2017年8月21日 (月)

曽田本その1の2英信流目録読み解く1居合棒太刀合之巻4極意之大事1盲目杖

曽田本その1
2.英信流目録読み解く
居合棒太刀合之巻
 兼 大森流居合 小太刀之位
4、極意之大事
 
一本目盲目杖
是盤座頭目無之天も杖尓て我可行先へハいづく尓ても行ㇰ也心の留らぬを吉と春也此所能々工夫有へ之ふらりふらりと行我尓敵とふ者の無く無念無心尓て行敵お古るや否や其所可移也千変萬化工夫可有
読み
一本目盲目杖(もうもくじょう・めくらつえ)
 是は 座頭 目無しでも杖にて我が行く先へ 這いづくにても行く也 心の留まらぬをよしとす也 此の所能々工夫あるべし ふらりふらりと行く我に敵問う者の無く 無念無心にて行 敵怒るや否や其の所移るべき也 千変万化工夫あるべし

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合6回腕捕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
六本目回腕捕
回腕捕
 楽々左二組相手右を突懸る処を支耳膝を突右脇へ多於す
読み
回腕捕(かいわんとり)
 楽々左に組み 相手右を突き懸かる処を機に 膝を着き 右脇へ倒す

読み解く
 回腕法といえば、書道の筆を持つ方法にそんなものがあるのですが、ここは和之事です。
「楽々左に組」の楽々はこの流の得意な言い回しです。実態は解りませんが文字通りに楽に肩の力を抜いて、組み合うのも柔らかくとしておきましょう。
 互いに、どのように組み合うかは、「左に組」とあるばかりです。左手で双方とも相手の胸を取り合うのでしょう。特に指定されていません。好きなように組んで見ることです。

 相手が右手にグット力をこめて突きかかって来るのを機に、我はスット沈み込んで右膝を着き、我が右脇に倒す。

 ここで業名の「回腕捕」を思い出して見ます。相手の突き懸って来る右手首を右手で取り、左手をその右手に回腕して膝をついて右脇に倒す。ややこしい事をつい思いつきますが、余計な事をしないでもよさそうです。

 
 

| | コメント (0)

2017年8月20日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合6回腕捕

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
六本目回腕捕
回腕捕
 楽々左二組相手右を突懸る処を支耳膝を突右脇へ多於す
読み
回腕捕(かいわんとり)
 楽々左に組み 相手右を突き懸かる処を機に 膝を着き 右脇へ倒す
 

| | コメント (0)

2017年8月19日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合5柱体

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
五本目柱体
柱体
 我ハ或ハ柱など耳添ふて居心持なり相手歩ミ来り両の手二亭我可胸を取り我可左の手二亭手首を取り相手のひぢの可ゞ美を右の手二亭下ゟ廻し亭取り我と一拍子耳左へねぢたをす也
読み
柱体(ちゅうたい)
 我は或は 柱などに添うている心持なり 相手歩み来たり両の手にて我が胸を取り 我が左の手にて手首を取り 相手の肘のかがみを右の手にて下より廻して取り 我と一拍子に左へねじたおす也
読み解く
 「我は或は」の書き出しはあまり見かけない気がしますが、柱など或は何かに添うようにして立っている心持でいる事というのでしょう。壁でもいいのでしょう。
 相手が歩み来たりて両手で我が胸を取るので我は左手で相手の手首を取り、相手のひじのかがみに右の手を下から廻しかけて取るや否や左へねじ倒す。

 相手が胸を取っても後ろに倒れたりすることはないような場取りです。下肢をしっかりさせて立ち、上体は緩やかにして、応じろとでもいうのでしょう。
 相手はどの様に両手で胸を取るのかが何も書かれていません。和服ですから右手で胸の辺り左衿を取り左手はその下か右衿でしょう。

 「我が左手にて(相手の)手首を取り」は相手の右手首を取り、「相手のひぢの可ゞ美を右の手二亭下ゟ廻し亭取り」でしょう。

 「我と一拍子耳左へねぢたをす」この表現を忠実にするには、相手が両手で胸を取り押す拍子に、我は相手を制し(相手退く・あるいはそのままの)その拍子に我も共に左へねじ倒せと言うのでしょう。

 

| | コメント (0)

2017年8月18日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合5柱体

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
五本目柱体
柱体
 我ハ或ハ柱など耳添ふて居心持なり相手歩ミ来り両の手二亭我可胸を取り我可左の手二亭手首を取り相手のひぢの可ゞ美を右の手二亭下ゟ廻し亭取り我と一拍子耳左へねぢたをす也
読み
柱体(ちゅうたい)
 我は或は 柱などに添うている心持なり 相手歩み来たり両の手にて我が胸を取り 我が左の手にて手首を取り 相手の肘のかがみを右の手にて下より廻して取り 我と一拍子に左へねじたおす也

| | コメント (0)

2017年8月17日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合4七里引

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
四本目七里引
七里引
 行合二我可手を取らんと手を出ス処を其手を此方ゟ取り指を折て我可躰を廻る遍し相手自らた於るゝ也
読み
七里引(しちりびき)
 行き合いに我が手を取らんと手を出す処を 其の手を此方より取り 指を折りて 我が体を廻るべし 相手自ら倒るゝ也
読み解く
 七里引は現代の合気道にもその名称があるようです。
ここでは、双方スカスカと歩み寄り行き合う時に、相手が我が手を取ろうと手を出して来る処、此方よりその手を取って、指を折り上げ、左廻りに体を開けば相手は勝手に倒れる。

この夏原流の七里引は特に関節を如何こうしろとは言っていません。自然体でゆるゆる応じろとでも言うようです。

 

| | コメント (0)

2017年8月16日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合4七里引

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
四本目七里引
七里引
 行合二我可手を取らんと手を出ス処を其手を此方ゟ取り指を折て我可躰を廻る遍し相手自らた於るゝ也
読み
七里引(しちりびき)
 行き合いに我が手を取らんと手を出す処を 其の手を此方より取り 指を折りて 我が体を廻るべし 相手自ら倒るゝ也
 
 

| | コメント (0)

2017年8月15日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合3屏風返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合
三本目屏風返
屏風返
 玉多れの通り耳取り来るを是は相手の後へ我可右足を踏込ミ我も共耳阿をの介耳そり後へた於す也

読み
屏風返(びょうぶかえし)
 玉たれ(立合の六本目玉簾(たますだれ)でしょう)の通りに取り来るを 是は相手の後ろへ我が右足を踏み込み 我も共に 仰のけに反り 後へ倒す也
参考 立合六本目玉簾
 相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きりを入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す
読み解く
 「玉たれ」は「たますだれ玉簾」の欠字でしょう。
 玉簾は夏原流和之事二番目の立合の六本目玉簾「相手我が左右の指を取り上へ折上る処を 此方より其親指をにぎり 躰を入って 相手の手を引もじ 指を肩にかけて相手の左の手を前へ取り躰をぬけて引廻す」。という業でした。

 相手に指を取られて上へ折り上げるならば、此方から相手の親指を握りこんで、相手の後ろに右足を踏み込み、諸共に相手を仰のけに後ろに反り倒す。相手が指を取る手を制してしまえば後は如何にかなるでしょう。
 
 玉簾のように相手は前から我が左右の指を取りに手を伸ばして来るので、取られる前に我は相手の後ろに右足を踏み込み、相手の肩を取って諸共に相手を仰のけに反り返って後ろに倒す。左右の指を取られる前に後ろに廻ってみました。

 屏風返の業名は、我も共に、ぱたんと屏風を閉じる様に密着して、相手を後に倒す様でしょう。

 

| | コメント (0)

2017年8月14日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合3屏風返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合
三本目屏風返
屏風返
 玉多れの通り耳取り来るを是は相手の後へ我可右足を踏込ミ我も共耳阿をの介耳そり後へた於す也

読み
屏風返(びょうぶかえし)
 玉たれ(立合の六本目玉簾(たますだれ)でしょう)の通りに取り来るを 是は相手の後ろへ我が右足を踏み込み 我も共に 仰のけに反り 後へ倒す也
参考 立合六本目玉簾
 相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きり躰を入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す

| | コメント (0)

2017年8月13日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合2車返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合
二本目車返
車返
 行合耳我可右の手を相手の面耳打込す具耳躰を入って中に入り倒す也
読み
車返(くるまかえし・くるまがえし)
 行き合いに我が右の手を相手の面に打込み 直ぐに体を入って(行って ?)中に入り倒す也
読み解く
 業名は車返ですが、業はどうでしょう。双方スカスカと歩み寄り、行き合う時(すれ違う寸前)に我の方から相手の顔面に右手を打ち込み、直ぐに体を相手に附け入って中に入り倒す。

 「躰を入って中に入り倒す」の方法が記述されていません。相手の顔面に一当て打ち込んでいますから一瞬のけぞって気が遠くなる処を押し倒す。或は突き倒す。
 体を沈めて右手で顔面を、左手で相手の右足を取って仰のけに倒す。此処は幾つもの技が繰り出せそうです。
 それにしても、古伝は命を懸けた攻防を伝えて来るので、現代居合における雰囲気とは雲泥の差です。何しろ相手の仕掛けに応じるのが現代居合です。この業も、行き違う寸前に相手の害意を察したと解すれば良いのでしょうが、少々手前勝手な理屈です。

参考
 夏原流和之事2項目立合二本目無想(2017年5月27,28日)
 行合二相手の足を取り送り右の手二亭膝を押の希てた於春  

読み
 行合に相手の足を取り送り右の手にて膝を押のけてたおす

 業名は「無想」何も思わずにと云うのでしょう。「行合」ですから、双方立って行き合う、所謂歩み寄る時、ふっと身を屈め左手で相手の右足を取って引き上げるようにして送り込み、右手で左足の膝を押し除ける様に引き込み後ろに倒す。
 此の、無想も我から一方的に仕掛けています。或は当然敵であると認識して双方殺気を漲らせて行き合うのでしょう。 

| | コメント (0)

2017年8月12日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合2車返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合
二本目車返
車返
 行合耳我可右の手を相手の面耳打込す具耳躰を入って中に入り倒す也
読み
車返(くるまかえし・くるまがえし)
 行き合いに我が右の手を相手の面に打込み 直ぐに体を入って中に入り倒す也
 

| | コメント (0)

2017年8月11日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事4後立合1上留

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合也
一本目上留
支剱の通り取って手を折を以やとすくばる支耳手を抜上介押付ヶ亭引廻し倒す
読み(うえどめ・うわとめ)
支剱の通り 取って手を折るを いやとすくばる機に 手を抜上げ押し付けて 引き廻し倒す
参考 「支剱の通り取って手を折を」
 夏原流和之事の2項目立合(皆相掛)の四本目支剱(2017年7月1日・2日)
支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す
読み解く
 夏原流和之事の4項目は後立合の業名で、どの業も「始終立合」と言って立っての攻防です。
 夏原流の2項目に立合(皆相掛)が有りました。此の「後立合」の業シリーズは、立合の後の立合、いわゆる続立合と云う意味の様です。

 支劔の通り、相手我が胸を左の手にて取る、我が右の手にて其手首を取り、手首を折る様にすると、相手いやとすくむ様にする、其の機を捉えて相手の手を抜き上げて相手の顔に押し付け左脇に引き廻し倒す。
 「いやとすくばる」いやと身をちじめる、いやとすくむ、などと同意義であろうと思います。
 「手を抜上げ押付け」は、我が手を緩めては相手に其の機に乗ぜられそうです。相手の左手首を持ったまま下又は上に折れば相手が「いやとすくばる」様に我が胸から左手を離して引こうとするその機に顔面に押しつけてみました。

古伝の文言が抜けていて、動作が解らない処はあれやこれやと自分で研究しろと云って居ると思えばいいのでしょう。
 一人演武の空間刀法の居合稽古では得られない、相手との攻防での相手の動きと我の態勢、心と体の一致などの処を夏原流和之事は教えてくれています。

| | コメント (0)

2017年8月10日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事4後立合1上留

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
4)後立合 始終立合也
一本目上留
支剱の通り取って手を折を以やとすくばる支耳手を抜上介押付ヶ亭引廻し倒す
読み
支剱の通り 取って手を折るを いやとすくばる機に 手を抜上げ押し付けて 引き廻し倒す
参考 「支剱の通り取って手を折を」
 夏原流和之事の2項目立合(皆相掛)の四本目支剱(2017年7月1日・2日)
支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す

| | コメント (0)

2017年8月 9日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足11影切掛

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
十一本目影切掛
影ノ切掛
 是は相手我後ゟ歩ミ来り我可髻を取り短刀を抜亭打込むを其侭後へ向位の弛の如く右之手二亭出会を留中耳入りたを春
以上十一
読み
影ノ切掛(かげのきりかかり)
 是は相手我が後ろより歩み来たり 我が髻を取り 短刀を抜きて打込むを 其の侭後ろへ向き位の弛の如く 右の手にて出合いを留め中に入り倒す
以上十一
参考 小具足八本目位ノ弛
 ・・相手後より手を廻した婦さを取て押伏せむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
 ・・相手後ろより手を廻し たぶさを取りて押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
読み解く
 この業名の影ノ切掛は、かげのきりかかりでしょうか。読みがわかりません。神傳流秘書松原流和之事小具足割十本目浦ノ波では「影の切懸」で「掛」が「懸」となっています。
河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「影之切掛」とあります。

 我は八文字に座す処、相手後ろよりスカスカと歩み来たり、腰を屈め我が髻を取り短刀を抜いて上から打ち込んで来るのを、座したまま後ろへ振り向き、相手の打ち込みを右手で受け留めさらに相手に付け入って左手で相手の右肘を取り右脇に引き倒す。

「短刀を抜て打込むを其儘後へ向位の弛の如く右の手にて出合を留」の其儘後へは、後ろへ振り向き「位の弛」のように受け留めるとしてみました。
「位ノ弛」は小具足の八本目にある業で、相手が前から我が胸を左手で取ってくるのを、我も左手でその手を取る、相手立ち上がって短刀を抜いて打ち下ろしてくるので、我が右手で突き上げるようにその右手に打ち込み留めています。

