
 然し、統一理論を前面に押し出し、意義(剣理)も動作(術理)も統一された時、流派を越えた刀法の存在の問題点が大きく浮上して来ると思われます。
 全剣連の竹刀スポーツが古流剣術の各流派を駆逐した様に、制定居合が居合の根本的動作基準と錯覚してしまえば古伝は消えでしまうでしょう。
 自流の業の根源を求める事が武道文化の継承の根幹であって、各流派共通の全日本居合道刀法の意義・動作に自流・自分流を主張し拘るべきとは思えません。
 他流の審査に他流を知らずして、その代わりに制定居合で補う様な安易な審査員養成は、答えが出ている様に思えて仕方がありません。
 自道場から武者修行に出た事も無く、自流の業ですらその謂れも知らず、意義も動作の有りようも解からず、中には自流の現宗家の解説書すら見た事も無い、たまたま近所で出会った道場で習ったものを師伝と称し「かたち」だけ模倣し、その「かたち」から抜け出す事も出来ない者が、しかとして武術論を論じ、他流の手附もその宗家筋の演武を学び見る事も無く、「のほほんとしてきた者」が他流を元とした「全日本居合道刀法」を推し量る事などできるのでしょうか。
 
思いつくままに・・・・刀法解説を終ります。・・・講習会が楽しみです。
 
 此の「刀法」のブログをアップしたとたん、ある地区の特定の指導者を中傷するもので許すべきではない、と息巻いているそうです。
 ミツヒラにくだらぬ取りざたをする暇があるならば、そんな暇に、「刀法」の制定された意味と、其処から何を学び、何を標準化すべきなのか、どの様に指導するべきなのかある地区の指導者が本気で考え議論するべきでしょう。第七代会長が答えを示されていると思うのですが・・・。(追記 2017年8月19日)
 
 
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足5繰返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
五本目繰返
繰返
 又如前手首を留たる時相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押阿能希ニねぢ多を春
読み
繰返(くりかえし)
 又 前の如く手首を留たる時 相手短刀を抜きて打ち込むを 右の手にて留め 其の手を相手の額に押し仰のけに 捩子倒す
*参考 如前
 此処は二本目剱當詰までもどります。
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る 相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二亭突手を打落引伏セ堅
読み解く
 また前の様に、相手が腰を上げて右足を踏み出し我が胸を左手で取るので、我も右足を踏み出し左手で相手の左手首を取る。
 相手右手で短刀を抜出し、頭上に打ち込んで来るのを、我右手で相手の短刀を持つ右手首に当て制するや相手の右手首を取って相手の額に押し当て左手を引き込み相手を仰向けにねじ倒す。

 「相手短刀を抜て打込むを右の手にて留」によって、相手は右手で短刀を抜く、我は右手で其の打ち込みを留めると、理解できます。従って相手は左手で我が胸を取り、我も左手で相手の左手首を取るとできます。

 この場合、相手左手で我が胸を取る、我はとっさに右手で相手の左手首を取る。相手右手で短刀を抜き上から打ち込んでくるのを我は右手で相手の左手を持ったまま其の打ち込みを留め、そのまま相手の額に押し込んでねじ倒す。もありかもしれません。

 業名の繰返の意味は、相手が我が胸を取る業の繰り返しの稽古を意味するのでしょうか。胸を取られる業はまだ続きます。

 小具足は一本目から相手左手で我が胸を取り、我は右手又は左手で相手の左手を取る、相手右手で短刀を抜き・・・。と八本目まで続いています。

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2017年7月27日 (木)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業ロ四方切

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
ロ)四方切
 
◎意義
 敵が周囲から斬り懸るに応じて之に勝つ。
◎動作
 前進しながら右足の爪先を右に向けて、右方に踏込み右に向くと同時に片手抜討ちを以て右敵の右肩から袈裟に斬り、切先を水月の高さに止める。抜付けたる瞬間左敵に注目し、左方より旋廻して右足を左方に踏込み双手上段に振冠り左敵の真向を斬下す。斬下した瞬間正面の敵に注目し右足を正面に踏込み双手にて正面の敵の右胴を横一文字に斬り、左から旋廻して左足前のまま後敵の真向を斬り、再び右から廻って右足前のまま正面の敵の真向から両断する。残心し右側に刀を開いて血振いして納刀す。
 この業は水鴎流の獅子乱刀から引用したものと思われます。
 水鴎流の手附けは文章によるものは公開されていない様で、第15代宗家の「純一無雑 瞬機一刀の理 水鴎流居合剣法」のビデオにより看取り稽古して見ます。
 前後左右を敵に囲まれ正面向きに正座しています。
 座したまま腰を上げ、右廻りに右敵に振り向き、右足を踏み出し横一文字に抜打ちし、左敵に振り向きつつ双手上段となって、右足を踏込み左敵の真向に斬り下します。
 その足踏みの侭正面の敵に注目し立ち上がりつつ左脇構えに取るや右足を正面に踏み込み、正面の敵の右胴を横一文字に斬り払い、左から旋回して右足を踏込み後敵を真向から斬り下します。
 後ろ向きのまま、刀を右に開き納刀しつつ体を下し、右廻りで正面に戻ります。
 全居連の刀法では正面の敵は胴を切られたのに再び真向より両断されます。
 胴切りが不充分若しくは後敵に危険を感じ前敵を追い払うなどの事が無ければ、正面に戻っての両断は不要でしょう。
 もし充分斬って正面に戻る演舞(武ではない)ならば、後敵を斬って、正面に戻り、上段からゆっくり刀を下し残心の形を示すべきです。
 刀法は技の基本の形を示すだけで武術的な事は後廻しと言うならば、此の業は四段審査の指定業です。そんな事でいいのでしょうか。
 ある地区の指導者は、この業で正面の敵の右胴を横一文字に斬るに当たって、左敵を真向に切り下すや、切先を上げて鍔を口元まで引き寄せ、左に刀を倒し、左手を左腰に引き付け腰溜めの車に構え、右足を正面に踏み込むや敵の右胴を腰を右に振って両断する様に水平に引き切る指導をして居ます。
 見事に、両断して、つぎに後の敵を真向から斬り下し、正面に戻って、正面の敵を真向から立ったまま切り下しています。「あれ!正面の敵は胴を両断されて崩れている筈なのに」。
 河野百錬先生も福井聖山先生も正面の敵を腰溜めの車でなど切っていないのに、独創してしまった様です。
 正面の敵と背後の敵に攻められた時は、両方の敵を意識しながら敵の仕掛ける前に正面の敵を浅く斬り、ビクとさせて追いやりその隙に背後の敵を斬り倒し、正面の敵を両断するのが、囲まれた時の鉄則です。
 第七代会長の解説からこの業を研究してみます。
◎剣理
 敵が周囲から斬り掛かるに応じて、これに勝つ意也。
術理
 左手鍔にかけるや右足を踏み出し、左足をやや一歩より狭く爪先をやや右に向けて踏み出し、右手を柄に掛けるや右敵に向き、右足爪先を右敵の方に向けながら柄頭を右敵の右肩口に向けながら抜きかけ、右足爪先を右敵正中線より30度位左に向けて大きく踏込み右肩口より水月迄袈裟懸けに斬り付ける。
 
 直ちに左敵に顔を向けるや両踵で左廻りに、右肩を覆う様に双手上段に振り冠り右足を大きく踏み込んで左敵の真向に膝の高さ迄斬り下す。
 
 直ちに左踵を押えながら体をたてつつ、切先を上げて鍔を口元に上げた瞬間顔を前方の敵に向けるや、刀を逆八相の構えの位置を経て把り、その瞬間右足を左足の前に踏み込み、上体を前に投げ入れる感じで左より右に水平に薙ぎ払う様に前敵の胴部に斬り付ける。
 
 直ちに左廻りに双手上段に廻り切り左足前のまま後敵を真向に斬り下す。
 
 右廻りに廻り双手上段となり前敵の真向に右足前のまま斬り下す。
 
 会長の前敵への胴切りは、逆八相から上体を倒して薙ぎ払う様に斬り付けています。これは前敵を追いやる若しくはビクとさせる鉄則に則った動作でしょう。逆八相からの水平斬りの妙技はやるつもりのものしか出来無い技でしょう。
 此処は余談ですが、八相及び逆八相からの切り込みを稽古し、その一つに逆八相からの水平切を稽古すればよいだけです。
 竹刀剣道の形の教えにある八相から上段に振り冠ってから真向打ちや腰車から上段に振り冠って八相に斬り込むしか理解できないのではお粗末です。
 腰車に構えてしまえば前敵は攻め込んで来るので胴を両断する事になります。しかし、それでは後敵に仕掛けられてもいるのですから、間に合わず斬られてしまいます。
 右足を踏込み左敵を斬り下し、逆八相に把る時、右足を左足に引き付けてから正面に踏み込む教えが、先代の頃にあって其の足踏みをしている古老と其の弟子もおられます。これも右足を後足に引き付ける無駄な動作です。
 第七代会長は是も否定されています。正面の敵が斬り込んで来る隙を与えない事も四方に敵を受けた時の心構えでしょう。
 前会長に指導を受けられた方の中にこの胴切りの動作を「刀身を鉛直に鍔が口の高さに至るまで持ち上げ、顔を正面の敵に向けながら、右手首を左横水平に返し、柄から外れた左甲を右掌に添えて刀刃を前に左にした刀身をそのまま水平に左脇胴前に下ろし、右足を90度正面(左足踵前)に二足半長運びながら正面の敵の胴を横一文字に右45度まで切り払う・・」(南野輝久著 無双直伝英信流居合道覚書より)
 ある地区の指導者とよく似た車の構えに至る動作です。是は逆八相から胴切りするのではなく、左腰車にとってから胴切りするので、刀を鉛直に立てる意味があるのでしょうか、古流剣術では見られない動作です。
 左敵を真向に斬り下してその手の位置のまま腰車にとってもおかしくは無いでしょう。飽くまでもこの場合は前敵の胴を両断する動作です。
 DVDも付属しますので拝見していますが、文字であらわされた動作よりも、柄手が良くのびておられますので、ある地区の指導者程では無いようです。
 刀法の制定時の意義及び動作は抜けだらけですから、如何に年期を重ねられたベテランでも状況を充分把握し最も適した運剣操作を確立するには、良く見て良く読み良く考える人と、人真似に過ぎない人とのレベルの違いが歴然と現れます。想定を誤れば意義を達せられないものになります。
 全居連の各流派に共通の「刀法」です。第七代会長の解説書に従い、毎年行われる「刀法講習会」に出席して文字に表せない、あるいは、解説書発行時より進化した運剣動作を身に付け地区の指導をすべきでしょう。
 己が正しいとするならば、その事を会長に進言し改変を望むべきものです。「俺は前会長の動作を忠実に演じているだけで、当代が勝手に替えたのだ」では、最高段位を当代会長から頂戴していながら、やるべき事をやらず、地区に於いて勝手に会長の指導以外の動作を指導するのは「刀法」においては特に如何なものでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足5繰返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
五本目繰返
繰返
 又如前手首を留たる時相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押阿能希ニねぢ多を春
繰返(くりかえし)
 又 前の如く手首を留たる時 相手短刀を抜きて打ち込むを 右の手にて留め 其の手を相手の額に押し仰のけに 捩子倒す
*参考 如前
 此処は二本目剱當詰までもどります。
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る 相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二亭突手を打落引伏セ堅

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2017年7月26日 (水)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業イ切上げ

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
イ)切上げ
 
◎意義
 敵が真向上段に抜き上げて仕懸けんとするを、我れ其の右腋つぼに下から斬上げ、直ちに双手上段から敵の左袈裟に斬下して勝つ。
◎動作
 前進しつつ右足を前に踏込みながら抜きかけ刀の反りを一杯に返して(抜きつつ)刀刃を下から敵の右脇つぼに右斜に斬上げ、左足を少し進めながら双手上段となり右足を踏込んで敵の左袈裟に下段まで斬り下す。正眼(中段)に直って残心し刀を右に開いて静かに納刀す。次に左足を右足に揃へて直立し左足から後へ退り元の位置にかへる以下同じ。
 この業は神道無念流より改変されて全居連の刀法に組み込まれたと思われます。制定委員に神道無念流の中山博道先生がおられた筈です。編成時の承認の際(昭和31年1956年10月7日)欠席されています。
 神道無念流の立居合12本の第一本目の意義:「若干歩前方にある敵が将に刀を抜かんとする機に先ち敵の右前臂(ひじ)を下方より切るも続いて敵前進し来るを以って後退して切り更らに敵の後退するを進んで切るのであって此際敵は倒れたりとするのである。」(太田龍峰著 居合読本より)
 この業で、敵の右前臂を切り上げるのですが、更に攻め込んで来るので我は後退して敵の正面を切っています。敵が後退するのを追って再び正面を切る。と云う事でどうやら左袈裟が見られません。
 第十本目にやはり「敵抜かんとするのを右前臂を下方より切り、左足より二歩前進し敵の正面を切る。刀を青眼の儘で、刀を敵に突きつける姿勢で二歩前進す。刀を上段にして残心を示す、刀を青眼に復してこれを収む。」
 この方が、参考になる様ですが、制定委員に神道無念流の先生は含まれていませんし、中山博道先生も既に意欲を失っている時期ですから何とも言えません。
 全日本居合道刀法の「刀の反りを一杯に返して(抜きつつ)刀刃を下から敵の右腋つぼに右斜に斬上げ・・」ですから右胴下から切先三寸位で腋窩に抜き付け、斜めに切り上げ、抜上げるとするもので、より深く斬り込んで行く様な事は、不要でしょう。この一刀で敵は致命傷になってしまいます。
第七代会長の「切上げ」
◎剣理は配布時の意義とほぼ同じです。
 「敵が真向上段に抜き上げて仕懸けんとするを、我れ其の右腋つぼ(腋窩(えきか))に下から斬り上げ、直ちに双手上段から敵の左袈裟に斬下ろして勝つ意也」
◎術理は腋窩への切上げは右胴下から斜めに斬りあげる。
 「・・刀を鞘ごと少し我が進行方向正中線と平行に出しながら、柄頭を床面と平に敵の右胴下に向わしめつつ、我が腰を少し左に捻りながら刀刃を上にして、物打ち手前迄抜き付けて行く。
 物打ち手前に至らば、刀刃を鞘諸共外に返し刀刃の反りを下に一杯に返しながら抜き込み、一杯にかえった瞬間、敵の右胴下より右腋つぼにかけて右斜めに斬り上げる」
 腋窩に抜き付ける事がポイントですが、これはかなり鋭角な斬りあげです。よく見かけるのは右胴下から左首元又は左肩下への切り上げです。腋窩は脇の下の窪みでしょう。これでは指定された所に刀刃は斬り付けられません。
 それも、物打ちからさらに深く切り込んでいますがさて腋窩への切上げの意味が理解出来ているのか疑問です。
 切り上げた刀刃、右斜め上方、40~45度に傾き、切先は進行方向に平行、刀身は床に平、右拳は肩より二拳位上。と会長により指定されています。
 拳が高く頭上を越えているのをよく見かけます、或は角度が浅く流れてしまっている。
 左足は60度位開き、半身の切り上げと第七代会長の解説書は指定していますが、現在は、鋭角に切上げる事を強調するため、左足は90度を超える程に開き、上体を開いて伸び上がる様に右入身に近い半身となります。
 「左足を少し進めながら双手上段となり右足を踏込んで敵の左袈裟に下段まで斬り下す。」
 左袈裟に斬り下すには、まず、斬り上げた刃筋の通り切先を下げ、左踵を正面に向け直し、右足踵まで引き寄せ双手上段になる。
 我が右足を敵の正中線に踏込み、右半身で敵の左肩口(左肩下一寸位)より水月を通して右胴下敵の右膝まで斜めに斬り下す。
 是も現在では、右入身に近い左袈裟切りですから、斬り下した柄手の左拳は右骨盤上一拳前、切先は敵の右膝線上に位置し、左へ流さない。切先が流れないコンパクトながら鋭い運剣法と云えます。
 上段から右に柄手を振って左袈裟切りするのを、第七代の講習会では上段にとった柄頭を前方に押し出す様にして右足を踏み出すと共に体を左に披いて右肩下に斬り下す。
 この左袈裟の運剣も敵左肩下に切先三寸程の処を斬り込みさらに深く斬り込む様な指導者もいますが、畳を両断するような剣捌きは不要です。
 居合は真剣による刀法であって、浅く勝べきで、見栄えの良い殺陣の踊りでは無いのです。
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足4瀧返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10.夏原流和之事
3)小具足
四本目瀧返
瀧返
 如前胸を取を我も前能如く其手首を取り右の手をひぢ二懸う津む介耳横へ伏セる也
読み
瀧返(たきかえし)
 前の如く 胸を取るを 我も前の如く其の手首を取り 右の手をひぢに懸け 俯けに横へ伏せる也
参考 「如前胸を取るを 我も前能如く其手首を取り」 は三本目先手 及び二本目剱當詰を
 参考にします。「相手左の手二亭我可胸を取る」で同じです。
 次の動作では、二本目剱當詰は「我可左の手二亭其手首を取」、三本目先手では「我可右の手二亭相手の手首を取」で相手の左手首を取る我が左右の手が変わります。
 此処では「如前」を優先すれば、三本目先手の「我可右の手二亭相手の手首を取」でしょう。
読み解く
 前の如くは、三本目先手の前の二本目劔當詰まで戻ります。
双方八文字に座し、相手腰を上げて右足を踏み出し左の手にて我が胸を取る。次の「前の如く」のここは三本目先手の様に我も腰を上げ右足を踏み出し我が右の手で相手の左手首を取り、右手のひじを相手の左手のひじに懸け左足を引いて相手を右脇にうつむけに横に伏せる。

 業名は「瀧返」これは、たきかえしえと読めばいいのでしょう。業名から動作のイメージが浮かんできません。文字を読んで頭に入れて体裁きをしていたのでは瀧返しにならないのでしょう。それと相手がゆるゆると我が胸を取るのであれば瀧とも言えません。相手も瀧が落下する如き動作があればそれを拍子に返すイメージも浮かびます。
しかし、強く早い動作ばかりが良いとは言えません。相手も何気なく我が胸を取るとされた場合の動作もありうるので課題です。

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2017年7月25日 (火)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(1)正座ロ前後切

刀法の解釈
 
5)全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(1)正座
 
ロ)前後切
◎意義
 敵我が真向に斬込み来るを受流すや顔面に双手上段から斬付け、直ちに後敵の真向に斬下し、更に前敵の真向に斬下して勝つ。
◎動作
 腰を上げ爪立つや刀を頭上に抜き上げ左斜下に敵刀を受流し直ちに双手上段となり右足を踏込みて前敵の面部に斬付けるや、膝を浮かして爪先にて左廻りに後方に向きつつ双手上段から右膝を床につけるや、後敵の真向から斬下し更に右廻りにて正面に向き直り、双手上段から左膝を床につけるや前敵の真向から斬下す。中段に直りて残心し刀を右に開いて納刀する事同前。
 二本目「前後切」は無外流の五用の二本目「連」より組み立てられたと言われます。
 