 前向き後ろ向きの違いがありますが、打ち込みを留める処が「・・如く」なのでしょう。

 以上十一本で小具足は終ります。

 小具足は「両方足を爪立左の膝を付き右之膝を浮けて折る八文字に坐す」ですから、是は現在で云う立膝の座仕方、居合膝の座仕方でしょう。

 敵は短刀を抜いて打込む程の近間での攻防です。相対する間合いは体軸で120cm4尺位でしょう。膝と膝で2尺でしょう。
 起こりを見せない様にするにはもっと近い膝と膝で1尺位の間を取る方が良いのでしょうが、人は互にどこまで膝詰め出来るでしょうか。
敵と意識すれば膝詰めは2尺がせいぜいでしょう、激論の末膝がぶつかる程の事も有かな・・など互にやって見ると良いかも知れません。

 此処での短刀は現代の刀の分類と同様かどうかは解りません。刃渡り1尺未満の短刀攻防と思われますが確証は有りません。刃渡り1尺から1尺5寸未満のものまではこの手附でやって見るのも良いだろうと思いますが、1尺5寸から2尺未満のものでは打太刀の動作は違うと思います。

 参考に小具足の一本目は短刀、二本目は小太刀、三本目は短刀、四本目不明、五本目短刀、六本目は短刀、七本目は立合の支剱に同じで不明、八本目は短刀、九本目は不明、十本目は不明、十一本目は短刀です。二本目小太刀ですが短刀で良いでしょう。不明の所は短刀を抜く前に勝負がついていますのでこれも短刀で良いでしょう。

短刀と小太刀の違いは、現代の刀剣の区分に至るまでの変遷が有るもので、あえて取り上げません。扱いやすく稽古しやすい長さのものを見出すのも業のうちでしょう。

| | コメント (0)

2017年8月 8日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足11影切掛

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
十一本目影切掛
影切掛
 是は相手我後ゟ歩ミ来り我可髻を取り短刀を抜亭打込むを其侭後へ向位の弛の如く右之手二亭出会を留中耳入りたを春
以上十一
影切掛(かげきりかかり)
 是は相手我が後ろより歩み来たり 我が髻を取り 短刀を抜きて打込むを 其の侭後ろへ向き位の弛の如く 右の手にて出合いを留め中に入り倒す
参考 小具足八本目位ノ弛
 ・・相手後より手を廻した婦さを取て押伏せむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
 ・・相手後ろより手を廻し たぶさを取りて押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
 

| | コメント (0)

2017年8月 7日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足10靭付

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
十本目靭付
靭付(ウツボ、矢入レ 曽田メモ)
 相手我右脇ゟ歩来り我可帯を取打込んとす類をす具耳相手の膝と足と耳手を掛押倒す
読み
靭付(うつぼつき)
 相手 我が右脇より歩み来たり 我が帯を取り 打ち込まんとするを 直ぐに相手の膝と足とに手を掛け押倒す
 「靭」とは矢入と有りますが、これではなめし革を意味します。これは「靫」の漢字で差し込むの意味の矢入れの「うつぼ」でしょう。(藤堂明保編学研漢和辞典)
 靭は靫の誤用と広辞苑も記述しています。

読み解く
 靭付は、靫附(付)(うつぼつき)でしょう。「我が帯に手を差し込み取る」で業名と何となくしっくっり来ます。
 
 我は八文字に座すところ、相手右脇よりスカスカと歩み来たり、腰を屈めて我が帯に左手を差し込み取り、右手で短刀を抜いて打ち込まんとする。
 我は即座に、相手の中腰になった右膝に右手を掛けて押し、その足首に左手を掛けて手前に引いて倒す。
 

| | コメント (0)

2017年8月 6日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足10靭付

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
十本目靭付
靭付(ウツボ、矢入レ 曽田メモ)
 相手我右脇ゟ歩来り我可帯を取打込んとす類をす具耳相手の膝と足と耳手を掛押倒す
読み
靭付(うつぼつき)
 相手 我が右脇より歩み来たり 我が帯を取り 打ち込まんとするを 直ぐに相手の膝と足とに手を掛け押倒す
「靭」とは矢入と有りますが、これではなめし革を意味します。これは「靫」の漢字で差し込むの意味の矢入れの「うつぼ」でしょう。(藤堂明保編学研漢和辞典)
靭は靫の誤用と広辞苑も記述しています。

| | コメント (0)

2017年8月 5日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足9髻附

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、夏原流和之事
9)小具足
九本目髻附
髻附(ケイ、モトドリ、タブサ 曽田メモ)
 此事ハ亦常の通り坐して居時相手後より手を廻した婦さを取て押伏セむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
*読み
髻附(もとどりつき、たぶさつき)
 此の事は亦 常の通り坐して居る時 相手後ろより手を廻し 髻(たぶさ)を取りて 押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
読み解く
この業は、八文字に対座している時、相手がせり出してきて我が後ろに両手を廻し髻(たぶさ)を取り押し伏せようとされたので、掴まれた相手の手を掴んで「押しはづし」押し返すようにはずして前にかためる。

 髻はたぶさ、もとどりの読みで良いのでしょう。この文面からは、相手はどこに座していたのか、「常の通り座して居時」ですから対座でしょう。ここまでの八本がすべて対座していますからその様に解する方が自然でしょう。

 髻を取らせてしまったのは不覚ですが、相手もそれとなくスッと髻を取るのでしょう。いや、我から髻を取らせる様にしたのでしょう。
「押伏せむとするをきに」の「き」をとらえられなければ押伏せられてしまいます。髻の無い現代では此の業は替え業を考えてみるのも面白い様です。

| | コメント (0)

2017年8月 4日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足9髻附

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
3、夏原流和之事
9)小具足
九本目髻附
髻附(ケイ、モトドリ、タブサ 曽田メモ)
 此事ハ亦常の通り坐して居時相手後より手を廻した婦さを取て押伏セむとするを支耳其手を前へ押者川し堅る
*読み
髻附(もとどりつき、たぶさつき)
 此の事は亦 常の通り坐して居る時 相手後ろより手を廻し 髻(たぶさ)を取りて 押し伏せんとするを機に 其の手を前へ押し外し堅める
 

| | コメント (0)

2017年8月 3日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足8位ノ弛

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
八本目位ノ弛
位ノ弛
 相手胸を取るを左の手二亭取り合手立上り短刀を抜て打込を我右の手二亭打込ミ留躰を入って中耳入り倒す
読み
位ノ弛(くらいのゆるみ・くらいのはずし?)
 相手胸を取るを 左の手にて取り 相手立ち上がり短刀を抜いて打込むを 右の手にて打込み留め 体を入って中に入り倒す
読み解く
 この業名の読みですが「くらいのはずし」と「弛」を「はずし」と読ませている様ですが、シ・チ「弛」の意味はゆるむ・ゆるめる。ぴんと張った弓がだらりとながく伸びることをあらわす会意兼形声文字で古訓では「ユミハツス・ハツス・ハツル・ユルフです。(藤堂明保偏 学研漢和辞典)
 この「位ノ弛」の業では、「はずし」は「外し」とも違う様です。
*
 互いに八文字に座す処、相手腰を上げ右足を踏み出し、左の手で我が胸を取る。我は即座に腰を上げ右足を踏み出し、相手の左手首を左の手で取る。
 相手立ち上がり短刀を抜いて我が頭上に打ち込んで来るのを、我は下から右手で相手の右手首を打ち留め、体を相手に付け入って押し倒す。

 相手が立ち上がり短刀を打ち込む際、我は低く相手に附け入って右手で叩き留める。さらに体を沈めて付け入って倒す・・相手が立ち上がっても中腰に座したまま短刀を打ち下ろす相手の右手首に我が右手を突き上げて留める。そのまま付け入って倒す。
 「相手立上り短刀を抜て打込むを我右の手にて打込み留」の文言の通りの打ち込みは相手の動作にどの様に応じるかは稽古次第でしょう。

 

| | コメント (0)

2017年8月 2日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足8位ノ弛

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
八本目位ノ弛
位ノ弛
 相手胸を取るを左の手二亭取り合手立上り短刀を抜て打込を我右の手二亭打込ミ留躰を入って中耳入り倒す
読み
位ノ弛(くらいのゆるみ・くらいのはずし?)
 相手胸を取るを 左の手にて取り 相手立ち上がり短刀を抜いて打込むを 右の手にて打込み留め 体を入って中に入り倒す
 
 

| | コメント (0)

2017年8月 1日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足7逆ノ折

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
七本目逆ノ折
逆ノ折
 此事ハ立合の支剱の事耳同し坐して居る違ひ計也
読み
逆ノ折(ぎゃくのおり)
 此の事は立合の支剱の事に同じ坐して居る違い計り也
参考 立合の四本目支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春
読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す
読み解く
 立合の支剱は立業ですから、逆ノ折は坐して行います。
 相手がわが胸を左手で取る(つかむ)、我は右手でわが胸を掴んでいる相手の左手首を取る。相手は右拳で打ち込んで来るので我は左手で其れを請け止め、右手を相手の肘のかがみに外側から巻き懸けて相手の肘を折る。普段の稽古では引き廻して倒す。

 「相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折」ですが、我が左手は相手の打ち込む右手を請け止めて制し、右手は相手の左手首を取っています。その右手を放し相手の右手の肘のかがみに外より懸け肘折りする。
 又は、我が右手は相手の左手首を持ったまま相手の右肘のかがみに懸ける事も相手次第で可能です。
いずれも、骨折させてしまいそうです。

 常の稽古では、相手の左右の手を取った状態で左廻りに引き倒すでしょう。

| | コメント (0)

2017年7月31日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足7逆ノ折

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
七本目逆ノ折
逆ノ折
 此事ハ立合の支剱の事耳同し坐して居る違ひ計也
読み
逆ノ折(ぎゃくのおれ・ぎゃくのおり)
 此の事は立合の支剱の事に同じ坐して居る違い計り也
参考 立合の四本目支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春
読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す

| | コメント (0)

2017年7月30日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足6逆ノ剱

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
六本目逆ノ剱
逆ノ剱
 如前相手の手首を留多る時相手短刀を抜以て突んとするを膝を少し立弛し右の手二亭其突手を取り如前阿の希耳倒春也
読み
逆ノ剱(ぎゃくのつるぎ・ぎゃくのけん)
 前の如く相手の手首を留たる時 相手短刀を抜いて突かんとするを 膝を少し立て弛し
右の手にて其の突き手を取り 前の如く仰のけに倒す也
参考
「如前相手の手首を留多る時」の前は二本目剱當詰迄戻ります。「相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る」
「右の手二亭其突手を取り如前阿能希耳倒春」の前は五本目繰返でしょう。「相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押當阿能希ニねじ多を春」
読み解く
 神傳流秘書の文章は、省略が多くてこのように業毎の読み切りにすると厄介です。
前の如く(如前)が六本目逆ノ劔から五本目繰返、四本目瀧返、三本目先手と四回続きました、二本目劔當詰まで戻る事になります。

 前の如く相手の手首を留たる時は「相手左の手にて我が胸を取る我が左の手にて其手首を取る・・」ですから、相手が腰を上げ右足を踏み込んで左手で我が胸を取るのを我は即座に腰を上げ、右足を踏み込んで其の手首を取る。

 相手短刀を逆手に抜いて突こうとするのを、我は、右足を引き弛ずし右手で其の突き手を取り前の如くは前回の五本目繰返の「相手短刀を抜て打込を右の手にて留其手を相手の額に押當あおのけにねじたおす」でしょう。ここで業名の「逆ノ劔」に拘って相手は短刀を逆手に抜出し、突いて来るのでしょう。
相手の突き手を制して額に押し付け左手を引き左脇にあおのけにねじ倒す。

 「膝を少し立弛し」は右足を引いて膝を付け、左足を踏み込んで右脇にあおのけに倒すのも出来そうです。前の如くが二回もあって、省略しているのですが、此処はポイントだと示されて居る様な気のする処です。

 

| | コメント (0)

2017年7月29日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足6逆ノ剱

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
六本目逆ノ剱
逆ノ剱
 如前相手の手首を留多る時相手短刀を抜以て突んとするを膝を少し立弛し右の手二亭其突手を取り如前阿の希耳倒春也
逆ノ剱(ぎゃくのつるぎ・ぎゃくのけん)
 前の如く相手の手首を留たる時 相手短刀を抜いて突かんとするを 膝を少し立て弛し
右の手にて其の突き手を取り 前の如く仰のけに倒す也
参考
「如前相手の手首を留多る時」の前は二本目剱當詰迄戻ります。「相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る」
「右の手二亭其突手を取り如前阿の希耳倒春」の前は五本目繰返でしょう。「相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押當阿能希ニねじ多を春」
 

| | コメント (0)

2017年7月28日 (金)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業ハ切先返

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
ハ)切先返し
 
◎意義
 敵我が真向に斬込み来るを左斜めに受流し、左手を刀に添へて敵の面部を引き切り、直ちに腹部を刺突して勝つ。
◎動作
 前進しながら右足を前に踏込み刀を頭上に抜き上げ(刀刃は後方にして切先を左に下げ我が頭部と肩をかこひ表鎬にて受流す)敵の刀を左斜に受流すや、直ちに左手を刀の棟に(物打の下方に)添へ、少し体を沈めつつ柄を右腰に下げ乍ら敵の面部を引き切り、左足を一歩前に踏込んで(左手を刀棟に添へたまま)敵の腹部を刺突す。残心し左足を後方に一歩退き刀を右に開いて納刀す。
 「切先返し」は伯耆流の「切先返し」を基にしています。
伯耆流磯波会江島敬隆著星野宣敏校閲の伯耆流居合術教本昭和17年1942年の教本によって稽古して見ます。カタカナを仮名に直してあります。線画が付属していますが省略します。
切先返し(立姿)
 正面より斬り下す敵に対して抜き流して、受け流し、間髪を入れず、敵の顔面を断ち斬り、更に腹を突きて倒すのである。
 踏み込んで受け流すところ、顔面を断ち切る動作並に其の姿勢より突く所、妙味ある事である。
1、前方より斬りかゝらんとするものあり之に応じてすゝみ寄る。
2、敵が斬り下したる刀を抜き放って受け流す。
3、頭上に刀をかざして攻撃をとる。
4、敵の顔を断ち斬る。
5、突の構え。
6、敵の腹を突いて倒す。
7、残心。
8、引き上げ。
9、納の構。
 刀法の切先返しが体を沈めつつ敵の顔を引き切るのに対し、伯耆流の切先返しは頭上に刀をかざし攻撃の体勢をとって顔面を断ち斬るの違いがあります。
 この違いは、受け流されて間近くある敵の顔面を引き切り戦意を消失させるか、顔面を「断ち斬る」の文言にひかれ、頭上よりズンと断ち割り致命傷を与え、止めに刺突するかの想定の違いを思い浮かべてしまいます。
 河野百錬先生の大日本居合道図譜の切先返しの写真では、敵刀を受流すや、直ちに左手を刀の腰に(ほぼ中央)に添え、右足先を稍々左に向け左後足は受け流した位置の侭、左手を十分前に延ばし、右下後ろに、右手を十分引いて敵の面部を引きかき切る。とされていますが、受け流された敵は間近に顔は有ります、これでは受け流された敵が即座に後方に引かない限り、我が刀は敵の頭上に斬り込んでしまい、意図する「面部を引き切る」とはなりそうにもありません。
 この河野先生の面部引き切りの左足捌きは、無外流の中川先生の写真にも見られますので制定当時の動作であったのでしょう。
 河野百錬先生、福井聖山先生、池田聖昂先生の動画により意義に対する動作を拝見してみます。
 お三人とも動作は形も拍子も夫々です。河野先生の受け流してから左手を物打ち下に添えて、何とも曖昧な顔面切り、その左足の固定された捌きは敵の動きをどの様に意識されたのか術理が不明瞭です。
 福井先生の受流すや左手を物打ち下に添える際、下から突き上げる様にして敵頭上から断ち割るが如き動作は、「左手を刀に添へて敵の面部を引き切り」の意義に合いません。
 両大家とも、敵の打ち込みをひょいと受けてすり流す様です。敵刀の打ち込みをどの様に受けているのでしょう。なり行き任せに見えてしまいます。
 当代は、刀を抜きつつ、敵の上段からの打ち下しに、もぐりこみ突き上げる様に表鎬にて受流すや物打ちに左手を添え、即座に切先を敵の顔面に当てる様に引き切る。
 右入身、左入身の体捌きにこの業の進化の歴史を見るようです。
 ある地区の指導者は福井先生の様に左手を物打ち下に添え、切先を後ろに刃を上向け床に水平に取り、敵の頭上に切先を付けて断ち割っている様です。しかも切先は敵の体に深く放物線を描く様に入っていますから、右腰に刀を引き下ろすことは現実的に難しそうです。
 第七代会長による「刀法」解説
敵刀を受け流すポイントを上げてみます。
 少し腰を沈め気味に刀を抜き込み、右半身となって、右手は進行方向に平行、右肩の線上にあり、刀刃は後方に向かい切先は左斜下方にあり、我が顔面・頭部並びに左肩を覆う形で我が顔前頭上にある。
 刀を下から上に突き上げ、腰を左に捻る気が大切。
 上段から打ち込んで来る敵刀を受ける際、敵刀の打ち下ろす物打ちを受けるのではなく鍔元近くで受けます。
 摺落すのではなく、当り拍子に腰を左に捻って右入身となって敵刀を受け流します。この受け流しは修練を積んだ人にしか理解できないかもしれません。擦り流しは受け流しではありません。
 受け流すや、直ちに左手を刀の棟(物打ち手前)に添え、柄を我が乳の高さに下げつつ切先を敵の顔面に当て、引き切る様に切先を敵の正中線を通して斬り下す。
 左手の添え手の位置は肩幅で物打ち下に添えると指導された古参がおられますが其れでは深く斬り込み過ぎになります。
 此の時、右爪先を軸に左廻りに右爪先を正面に90度に向け、左膝を右膝のかがみに引き寄せ右足先が真横になる瞬間に引き切り、左膝を右ふくらはぎの上に重ね左入身になる。
 この際刀を右腰にとり腰を沈める、柄は右腰より二拳位後方、刀は水平袴の帯下に把持する。顔面引き切って「刀を右腰にとり腰を沈め」次の刺突の準備に速やかに移行するには左足の捌きは重要です。受流した時の左足の位置のままでは敵の動きに付いてはいけません。
 この引き切りでも、勘違いして切先が敵顔面に付けた位置より深く孤を描いて斬り割く如き動作をしている人が見られます。飽くまでも、引き切る切先であるべきでしょう。切先は顔面に当てた位置からスッと下り、右腰に引き付けられるべきです。
 其の為には左手の添え手の位置は重要です。当然引き切って引き付けられた左手は体(左腰)から離れている筈です。
 沈めた腰を上げながら左入身のまま左足を踏込み、「敵の腹部を刺突す」が敵の上腹部(臍と水月の間)を刺突すると特定されています。左手は空手の手刀の突き手、刺突した切っ先は敵の腹部から水月の高さに刺突する。
 「腹部を水平に刺突する」、かつての教えの変わった部分ですが、中には腹部から切先は喉元まで突き上げると、指導されたとされている人もいます。
 低い位置から腰を上げながら刺突すれば手の内を変えなければ自然に水月の辺りに突き上げます。喉元まで突き上げるには手で突き上げる事になりその必要はあるでしょうか。
 刀法の意義を充分熟読し想定を描くならば、動作の書き足りない部分は自ずから浮かんでくるはずです。
*
 「なま兵法大疵のもと」と宮本武蔵は五輪書の地之巻に書いています。
 業技法は進化するべきなのに、昔習っただけに拘るなどは怠け者としか言い様は有りません。
 当代の解説を熟読し、講習会に参加し、習った通りに反復した上で、自論を述べるのは良しとしても、刀法は全日本居合道刀法であって基準の動作は当代の動作基準が最優先であるべきものでしょう。
 当代より最高の允可を受けながら心得違いは業技法に拘る姿勢よりも、何を学びどの様に指導すべきかの根本理念に指導者としての問題が有りそうです。自論に拘るならば当代に直に進言すべきものでしょう。
 ある地区では指導に当たって、A十段が当代会長の剣理と術理を説明し、B十段が模範演武をするに当たって自分流を得々と演じられます。
 是では、教習を受けに来た者には何をすべきかがわからなくなります。当然審査や競技の判定にもそれは現れるでしょう。
 全日本居合道刀法は剣理、術理ともに統一されていなければその存在の意味は無いものです。
 然し、統一理論を前面に押し出し、意義(剣理)も動作(術理)も統一された時、流派を越えた刀法の存在の問題点が大きく浮上して来ると思われます。
 全剣連の竹刀スポーツが古流剣術の各流派を駆逐した様に、制定居合が居合の根本的動作基準と錯覚してしまえば古伝は消えでしまうでしょう。
 自流の業の根源を求める事が武道文化の継承の根幹であって、各流派共通の全日本居合道刀法の意義・動作に自流・自分流を主張し拘るべきとは思えません。
 他流の審査に他流を知らずして、その代わりに制定居合で補う様な安易な審査員養成は、答えが出ている様に思えて仕方がありません。
 自道場から武者修行に出た事も無く、自流の業ですらその謂れも知らず、意義も動作の有りようも解からず、中には自流の現宗家の解説書すら見た事も無い、たまたま近所で出会った道場で習ったものを師伝と称し「かたち」だけ模倣し、その「かたち」から抜け出す事も出来ない者が、しかとして武術論を論じ、他流の手附もその宗家筋の演武を学び見る事も無く、「のほほんとしてきた者」が他流を元とした「全日本居合道刀法」を推し量る事などできるのでしょうか。
 
思いつくままに・・・・刀法解説を終ります。・・・講習会が楽しみです。
 
 此の「刀法」のブログを公表したとたん、ある地区の特定の指導者を中傷するもので許すべきではない、と息巻いているそうです。
 ミツヒラを揶揄する暇があるならば、そんな低レベルに明け暮れる暇に、「刀法」の制定された意味と、其処から何を学び、何を標準化すべきなのか、どの様に指導するべきなのかある地区の指導者が議論するべきでしょう。第七代会長が答えを示されていると思うのですが・・・。(追記 2017年8月19日)
 
 
 
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足5繰返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
五本目繰返
繰返
 又如前手首を留たる時相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押阿能希ニねぢ多を春
読み
繰返(くりかえし)
 又 前の如く手首を留たる時 相手短刀を抜きて打ち込むを 右の手にて留め 其の手を相手の額に押し仰のけに 捩子倒す
*参考 如前
 此処は二本目剱當詰までもどります。
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る 相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二亭突手を打落引伏セ堅
読み解く
 また前の様に、相手が腰を上げて右足を踏み出し我が胸を左手で取るので、我も右足を踏み出し左手で相手の左手首を取る。
 相手右手で短刀を抜出し、頭上に打ち込んで来るのを、我右手で相手の短刀を持つ右手首に当て制するや相手の右手首を取って相手の額に押し当て左手を引き込み相手を仰向けにねじ倒す。

 「相手短刀を抜て打込むを右の手にて留」によって、相手は右手で短刀を抜く、我は右手で其の打ち込みを留めると、理解できます。従って相手は左手で我が胸を取り、我も左手で相手の左手首を取るとできます。

 この場合、相手左手で我が胸を取る、我はとっさに右手で相手の左手首を取る。相手右手で短刀を抜き上から打ち込んでくるのを我は右手で相手の左手を持ったまま其の打ち込みを留め、そのまま相手の額に押し込んでねじ倒す。もありかもしれません。

 業名の繰返の意味は、相手が我が胸を取る業の繰り返しの稽古を意味するのでしょうか。胸を取られる業はまだ続きます。

 小具足は一本目から相手左手で我が胸を取り、我は右手又は左手で相手の左手を取る、相手右手で短刀を抜き・・・。と八本目まで続いています。

| | コメント (0)

2017年7月27日 (木)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業ロ四方切

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
ロ)四方切
 
◎意義
 敵が周囲から斬り懸るに応じて之に勝つ。
◎動作
 前進しながら右足の爪先を右に向けて、右方に踏込み右に向くと同時に片手抜討ちを以て右敵の右肩から袈裟に斬り、切先を水月の高さに止める。抜付けたる瞬間左敵に注目し、左方より旋廻して右足を左方に踏込み双手上段に振冠り左敵の真向を斬下す。斬下した瞬間正面の敵に注目し右足を正面に踏込み双手にて正面の敵の右胴を横一文字に斬り、左から旋廻して左足前のまま後敵の真向を斬り、再び右から廻って右足前のまま正面の敵の真向から両断する。残心し右側に刀を開いて血振いして納刀す。
 この業は水鴎流の獅子乱刀から引用したものと思われます。
 水鴎流の手附けは文章によるものは公開されていない様で、第15代宗家の「純一無雑 瞬機一刀の理 水鴎流居合剣法」のビデオにより看取り稽古して見ます。
 前後左右を敵に囲まれ正面向きに正座しています。
 座したまま腰を上げ、右廻りに右敵に振り向き、右足を踏み出し横一文字に抜打ちし、左敵に振り向きつつ双手上段となって、右足を踏込み左敵の真向に斬り下します。
 その足踏みの侭正面の敵に注目し立ち上がりつつ左脇構えに取るや右足を正面に踏み込み、正面の敵の右胴を横一文字に斬り払い、左から旋回して右足を踏込み後敵を真向から斬り下します。
 後ろ向きのまま、刀を右に開き納刀しつつ体を下し、右廻りで正面に戻ります。
 全居連の刀法では正面の敵は胴を切られたのに再び真向より両断されます。
 胴切りが不充分若しくは後敵に危険を感じ前敵を追い払うなどの事が無ければ、正面に戻っての両断は不要でしょう。
 もし充分斬って正面に戻る演舞(武ではない)ならば、後敵を斬って、正面に戻り、上段からゆっくり刀を下し残心の形を示すべきです。
 刀法は技の基本の形を示すだけで武術的な事は後廻しと言うならば、此の業は四段審査の指定業です。そんな事でいいのでしょうか。
 ある地区の指導者は、この業で正面の敵の右胴を横一文字に斬るに当たって、左敵を真向に切り下すや、切先を上げて鍔を口元まで引き寄せ、左に刀を倒し、左手を左腰に引き付け腰溜めの車に構え、右足を正面に踏み込むや敵の右胴を腰を右に振って両断する様に水平に引き切る指導をして居ます。
 見事に、両断して、つぎに後の敵を真向から斬り下し、正面に戻って、正面の敵を真向から立ったまま切り下しています。「あれ!正面の敵は胴を両断されて崩れている筈なのに」。
 河野百錬先生も福井聖山先生も正面の敵を腰溜めの車でなど切っていないのに、独創してしまった様です。
 正面の敵と背後の敵に攻められた時は、両方の敵を意識しながら敵の仕掛ける前に正面の敵を浅く斬り、ビクとさせて追いやりその隙に背後の敵を斬り倒し、正面の敵を両断するのが、囲まれた時の鉄則です。
 第七代会長の解説からこの業を研究してみます。
◎剣理
 敵が周囲から斬り掛かるに応じて、これに勝つ意也。
術理
 左手鍔にかけるや右足を踏み出し、左足をやや一歩より狭く爪先をやや右に向けて踏み出し、右手を柄に掛けるや右敵に向き、右足爪先を右敵の方に向けながら柄頭を右敵の右肩口に向けながら抜きかけ、右足爪先を右敵正中線より30度位左に向けて大きく踏込み右肩口より水月迄袈裟懸けに斬り付ける。
 
 直ちに左敵に顔を向けるや両踵で左廻りに、右肩を覆う様に双手上段に振り冠り右足を大きく踏み込んで左敵の真向に膝の高さ迄斬り下す。
 
 直ちに左踵を押えながら体をたてつつ、切先を上げて鍔を口元に上げた瞬間顔を前方の敵に向けるや、刀を逆八相の構えの位置を経て把り、その瞬間右足を左足の前に踏み込み、上体を前に投げ入れる感じで左より右に水平に薙ぎ払う様に前敵の胴部に斬り付ける。
 