無外流居合兵道「連」
理合:前後に敵を受けた場合で、先ず前敵の眉間に諸手で抜きつけ、後ろを振り向くや、後敵を真向に斬り下ろして仕留める。
方法:両足の爪先を立て腰を上げると共に刀を上方に抜き上げる。
 刀を抜き上げる共に左手を柄にかけ、諸手上段となり、右足を踏み出して眉間に斬りつける。
 両膝を浮かし、直ちに左方から後方に向きを換えつゝ上段となり、向きを換え終るや真向に斬り下ろす、切先は床上五寸位。
 残心、納刀以下前に同じ。
 敵は前後ですが、正面の敵に再び斬り付ける事はせずに終わります。
 「全日本居合道刀法」は、「敵我が真向に斬込み来るを受流すや顔面に双手上段から斬付け」後ろに振り向き真向に斬下し、前敵に向き直って再び、真向から斬り下ろします。
 前後に囲まれた場合、前敵が先に抜き上げて真向斬り込んで来るのを受け流し、浅く斬り付け戦意を殺いでおいて即座に後ろに振り向くのであって、深く斬り込んでしまっては、刀が抜けず、浅く切る事は鉄則です。
 後に振向き後敵の状況を即座に判断して真向に打ち下ろすと解釈できます。後ろ敵は刀を抜き上げ真向に打ち込んで来るならば「合し打ち」「切り落とし」が有効です。再び前に振り戻って前敵を真向から斬り下ろしています。充分斬っているならば前に振り返る必要は無いし、真向から斬り下ろす必要も無いでしょう。
 中川先生の無外流の「連」は、我が方から仕掛けて前敵を制し、後ろに振り向き真向に斬り下ろし残心です。
 この全居連「刀法」のポイントは、受け流すや顔面に双手上段から斬付ける、と、後に振り返って斬り下ろす、再び前敵に向かうその方向転換の足捌きと、体裁き、刀捌にある筈です。
 無外流の「連」では「爪先を立、腰を上げると共に刀を上方に抜き上げる、刀を抜上げる共に左手を柄にかけ、諸手上段となり・・」で受け流しの意識は文章には見られません。
 然し中川先生の写真の動作は、刀を正中線上を体に近く刃を外向けて上に抜上げています。
 左手を鞘引きすれば切先は左に稍々振られ、左肩を覆う様になる筈で見事です。
 敵の斬り込みを受け流せば、敵との間合いは自ずから近く敵が退かんとする前に眉間に抜き付けるとすれば、上段から大きく振り下すのでは理に合いません。
 我が切先で敵顔面を引き切る位の運剣でしょう。当然両肘は屈む事になり、引き切った切先は敵の喉元で中心を取っているべきです。
 土佐の居合の教えに、「敵に囲まれた時は一人宛て深々とズンと斬っていては遅れをとる、居合の大事は浅く勝事肝要也、ビクとさせておいてその隙に一人づつ斬っていく(英信流居合目録秘訣上意之大事)」と言う教えがあります。
 受け流すに当たっての抜き上げについて、無双直伝英信流居合道覚書を書かれた南野輝久先生は「刀刃を左15度外側に傾けて、柄頭を正中線(額)に沿って静かに鞘引きしながら切先3寸(9cm)まで抜き上げ、切先3寸(9cm)から鞘を引き落し、切先が外に撥ね上らぬように抜上げる。抜き上げると同時に爪先立ち、右手首を直ちにその場で右に返して上段・・」と書かれています。切先は左体側より外に出ていなければならず、抜き上げる下からの突き上げと切り込まれるとの当り拍子が認識できませんと受け流しはおろかすり流しも不十分となります。
 第7代会長の刀法解説では「受け流す為に抜刀する時、右柄手を顔前を通して、刀刃を外懸け(外に倒す)にしながら払いあげる様に抜き取り敵刀を左斜め下に擦り落す様に受け流す」と明快です。
 右柄手を返し、左手を正中線上を上げて諸手上段に振り冠り、顔面に斬り付ける。
 ある地区の講習会では深々と敵の頭上に斬り付ける指導を当たり前の様にしていますが顔面に斬り付けるのであって両手が充分伸びた打ち下しでは無いでしょう。河野先生、福井先生の動画では顔面では無く深々と斬り付ける様に見られます。これでは意義を達せられないでしょう。動画を重要視する修行者に不向きな動作です。
 方向転換の動作で、すっくと立ち上がって方向転換し立ったまま斬り下ろしてから、後膝を床に着く動作が目に付きます。
 此処は、「膝を浮かして爪先にて左廻りに後方に向きつつ双手上段から膝を床につけるや、後敵の真向から斬下し更に右廻りにて正面に向き直り、双手上段から左膝を床につけるや前敵の真向から斬下す。」であって腰は挙げず浮かすようにして廻り、床に膝を着くと同時に斬り下ろすのがポイントでしょう。
 回転の足捌きは、敵との間合いを変えない様に体軸がぶれない足裁きをすべきで、爪先、踵の足裁きを工夫すべきです。
 会長の解説では、「左廻りする時、両足爪先にて廻切れば振り向きたる時一足分だけ後ろに下がる」とされています。「右足は爪先にて廻り、左足は踵にて廻る」とされています。
 武術は、その領域に達した者だけにしか理解できない奥義とも云えるものがあって、それが「術」となるはずです。真似ただけの「かたちは」は誰でも出来る様になるでしょう。
 設対者を置いての稽古が当たり前の相対しての剣術ならば己の技量は設対者の技量によって「術」の達成度は少しは推し量れます。
 仮想敵相手の一人演武の居合は如何に「かたち」の練習を積み上げても、時に独りよがりに陥り、出来ていると錯覚してしまいます。その良し悪しは師匠の「かたち」からともすると「癖の真似」の良し悪しで判断してしまうものです。
 真似すら出来ない者は「体格も、力も、哲学も師とは違う」と己の個性を強調して誤魔化すばかりです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足4瀧返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10.夏原流和之事
3)小具足
四本目瀧返
瀧返
 如前胸を取を我も前能如く其手首を取り右の手をひぢ二懸う津む介耳横へ伏セる也
瀧返(たきかえし)
 前の如く 胸を取るを 我も前の如く其の手首を取り 右の手をひぢに懸け 俯けに横へ伏せる也
参考 「如前胸を取るを 我も前能如く其手首を取り」 は三本目先手 及び二本目剱當詰を
 参考にします。「相手左の手二亭我可胸を取る」で同じです。
 次の動作では、二本目剱當詰は「我可左の手二亭其手首を取」、三本目先手では「我可右の手二亭相手の手首を取」で相手の左手首を取る我が左右の手が変わります。
 此処では「如前」を優先すれば、三本目先手の「我可右の手二亭相手の手首を取」でしょう。
 
 

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2017年7月24日 (月)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(1)正座イ前切

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
配布時の解説
(1)正座
 
イ)前切
 
◎意義
 前敵の仕懸けんとする其の腕部又は顔面に抜付け(斬付)、直ちに双手上段より真向に斬下(打下し)して勝つ。
◎動作
 右足を踏出すや敵の腕部又は顔面に横一文字に斬付け、直ちに双手上段となり敵の真向から斬下す。
 残心し刀を右に開きて納刀しながら右足を左足に引き付け爪立ちたる踵に臀部をおろし納刀し終る。次に右足より前に一歩踏込みて立ち、左足に右足を引付けて元の位置に正座し次の業に移る。
*
 この配布時の意義はともかく、動作は如何様にも解釈できる大らかなものです。「右足を踏出すや敵の腕部又は顔面に横一文字に斬付けだけですから半身でも正対していてもいい筈です。英信流もどちらも行われていたもので下村派は半身、谷村派は正対などと云う人もいますがどちらも行われています。これでは配布されてもどうしたらよいか迷ってしまうでしょう。
真向斬り下ろしも、振り冠りや斬り下ろしの刀を止める位置なども特定できません。
 昭和34年1959年発行の無外流の中川申一宗家著「無外流居合兵道解説」に写真付きで刀法解説がみられます。
 横一線の抜き付けは半身の抜き付け、振り冠りは切先上りに45度、斬り下ろしは敵の水月辺りでしょう。血振りは切先下がりです。
全居連刀法として制定されても、業の動作の統一までは出来ていなかったと言えるでしょう。
全居連第七代会長の解説
剣理
 我が前に座せる敵が、我れに仕懸け来らんとする気配を我れ察知し、敵の機先を制して其の上腕部又は頸部或いは顔面に横一文字に、我が方の左より右へ斬り付け、直ちに双手上段より真向に斬り下ろして(打ち下ろして)勝つ意也。
制定時の業解説における「意義」が「剣理」に替えられています。言い回しも微妙です。
術理(動作運用)
 術理のポイントを押えてみます。
 無外流の中川申一先生の抜き付けが半身の抜き付けに見える写真でした。
 第7代会長の抜き付けは、踏み立てた右足は膝が直角で、下腿が床面に垂直、左足膝も床面に直角です。
 水平に斬り付けた時、上体は正面に正対、右拳は肩の高さ、正中線に対して右外45度位、刀刃は水平に右向き、進行方向と平行、切先やや下がるも可。
 振り冠りは約45度切先下がり、尾骶骨に接したり、浅く水平は不可。
 斬り下ろしは柄頭は臍前緩く一拳にあり、切先は床上七~八寸(20~25cm)。踏み立てた右足大腿内側にすれすれ。
 鍔は右膝の線・右膝の高さ。斬下した時の目付は1m50cm位の前方を見る。と細部にわたり特定されています。
 諸手上段となり斬下す際、横一線に斬り付けた足の位置を其の儘に斬り下ろすとする文言が抜けていますが、更に踏み込む等の動作を要求していませんから、抜き付けた足の位置を変えずに斬下す、となります。
 無双直伝英信流正統会の居合をされる人には自然に出来る動作ですが、他派や他流の方には自流と異なる動作の基準が特定されて慣れませんと動作が単純なだけに戸惑います。
 無双直伝英信流正座の部の一本目「前」と立膝の部「横雲」の混合で組み立てられていますが、あくまでも「刀法」として把握するものでしょう。
 制定居合は居合の統一を求める様に進化して行くのは全剣連も同様です。夢想神傳流のある会派は、理由はともかく自流の半身の抜付けを正対の抜付けに替えておられる様です。
 あまり制定居合に依る統一理論が先行しますと、流派の掟が失われてゆくのも竹刀剣道で多くの流派が消えてしまった事でも想像されます。
 すでに数えるほどしか残っていない居合の流派がさらに消えていくなど寂しい限りです。経済学のグレシャムの法則に云う「悪貨は良貨を駆逐する」の法則の様です。市場を席捲しているものが本物かどうか疑わしいかも知れません、反面本物が秘められて伝承が途絶え消えて行ったのでは日本の武道文化もどうなるでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足3先手

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
三本目先手
先手
 如前胸を取り我右の手二亭相手の手首を取相手短刀を抜んとする処をす具耳右の手を相手の胸耳押當足を込ミ亭阿をの希ニ倒す
読み
先手(さきて・せんて・せんしゅ?)
 前の如く胸を取る 我が右の手にて相手の手首を取る 相手短刀を抜かんとする処を 直ぐに右の手を相手の胸に押し当て 足を込みて仰のけに倒す
参考
 如く前胸を取る
 「相手左の手二亭我可胸を取る・・」
読み解く
 双方向かい合って爪先立ち左の膝を付き右の膝を浮かせて八文字に座す時、相手が腰を上げて我が胸を前の剱當詰のように左の手で取る。
 我右の手で相手の左手首を取る。相手は右手で短刀を抜こうと柄に手を掛ける処、我はすぐに右の手を相手の胸に押し当て、右足を踏み込んで相手を仰のけに倒す。

 此の業も、相手の仕掛けてくる動作にすぐ応じて機を外さない事がポイントでしょう。相手が短刀を抜こうと手を柄にかけるまでに踏み込むことが大切で、抜いてからでは当然のことながら危険です、「相手短刀を抜んとする処」です。
 相手は左手で我が胸を取り右手で短刀を抜こうとしています。
我は相手の左手首を右手で制し、尚且つ短刀を抜こうとする際再び右手で相手の胸に押し当てて居ます。
 左手の役が何も語られていません。左手は相手の小太刀の柄又は柄を取った相手の右手を制し相手の柄を抜かさない様に押し付けるのも研究課題です。
 

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2017年7月23日 (日)