 直ちに左廻りに双手上段に廻り切り左足前のまま後敵を真向に斬り下す。
 
 右廻りに廻り双手上段となり前敵の真向に右足前のまま斬り下す。
 
 会長の前敵への胴切りは、逆八相から上体を倒して薙ぎ払う様に斬り付けています。これは前敵を追いやる若しくはビクとさせる鉄則に則った動作でしょう。逆八相からの水平斬りの妙技はやるつもりのものしか出来無い技でしょう。
 此処は余談ですが、八相及び逆八相からの切り込みを稽古し、その一つに逆八相からの水平切を稽古すればよいだけです。
 竹刀剣道の形の教えにある八相から上段に振り冠ってから真向打ちや腰車から上段に振り冠って八相に斬り込むしか理解できないのではお粗末です。
 腰車に構えてしまえば前敵は攻め込んで来るので胴を両断する事になります。しかし、それでは後敵に仕掛けられてもいるのですから、間に合わず斬られてしまいます。
 右足を踏込み左敵を斬り下し、逆八相に把る時、右足を左足に引き付けてから正面に踏み込む教えが、先代の頃にあって其の足踏みをしている古老と其の弟子もおられます。これも右足を後足に引き付ける無駄な動作です。
 第七代会長は是も否定されています。正面の敵が斬り込んで来る隙を与えない事も四方に敵を受けた時の心構えでしょう。
 前会長に指導を受けられた方の中にこの胴切りの動作を「刀身を鉛直に鍔が口の高さに至るまで持ち上げ、顔を正面の敵に向けながら、右手首を左横水平に返し、柄から外れた左甲を右掌に添えて刀刃を前に左にした刀身をそのまま水平に左脇胴前に下ろし、右足を90度正面(左足踵前)に二足半長運びながら正面の敵の胴を横一文字に右45度まで切り払う・・」(南野輝久著 無双直伝英信流居合道覚書より)
 ある地区の指導者とよく似た車の構えに至る動作です。是は逆八相から胴切りするのではなく、左腰車にとってから胴切りするので、刀を鉛直に立てる意味があるのでしょうか、古流剣術では見られない動作です。
 左敵を真向に斬り下してその手の位置のまま腰車にとってもおかしくは無いでしょう。飽くまでもこの場合は前敵の胴を両断する動作です。
 DVDも付属しますので拝見していますが、文字であらわされた動作よりも、柄手が良くのびておられますので、ある地区の指導者程では無いようです。
 刀法の制定時の意義及び動作は抜けだらけですから、如何に年期を重ねられたベテランでも状況を充分把握し最も適した運剣操作を確立するには、良く見て良く読み良く考える人と、人真似に過ぎない人とのレベルの違いが歴然と現れます。想定を誤れば意義を達せられないものになります。
 全居連の各流派に共通の「刀法」です。第七代会長の解説書に従い、毎年行われる「刀法講習会」に出席して文字に表せない、あるいは、解説書発行時より進化した運剣動作を身に付け地区の指導をすべきでしょう。
 己が正しいとするならば、その事を会長に進言し改変を望むべきものです。「俺は前会長の動作を忠実に演じているだけで、当代が勝手に替えたのだ」では、最高段位を当代会長から頂戴していながら、やるべき事をやらず、地区に於いて勝手に会長の指導以外の動作を指導するのは「刀法」においては特に如何なものでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足5繰返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
五本目繰返
繰返
 又如前手首を留たる時相手短刀を抜亭打込を右の手二亭留其手を相手の額に押阿能希ニねぢ多を春
繰返(くりかえし)
 又 前の如く手首を留たる時 相手短刀を抜きて打ち込むを 右の手にて留め 其の手を相手の額に押し仰のけに 捩子倒す
*参考 如前
 此処は二本目剱當詰までもどります。
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る 相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二亭突手を打落引伏セ堅

| | コメント (0)

2017年7月26日 (水)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業イ切上げ

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
イ)切上げ
 
◎意義
 敵が真向上段に抜き上げて仕懸けんとするを、我れ其の右腋つぼに下から斬上げ、直ちに双手上段から敵の左袈裟に斬下して勝つ。
◎動作
 前進しつつ右足を前に踏込みながら抜きかけ刀の反りを一杯に返して(抜きつつ)刀刃を下から敵の右脇つぼに右斜に斬上げ、左足を少し進めながら双手上段となり右足を踏込んで敵の左袈裟に下段まで斬り下す。正眼(中段)に直って残心し刀を右に開いて静かに納刀す。次に左足を右足に揃へて直立し左足から後へ退り元の位置にかへる以下同じ。
 この業は神道無念流より改変されて全居連の刀法に組み込まれたと思われます。制定委員に神道無念流の中山博道先生がおられた筈です。編成時の承認の際(昭和31年1956年10月7日)欠席されています。
 神道無念流の立居合12本の第一本目の意義:「若干歩前方にある敵が将に刀を抜かんとする機に先ち敵の右前臂(ひじ)を下方より切るも続いて敵前進し来るを以って後退して切り更らに敵の後退するを進んで切るのであって此際敵は倒れたりとするのである。」(太田龍峰著 居合読本より)
 この業で、敵の右前臂を切り上げるのですが、更に攻め込んで来るので我は後退して敵の正面を切っています。敵が後退するのを追って再び正面を切る。と云う事でどうやら左袈裟が見られません。
 第十本目にやはり「敵抜かんとするのを右前臂を下方より切り、左足より二歩前進し敵の正面を切る。刀を青眼の儘で、刀を敵に突きつける姿勢で二歩前進す。刀を上段にして残心を示す、刀を青眼に復してこれを収む。」
 この方が、参考になる様ですが、制定委員に神道無念流の先生は含まれていませんし、中山博道先生も既に意欲を失っている時期ですから何とも言えません。
 全日本居合道刀法の「刀の反りを一杯に返して(抜きつつ)刀刃を下から敵の右腋つぼに右斜に斬上げ・・」ですから右胴下から切先三寸位で腋窩に抜き付け、斜めに切り上げ、抜上げるとするもので、より深く斬り込んで行く様な事は、不要でしょう。この一刀で敵は致命傷になってしまいます。
第七代会長の「切上げ」
◎剣理は配布時の意義とほぼ同じです。
 「敵が真向上段に抜き上げて仕懸けんとするを、我れ其の右腋つぼ(腋窩(えきか))に下から斬り上げ、直ちに双手上段から敵の左袈裟に斬下ろして勝つ意也」
◎術理は腋窩への切上げは右胴下から斜めに斬りあげる。
 「・・刀を鞘ごと少し我が進行方向正中線と平行に出しながら、柄頭を床面と平に敵の右胴下に向わしめつつ、我が腰を少し左に捻りながら刀刃を上にして、物打ち手前迄抜き付けて行く。
 物打ち手前に至らば、刀刃を鞘諸共外に返し刀刃の反りを下に一杯に返しながら抜き込み、一杯にかえった瞬間、敵の右胴下より右腋つぼにかけて右斜めに斬り上げる」
 腋窩に抜き付ける事がポイントですが、これはかなり鋭角な斬りあげです。よく見かけるのは右胴下から左首元又は左肩下への切り上げです。腋窩は脇の下の窪みでしょう。これでは指定された所に刀刃は斬り付けられません。
 それも、物打ちからさらに深く切り込んでいますがさて腋窩への切上げの意味が理解出来ているのか疑問です。
 切り上げた刀刃、右斜め上方、40~45度に傾き、切先は進行方向に平行、刀身は床に平、右拳は肩より二拳位上。と会長により指定されています。
 拳が高く頭上を越えているのをよく見かけます、或は角度が浅く流れてしまっている。
 左足は60度位開き、半身の切り上げと第七代会長の解説書は指定していますが、現在は、鋭角に切上げる事を強調するため、左足は90度を超える程に開き、上体を開いて伸び上がる様に右入身に近い半身となります。
 「左足を少し進めながら双手上段となり右足を踏込んで敵の左袈裟に下段まで斬り下す。」
 左袈裟に斬り下すには、まず、斬り上げた刃筋の通り切先を下げ、左踵を正面に向け直し、右足踵まで引き寄せ双手上段になる。
 我が右足を敵の正中線に踏込み、右半身で敵の左肩口(左肩下一寸位)より水月を通して右胴下敵の右膝まで斜めに斬り下す。
 是も現在では、右入身に近い左袈裟切りですから、斬り下した柄手の左拳は右骨盤上一拳前、切先は敵の右膝線上に位置し、左へ流さない。切先が流れないコンパクトながら鋭い運剣法と云えます。
 上段から右に柄手を振って左袈裟切りするのを、第七代の講習会では上段にとった柄頭を前方に押し出す様にして右足を踏み出すと共に体を左に披いて右肩下に斬り下す。
 この左袈裟の運剣も敵左肩下に切先三寸程の処を斬り込みさらに深く斬り込む様な指導者もいますが、畳を両断するような剣捌きは不要です。
 居合は真剣による刀法であって、浅く勝べきで、見栄えの良い殺陣の踊りでは無いのです。
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足4瀧返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10.夏原流和之事
3)小具足
四本目瀧返
瀧返
 如前胸を取を我も前能如く其手首を取り右の手をひぢ二懸う津む介耳横へ伏セる也
読み
瀧返(たきかえし)
 前の如く 胸を取るを 我も前の如く其の手首を取り 右の手をひぢに懸け 俯けに横へ伏せる也
参考 「如前胸を取るを 我も前能如く其手首を取り」 は三本目先手 及び二本目剱當詰を
 参考にします。「相手左の手二亭我可胸を取る」で同じです。
 次の動作では、二本目剱當詰は「我可左の手二亭其手首を取」、三本目先手では「我可右の手二亭相手の手首を取」で相手の左手首を取る我が左右の手が変わります。
 此処では「如前」を優先すれば、三本目先手の「我可右の手二亭相手の手首を取」でしょう。
読み解く
 前の如くは、三本目先手の前の二本目劔當詰まで戻ります。
双方八文字に座し、相手腰を上げて右足を踏み出し左の手にて我が胸を取る。次の「前の如く」のここは三本目先手の様に我も腰を上げ右足を踏み出し我が右の手で相手の左手首を取り、右手のひじを相手の左手のひじに懸け左足を引いて相手を右脇にうつむけに横に伏せる。

 業名は「瀧返」これは、たきかえしえと読めばいいのでしょう。業名から動作のイメージが浮かんできません。文字を読んで頭に入れて体裁きをしていたのでは瀧返しにならないのでしょう。それと相手がゆるゆると我が胸を取るのであれば瀧とも言えません。相手も瀧が落下する如き動作があればそれを拍子に返すイメージも浮かびます。
しかし、強く早い動作ばかりが良いとは言えません。相手も何気なく我が胸を取るとされた場合の動作もありうるので課題です。

| | コメント (0)

2017年7月25日 (火)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(1)正座ロ前後切

刀法の解釈
 
5)全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(1)正座
 
ロ)前後切
◎意義
 敵我が真向に斬込み来るを受流すや顔面に双手上段から斬付け、直ちに後敵の真向に斬下し、更に前敵の真向に斬下して勝つ。
◎動作
 腰を上げ爪立つや刀を頭上に抜き上げ左斜下に敵刀を受流し直ちに双手上段となり右足を踏込みて前敵の面部に斬付けるや、膝を浮かして爪先にて左廻りに後方に向きつつ双手上段から右膝を床につけるや、後敵の真向から斬下し更に右廻りにて正面に向き直り、双手上段から左膝を床につけるや前敵の真向から斬下す。中段に直りて残心し刀を右に開いて納刀する事同前。
 二本目「前後切」は無外流の五用の二本目「連」より組み立てられたと言われます。
 
無外流居合兵道「連」
理合:前後に敵を受けた場合で、先ず前敵の眉間に諸手で抜きつけ、後ろを振り向くや、後敵を真向に斬り下ろして仕留める。
方法:両足の爪先を立て腰を上げると共に刀を上方に抜き上げる。
 刀を抜き上げる共に左手を柄にかけ、諸手上段となり、右足を踏み出して眉間に斬りつける。
 両膝を浮かし、直ちに左方から後方に向きを換えつゝ上段となり、向きを換え終るや真向に斬り下ろす、切先は床上五寸位。
 残心、納刀以下前に同じ。
 敵は前後ですが、正面の敵に再び斬り付ける事はせずに終わります。
 「全日本居合道刀法」は、「敵我が真向に斬込み来るを受流すや顔面に双手上段から斬付け」後ろに振り向き真向に斬下し、前敵に向き直って再び、真向から斬り下ろします。
 前後に囲まれた場合、前敵が先に抜き上げて真向斬り込んで来るのを受け流し、浅く斬り付け戦意を殺いでおいて即座に後ろに振り向くのであって、深く斬り込んでしまっては、刀が抜けず、浅く切る事は鉄則です。
 後に振向き後敵の状況を即座に判断して真向に打ち下ろすと解釈できます。後ろ敵は刀を抜き上げ真向に打ち込んで来るならば「合し打ち」「切り落とし」が有効です。再び前に振り戻って前敵を真向から斬り下ろしています。充分斬っているならば前に振り返る必要は無いし、真向から斬り下ろす必要も無いでしょう。
 中川先生の無外流の「連」は、我が方から仕掛けて前敵を制し、後ろに振り向き真向に斬り下ろし残心です。
 この全居連「刀法」のポイントは、受け流すや顔面に双手上段から斬付ける、と、後に振り返って斬り下ろす、再び前敵に向かうその方向転換の足捌きと、体裁き、刀捌にある筈です。
 無外流の「連」では「爪先を立、腰を上げると共に刀を上方に抜き上げる、刀を抜上げる共に左手を柄にかけ、諸手上段となり・・」で受け流しの意識は文章には見られません。
 然し中川先生の写真の動作は、刀を正中線上を体に近く刃を外向けて上に抜上げています。
 左手を鞘引きすれば切先は左に稍々振られ、左肩を覆う様になる筈で見事です。
 敵の斬り込みを受け流せば、敵との間合いは自ずから近く敵が退かんとする前に眉間に抜き付けるとすれば、上段から大きく振り下すのでは理に合いません。
 我が切先で敵顔面を引き切る位の運剣でしょう。当然両肘は屈む事になり、引き切った切先は敵の喉元で中心を取っているべきです。
 土佐の居合の教えに、「敵に囲まれた時は一人宛て深々とズンと斬っていては遅れをとる、居合の大事は浅く勝事肝要也、ビクとさせておいてその隙に一人づつ斬っていく(英信流居合目録秘訣上意之大事)」と言う教えがあります。
 受け流すに当たっての抜き上げについて、無双直伝英信流居合道覚書を書かれた南野輝久先生は「刀刃を左15度外側に傾けて、柄頭を正中線(額)に沿って静かに鞘引きしながら切先3寸(9cm)まで抜き上げ、切先3寸(9cm)から鞘を引き落し、切先が外に撥ね上らぬように抜上げる。抜き上げると同時に爪先立ち、右手首を直ちにその場で右に返して上段・・」と書かれています。切先は左体側より外に出ていなければならず、抜き上げる下からの突き上げと切り込まれるとの当り拍子が認識できませんと受け流しはおろかすり流しも不十分となります。
 第7代会長の刀法解説では「受け流す為に抜刀する時、右柄手を顔前を通して、刀刃を外懸け(外に倒す)にしながら払いあげる様に抜き取り敵刀を左斜め下に擦り落す様に受け流す」と明快です。
 右柄手を返し、左手を正中線上を上げて諸手上段に振り冠り、顔面に斬り付ける。
 ある地区の講習会では深々と敵の頭上に斬り付ける指導を当たり前の様にしていますが顔面に斬り付けるのであって両手が充分伸びた打ち下しでは無いでしょう。河野先生、福井先生の動画では顔面では無く深々と斬り付ける様に見られます。これでは意義を達せられないでしょう。動画を重要視する修行者に不向きな動作です。
 方向転換の動作で、すっくと立ち上がって方向転換し立ったまま斬り下ろしてから、後膝を床に着く動作が目に付きます。
 此処は、「膝を浮かして爪先にて左廻りに後方に向きつつ双手上段から膝を床につけるや、後敵の真向から斬下し更に右廻りにて正面に向き直り、双手上段から左膝を床につけるや前敵の真向から斬下す。」であって腰は挙げず浮かすようにして廻り、床に膝を着くと同時に斬り下ろすのがポイントでしょう。
 回転の足捌きは、敵との間合いを変えない様に体軸がぶれない足裁きをすべきで、爪先、踵の足裁きを工夫すべきです。
 会長の解説では、「左廻りする時、両足爪先にて廻切れば振り向きたる時一足分だけ後ろに下がる」とされています。「右足は爪先にて廻り、左足は踵にて廻る」とされています。
 武術は、その領域に達した者だけにしか理解できない奥義とも云えるものがあって、それが「術」となるはずです。真似ただけの「かたちは」は誰でも出来る様になるでしょう。
 設対者を置いての稽古が当たり前の相対しての剣術ならば己の技量は設対者の技量によって「術」の達成度は少しは推し量れます。
 仮想敵相手の一人演武の居合は如何に「かたち」の練習を積み上げても、時に独りよがりに陥り、出来ていると錯覚してしまいます。その良し悪しは師匠の「かたち」からともすると「癖の真似」の良し悪しで判断してしまうものです。
 真似すら出来ない者は「体格も、力も、哲学も師とは違う」と己の個性を強調して誤魔化すばかりです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

| | コメント (1)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足4瀧返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10.夏原流和之事
3)小具足
四本目瀧返
瀧返
 如前胸を取を我も前能如く其手首を取り右の手をひぢ二懸う津む介耳横へ伏セる也
瀧返(たきかえし)
 前の如く 胸を取るを 我も前の如く其の手首を取り 右の手をひぢに懸け 俯けに横へ伏せる也
参考 「如前胸を取るを 我も前能如く其手首を取り」 は三本目先手 及び二本目剱當詰を
 参考にします。「相手左の手二亭我可胸を取る」で同じです。
 次の動作では、二本目剱當詰は「我可左の手二亭其手首を取」、三本目先手では「我可右の手二亭相手の手首を取」で相手の左手首を取る我が左右の手が変わります。
 此処では「如前」を優先すれば、三本目先手の「我可右の手二亭相手の手首を取」でしょう。
 
 

| | コメント (0)

2017年7月24日 (月)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(1)正座イ前切

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
配布時の解説
(1)正座
 
イ)前切
 
◎意義
 前敵の仕懸けんとする其の腕部又は顔面に抜付け(斬付)、直ちに双手上段より真向に斬下(打下し)して勝つ。
◎動作
 右足を踏出すや敵の腕部又は顔面に横一文字に斬付け、直ちに双手上段となり敵の真向から斬下す。
 残心し刀を右に開きて納刀しながら右足を左足に引き付け爪立ちたる踵に臀部をおろし納刀し終る。次に右足より前に一歩踏込みて立ち、左足に右足を引付けて元の位置に正座し次の業に移る。
*
 この配布時の意義はともかく、動作は如何様にも解釈できる大らかなものです。「右足を踏出すや敵の腕部又は顔面に横一文字に斬付けだけですから半身でも正対していてもいい筈です。英信流もどちらも行われていたもので下村派は半身、谷村派は正対などと云う人もいますがどちらも行われています。これでは配布されてもどうしたらよいか迷ってしまうでしょう。
真向斬り下ろしも、振り冠りや斬り下ろしの刀を止める位置なども特定できません。
 昭和34年1959年発行の無外流の中川申一宗家著「無外流居合兵道解説」に写真付きで刀法解説がみられます。
 横一線の抜き付けは半身の抜き付け、振り冠りは切先上りに45度、斬り下ろしは敵の水月辺りでしょう。血振りは切先下がりです。
全居連刀法として制定されても、業の動作の統一までは出来ていなかったと言えるでしょう。
全居連第七代会長の解説
剣理
 我が前に座せる敵が、我れに仕懸け来らんとする気配を我れ察知し、敵の機先を制して其の上腕部又は頸部或いは顔面に横一文字に、我が方の左より右へ斬り付け、直ちに双手上段より真向に斬り下ろして(打ち下ろして)勝つ意也。
制定時の業解説における「意義」が「剣理」に替えられています。言い回しも微妙です。
術理(動作運用)
 術理のポイントを押えてみます。
 無外流の中川申一先生の抜き付けが半身の抜き付けに見える写真でした。
 第7代会長の抜き付けは、踏み立てた右足は膝が直角で、下腿が床面に垂直、左足膝も床面に直角です。
 水平に斬り付けた時、上体は正面に正対、右拳は肩の高さ、正中線に対して右外45度位、刀刃は水平に右向き、進行方向と平行、切先やや下がるも可。
 振り冠りは約45度切先下がり、尾骶骨に接したり、浅く水平は不可。
 斬り下ろしは柄頭は臍前緩く一拳にあり、切先は床上七~八寸(20~25cm)。踏み立てた右足大腿内側にすれすれ。
 鍔は右膝の線・右膝の高さ。斬下した時の目付は1m50cm位の前方を見る。と細部にわたり特定されています。
 諸手上段となり斬下す際、横一線に斬り付けた足の位置を其の儘に斬り下ろすとする文言が抜けていますが、更に踏み込む等の動作を要求していませんから、抜き付けた足の位置を変えずに斬下す、となります。
 無双直伝英信流正統会の居合をされる人には自然に出来る動作ですが、他派や他流の方には自流と異なる動作の基準が特定されて慣れませんと動作が単純なだけに戸惑います。
 無双直伝英信流正座の部の一本目「前」と立膝の部「横雲」の混合で組み立てられていますが、あくまでも「刀法」として把握するものでしょう。
 制定居合は居合の統一を求める様に進化して行くのは全剣連も同様です。夢想神傳流のある会派は、理由はともかく自流の半身の抜付けを正対の抜付けに替えておられる様です。
 あまり制定居合に依る統一理論が先行しますと、流派の掟が失われてゆくのも竹刀剣道で多くの流派が消えてしまった事でも想像されます。
 すでに数えるほどしか残っていない居合の流派がさらに消えていくなど寂しい限りです。経済学のグレシャムの法則に云う「悪貨は良貨を駆逐する」の法則の様です。市場を席捲しているものが本物かどうか疑わしいかも知れません、反面本物が秘められて伝承が途絶え消えて行ったのでは日本の武道文化もどうなるでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足3先手

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
三本目先手
先手
 如前胸を取り我右の手二亭相手の手首を取相手短刀を抜んとする処をす具耳右の手を相手の胸耳押當足を込ミ亭阿をの希ニ倒す
読み
先手(さきて・せんて・せんしゅ?)
 前の如く胸を取る 我が右の手にて相手の手首を取る 相手短刀を抜かんとする処を 直ぐに右の手を相手の胸に押し当て 足を込みて仰のけに倒す
参考
 如く前胸を取る
 「相手左の手二亭我可胸を取る・・」
読み解く
 双方向かい合って爪先立ち左の膝を付き右の膝を浮かせて八文字に座す時、相手が腰を上げて我が胸を前の剱當詰のように左の手で取る。
 我右の手で相手の左手首を取る。相手は右手で短刀を抜こうと柄に手を掛ける処、我はすぐに右の手を相手の胸に押し当て、右足を踏み込んで相手を仰のけに倒す。

 此の業も、相手の仕掛けてくる動作にすぐ応じて機を外さない事がポイントでしょう。相手が短刀を抜こうと手を柄にかけるまでに踏み込むことが大切で、抜いてからでは当然のことながら危険です、「相手短刀を抜んとする処」です。
 相手は左手で我が胸を取り右手で短刀を抜こうとしています。
我は相手の左手首を右手で制し、尚且つ短刀を抜こうとする際再び右手で相手の胸に押し当てて居ます。
 左手の役が何も語られていません。左手は相手の小太刀の柄又は柄を取った相手の右手を制し相手の柄を抜かさない様に押し付けるのも研究課題です。
 

| | コメント (0)

2017年7月23日 (日)

刀法の解釈の4解説の比較

刀法の解釈
 
4、解説比較
 
Ⅰ)昭和52年1979年「全日本居合道刀法」配布時の解説
(1)礼式
◎平常坐したる時は、刀の下緒は輪にたばねて、刃を内側に向け鐺を後方に、鍔が膝の線にある程度にし右側に置く。
◎始礼(神座並に刀に対する礼)
1、刀を下緒と共に右手に、拇指を鍔に懸けて栗形の部を握り、右腰に鞘を約45度位に刃を上にして堤げる。
2、演武の場所に進みて正坐し、刀を膝の前約1尺程の処に鐺を右に柄を左に刀刃を我が方に向けて下緒を刀の向ふ側に添へて静かに置く。
3、次に前に両手をつき両食指と拇指を接して三角形を作り深く頭を下げる。
4、礼を終りて右食指を鍔にかけて刀を把り、体の中央膝の前方に立て、左手を鞘の下方三分の一程度の処にかけて鐺を持ち上げ腰に帯刀す。
 此時下緒は後に鞘にかけ、柄頭は体の中央にある程にさす。
◎終礼は前記の始礼を略逆行する。
◎正座の姿勢は、膝は肩の巾、足は深く重ねず拇指を重ぬる程度とする。
(2)血振
 血振いは斬下した(又は正眼に直った)右拳の位置から右側約1尺切先下りに刃を右にし(刃は少し下向けに)正面の線に並行に開く。
Ⅱ)平成15年2003年第七代会長の全日本居合道刀法解説
 
 「神座の立礼をせずに座礼を以て神座の礼とする」。が原則です。
 刀法から始める演武は神座の立礼をしなくともよい筈ですが、現在では、第7代会長の解説では左手に刀を提げて演武場所に進み、刀を右手に持ち替え神座への立礼を行います。
 刀を左手に再び持ち替え、会長に礼をし、その腰に提げたまま演武の方向に向き直って座し、刀礼をし帯刀しています。
 「礼を終りて右食指を鍔にかけて刀を把り、体の中央膝の前方に立て、左手を鞘の下方三分の一程度の処にかけて鐺を持ち上げ腰に帯刀す」は、第7代会長の解説では鞘の三分の一では無く刀の三分の一と変わっています。
 「下緒は後に鞘にかけ、柄頭は体の中央にある程にさす」については下緒は鞘の上から懸けて後ろに垂らす様に読み取れますが、現行では下緒が長い事も有り前に廻して左側で袴の紐に掛ける様にしています。
 ある地区の記念に配られた下げ緒が180cm程で短く、丈高く業によっては下緒が邪魔になります、後に垂らしただけでいますと、必ず前に廻し袴の帯に懸ける様に言う物知り顔のもの知らずが声を掛けています。だったらもっと長い下緒を配布すべきだったでしょう。
 神座への礼を全居連の演武で行うのは、刀法以外の自流の業も演じるためか、配布時の解説とは変わっているのか、刀法のみの場合にのみ適用されるものなのか明解な指導を受けた覚えはありません。
配布「◎平常坐したる時は、刀の下緒は輪にたばねて、刃を内側に向け鐺を後方に、鍔が膝の線にある程度にし右側に置く。」
 会長解説も同様であり、補足として「鐺を後方にして我が正中線と平行に置き、且つ座したる右大腿より約六~七寸(約20cm位)外側に置く。刀の下緒は三等分して輪に束ね、我が右側に置きたる刀の棟側に添えておく。」
 
 ある地区の前地区会長の場合は袴を見事に左右に蝶の羽の様に広げて座り、広がった袴の上に刀が置かれています。
 武術の心構えを欠いており、袴を踏まれたり、刀を手にする前に立ち上がれば刀は転がってしまいます。武術は見栄えを競うものではないでしょう。小さな心構えが伝わって来なければ、立派な解説書を出されていますがこの写真一枚ですべての解説が偽物に見えてしまいます。
配布「◎始礼(神座並に刀に対する礼)」
「1、刀を下緒と共に右手に、拇指を鍔に懸けて栗形の部を握り、右腰に鞘を約45度位に刃を上にして堤げる。」
 