刀法の解釈の4解説の比較

刀法の解釈
 
4、解説比較
 
Ⅰ)昭和52年1979年「全日本居合道刀法」配布時の解説
(1)礼式
◎平常坐したる時は、刀の下緒は輪にたばねて、刃を内側に向け鐺を後方に、鍔が膝の線にある程度にし右側に置く。
◎始礼(神座並に刀に対する礼)
1、刀を下緒と共に右手に、拇指を鍔に懸けて栗形の部を握り、右腰に鞘を約45度位に刃を上にして堤げる。
2、演武の場所に進みて正坐し、刀を膝の前約1尺程の処に鐺を右に柄を左に刀刃を我が方に向けて下緒を刀の向ふ側に添へて静かに置く。
3、次に前に両手をつき両食指と拇指を接して三角形を作り深く頭を下げる。
4、礼を終りて右食指を鍔にかけて刀を把り、体の中央膝の前方に立て、左手を鞘の下方三分の一程度の処にかけて鐺を持ち上げ腰に帯刀す。
 此時下緒は後に鞘にかけ、柄頭は体の中央にある程にさす。
◎終礼は前記の始礼を略逆行する。
◎正座の姿勢は、膝は肩の巾、足は深く重ねず拇指を重ぬる程度とする。
(2)血振
 血振いは斬下した(又は正眼に直った)右拳の位置から右側約1尺切先下りに刃を右にし(刃は少し下向けに)正面の線に並行に開く。
Ⅱ)平成15年2003年第七代会長の全日本居合道刀法解説
 
 「神座の立礼をせずに座礼を以て神座の礼とする」。が原則です。
 刀法から始める演武は神座の立礼をしなくともよい筈ですが、現在では、第7代会長の解説では左手に刀を提げて演武場所に進み、刀を右手に持ち替え神座への立礼を行います。
 刀を左手に再び持ち替え、会長に礼をし、その腰に提げたまま演武の方向に向き直って座し、刀礼をし帯刀しています。
 「礼を終りて右食指を鍔にかけて刀を把り、体の中央膝の前方に立て、左手を鞘の下方三分の一程度の処にかけて鐺を持ち上げ腰に帯刀す」は、第7代会長の解説では鞘の三分の一では無く刀の三分の一と変わっています。
 「下緒は後に鞘にかけ、柄頭は体の中央にある程にさす」については下緒は鞘の上から懸けて後ろに垂らす様に読み取れますが、現行では下緒が長い事も有り前に廻して左側で袴の紐に掛ける様にしています。
 ある地区の記念に配られた下げ緒が180cm程で短く、丈高く業によっては下緒が邪魔になります、後に垂らしただけでいますと、必ず前に廻し袴の帯に懸ける様に言う物知り顔のもの知らずが声を掛けています。だったらもっと長い下緒を配布すべきだったでしょう。
 神座への礼を全居連の演武で行うのは、刀法以外の自流の業も演じるためか、配布時の解説とは変わっているのか、刀法のみの場合にのみ適用されるものなのか明解な指導を受けた覚えはありません。
配布「◎平常坐したる時は、刀の下緒は輪にたばねて、刃を内側に向け鐺を後方に、鍔が膝の線にある程度にし右側に置く。」
 会長解説も同様であり、補足として「鐺を後方にして我が正中線と平行に置き、且つ座したる右大腿より約六~七寸(約20cm位)外側に置く。刀の下緒は三等分して輪に束ね、我が右側に置きたる刀の棟側に添えておく。」
 
 ある地区の前地区会長の場合は袴を見事に左右に蝶の羽の様に広げて座り、広がった袴の上に刀が置かれています。
 武術の心構えを欠いており、袴を踏まれたり、刀を手にする前に立ち上がれば刀は転がってしまいます。武術は見栄えを競うものではないでしょう。小さな心構えが伝わって来なければ、立派な解説書を出されていますがこの写真一枚ですべての解説が偽物に見えてしまいます。
配布「◎始礼(神座並に刀に対する礼)」
「1、刀を下緒と共に右手に、拇指を鍔に懸けて栗形の部を握り、右腰に鞘を約45度位に刃を上にして堤げる。」
 
「2、演武の場所に進みて正坐し、刀を膝の前約1尺程の処に鐺を右に柄を左に刀刃を我が方に向けて下緒を刀の向ふ側に添へて静かに置く。」
 配布の時の堤刀は右手に提げている様に制定され、そのまま演武の場所に座して刀礼の体勢を整えたのでした。
 第7代会長の解説では、刀を下緒と共に左腰に左手にて提げ、演武の場所に至り、その場所で右手で袴の裾を払う様に捌き、左膝より床に着き、次いで右膝を着き正座する。
 左手は刀を握り、左腰に把り、右手は大腿部の上に置く。
*
 配布時「血振いは斬下した(又は正眼に直った)右拳の位置から右側約1尺切先下りに刃を右にし(刃は少し下向けに)正面の線に並行に開く。」ですが、第7代会長は刀及び刀刃は床に水平を最も良いとされています。
*
 第七代会長の所作の幾つかは、それまで配布時の所作をそれとしてきた先生方には戸惑いもあったと思われます。
 どちらかというと無双直伝英信流正統会の所作に近づいてしまったと言えるでしょう。
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足3先手

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
三本目先手
先手
 如前胸を取り我右の手二亭相手の手首を取相手短刀を抜んとする処をす具耳右の手を相手の胸耳押當足を込ミ亭阿をの希ニ倒す
読み
先手(さきて・せんて)
 前の如く胸を取る 我が右の手にて相手の手首を取る 相手短刀を抜かんとする処を 直ぐに右の手を相手の胸に押し当て 足を込みて仰のけに倒す
参考
 如前胸を取り・・
 「相手左の手二亭我可胸を取る・・」

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2017年7月22日 (土)

刀法の解釈の3書き出し比較

刀法の解釈
 
3、書き出し比較
Ⅰ)昭和31年1956年制定時の書き出し(河野百錬著 居合道真諦)
1、形の名称  全日本居合道刀法
2、礼 法    神前の立礼をせず坐礼を以て神座への礼とする
3、発 聲    各業の最後の一刀を斬下す時エイと発聲する
4、業の名称  正座二本立業三本の五本を以て編成する
    正座=イ前切(英信流) ロ前後切(無外流)
    立業=イ切上げ(神道無念流) ロ四方切(水鴎流) ハ切先返し(伯耆流) 
5、血振い    各業の終りに刀を右に開きて血振いをする
Ⅱ)昭和52年配布時(昭和52年5月1日配布)全日本居合道連盟 配布)
1、形の名称  全日本居合道刀法
2、礼 法    神前の立礼をせず坐礼を以て神座への礼とする
3、発 声    各業の最後の一刀を斬下す時エイと発声する
4、業の名称  正座二本立業三本の五本を以て編成する
    正座=イ前切(英信流) ロ前後切(無外流)
    立業=イ切上げ(神道無念流) ロ四方切(水鴎流) ハ切先返し(伯耆流) 
5、血振い    各業の終りに刀を右に開きて血振いをする
 
3、発聲を発声と改められている。それ以外同文。
Ⅲ)平成15年発行「全日本居合道刀法解説(第7代会長池田聖昂先生著)
 
1、形の名称  全日本居合道刀法
2、礼 法   :神前の立礼をせず刀の座礼を以て神前の礼とする。
3、発 声   :各業の最後の一刀を斬下す時「エイ」と発声する。
4、業の名称 :(正座二本立業三本の計五本を以て編成する)
    一本目 前切(正座)(英信流より) 
    二本目 前後切(正座)(無外流より)
    三本目 切上げ(立業)(神道無念流より) 
    四本目 四方切(立業)(水鴎流より) 
    五本目 切先返し(立業)(伯耆流より) 
5、血振い   :各業の終わりに刀を右に披いて血振いをする。
 現代漢字に改め、部分的に括弧等によりわかりやすく構成されています。基本とする内容に特に替えられたと思えるところは見当たりません。
 
 実施するに当たっての解説書ですから、現代風に漢字を改めるのも当然でしょう。業について正座と立業に分けて書かれてあったものを、業名の後に正座か立業かを表現され、業の順番も明確に特定されています。
 制定時、「正座=イ前切(英信流)」の表示であったものを「一本目(正座)(英信流より)」の表現の違いは、業を演じる場合の順番を特定し、その業は特定の流を採用した表現から特定の流の業から「いじって」制定した様に読ませています。
 例えば、「前切」は正座でこれは無双直伝英信流の正座の部であり大森流です。英信流であれば立膝です。血振りは英信流を採用しています。
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足2剱當詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
二本目剱當詰
剱當詰
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二て突手を打落引伏セ堅
読み
剱當詰(つるぎあてつめ・けんとうつめ・けんあてつめ・?)
 相手左の手にて我が胸を取る 我が左の手にて其の手首を取る 相手小太刀を抜いて下を突くを 左の膝を少し立て帰りて外し 右の手にて突き手を打ち落し引き伏せ堅む
読み解く

 この「剱當詰」はどう読むのでしょう。「けんとうつめ」「つるぎあてつめ」わかりません。
双方八文字に爪先立ちして坐す処、相手より左の手を伸ばして、我が胸を取る、我は即座に左手で相手の左手首を取る、相手小太刀を抜いて「下を突く」は左膝に突き込んでくるので左膝を「立帰りてはづし」は、左膝を少し左後ろに引いてこれを外すや、右手で相手の突き手を相手の左手を越して打ち落とし、相手の左手の肘に右手を掛けて左脇に引き伏せ固める。

 「立帰りてはづし」の部分を突き込んでくるのでこれを、左膝を後ろに引いて外してみましたが、立て帰るようには見えません。左膝は元々床に着いている、胸を取られた際右足を踏み込んでいるか、・・どのようにするでしょう。
 小太刀を抜いて下に突き込んで来るのを、相手の左手首を握ったまま左手を上に上げ右手で相手の手首を打ち落し、左手を引き下ろして右手を肘に付けて引き伏せ堅める。

古伝は何も示していません。

 この業は、相手の動作に即座に応じるのであって、我から先をとっているようには見えません。組み合って互いに研究するよい例題でしょう。

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2017年7月21日 (金)

刀法の解釈の2制定

刀法の解釈
 
2.制定
 
 全日本居合道連盟の刀法の制定について河野百錬先生の昭和37年1962年発行の「居合道真諦」から当時の制定委員及び承認された方達を見てみましょう。
 当時のそうそうたるメンバーによって編成され承認されたもので、其の儘掲載させていただきます。
全日本居合道刀法  百錬述
 全日本居合道連盟は、昭和31年9月18日総会の決議に基き、昭和31年10月7日大阪市四天王寺に於て、各流の師家に依って居合道形制定委員会を開催し、各流より初心者の学び易き最も基本的且つ簡易な業を選び、茲に多年の懸案たりし全日本共通の居合道形を制定し斯道の普及発展に寄与する事となった。
1、形制定月日  昭和31年10月7日制定
2、制定委員
  英信流(長谷川流大森流) 
   範士 河野百錬
   範士 寺井知高
   範士 福島小一
   範士 千葉敏雄
   教士 斎木賢司
  伯耆流
   範士 大野熊雄
   範士 吉沢一喜
   範士 小石昌範
  水鴎流
   宗家 勝瀬光安
  無外流
   宗家 中川申一
 
◉ 編成された形の承認を得たる欠席委員左記
  神傳流
   範士 中山博道
  柳生流
   宗家 柳生厳長
  一刀流
   宗家 笹森順造
  力信流
   範士 大長九郎
  英信流
   宗家 福井春政
   範士 政岡一実
   範士 松田栄馬
   教士 大塚 維
 この制定委員と承認者の面々は戦後の居合道に大きく貢献された先生方で、全日本居合道連盟の輝かしい時代でもあったと思われます。
 全日本剣道連盟が創設され其処に居合道部が新設されたことによって、剣道をするなら全剣連の居合道部へ入れ、と言う様な強引さで全日本居合道連盟は多くの流派と人材を全日本剣道連盟に割かざるを得なかったと推察されています。
 
 竹刀剣道をスポーツに陥らない様に真剣を持っての居合が併設されることに期待感も大きかったと思いますが、竹刀剣道がルールによる打突の判定であれば、どの様にもがいても勝ち負け優先のスポーツに深入りせざるを得ないでしょう。
 真剣を持っただけで、スポーツらしい当てっこ剣道を、真剣による武道の術理と精神性を残して日本のお家芸として存続させる必要はあるのでしょうか。
 如何なるスポーツであっても、究極の処は、心身の全てを駆使し、弛まぬ努力によって勝ち負けを極めるとこでは、精神と鍛え上げた体を駆使する居合とも通ずるものです。
極めようとする極め人は、どの種目においても極める心は同じと思います。
 
 居合の各流派の宗家筋が全剣連の段位に拘る理由はないと思います。同時に全居連に転向して全居連の段位に拘る理由も無いと思います。
 何が何でも、連盟基準に到達し連盟段位が宗家の格をあらわし、其の価値が流派の免許皆伝以上のものであるとするならば、審査基準や審査員の他流にも秀でた知識、実技の資質が要求されてしかるべきでしょう。
 それにしても、全居連の刀法の制定委員と承認者には改めて眼を見張ります。次回以降は実技について、制定時の解説を基に、取り入れた流の基の業を確認し、現代の全居連会長によって指導される業技法の解説を対比し、ある地区の指導者の業技法との整合性を確認して見たいと思います。
 何時如何なる時代においても、同一人が年を経て常に寸分狂わぬ動作など出来るわけも無く、年と共に進化する事は当然でしょう。然しその元になる事の解釈が変化すれば習う者は何をベースにすべきでしょう。
 全居連会長が現在推奨する業技法以外に有り得ない、とするのが全日本居合道刀法の根本原則です。
 指導された通りに出来ないのは、未熟以外の何物でもない事に気が付くべき事です。刀法は各流派から取り入れたものであって其の儘でもなくその心も引き継いではいないと認識し指導されたままの形にあくまでも拘るべきものです。
 全居連に所属し、当代会長の指導を請け其の通りに演じていますと、地区の指導と違うと言う叱責が飛びます。
 流派の業技法に於いては個人的見解も有り得ましょうが、刀法には制定時の解説のままに全居連の最新号の会誌の「刀法の要点」に従い実施すべきです。
 そうでなければ、流派によりばらばらとなって、他流派も認め得る「全日本居合道刀法」にはなりえません。
 不明な処は毎年、当代会長によって行われる「刀法講習会」に参加し直に学び修正をしてゆくものであると思います。
・ 
 此の事は、制定時の河野百錬先生、福井聖山先生、池田聖昂先生の刀法の演武を同時に拝見しても、業の解釈に違いはなく、個人差による動作の範囲での違い以外に取り立てるものでは無いと思います。
 習い覚えた前会長の動作の癖が抜けない様な事では、武術を極めるなどおこがましい事です。
 まして刀法の解説の独創は許されるべきでは無いと思います。
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足2剱當詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
二本目剱當詰
剱當詰
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二て突手を打落引伏セ堅
読み
剱當詰(けんあてつめ・けんとうつめ・?)
 相手左の手にて我が胸を取る 我が左の手にて其の手首を取る 相手小太刀を抜いて下を突くを 左の膝を少し立て帰りて外し 右の手にて突き手を打ち落し引き伏せ堅む

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2017年7月20日 (木)

刀法の解釈の1序

刀法の解釈
 
1.序
 指導者が変われば業技法の些細な処は変わっても何ら不思議はないし、幾つかは手直しされて進化していくのも何ら不思議でも無いと思います。
 習う者は指導者の教えは現在の指導者に随うのも当然のことで何らおかしい事でもありません。
 
 今回の課題は全日本居合道連盟が昭和31年1956年10月7日に制定、昭和52年1979年5月1日配布の「全日本居合道刀法」の解釈が年を経てある地区では変化している事を分析して見たいと思います。
 そこの多くの高段者は第21代福井聖山先生から講習を受けられています。刀法は意義及び動作は制定時昭和31年当時と変わらず、この改変があるとすれば公に示されたものは全日本居合道連盟第7代会長池田隆聖昂先生による「全日本居合道刀法解説」に見られるもの、あるいは福井聖山先生のビデオによる動作によるものと思います。
 ビデオは、たとえ福井先生の映像であっても、思い通りに演じられないのがどんな達人でもあり得ることで、又ビデオを見て学ぶ者の力量が達していなければ「癖」ばかりを頼りにしてしまうものです。
 次回より数回に分けて、全日本居合道刀法についてその成立過程から五本の業を制定時の解説を基に、現会長の解説書をベースにおいて、ある地区の指導者との違いを整理しておきたいと思います。
 
 ちなみに全日本剣道連盟の制定居合以前にこの全日本居合道刀法は当時のそうそうたる先生方によって編成され当時の日本を代表するような先生方の承認がなされています。
 以後、この解説は、第7代会長によって解説書を出され現代風の文言に改められ、懇切丁寧な解説がされています。
 制定当時の内容は昭和52年配布の際も制定時の儘であり、文言や整理の仕方の改変が微妙に編成時とずれる可能性もあろうかと思いますが、その文言や整理がどのように承認をされたのか手元資料からはわかりません。
 不勉強な部分は、識者の叱責とご指導を賜りたいと伏してお願い申しあげます。
 
参考資料は以下のものを使用させていただきます。
昭和9年1934年発行
       太田龍峰著 「居合読本」
昭和12年1937年年発行
       白石元一著 「大森流長谷川流伯耆流居合術手引」
昭和13年1838年発行
       山内豊健・谷田左一著 「図解居合詳説」
昭和34年1959年発行
       中川申一著 「無外流居合兵法解説」
昭和37年1962年発行 
       河野百錬著 「居合道真諦」
昭和42年1967年再版
       河野百錬著 「大日本居合道図譜」
昭和46年1971年再刊
       川久保瀧次著 「無双直伝英信流居合道の手引」
昭和49年1974年発行
       政岡壱實著 「無双直伝英信流兵法 地之巻」
昭和52年1979年配布 
       全日本居合道連盟「全日本居合道刀法」
昭和55年1982年発行
       平井阿字斎著 「居合道秘伝」
昭和56年1983年発行
       紙本栄一著 「詳解 全日本剣道連盟居合」
平成15年2003年発行 
       第7代会長池田聖昂著 「全日本居合道刀法解説」
平成15年2003年再版
       近代剣道書選集 より江島敬隆著 「伯耆流居合術教本」
平成16年2004年発行
       南野輝久著 「無双直伝英信流居合道覚書」
平成18年2006年発行
       甲斐国征著 「真伝無外流居合兵道
       甲斐国征泰心 「無外流居合兵道」DVD
 
平成19年2007年発行
       堂本昭彦編著 「中山博道剣道口述集」
 
曽田本その2 神道無念流居合
 
第十五代宗家勝瀬善光DVD 「瞬機一刀の理」
 
全日本居合道連盟 会誌 「刀法の要点」
 
第13回刀法講習会DVD
 
第14回刀法講習会DVD
 
三宗家による業の比較「河野百錬先生・福井聖山先生・池田聖昂先生」DVD
 
安永 毅 「伯耆流居合」ビデオ
 
平成10年1998年発行
       江坂静厳編 「居合道新聞抜粋録」
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足1呪巻

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
一本目呪巻
呪巻
 相手左の手二亭胸を取る右之手二亭短刀を抜胸二押當テたる時我左右之手二亭相手の両のひぢを打もぎす具耳相手の右之手首を取て一方の手を比ぢ耳懸てう津む希耳引伏セ堅める
読み
呪巻(のろいまき)
 相手左の手にて胸を取る 右の手にて短刀を抜き胸に当てたる時 我左右の手にて相手の両の肘を打ち捥ぎ 直ぐに相手の右の手首を取って一方の手を肘に懸けて 俯けに引き伏せ堅める
読み解く
 双方爪先立って左膝を床に付け臀部を踵に乗せ、右膝を立て両膝を開いた八文字に坐し相対する時、相手が腰を上げて右足を踏み込み、左の手で我が胸を取り、右手で短刀を抜いて我が胸に押し当てて来る。
 我はその時、腰を上げるや両手で相手の左右の肘を同時に打ち付けもぎ離すや、左手で相手の右手首を取り、右手を相手の右肘に懸け、左脇に引き伏せ固める。
 
 相手を打ち据えるのは我が右手で相手の左肘、左手で相手の短刀を持つ右手が自然でしょう。相手の右手を我が左右のどちらの手でどの様に取るのか、引き伏せるのは我が左側か右側かの指定も有りません。
 我が右手で相手の右手首を取り左手を相手の右手の肘に懸け右脇に俯けに引き伏せる事も出来るでしょう。
 呪巻の業名の名付けられたイメージが浮かばないのですが・・・。

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2017年7月19日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足1呪巻

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
一本目呪巻
呪巻
 相手左の手二亭胸を取る右之手二亭短刀を抜胸二押當テたる時我左右之手二亭相手の両のひぢを打もぎす具耳相手の右之手首を取て一方の手を比ぢ耳懸てう津む希耳引伏セ堅める
呪巻(のろいまき)
 相手左の手にて胸を取る 右の手にて短刀を抜き胸に当てたる時 我左右の手にて相手の両の肘を打ち捥ぎ 直ぐに相手の右の手首を取って一方の手を肘に懸けて 俯けに引き伏せ堅める

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2017年7月18日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足序

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
小具足 
両方足を爪立左の膝ヲ付キ右之膝ヲ浮ケテ折ル八文字二坐ス
読み
小具足(こぐそく)
 両方足を爪立 左の膝を付き 右の膝を浮けて折る 八文字に坐す
読み解く

 小具足の座仕方は、現在の立膝(居合膝)の座仕方のようですが、両足の爪先は立てていますので、いつでも変に応じられる体構えでしょう。
 「両方足を爪立 左足の膝を付き右の膝を受けて(浮かして)折る 八文字に座す」八文字は両膝の開いた姿を指しているのでしょう。
 現在の無双直伝英信流の立膝之部の坐し方は、左足は伸ばして、臀部を足の上に乗せ、右足は右側面を床に着け膝は立てて、両膝を開いて坐しています。
 爪先立った八文字の坐し方が、何時でも変に応じる体構えであるとすれば、現代風は休息の態勢でしょう、変に対しては爪先立てばよいものです。