「2、演武の場所に進みて正坐し、刀を膝の前約1尺程の処に鐺を右に柄を左に刀刃を我が方に向けて下緒を刀の向ふ側に添へて静かに置く。」
 配布の時の堤刀は右手に提げている様に制定され、そのまま演武の場所に座して刀礼の体勢を整えたのでした。
 第7代会長の解説では、刀を下緒と共に左腰に左手にて提げ、演武の場所に至り、その場所で右手で袴の裾を払う様に捌き、左膝より床に着き、次いで右膝を着き正座する。
 左手は刀を握り、左腰に把り、右手は大腿部の上に置く。
*
 配布時「血振いは斬下した(又は正眼に直った)右拳の位置から右側約1尺切先下りに刃を右にし(刃は少し下向けに)正面の線に並行に開く。」ですが、第7代会長は刀及び刀刃は床に水平を最も良いとされています。
*
 第七代会長の所作の幾つかは、それまで配布時の所作をそれとしてきた先生方には戸惑いもあったと思われます。
 どちらかというと無双直伝英信流正統会の所作に近づいてしまったと言えるでしょう。
 
 
 
 
 
 

| | コメント (2)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足3先手

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
三本目先手
先手
 如前胸を取り我右の手二亭相手の手首を取相手短刀を抜んとする処をす具耳右の手を相手の胸耳押當足を込ミ亭阿をの希ニ倒す
読み
先手(さきて・せんて)
 前の如く胸を取る 我が右の手にて相手の手首を取る 相手短刀を抜かんとする処を 直ぐに右の手を相手の胸に押し当て 足を込みて仰のけに倒す
参考
 如前胸を取り・・
 「相手左の手二亭我可胸を取る・・」

| | コメント (0)

2017年7月22日 (土)

刀法の解釈の3書き出し比較

刀法の解釈
 
3、書き出し比較
Ⅰ)昭和31年1956年制定時の書き出し(河野百錬著 居合道真諦)
1、形の名称  全日本居合道刀法
2、礼 法    神前の立礼をせず坐礼を以て神座への礼とする
3、発 聲    各業の最後の一刀を斬下す時エイと発聲する
4、業の名称  正座二本立業三本の五本を以て編成する
    正座=イ前切(英信流) ロ前後切(無外流)
    立業=イ切上げ(神道無念流) ロ四方切(水鴎流) ハ切先返し(伯耆流) 
5、血振い    各業の終りに刀を右に開きて血振いをする
Ⅱ)昭和52年配布時(昭和52年5月1日配布)全日本居合道連盟 配布)
1、形の名称  全日本居合道刀法
2、礼 法    神前の立礼をせず坐礼を以て神座への礼とする
3、発 声    各業の最後の一刀を斬下す時エイと発声する
4、業の名称  正座二本立業三本の五本を以て編成する
    正座=イ前切(英信流) ロ前後切(無外流)
    立業=イ切上げ(神道無念流) ロ四方切(水鴎流) ハ切先返し(伯耆流) 
5、血振い    各業の終りに刀を右に開きて血振いをする
 
3、発聲を発声と改められている。それ以外同文。
Ⅲ)平成15年発行「全日本居合道刀法解説(第7代会長池田聖昂先生著)
 
1、形の名称  全日本居合道刀法
2、礼 法   :神前の立礼をせず刀の座礼を以て神前の礼とする。
3、発 声   :各業の最後の一刀を斬下す時「エイ」と発声する。
4、業の名称 :(正座二本立業三本の計五本を以て編成する)
    一本目 前切(正座)(英信流より) 
    二本目 前後切(正座)(無外流より)
    三本目 切上げ(立業)(神道無念流より) 
    四本目 四方切(立業)(水鴎流より) 
    五本目 切先返し(立業)(伯耆流より) 
5、血振い   :各業の終わりに刀を右に披いて血振いをする。
 現代漢字に改め、部分的に括弧等によりわかりやすく構成されています。基本とする内容に特に替えられたと思えるところは見当たりません。
 
 実施するに当たっての解説書ですから、現代風に漢字を改めるのも当然でしょう。業について正座と立業に分けて書かれてあったものを、業名の後に正座か立業かを表現され、業の順番も明確に特定されています。
 制定時、「正座=イ前切(英信流)」の表示であったものを「一本目(正座)(英信流より)」の表現の違いは、業を演じる場合の順番を特定し、その業は特定の流を採用した表現から特定の流の業から「いじって」制定した様に読ませています。
 例えば、「前切」は正座でこれは無双直伝英信流の正座の部であり大森流です。英信流であれば立膝です。血振りは英信流を採用しています。
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足2剱當詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
二本目剱當詰
剱當詰
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二て突手を打落引伏セ堅
読み
剱當詰(つるぎあてつめ・けんとうつめ・けんあてつめ・?)
 相手左の手にて我が胸を取る 我が左の手にて其の手首を取る 相手小太刀を抜いて下を突くを 左の膝を少し立て帰りて外し 右の手にて突き手を打ち落し引き伏せ堅む
読み解く

 この「剱當詰」はどう読むのでしょう。「けんとうつめ」「つるぎあてつめ」わかりません。
双方八文字に爪先立ちして坐す処、相手より左の手を伸ばして、我が胸を取る、我は即座に左手で相手の左手首を取る、相手小太刀を抜いて「下を突く」は左膝に突き込んでくるので左膝を「立帰りてはづし」は、左膝を少し左後ろに引いてこれを外すや、右手で相手の突き手を相手の左手を越して打ち落とし、相手の左手の肘に右手を掛けて左脇に引き伏せ固める。

 「立帰りてはづし」の部分を突き込んでくるのでこれを、左膝を後ろに引いて外してみましたが、立て帰るようには見えません。左膝は元々床に着いている、胸を取られた際右足を踏み込んでいるか、・・どのようにするでしょう。
 小太刀を抜いて下に突き込んで来るのを、相手の左手首を握ったまま左手を上に上げ右手で相手の手首を打ち落し、左手を引き下ろして右手を肘に付けて引き伏せ堅める。

古伝は何も示していません。

 この業は、相手の動作に即座に応じるのであって、我から先をとっているようには見えません。組み合って互いに研究するよい例題でしょう。

| | コメント (0)

2017年7月21日 (金)

刀法の解釈の2制定

刀法の解釈
 
2.制定
 
 全日本居合道連盟の刀法の制定について河野百錬先生の昭和37年1962年発行の「居合道真諦」から当時の制定委員及び承認された方達を見てみましょう。
 当時のそうそうたるメンバーによって編成され承認されたもので、其の儘掲載させていただきます。
全日本居合道刀法  百錬述
 全日本居合道連盟は、昭和31年9月18日総会の決議に基き、昭和31年10月7日大阪市四天王寺に於て、各流の師家に依って居合道形制定委員会を開催し、各流より初心者の学び易き最も基本的且つ簡易な業を選び、茲に多年の懸案たりし全日本共通の居合道形を制定し斯道の普及発展に寄与する事となった。
1、形制定月日  昭和31年10月7日制定
2、制定委員
  英信流(長谷川流大森流) 
   範士 河野百錬
   範士 寺井知高
   範士 福島小一
   範士 千葉敏雄
   教士 斎木賢司
  伯耆流
   範士 大野熊雄
   範士 吉沢一喜
   範士 小石昌範
  水鴎流
   宗家 勝瀬光安
  無外流
   宗家 中川申一
 
◉ 編成された形の承認を得たる欠席委員左記
  神傳流
   範士 中山博道
  柳生流
   宗家 柳生厳長
  一刀流
   宗家 笹森順造
  力信流
   範士 大長九郎
  英信流
   宗家 福井春政
   範士 政岡一実
   範士 松田栄馬
   教士 大塚 維
 この制定委員と承認者の面々は戦後の居合道に大きく貢献された先生方で、全日本居合道連盟の輝かしい時代でもあったと思われます。
 全日本剣道連盟が創設され其処に居合道部が新設されたことによって、剣道をするなら全剣連の居合道部へ入れ、と言う様な強引さで全日本居合道連盟は多くの流派と人材を全日本剣道連盟に割かざるを得なかったと推察されています。
 
 竹刀剣道をスポーツに陥らない様に真剣を持っての居合が併設されることに期待感も大きかったと思いますが、竹刀剣道がルールによる打突の判定であれば、どの様にもがいても勝ち負け優先のスポーツに深入りせざるを得ないでしょう。
 真剣を持っただけで、スポーツらしい当てっこ剣道を、真剣による武道の術理と精神性を残して日本のお家芸として存続させる必要はあるのでしょうか。
 如何なるスポーツであっても、究極の処は、心身の全てを駆使し、弛まぬ努力によって勝ち負けを極めるとこでは、精神と鍛え上げた体を駆使する居合とも通ずるものです。
極めようとする極め人は、どの種目においても極める心は同じと思います。
 
 居合の各流派の宗家筋が全剣連の段位に拘る理由はないと思います。同時に全居連に転向して全居連の段位に拘る理由も無いと思います。
 何が何でも、連盟基準に到達し連盟段位が宗家の格をあらわし、其の価値が流派の免許皆伝以上のものであるとするならば、審査基準や審査員の他流にも秀でた知識、実技の資質が要求されてしかるべきでしょう。
 それにしても、全居連の刀法の制定委員と承認者には改めて眼を見張ります。次回以降は実技について、制定時の解説を基に、取り入れた流の基の業を確認し、現代の全居連会長によって指導される業技法の解説を対比し、ある地区の指導者の業技法との整合性を確認して見たいと思います。
 何時如何なる時代においても、同一人が年を経て常に寸分狂わぬ動作など出来るわけも無く、年と共に進化する事は当然でしょう。然しその元になる事の解釈が変化すれば習う者は何をベースにすべきでしょう。
 全居連会長が現在推奨する業技法以外に有り得ない、とするのが全日本居合道刀法の根本原則です。
 指導された通りに出来ないのは、未熟以外の何物でもない事に気が付くべき事です。刀法は各流派から取り入れたものであって其の儘でもなくその心も引き継いではいないと認識し指導されたままの形にあくまでも拘るべきものです。
 全居連に所属し、当代会長の指導を請け其の通りに演じていますと、地区の指導と違うと言う叱責が飛びます。
 流派の業技法に於いては個人的見解も有り得ましょうが、刀法には制定時の解説のままに全居連の最新号の会誌の「刀法の要点」に従い実施すべきです。
 そうでなければ、流派によりばらばらとなって、他流派も認め得る「全日本居合道刀法」にはなりえません。
 不明な処は毎年、当代会長によって行われる「刀法講習会」に参加し直に学び修正をしてゆくものであると思います。
・ 
 此の事は、制定時の河野百錬先生、福井聖山先生、池田聖昂先生の刀法の演武を同時に拝見しても、業の解釈に違いはなく、個人差による動作の範囲での違い以外に取り立てるものでは無いと思います。
 習い覚えた前会長の動作の癖が抜けない様な事では、武術を極めるなどおこがましい事です。
 まして刀法の解説の独創は許されるべきでは無いと思います。
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足2剱當詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
二本目剱當詰
剱當詰
 相手左の手二亭我可胸を取る我可左の手二亭其手首を取る相手小太刀を抜て下を突くを左の膝を少し立帰りてはづし右の手二て突手を打落引伏セ堅
読み
剱當詰(けんあてつめ・けんとうつめ・?)
 相手左の手にて我が胸を取る 我が左の手にて其の手首を取る 相手小太刀を抜いて下を突くを 左の膝を少し立て帰りて外し 右の手にて突き手を打ち落し引き伏せ堅む

| | コメント (0)

2017年7月20日 (木)

刀法の解釈の1序

刀法の解釈
 
1.序
 指導者が変われば業技法の些細な処は変わっても何ら不思議はないし、幾つかは手直しされて進化していくのも何ら不思議でも無いと思います。
 習う者は指導者の教えは現在の指導者に随うのも当然のことで何らおかしい事でもありません。
 
 今回の課題は全日本居合道連盟が昭和31年1956年10月7日に制定、昭和52年1979年5月1日配布の「全日本居合道刀法」の解釈が年を経てある地区では変化している事を分析して見たいと思います。
 そこの多くの高段者は第21代福井聖山先生から講習を受けられています。刀法は意義及び動作は制定時昭和31年当時と変わらず、この改変があるとすれば公に示されたものは全日本居合道連盟第7代会長池田隆聖昂先生による「全日本居合道刀法解説」に見られるもの、あるいは福井聖山先生のビデオによる動作によるものと思います。
 ビデオは、たとえ福井先生の映像であっても、思い通りに演じられないのがどんな達人でもあり得ることで、又ビデオを見て学ぶ者の力量が達していなければ「癖」ばかりを頼りにしてしまうものです。
 次回より数回に分けて、全日本居合道刀法についてその成立過程から五本の業を制定時の解説を基に、現会長の解説書をベースにおいて、ある地区の指導者との違いを整理しておきたいと思います。
 
 ちなみに全日本剣道連盟の制定居合以前にこの全日本居合道刀法は当時のそうそうたる先生方によって編成され当時の日本を代表するような先生方の承認がなされています。
 以後、この解説は、第7代会長によって解説書を出され現代風の文言に改められ、懇切丁寧な解説がされています。
 制定当時の内容は昭和52年配布の際も制定時の儘であり、文言や整理の仕方の改変が微妙に編成時とずれる可能性もあろうかと思いますが、その文言や整理がどのように承認をされたのか手元資料からはわかりません。
 不勉強な部分は、識者の叱責とご指導を賜りたいと伏してお願い申しあげます。
 
参考資料は以下のものを使用させていただきます。
昭和9年1934年発行
       太田龍峰著 「居合読本」
昭和12年1937年年発行
       白石元一著 「大森流長谷川流伯耆流居合術手引」
昭和13年1838年発行
       山内豊健・谷田左一著 「図解居合詳説」
昭和34年1959年発行
       中川申一著 「無外流居合兵法解説」
昭和37年1962年発行 
       河野百錬著 「居合道真諦」
昭和42年1967年再版
       河野百錬著 「大日本居合道図譜」
昭和46年1971年再刊
       川久保瀧次著 「無双直伝英信流居合道の手引」
昭和49年1974年発行
       政岡壱實著 「無双直伝英信流兵法 地之巻」
昭和52年1979年配布 
       全日本居合道連盟「全日本居合道刀法」
昭和55年1982年発行
       平井阿字斎著 「居合道秘伝」
昭和56年1983年発行
       紙本栄一著 「詳解 全日本剣道連盟居合」
平成15年2003年発行 
       第7代会長池田聖昂著 「全日本居合道刀法解説」
平成15年2003年再版
       近代剣道書選集 より江島敬隆著 「伯耆流居合術教本」
平成16年2004年発行
       南野輝久著 「無双直伝英信流居合道覚書」
平成18年2006年発行
       甲斐国征著 「真伝無外流居合兵道
       甲斐国征泰心 「無外流居合兵道」DVD
 