 小具足とは簡単に
  1. 甲冑の鎧・兜・袖鎧以外のものを指す。籠手や脛当。
  2. 柔術・和のひとつ。
  3. 竹内流は、天文元年(1532年)、美作国一ノ瀬城主竹内中務大輔源久盛によって創始された。居合の始祖と云われる林崎甚助重信が神夢想林崎流を起こしたのが永禄二年1559年(居合振武会 林崎明神と林崎甚助重信より)です。
  4. 小具足術には最古の柔術流派と言われる、竹内流がある。開祖竹内久盛は「この術を身につければ、短刀を帯びたのみで小具足姿と同じように身を護れる」とした。

 神傳流秘書の書かれた時代が何時であったか明確ではないのですが、第九代林六太夫守政(寛文年1662年~享保17年1732年)によって土佐にもたらされ、第十代林安太夫政詡(安永5年1776年没)が覚書していると思われます。
 夏原流の発生は皆目見当が付きませんが、竹内流などから派生したのか、あるいは参考に組み立てられたのではないかと推察しています。
 それを第七代長谷川英信が林崎甚助重信公の居合に組み入れ第八代荒井勢哲が林六太夫に伝授したのであろうと思います。

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2017年7月17日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足序

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
小具足 
 両方足を爪立左の膝ヲ付キ右之膝ヲ浮ケテ折ル八文字二坐ス
読み
小具足(こぐそく)
 両方足を爪立 左の膝を付き 右の膝を浮けて折る 八文字に坐す
 
 

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2017年7月16日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合11水車

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
十一本目水車
水車
 行□り二(行違いに 曽田メモ)相手の胸を右の手二亭逆手二取左の手二亭相手の前の帯を取り組入扨相手突掛るを支ニ後能膝を突其拍子二我可右の脇へ那希る
 以上十一
読み
水車(すいしゃ)
 行違いに(?)相手の胸を右の手にて逆手に取り 左の手にて相手の前の帯を取り組入る 扨 相手突き掛るを機に 後の膝を突き其の拍子に我が右の脇へ投げる
 以上十一
 この業は正面から行き違う様ですから、原文の「行□り二」(行違いに 曽田メモ)としても良さそうです。
 「突掛るを支ニ」については河野百錬先生は「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「突掛るを幸に」とされていますがここは「突き掛るを機に」が正しいと思います。
読み解く
 水車は、双方歩み寄って、行き違いに我から相手の胸を右手で逆手に取り、左手で相手の前帯を取って、相手が突っかかって来る拍子に後足を床に着いて身を沈め我が右脇に投げる。

 稽古では「逆手に取り」「前の帯を取り」のように取るは、つかむ、握る、抑える、触れるいろいろに解釈し「相手突掛るを機に後の膝を突其拍子に」を最も有効に利かせるものを手に入れるべきものでしょう。

 業名が水車ですから、この業は右脇に引き倒すのではなく、一回転させるように仰向けに投げ倒すのかもしれません。機を捉える拍子がポイントでしょう。

 前回の十本目追捕は後ろから行き過ぎる際に懸ける業、十一本目水車は前から行き違う際の業と考える方が自然でしょう。但し、この「立合」は「立合 皆相掛」と書き出しに有ります。
 そうであれば、十本目追捕は行き違って我は振り返り「相手の背中を我可両手二亭一寸突・・」でなければならないでしょう。然し其の前の九本目杉倒は「後より行亭相手の両の肩を我か両手二亭取り・・」です。さて・・・。「皆相掛り」では無いような・・古伝はおおらかに解釈しましょう。

以上で立合十一本は終了です。

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2017年7月15日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合11水車

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
十一本目水車
水車
 行□り二(行違いに 曽田メモ)相手の胸を右の手二亭逆手二取左の手二亭相手の前の帯を取り組入扨相手突掛るを支ニ後能膝を突其拍子二我可右の脇へ那希る
以上十一
読み
水車(すいしゃ)
 行違いに(?)相手の胸を右の手にて逆手に取り 左の手にて相手の前の帯を取り組入る 扨 相手突き掛るを機に 後の膝を突き其の拍子に我が右の脇へ投げる
 以上十一
 この業は正面から行き違う様ですから、原文の「行□り二」(行違いに 曽田メモ)としても良さそうです。
 「突掛るを支ニ」については河野百錬先生は「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「突掛るを幸に」とされていますがここは「突き掛るを機に」が正しいと思います。
 
 
 

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2017年7月14日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合10追捕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
十本目追捕
追捕
 後より行□り二相手の背中を我可両手二亭一寸突其儘下り足をを具りう川む介耳た於春
読み
追捕(ついぶ・ついほ・おいとり)
 後ろより行き違いに 相手の背中を我が両手にて一寸突 其の侭下り 足を送り 俯けに倒す
 「後より行□り二」は河野百錬先生の「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「後より行違いに」とされています。
 曽田先生の手書きでは、次の十一本目の水車で同じ「行□り二」を「行違いに」と訂正メモをされています。前後の文字から「行き摺(摩)りに」と読むことも出来そうです。
読み解く
 この業は「追捕」ですから追いかけて行って捕える、という意味でしょう。
 相手の後ろから近づき「行□りに」は追い越す間際にでしょう、相手の背中を我が両手で一寸突いて、相手にはっとさせておいて、直ぐに身を沈めて相手の両足を掬い取って俯けに倒す。

 「行□り」は後ろから近づいて「相手の背中を我が両手にて一寸突」ですから「行違い」も「擦違い」も「追い越し」てもいないでしょう。□の草書が読めません。
河野先生は「行違い」と読まれていますが、「乱」の草体に近いですから「違」には当たりません。それに、後ろから歩み寄って背中を両手で一寸突く雰囲気は出せませんので、河野先生が無理やり読まれた「違」では手附が成立しません。

「を具り」は「送り」です。
河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「そぐり」と書いていますが曽田先生の直筆では、「を」を「そ」には読めませんのでここでは「送り」としました。
「おぐり」は、何処かの方言か既に死語となった意味不明な単語ですが状況から、掬い取る様にしてみました。

 古伝を原書のまま読んで少しは読みが解るかも知れませんが、当て字・癖字・誤字も有る筈です。
 荒井勢哲の口伝を、林六太夫が受け、林 安大夫が神傳流秘書として書き残し、それを山川幸雅が書き写し・・曽田虎彦が書き写しですから誤った文字も見間違い、聞き間違いもあるでしょう。
 業技法は、指導される方の体格、癖、力量や哲学にも依って様々に変わってしまいます。  文字は約束された形と意味を持つのですが楷書はまずまずですが草書ではかなり形に癖が混入し判読が厄介です。

 この様な相手の背中を一寸突いて気を背中に寄せさせて、ハッとしたところ下から掬う様な業は、稽古をして見ても申し合わせでは滑稽な感じになってしまいそうです。
 形稽古を、武術だと拘り過ぎてごちごちに演じた動画を見ますが力を抜き、緩やかに稽古するものでしょう。
 古伝は手附を原文で読んで、自らの力で読み解き、動作に転換する事がポイントでしょう。
居合と和は別物と考えずに、居合の稽古で身に付けた仮想敵を想定しての攻防の動作でかなり出来るはずです。

  

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2017年7月13日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合10追捕

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
十本目追捕
追捕
 後より行□り二相手の背中を我可両手二亭一寸突其儘下り足をを具りう川む介耳た於春
読み
追捕(ついぶ・ついほ・おいとり)
 後ろより行き違いに 相手の背中を我が両手にて一寸突 其の侭下り 足を送り 俯けに倒す
 「後より行□り二」は河野百錬先生の「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「後より行違いに」とされています。
 曽田先生の手書きでは、次の十一本目の水車で同じ「行□り二」を「行違いに」と訂正メモをされています。
  

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2017年7月12日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合9杉倒

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
九本目杉倒
杉倒
 後より行亭相手の両の肩を我が両の手二亭取り腰を足尓て踏ミ阿をの希ニかへ須
読み
杉倒(すぎたおし)
 後ろより行きて 相手の両の肩を我が両のてにて取り 腰を足にて踏み 仰のけに返す
読み解く
 この業名は杉倒です。切り倒される杉の木を想像してしまいますが、杉にこの業をかけたら押しつぶされてしまいます。

 後ろから相手の立つ所へスカスカと近寄り、相手の両肩に両手を掛けるや、腰に足を掛けて相手を仰のけに引き倒す。

 立合は「皆相掛」ということですが、こゝでは我が方から一方的にしかも後ろから仕掛けて行きます。何度も言いますが、古伝は決して相手の害意を察して機先を制するなどと言うものでは無さそうです。
 勝機は逃さないのが兵法であって、戦う以前に戦わなければならない事が前提なのです。

 柳生新陰流の但馬守の「兵法家伝書」の冒頭は、古にいへる事あり「兵は不祥の器なり。天道之を悪む。止むことを獲ずして之を用ゐる、是れ天道也」と、此のこと如何にと・・。

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2017年7月11日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合9杉倒

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
九本目杉倒
杉倒
 後より行亭相手の両の肩を我が両の手二亭取り腰を足尓て踏ミ阿をの希ニかへ須
読み
杉倒(すぎたおし)
 後ろより行きて 相手の両の肩を我が両のてにて取り 腰を足にて踏み 仰のけに返す
 

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2017年7月10日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合8打込

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
八本目打込
打込
 気乗り二相手打込を右之手二亭請留う津む希二引た於し詰る
読み
打込(うちこみ)
 気乗りに相手打込むを 右の手にて請け留め 俯けに引き倒し詰める
読み解く
 気が乗った時に、相手が小太刀を抜いて打ち込んでくるのを、相手の右手首を右手で請けるや相手に付け入って左手で相手の肘のかがみを巻き込んで、右手で相手の手首を固め右廻りにうつむけに引き倒し詰める。
 気分の乗った処で相手袈裟に打ち込んで来る。或は、気分の乗った処で相手右拳で我が顔面に打込んで来る。

 河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書ではこの夏原流和之事立合「打込」の書き出しのを「気乗りに相手打込むを右の手にて請留伏向に引倒し詰る也」とされています。大江先生に続く大家の読みですからそうとも取れます。「気乗り」は「気素」とも読めるのですが「気乗りに」でしょう、草書体に泣かされます。
 河野先生の古伝の元は曽田先生による神傳流秘書によります。「うつむけ」を伏向と書き改めていますが意味は通じますが、漢字ならば俯けでしょう。

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2017年7月 9日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合8打込