平成19年2007年発行
       堂本昭彦編著 「中山博道剣道口述集」
 
曽田本その2 神道無念流居合
 
第十五代宗家勝瀬善光DVD 「瞬機一刀の理」
 
全日本居合道連盟 会誌 「刀法の要点」
 
第13回刀法講習会DVD
 
第14回刀法講習会DVD
 
三宗家による業の比較「河野百錬先生・福井聖山先生・池田聖昂先生」DVD
 
安永 毅 「伯耆流居合」ビデオ
 
平成10年1998年発行
       江坂静厳編 「居合道新聞抜粋録」
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足1呪巻

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
一本目呪巻
呪巻
 相手左の手二亭胸を取る右之手二亭短刀を抜胸二押當テたる時我左右之手二亭相手の両のひぢを打もぎす具耳相手の右之手首を取て一方の手を比ぢ耳懸てう津む希耳引伏セ堅める
読み
呪巻(のろいまき)
 相手左の手にて胸を取る 右の手にて短刀を抜き胸に当てたる時 我左右の手にて相手の両の肘を打ち捥ぎ 直ぐに相手の右の手首を取って一方の手を肘に懸けて 俯けに引き伏せ堅める
読み解く
 双方爪先立って左膝を床に付け臀部を踵に乗せ、右膝を立て両膝を開いた八文字に坐し相対する時、相手が腰を上げて右足を踏み込み、左の手で我が胸を取り、右手で短刀を抜いて我が胸に押し当てて来る。
 我はその時、腰を上げるや両手で相手の左右の肘を同時に打ち付けもぎ離すや、左手で相手の右手首を取り、右手を相手の右肘に懸け、左脇に引き伏せ固める。
 
 相手を打ち据えるのは我が右手で相手の左肘、左手で相手の短刀を持つ右手が自然でしょう。相手の右手を我が左右のどちらの手でどの様に取るのか、引き伏せるのは我が左側か右側かの指定も有りません。
 我が右手で相手の右手首を取り左手を相手の右手の肘に懸け右脇に俯けに引き伏せる事も出来るでしょう。
 呪巻の業名の名付けられたイメージが浮かばないのですが・・・。

| | コメント (0)

2017年7月19日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足1呪巻

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
一本目呪巻
呪巻
 相手左の手二亭胸を取る右之手二亭短刀を抜胸二押當テたる時我左右之手二亭相手の両のひぢを打もぎす具耳相手の右之手首を取て一方の手を比ぢ耳懸てう津む希耳引伏セ堅める
呪巻(のろいまき)
 相手左の手にて胸を取る 右の手にて短刀を抜き胸に当てたる時 我左右の手にて相手の両の肘を打ち捥ぎ 直ぐに相手の右の手首を取って一方の手を肘に懸けて 俯けに引き伏せ堅める

| | コメント (0)

2017年7月18日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事3小具足序

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
3)小具足
小具足 
両方足を爪立左の膝ヲ付キ右之膝ヲ浮ケテ折ル八文字二坐ス
読み
小具足(こぐそく)
 両方足を爪立 左の膝を付き 右の膝を浮けて折る 八文字に坐す
読み解く

 小具足の座仕方は、現在の立膝(居合膝)の座仕方のようですが、両足の爪先は立てていますので、いつでも変に応じられる体構えでしょう。
 「両方足を爪立 左足の膝を付き右の膝を受けて(浮かして)折る 八文字に座す」八文字は両膝の開いた姿を指しているのでしょう。
 現在の無双直伝英信流の立膝之部の坐し方は、左足は伸ばして、臀部を足の上に乗せ、右足は右側面を床に着け膝は立てて、両膝を開いて坐しています。
 爪先立った八文字の坐し方が、何時でも変に応じる体構えであるとすれば、現代風は休息の態勢でしょう、変に対しては爪先立てばよいものです。

 小具足とは簡単に
  1. 甲冑の鎧・兜・袖鎧以外のものを指す。籠手や脛当。
  2. 柔術・和のひとつ。
  3. 竹内流は、天文元年(1532年)、美作国一ノ瀬城主竹内中務大輔源久盛によって創始された。居合の始祖と云われる林崎甚助重信が神夢想林崎流を起こしたのが永禄二年1559年(居合振武会 林崎明神と林崎甚助重信より)です。
  4. 小具足術には最古の柔術流派と言われる、竹内流がある。開祖竹内久盛は「この術を身につければ、短刀を帯びたのみで小具足姿と同じように身を護れる」とした。

 神傳流秘書の書かれた時代が何時であったか明確ではないのですが、第九代林六太夫守政(寛文年1662年~享保17年1732年)によって土佐にもたらされ、第十代林安太夫政詡(安永5年1776年没)が覚書していると思われます。
 夏原流の発生は皆目見当が付きませんが、竹内流などから派生したのか、あるいは参考に組み立てられたのではないかと推察しています。
 それを第七代長谷川英信が林崎甚助重信公の居合に組み入れ第八代荒井勢哲が林六太夫に伝授したのであろうと思います。

| | コメント (0)

2017年7月17日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事3小具足序

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
3)小具足
小具足 
 両方足を爪立左の膝ヲ付キ右之膝ヲ浮ケテ折ル八文字二坐ス
読み
小具足(こぐそく)
 両方足を爪立 左の膝を付き 右の膝を浮けて折る 八文字に坐す
 
 

| | コメント (0)

2017年7月16日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合11水車

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
十一本目水車
水車
 行□り二(行違いに 曽田メモ)相手の胸を右の手二亭逆手二取左の手二亭相手の前の帯を取り組入扨相手突掛るを支ニ後能膝を突其拍子二我可右の脇へ那希る
 以上十一
読み
水車(すいしゃ)
 行違いに(?)相手の胸を右の手にて逆手に取り 左の手にて相手の前の帯を取り組入る 扨 相手突き掛るを機に 後の膝を突き其の拍子に我が右の脇へ投げる
 以上十一
 この業は正面から行き違う様ですから、原文の「行□り二」(行違いに 曽田メモ)としても良さそうです。
 「突掛るを支ニ」については河野百錬先生は「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「突掛るを幸に」とされていますがここは「突き掛るを機に」が正しいと思います。
読み解く
 水車は、双方歩み寄って、行き違いに我から相手の胸を右手で逆手に取り、左手で相手の前帯を取って、相手が突っかかって来る拍子に後足を床に着いて身を沈め我が右脇に投げる。

 稽古では「逆手に取り」「前の帯を取り」のように取るは、つかむ、握る、抑える、触れるいろいろに解釈し「相手突掛るを機に後の膝を突其拍子に」を最も有効に利かせるものを手に入れるべきものでしょう。

 業名が水車ですから、この業は右脇に引き倒すのではなく、一回転させるように仰向けに投げ倒すのかもしれません。機を捉える拍子がポイントでしょう。

 前回の十本目追捕は後ろから行き過ぎる際に懸ける業、十一本目水車は前から行き違う際の業と考える方が自然でしょう。但し、この「立合」は「立合 皆相掛」と書き出しに有ります。
 そうであれば、十本目追捕は行き違って我は振り返り「相手の背中を我可両手二亭一寸突・・」でなければならないでしょう。然し其の前の九本目杉倒は「後より行亭相手の両の肩を我か両手二亭取り・・」です。さて・・・。「皆相掛り」では無いような・・古伝はおおらかに解釈しましょう。

以上で立合十一本は終了です。

| | コメント (0)

2017年7月15日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合11水車

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
十一本目水車
水車
 行□り二(行違いに 曽田メモ)相手の胸を右の手二亭逆手二取左の手二亭相手の前の帯を取り組入扨相手突掛るを支ニ後能膝を突其拍子二我可右の脇へ那希る
以上十一
読み
水車(すいしゃ)
 行違いに(?)相手の胸を右の手にて逆手に取り 左の手にて相手の前の帯を取り組入る 扨 相手突き掛るを機に 後の膝を突き其の拍子に我が右の脇へ投げる
 以上十一
 この業は正面から行き違う様ですから、原文の「行□り二」(行違いに 曽田メモ)としても良さそうです。
 「突掛るを支ニ」については河野百錬先生は「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「突掛るを幸に」とされていますがここは「突き掛るを機に」が正しいと思います。
 
 
 

| | コメント (0)

2017年7月14日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合10追捕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
十本目追捕
追捕
 後より行□り二相手の背中を我可両手二亭一寸突其儘下り足をを具りう川む介耳た於春
読み
追捕(ついぶ・ついほ・おいとり)
 後ろより行き違いに 相手の背中を我が両手にて一寸突 其の侭下り 足を送り 俯けに倒す
 「後より行□り二」は河野百錬先生の「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「後より行違いに」とされています。
 曽田先生の手書きでは、次の十一本目の水車で同じ「行□り二」を「行違いに」と訂正メモをされています。前後の文字から「行き摺(摩)りに」と読むことも出来そうです。
読み解く
 この業は「追捕」ですから追いかけて行って捕える、という意味でしょう。
 相手の後ろから近づき「行□りに」は追い越す間際にでしょう、相手の背中を我が両手で一寸突いて、相手にはっとさせておいて、直ぐに身を沈めて相手の両足を掬い取って俯けに倒す。

 「行□り」は後ろから近づいて「相手の背中を我が両手にて一寸突」ですから「行違い」も「擦違い」も「追い越し」てもいないでしょう。□の草書が読めません。
河野先生は「行違い」と読まれていますが、「乱」の草体に近いですから「違」には当たりません。それに、後ろから歩み寄って背中を両手で一寸突く雰囲気は出せませんので、河野先生が無理やり読まれた「違」では手附が成立しません。

「を具り」は「送り」です。
河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「そぐり」と書いていますが曽田先生の直筆では、「を」を「そ」には読めませんのでここでは「送り」としました。
「おぐり」は、何処かの方言か既に死語となった意味不明な単語ですが状況から、掬い取る様にしてみました。

 古伝を原書のまま読んで少しは読みが解るかも知れませんが、当て字・癖字・誤字も有る筈です。
 荒井勢哲の口伝を、林六太夫が受け、林 安大夫が神傳流秘書として書き残し、それを山川幸雅が書き写し・・曽田虎彦が書き写しですから誤った文字も見間違い、聞き間違いもあるでしょう。
 業技法は、指導される方の体格、癖、力量や哲学にも依って様々に変わってしまいます。  文字は約束された形と意味を持つのですが楷書はまずまずですが草書ではかなり形に癖が混入し判読が厄介です。

 この様な相手の背中を一寸突いて気を背中に寄せさせて、ハッとしたところ下から掬う様な業は、稽古をして見ても申し合わせでは滑稽な感じになってしまいそうです。
 形稽古を、武術だと拘り過ぎてごちごちに演じた動画を見ますが力を抜き、緩やかに稽古するものでしょう。
 古伝は手附を原文で読んで、自らの力で読み解き、動作に転換する事がポイントでしょう。
居合と和は別物と考えずに、居合の稽古で身に付けた仮想敵を想定しての攻防の動作でかなり出来るはずです。

  

| | コメント (0)

2017年7月13日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合10追捕

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
十本目追捕
追捕
 後より行□り二相手の背中を我可両手二亭一寸突其儘下り足をを具りう川む介耳た於春
読み
追捕(ついぶ・ついほ・おいとり)
 後ろより行き違いに 相手の背中を我が両手にて一寸突 其の侭下り 足を送り 俯けに倒す
 「後より行□り二」は河野百錬先生の「無双直伝英信流居合兵法叢書」では「後より行違いに」とされています。
 曽田先生の手書きでは、次の十一本目の水車で同じ「行□り二」を「行違いに」と訂正メモをされています。
  

| | コメント (0)

2017年7月12日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合9杉倒

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
九本目杉倒
杉倒
 後より行亭相手の両の肩を我が両の手二亭取り腰を足尓て踏ミ阿をの希ニかへ須
読み
杉倒(すぎたおし)
 後ろより行きて 相手の両の肩を我が両のてにて取り 腰を足にて踏み 仰のけに返す
読み解く
 この業名は杉倒です。切り倒される杉の木を想像してしまいますが、杉にこの業をかけたら押しつぶされてしまいます。

 後ろから相手の立つ所へスカスカと近寄り、相手の両肩に両手を掛けるや、腰に足を掛けて相手を仰のけに引き倒す。

 立合は「皆相掛」ということですが、こゝでは我が方から一方的にしかも後ろから仕掛けて行きます。何度も言いますが、古伝は決して相手の害意を察して機先を制するなどと言うものでは無さそうです。
 勝機は逃さないのが兵法であって、戦う以前に戦わなければならない事が前提なのです。

 柳生新陰流の但馬守の「兵法家伝書」の冒頭は、古にいへる事あり「兵は不祥の器なり。天道之を悪む。止むことを獲ずして之を用ゐる、是れ天道也」と、此のこと如何にと・・。

| | コメント (0)

2017年7月11日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合9杉倒

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
九本目杉倒
杉倒
 後より行亭相手の両の肩を我が両の手二亭取り腰を足尓て踏ミ阿をの希ニかへ須
読み
杉倒(すぎたおし)
 後ろより行きて 相手の両の肩を我が両のてにて取り 腰を足にて踏み 仰のけに返す
 

| | コメント (0)

2017年7月10日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合8打込

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
八本目打込
打込
 気乗り二相手打込を右之手二亭請留う津む希二引た於し詰る
読み
打込(うちこみ)
 気乗りに相手打込むを 右の手にて請け留め 俯けに引き倒し詰める
読み解く
 気が乗った時に、相手が小太刀を抜いて打ち込んでくるのを、相手の右手首を右手で請けるや相手に付け入って左手で相手の肘のかがみを巻き込んで、右手で相手の手首を固め右廻りにうつむけに引き倒し詰める。
 気分の乗った処で相手袈裟に打ち込んで来る。或は、気分の乗った処で相手右拳で我が顔面に打込んで来る。