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
八本目打込
打込
 気素二相手打込を右之手二亭請留う津む希二引た於し詰る
読み
打込(うちこみ)
 袈裟に相手打込むを 右の手にて請け留め 俯けに引き倒し詰める
 

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2017年7月 8日 (土)

第六回古伝研究の集いを終えて

第六回古伝研究の集いを終えて
 
 6月25日日曜日に終えた、第六回古伝研究の集いも何時もなら当日夜から「振り返り」を書き出すのですが、その日は我が道場の通常稽古日ともあって、かけもち稽古でした。
 翌日からチョット旅に出る約束があって戻ってきたのが7月3日月曜日です。ようやく筆を執りました。
 
 古伝研究会の後に続く我が道場では、一通りそろい踏みの刀法・正座・抜刀法を終えると、ぞろぞろ木刀を持ちだし道場の隅に集まって組太刀を始めだしました。
 「あれ!」残っているのは私と、膝の悪いもう一人、そしてご高齢の道場長。
 私はのけ者にされたようです、彼らは道場の隅に遠慮がちです。道場の中央は大きく空いたまゝでした。
 
 やれやれ、もうじき来る夏季講習会の組太刀稽古に合わせ、付け焼刃の手習いを道場長の許しを得て英信流居合道形の地区独特動作の稽古を個人的にするそうです。
 その割にはほとんどが何時も持ってきていない木刀持参です。事前に話し合っていたとしか思えません「だったら、道場の正式稽古として中央で大きく広がってやれよ」、と思うのですが何故かこせこせとして締りの無いものを感じます。
 地区の組太刀は元々、第21代福井聖山先生のビデオから地区の誰かが工夫された独特の居合道形です。
 鍔付き木刀を鞘無しで帯に差します。
 これはどこか変ですが、誰も其の謂れを知らない不思議です。
 鍔はともかく鞘無しは誰がそうしたのか、もともと土佐の組太刀は仕組みと云い「鞘付き木刀」と指定されています。
 刃引きの真剣も使われていた様ですが、日本刀は数回打ち合えば復元に耐えない程の刃こぼれになります。
 
 「形はたとえ刃引きであっても真剣で打ちあえば刃こぼれする、復元は不能となる、霊器日本刀を粗雑にする土佐の居合の形はおかしい、剣道型の方がまだまし」という様な事を仰って戸山流の祖中村泰三郎先生は刀の打ち合わない形を考案されています。
 確かに、土佐の形は、刀で受け太刀となる「かたち」が多すぎます。受け太刀は待ちの姿勢となり居付きの原因ともなります。
 これはかなり程度の低い形と考えられ、初心者向けのものと云えるでしょう。稽古を積んでさらにこの形を昇華させざるを得ません。
 申し合わせの形を良しとしているようでは何年やってもあまり効果は期待できそうにありません。
 
 真剣で演武会などで演じるのは、形を見世物にした武的演舞ですからそこに見るべきものなど少しもありません。「かっこよく踊ってろ」でしょう。
 
 鍔は、地区では絶対条件で打ち合った時、木刀が流れて小手を傷つけるというのです。古流剣術ではかえって、真向打ち合いでは相手の鍔による小手への損傷を考慮し鍔無し木刀で稽古します。間と間合をわきまえれば、地区風の心配など少しもありません。
 
 形は第17代大江正路先生が古来の形を中学生向けに改変して独創されたものです。従って「無双直伝英信流居合道形」というのが正式名称で七本の業によって成り立ちます。
 第20代河野百錬先生が大日本居合道図譜でこの大江先生の「無双直伝英信流居合道形(太刀打の位)」と括弧書きしてしまいました、その後のこの組太刀を無双直伝英信流の河野先生に師事されたところでは「太刀打之位」と呼んでいます。この地区風も是を「太刀打の位」と言い切っています。
 次いでですから無双直伝英信流正統会の組太刀は第17代大江正路の古伝太刀打之位を中学生向きに改変したもので、その解説書は以下の通りです。
 
 ・大正7年1918年発行堀田捨次郎著大江正路監修「剣道手ほどき(付録)」
 ・昭和13年1938年発行河野百錬著「無双直伝英信流居合道」
 ・昭和17年1942年発行河野百錬著「大日本居合道図譜」
 ・昭和40年1965年発行野村譲吉凱風著「無双直伝英信流居合道の参考」
 ・昭和41年1966年発行川久保瀧次著「無双直伝英信流居合道の手引」
 ・昭和44年1969年辻川新十郎記「宇野又二先生伝無双直伝英信流居合」
 ・昭和55年1980年発行大田次吉著「土佐英信流」
 ・昭和55年1980年発行「平井阿字斎著「居合道秘伝」
 ・平成2年1990年第九回無双直伝英信流居合道全国大会講習会資料「太刀打之位」
 ・平成3年1991年福井虎雄聖山著「無双直伝英信流之形」
 ・平成14年2002年山越正樹編集「京都山内派無双直伝英信流居合術」
 
 古伝による「太刀打之位」は十一本の業で風格のある剣術と言えます。力任せに打ち合っている動画も見られますが、あれでは気品も無く真似したいなど思う事も有りません、 それでも近年は、大江先生の「無双直伝英信流居合道形」を打たず、古伝「太刀打之位」を打たれる道場の方が多い様に思えます。 いずれ又この分析を公開したいと思います。
 
 古伝研究会で、古文書を読んで動作を特定し、詰合をやってきたばかりです。この古伝「詰合」ですが、業数十本、これも明治以降の「詰合之位」十一本とは異なります。
 今日の私の刀袋には木刀やら袋竹刀やら組太刀道具一式がぎっしり詰まっています。取り残されて道場長と柳生新陰流の「合し打ち」と、一刀流の「切り落し」の話しをしながら木刀でその奥の深さを二人して味わっていました。
 
 「わしも十年でも若かったらなー」と、今少しで米寿を迎えられる先生は、お元気乍らも「体力の衰えを感じる」と仰りながら眼をキラキラと輝やかせておられました。
 
 地区風では、何処かおかしいのです。形の意味を能く知らない者がいじり廻してしまっています。
 当地区の僻み根性の一つでしょうか、当代宗家の業を学ばず、先代の業に固執する怠け者がうようよいます。
 自ら学び尽くして良し悪しを見極める本物を求める気風が欠けているのでしょう。
 影響力の強い指導者に引っ張られたか、自分の信念を貫くには、この地区は「居場所がないと不安でならない」日本人の最も標準的気質で弱虫のくせにはったりばかりの地区かもしれません。
 第六回古伝研究会へ戻りましょう。
 今回は特に遠方の地方から来られる方も無く、いつものメンバーとその門弟の方が来られています。通常稽古日を利用し稽古に来られたわけで、初心者からベテランまで混じっておられます。
 詰合ですから立膝の坐し方までもまだ初心の様な方もおられます。前回の詰合の残りを進めるわけにはいきません。
 一本目「発早」から六本目「位弛」まで、三時間の稽古でそれぞれの方々の出来栄えはいつの間にか見違えるほどの「かたち」になって来ています。
 形の手附を覚えて諳んじ、刀の持ち方、手の裡、運剣操作、足の運び・・基礎的な事は次回やればさらに進化するに充分です。
 
 「何!。詰合を初心者に教えるなど無謀だ」。ですか。
 武術の教えを初伝から奥伝へと順番を追って行く指導法は、一見理屈では当然と思えるのですが、私も此処の仲間も2、3年で奥居合まですべて習い覚えて業名一つでどの業もこなしたものです。
 私を指導された漫画家の田中正雄先生は多くの武道を経験され、八十過ぎの御身体で膝腰を痛められながら、躊躇なくいかなる業技法もお教え下さいました。
 正座の部一本目前は土佐の居合の根源の業です。
 何年たっても完成と言える気がしません。其ればかり十年抜いてみてもどれほどの進歩が得られるでしょう。あらぬ教えの呪縛は自ら研究して乗り越えざるを得ません。
 この田中先生も様々な武術を積み上げて最後に到達したのが居合でしょう。コツコツと身に付けられたのでしょう。第21代福井聖山先生の教書は至る所マンガ入りの覚書で埋まっていました。
 コツがつかめずに横一線に抜いていますと、立業の抜刀法の「順刀其の1や2」を抜かせ、立膝の「横雲」も抜かせます。ついでに「霞」も習った様に覚えています。
 それらは皆横一線の抜き付けから始まり、正座でコツをつかめなくとも他の業によっても得られる事を示唆しています。
 
 今日の稽古を見ていますと、知育・体育の個人差があってそれぞれです。それを見抜いて指導される人にあった個別英才教育が居合には最も有効と思われます。詰合は太刀打よりも居合の呼吸を学ぶには有効です。初心者でも他の武術の経験者ならば「かたち」だけならすぐにできるでしょう。
 
 どこの道場に行っても稽古人数は10名前後、ひどいのはそれ以下です。十羽一絡げによる安易な稽古法はあたら名人となるであろう人材を失う事になるかも知れません。
 
 余談ですが、私の書道教室も生徒は自分の机に座ったまま、書いたものを何枚も机に積み上げて有ったり、今まさに手本を見ながら書き込んでいる最中であったり、私は巡回しながら反故を拾って見て廻り、同じ過ちの繰り返しに気付いてもらい、共に書き比べをしたりしています。
 私が正面の離れた机に座って、生徒が「是が今日の一番」の作品を見せに来るのを待つようなことはして居ません。その上朱の訂正など大嫌いです。
 15人ぐらいまでは2時間もあれば充分見て廻れるものです。それもそれぞれが別の課題を勉強中であってもです。その代わり私は「へとへと」になります。
 
 現代の流の武術は名人上手、達人を育て、その業と心を次世代へ伝承すべきものです。
 習う者も心の中では達人を自らの目標とし、しかも萎縮せずのびのびと、真実を楽しみ、何故そうするのか良く聞き理解し、力を抜いて、ゆるゆるとして頑張らない事でしょう。 そしてのって来た時は無我夢中で修錬すべきものです。
 
 棒振り体操で健康維持も人それぞれですが・・・。
 
 此の時代、刀を持って白兵戦での斬り合いなど考える事すらばかげています。
 刀を振り上げ上官の「突撃!」の号令で誰が自動小銃の標的になりますか・・・。そんなウソの頑張りに合わせる必要はありません。
 武道の根源を求める剣士を目指す稽古法は、いたずらに棒振りの数に拘らず、棒振りの術理を解かり、励むうちに、ふっと奥義に目覚めるはずです。
 そして武術は終生現役でありたいものです。力や速さでは若者に勝てるわけはないでしょう。如何に無駄のない動きを手に入れる事です。若かりし昔を偲んでばかりで、引退することは武道には有り得ません。体が動かなくとも武道は出来るはずです。
 今日の古伝研究会に、それぞれの門人方のレベルに構わずお連れになった先生の、懐の深さに頭が下がります。
 自分の門人を、他人に預ける事は並の人には出来ない事です。「弟子たる者師匠の出来ない事でもやれ」と言われた太田次吉先生の言葉を思い出しています。
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合7燕返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
七本目燕返
燕返
 玉簾の通り我が指を取り折付引かんとす類を其侭付入っ亭中二入倒す
読み
燕返(つばめかえし)
 玉簾の通り 我が指を取り折り付け引かんとするを 其の侭付け入って中に入り倒す
参考 玉簾の通り
 相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指をにぎり躰を入っ亭(相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰を抜希亭引廻す)
読み解く
  燕返は玉簾の様に我が左右の手の指を相手が取り上に折上げ、引き倒そうとする処、相手の引くに任せ、相手の手を親指で握り込み其の儘相手に附け入って体を密着させ押し倒す。

 玉簾も燕返も、抜けが多くて「これでどうだ」と云い切れない様な感じもしますが、技をあえて細かく云わない処が古伝のおおらかな処と解釈して、あらゆる可能性を追求して稽古する事に意義ありとすべきでしょう。

 決められた形を順序良くやって見ても、相手の状況によっては意味なしの場合があるものです。此の場合も、指を制せられて、折り上げられ引き落とされそうになるのに附け入って相手の手を握り締めて足を絡めて仰のけに倒す事も出来るでしょう。附け入れば倒す方法が見つかるものです。

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2017年7月 7日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合7燕返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
七本目燕返
燕返
 玉簾の通り我が指を取り折付引かんとす類を其侭付入っ亭中二入倒す
読み
燕返(つばめかえし)
 玉簾の通り 我が指を取り折り付け引かんとするを 其の侭付け入って中に入り倒す
参考 玉簾の通り
相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指をにぎり躰を入っ亭(相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰を抜希亭引廻す)
 

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2017年7月 6日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合6玉簾

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
六本目玉簾
玉簾
 相手我が左右の指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きり躰入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す
読み
玉簾(たますだれ)
 相手我が左右の指を取り 上へ折り上げる処を こちらより其の親指を握り 体を入って相手の手をひきもじ 指を肩に懸けて 相手の左の手を前へ取り 体を抜けて引き廻す
読み解く
 この業名は玉簾(たますだれ)です。南京玉簾は大道芸で見ることもなくなったものですが、ひねると形が変わったりして楽しませてくれます。この捻りを業名に被せたのでしょう。

 双方歩み寄る処、相手より我が左右の手の指を取って上に反らせる様に折り上げる、其の時我の方から相手の親指を握りこんで体を相手に密着させて、手を引いて相手の握って居る手を逆に引く様にして「引もじ」ひきねじり指を自由にして、左手を相手の肩に懸け、「相手の左の手を前へ取り体をぬけて引廻す」の処は、右手で相手の左手首を取って体を左に廻し乍ら引き廻し倒す。

「体をぬけて引廻す」の処は沈み込んでとも取れるし、後ろに廻り込む様にとも取れます。
現存する合気の業などに、このような指を返される業は、甲手返し、木葉返しなど幾つもある様です。

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2017年7月 5日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合6玉簾

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
六本目玉簾
玉簾
 相手我が左右の指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きり躰入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す
読み
玉簾(たますだれ)
 相手我が左右の指を取り 上へ折り上げる処を こちらより其の親指を握り 体を入って相手の手をひきもじ 指を肩に懸けて 相手の左の手を前へ取り 体を抜けて引き廻す
 

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2017年7月 4日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合5車附

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
五本目車附
車附
 支劔の通り胸を取るを我左の手二亭取り扨相手突むとする我右の手二亭留す具二入っ亭中に入る倒す
読み
車附(くるまつき)
 支劔の通り胸を取るを 我れ左の手にて取り 扨 相手突かんとする 我れ右の手にて留め 直ぐに入って中に入り倒す
参考 
支劔の通り胸を取る
 相手我が胸を左の手二亭取る・・(我可右の手二亭其手首を取り) 
読み解く
前回の支劔の様に相手が我が胸を左手で取る、我は今度は左手で相手の手首を取って制する。
相手右手拳で突こうとするのを、扨 我は右手で其れを請け留めて直に中に附け入って倒す。

扨、以降が良くわからない文章ですが、相手が右手で突き込んで来ようとするのを、右手で請け留め、相手の懐に入って、背負い投げとしたいのですが、左脇へ引き廻し倒すが無難でしょう。
 何も書かれていませんから自由に状況に応じて対処する処です。

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2017年7月 3日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合5車附

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
五本目車附
車附
 支劔の通り胸を取るを我左の手二亭取り扨相手突むとする我右の手二亭留す具二入っ亭中に入る倒す
読み
車附(くるまつき)
 支劔の通り胸を取るを 我れ左の手にて取り 扨 相手突かんとする 我れ右の手にて留め 直ぐに入って中に入り倒す
参考 
支劔の通り胸を取る
 相手我が胸を左の手二亭取る・・(我可右の手二亭其手首を取り) 
 
 
 

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2017年7月 2日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合4支剱

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
四本目支劔
支劔
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支劔(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す
読み解く
 前回の三本目裙取は我から相手の胸を取って押したのですが、今度は、相手がわが胸を左手で取る(つかむ)、我は右手でわが胸を掴んでいる相手の左手首を取る。
相手は右拳で打ち込んで来るので我は左手で其れを請け止め、右手を相手の肘のかがみに外側から巻き懸けて相手の肘を折る。
普段の稽古では引き廻して倒す。

 「相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折」ですが、我が左手は相手の打ち込む右手を請け止めて制し、右手は相手の左手首を取っています。その右手を放し相手の右手の肘のかがみに外より懸け肘折りする。
 我が右手は相手の左手首を持ったまま相手の右肘のかがみに懸ける事も相手次第で可能です。右手を相手の左手から離して相手の右肘のかがみに懸けるのも可能です。
いずれも、骨折させてしまいそうです。

 常の稽古では、相手の左右の手を取った状態で左廻りに引き倒すでしょう。

 

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2017年7月 1日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合4支剱

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
四本目支剱
支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す

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2017年6月30日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合3裙取

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
三本目裙(裾?)取
同(?)相手の胸を我か右之手に亭押相手阿らそふ亭前へ押懸るを支ニ我可左の手二亭合手の右の足を取り右の手二亭相手のうなしを取っ亭う津む希に引た於す
読み
裙取(もすそとり・すそとり(裾取))
 同(2本目の無想の行き合い二?)相手の胸を我が右の手にて押し 相手争うて前へ押し懸るを機に 我が左の手にて相手の右の足を取り 右の手にて相手のうなじを取って俯けに引き倒す
読み解く
 業名は裙取(もすそとり・すそとり(裾取))です。書き出しは「曰(?いわく)と間違えそうな「同」の文字です」この一字は、河野先生の「無双直伝英信流居合兵叢書」では「同」です。原本が世に出た時に確認しましょう。

 立合の業ですから双方歩み寄り、我から相手の胸を右手で押す、相手押されじと争って前に押しかかって来る拍子に、沈み込んで相手の右足を左手で掬い取り、右手を相手の首に廻して、左脇か右脇、若しくは前にうつむけに引き倒す。

 業名の裙取(裾取)は沈み込んで我が左手で相手の右足の裾付近を掬い取る処から付けられたと思える業です。「あらそふて前へ押懸るをきに」の拍子をとらえて行うのでしょう。

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2017年6月29日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合3裙取

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
三本目裙(裾?)取
同(?)相手の胸を我か右之手に亭押相手阿らそふ亭前へ押懸るを支ニ我可左の手二亭合手の右の足を取り右の手二亭相手のうなしを取っ亭う津む希に引た於す
読み
裙取(もすそとり・すそとり(裾取))
 同(2本目の無想の「行き合い二」?)相手の胸を我が右の手にて押し 相手争うて前へ押し懸るを機に 我が左の手にて相手の右の足を取り 右の手にて相手のうなじを取って俯けに引き倒す

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2017年6月28日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合2無想

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
二本目無想
無想
行合二相手の足を取り送り右之手二亭膝を押の希てた於春

読み
無想(むそう)
 行き合いに 相手の足を取り送り 右の手にて膝を押しのけて倒す
読み解く
 業名は「無想」何も思わずにと云うのでしょう。「行合」ですから、双方立って行き合う、所謂歩み寄る時、我はふっと身を屈め左手で相手の右足を取って引き上げるようにして送り込み、「右之手二亭膝を押の希てた於春」ですから此処は、右手で相手の左足の膝を押し除ける様に引き込み相手を仰向けに倒す。
 相手の右足膝を左手で抱え込んで送り出すや否や、右手で相手の左膝を掬う様に引き込めば相手は仰のけに倒れるでしょう。
 此処は、左手で・・相手の右出足を取る・・でよいでしょう。相手は左の後足で片足立ちになってバランスを崩しながら後ろに下がる処を「右の手にて膝を押のけ倒す」とやってみました。相手の足は右とも左とも指定されていません。古傳はおおらかですが読み解けばこんな処が自然でしょう。

 業名は無想です。想うこと無くさっと繰り出すのでしょう。あまり業名に固執するのも特定の状況に居付いてしまい良くない様ですが、此処はあれこれ思い巡らさずに繰り出すのが良さそうです。

 「相手の足を取り送り」のところは、「送り」か「急耳」か文字の判読が良くわかりません。
河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「行合に相手の足を取り急に右の手にて脺(せつ・そつ)を押のけてたおす」「急」と読まれています。

 然し此処は「送り」であって「急耳(きゅうに)」ではないでしょう。
もう一字「脺」の文字ですが之は「膝」で誤字でしょう。曽田本の中に時々出てきますが「脺」は、そつ、せつ、すいとか読んで意味はもろい・よわいでしょう。膵臓の膵臓の膵の字を「脺」に当てていたりしているのも有ります。

 古文書は、書かれた人の知識次第で正しい文字があて字になっていたりします。それを書き写す場合も又その人の能力の範囲で変化してしまいます。ですから、凡てを信じる訳に行きません。
 原書と対比して見る事が出来たとしても書かれた人の思いが100%伝わる事は無いかも知れません。
 しかし、古伝の教えは繰り返し稽古しその項目の業を全て稽古し終った時に、新たな発見をする事も有り得ます。効を焦って、習い覚えているより良い業を繰り出して、古伝を越えたと思ってはならないと思います。出来るだけ忠実に手附通りにやってみる事がポイントです。手附通りに業が繰り出せない場合は、先ず己の未熟さを思うべきでしょう。

 思いつくままに・・

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2017年6月27日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合2無想

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
二本目無想
無想
行合二相手の足を取り送り右之手二亭膝を押の希てた於春

読み
無想(むそう)
 行き合いに 相手の足を取り送り 右の手にて膝を押しのけて倒す
 

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