 河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書ではこの夏原流和之事立合「打込」の書き出しのを「気乗りに相手打込むを右の手にて請留伏向に引倒し詰る也」とされています。大江先生に続く大家の読みですからそうとも取れます。「気乗り」は「気素」とも読めるのですが「気乗りに」でしょう、草書体に泣かされます。
 河野先生の古伝の元は曽田先生による神傳流秘書によります。「うつむけ」を伏向と書き改めていますが意味は通じますが、漢字ならば俯けでしょう。

| | コメント (0)

2017年7月 9日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合8打込

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
八本目打込
打込
 気素二相手打込を右之手二亭請留う津む希二引た於し詰る
読み
打込(うちこみ)
 袈裟に相手打込むを 右の手にて請け留め 俯けに引き倒し詰める
 

| | コメント (0)

2017年7月 8日 (土)

第六回古伝研究の集いを終えて

第六回古伝研究の集いを終えて
 
 6月25日日曜日に終えた、第六回古伝研究の集いも何時もなら当日夜から「振り返り」を書き出すのですが、その日は我が道場の通常稽古日ともあって、かけもち稽古でした。
 翌日からチョット旅に出る約束があって戻ってきたのが7月3日月曜日です。ようやく筆を執りました。
 
 古伝研究会の後に続く我が道場では、一通りそろい踏みの刀法・正座・抜刀法を終えると、ぞろぞろ木刀を持ちだし道場の隅に集まって組太刀を始めだしました。
 「あれ!」残っているのは私と、膝の悪いもう一人、そしてご高齢の道場長。
 私はのけ者にされたようです、彼らは道場の隅に遠慮がちです。道場の中央は大きく空いたまゝでした。
 
 やれやれ、もうじき来る夏季講習会の組太刀稽古に合わせ、付け焼刃の手習いを道場長の許しを得て英信流居合道形の地区独特動作の稽古を個人的にするそうです。
 その割にはほとんどが何時も持ってきていない木刀持参です。事前に話し合っていたとしか思えません「だったら、道場の正式稽古として中央で大きく広がってやれよ」、と思うのですが何故かこせこせとして締りの無いものを感じます。
 地区の組太刀は元々、第21代福井聖山先生のビデオから地区の誰かが工夫された独特の居合道形です。
 鍔付き木刀を鞘無しで帯に差します。
 これはどこか変ですが、誰も其の謂れを知らない不思議です。
 鍔はともかく鞘無しは誰がそうしたのか、もともと土佐の組太刀は仕組みと云い「鞘付き木刀」と指定されています。
 刃引きの真剣も使われていた様ですが、日本刀は数回打ち合えば復元に耐えない程の刃こぼれになります。
 
 「形はたとえ刃引きであっても真剣で打ちあえば刃こぼれする、復元は不能となる、霊器日本刀を粗雑にする土佐の居合の形はおかしい、剣道型の方がまだまし」という様な事を仰って戸山流の祖中村泰三郎先生は刀の打ち合わない形を考案されています。
 確かに、土佐の形は、刀で受け太刀となる「かたち」が多すぎます。受け太刀は待ちの姿勢となり居付きの原因ともなります。
 これはかなり程度の低い形と考えられ、初心者向けのものと云えるでしょう。稽古を積んでさらにこの形を昇華させざるを得ません。
 申し合わせの形を良しとしているようでは何年やってもあまり効果は期待できそうにありません。
 
 真剣で演武会などで演じるのは、形を見世物にした武的演舞ですからそこに見るべきものなど少しもありません。「かっこよく踊ってろ」でしょう。
 
 鍔は、地区では絶対条件で打ち合った時、木刀が流れて小手を傷つけるというのです。古流剣術ではかえって、真向打ち合いでは相手の鍔による小手への損傷を考慮し鍔無し木刀で稽古します。間と間合をわきまえれば、地区風の心配など少しもありません。
 
 形は第17代大江正路先生が古来の形を中学生向けに改変して独創されたものです。従って「無双直伝英信流居合道形」というのが正式名称で七本の業によって成り立ちます。
 第20代河野百錬先生が大日本居合道図譜でこの大江先生の「無双直伝英信流居合道形(太刀打の位)」と括弧書きしてしまいました、その後のこの組太刀を無双直伝英信流の河野先生に師事されたところでは「太刀打之位」と呼んでいます。この地区風も是を「太刀打の位」と言い切っています。
 次いでですから無双直伝英信流正統会の組太刀は第17代大江正路の古伝太刀打之位を中学生向きに改変したもので、その解説書は以下の通りです。
 
 ・大正7年1918年発行堀田捨次郎著大江正路監修「剣道手ほどき(付録)」
 ・昭和13年1938年発行河野百錬著「無双直伝英信流居合道」
 ・昭和17年1942年発行河野百錬著「大日本居合道図譜」
 ・昭和40年1965年発行野村譲吉凱風著「無双直伝英信流居合道の参考」
 ・昭和41年1966年発行川久保瀧次著「無双直伝英信流居合道の手引」
 ・昭和44年1969年辻川新十郎記「宇野又二先生伝無双直伝英信流居合」
 ・昭和55年1980年発行大田次吉著「土佐英信流」
 ・昭和55年1980年発行「平井阿字斎著「居合道秘伝」
 ・平成2年1990年第九回無双直伝英信流居合道全国大会講習会資料「太刀打之位」
 ・平成3年1991年福井虎雄聖山著「無双直伝英信流之形」
 ・平成14年2002年山越正樹編集「京都山内派無双直伝英信流居合術」
 
 古伝による「太刀打之位」は十一本の業で風格のある剣術と言えます。力任せに打ち合っている動画も見られますが、あれでは気品も無く真似したいなど思う事も有りません、 それでも近年は、大江先生の「無双直伝英信流居合道形」を打たず、古伝「太刀打之位」を打たれる道場の方が多い様に思えます。 いずれ又この分析を公開したいと思います。
 
 古伝研究会で、古文書を読んで動作を特定し、詰合をやってきたばかりです。この古伝「詰合」ですが、業数十本、これも明治以降の「詰合之位」十一本とは異なります。
 今日の私の刀袋には木刀やら袋竹刀やら組太刀道具一式がぎっしり詰まっています。取り残されて道場長と柳生新陰流の「合し打ち」と、一刀流の「切り落し」の話しをしながら木刀でその奥の深さを二人して味わっていました。
 
 「わしも十年でも若かったらなー」と、今少しで米寿を迎えられる先生は、お元気乍らも「体力の衰えを感じる」と仰りながら眼をキラキラと輝やかせておられました。
 
 地区風では、何処かおかしいのです。形の意味を能く知らない者がいじり廻してしまっています。
 当地区の僻み根性の一つでしょうか、当代宗家の業を学ばず、先代の業に固執する怠け者がうようよいます。
 自ら学び尽くして良し悪しを見極める本物を求める気風が欠けているのでしょう。
 影響力の強い指導者に引っ張られたか、自分の信念を貫くには、この地区は「居場所がないと不安でならない」日本人の最も標準的気質で弱虫のくせにはったりばかりの地区かもしれません。
 第六回古伝研究会へ戻りましょう。
 今回は特に遠方の地方から来られる方も無く、いつものメンバーとその門弟の方が来られています。通常稽古日を利用し稽古に来られたわけで、初心者からベテランまで混じっておられます。
 詰合ですから立膝の坐し方までもまだ初心の様な方もおられます。前回の詰合の残りを進めるわけにはいきません。
 一本目「発早」から六本目「位弛」まで、三時間の稽古でそれぞれの方々の出来栄えはいつの間にか見違えるほどの「かたち」になって来ています。
 形の手附を覚えて諳んじ、刀の持ち方、手の裡、運剣操作、足の運び・・基礎的な事は次回やればさらに進化するに充分です。
 
 「何!。詰合を初心者に教えるなど無謀だ」。ですか。
 武術の教えを初伝から奥伝へと順番を追って行く指導法は、一見理屈では当然と思えるのですが、私も此処の仲間も2、3年で奥居合まですべて習い覚えて業名一つでどの業もこなしたものです。
 私を指導された漫画家の田中正雄先生は多くの武道を経験され、八十過ぎの御身体で膝腰を痛められながら、躊躇なくいかなる業技法もお教え下さいました。
 正座の部一本目前は土佐の居合の根源の業です。
 何年たっても完成と言える気がしません。其ればかり十年抜いてみてもどれほどの進歩が得られるでしょう。あらぬ教えの呪縛は自ら研究して乗り越えざるを得ません。
 この田中先生も様々な武術を積み上げて最後に到達したのが居合でしょう。コツコツと身に付けられたのでしょう。第21代福井聖山先生の教書は至る所マンガ入りの覚書で埋まっていました。
 コツがつかめずに横一線に抜いていますと、立業の抜刀法の「順刀其の1や2」を抜かせ、立膝の「横雲」も抜かせます。ついでに「霞」も習った様に覚えています。
 それらは皆横一線の抜き付けから始まり、正座でコツをつかめなくとも他の業によっても得られる事を示唆しています。
 
 今日の稽古を見ていますと、知育・体育の個人差があってそれぞれです。それを見抜いて指導される人にあった個別英才教育が居合には最も有効と思われます。詰合は太刀打よりも居合の呼吸を学ぶには有効です。初心者でも他の武術の経験者ならば「かたち」だけならすぐにできるでしょう。
 
 どこの道場に行っても稽古人数は10名前後、ひどいのはそれ以下です。十羽一絡げによる安易な稽古法はあたら名人となるであろう人材を失う事になるかも知れません。
 
 余談ですが、私の書道教室も生徒は自分の机に座ったまま、書いたものを何枚も机に積み上げて有ったり、今まさに手本を見ながら書き込んでいる最中であったり、私は巡回しながら反故を拾って見て廻り、同じ過ちの繰り返しに気付いてもらい、共に書き比べをしたりしています。
 私が正面の離れた机に座って、生徒が「是が今日の一番」の作品を見せに来るのを待つようなことはして居ません。その上朱の訂正など大嫌いです。
 15人ぐらいまでは2時間もあれば充分見て廻れるものです。それもそれぞれが別の課題を勉強中であってもです。その代わり私は「へとへと」になります。
 
 現代の流の武術は名人上手、達人を育て、その業と心を次世代へ伝承すべきものです。
 習う者も心の中では達人を自らの目標とし、しかも萎縮せずのびのびと、真実を楽しみ、何故そうするのか良く聞き理解し、力を抜いて、ゆるゆるとして頑張らない事でしょう。 そしてのって来た時は無我夢中で修錬すべきものです。
 
 棒振り体操で健康維持も人それぞれですが・・・。
 
 此の時代、刀を持って白兵戦での斬り合いなど考える事すらばかげています。
 刀を振り上げ上官の「突撃!」の号令で誰が自動小銃の標的になりますか・・・。そんなウソの頑張りに合わせる必要はありません。
 武道の根源を求める剣士を目指す稽古法は、いたずらに棒振りの数に拘らず、棒振りの術理を解かり、励むうちに、ふっと奥義に目覚めるはずです。
 そして武術は終生現役でありたいものです。力や速さでは若者に勝てるわけはないでしょう。如何に無駄のない動きを手に入れる事です。若かりし昔を偲んでばかりで、引退することは武道には有り得ません。体が動かなくとも武道は出来るはずです。
 今日の古伝研究会に、それぞれの門人方のレベルに構わずお連れになった先生の、懐の深さに頭が下がります。
 自分の門人を、他人に預ける事は並の人には出来ない事です。「弟子たる者師匠の出来ない事でもやれ」と言われた太田次吉先生の言葉を思い出しています。
 
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合7燕返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
七本目燕返
燕返
 玉簾の通り我が指を取り折付引かんとす類を其侭付入っ亭中二入倒す
読み
燕返(つばめかえし)
 玉簾の通り 我が指を取り折り付け引かんとするを 其の侭付け入って中に入り倒す
参考 玉簾の通り
 相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指をにぎり躰を入っ亭(相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰を抜希亭引廻す)
読み解く
  燕返は玉簾の様に我が左右の手の指を相手が取り上に折上げ、引き倒そうとする処、相手の引くに任せ、相手の手を親指で握り込み其の儘相手に附け入って体を密着させ押し倒す。

 玉簾も燕返も、抜けが多くて「これでどうだ」と云い切れない様な感じもしますが、技をあえて細かく云わない処が古伝のおおらかな処と解釈して、あらゆる可能性を追求して稽古する事に意義ありとすべきでしょう。

 決められた形を順序良くやって見ても、相手の状況によっては意味なしの場合があるものです。此の場合も、指を制せられて、折り上げられ引き落とされそうになるのに附け入って相手の手を握り締めて足を絡めて仰のけに倒す事も出来るでしょう。附け入れば倒す方法が見つかるものです。

| | コメント (0)

2017年7月 7日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合7燕返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
七本目燕返
燕返
 玉簾の通り我が指を取り折付引かんとす類を其侭付入っ亭中二入倒す
読み
燕返(つばめかえし)
 玉簾の通り 我が指を取り折り付け引かんとするを 其の侭付け入って中に入り倒す
参考 玉簾の通り
相手我が左右之指を取り上へ折上類処を此方より其親指をにぎり躰を入っ亭(相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰を抜希亭引廻す)
 

| | コメント (0)

2017年7月 6日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合6玉簾

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
六本目玉簾
玉簾
 相手我が左右の指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きり躰入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す
読み
玉簾(たますだれ)
 相手我が左右の指を取り 上へ折り上げる処を こちらより其の親指を握り 体を入って相手の手をひきもじ 指を肩に懸けて 相手の左の手を前へ取り 体を抜けて引き廻す
読み解く
 この業名は玉簾(たますだれ)です。南京玉簾は大道芸で見ることもなくなったものですが、ひねると形が変わったりして楽しませてくれます。この捻りを業名に被せたのでしょう。

 双方歩み寄る処、相手より我が左右の手の指を取って上に反らせる様に折り上げる、其の時我の方から相手の親指を握りこんで体を相手に密着させて、手を引いて相手の握って居る手を逆に引く様にして「引もじ」ひきねじり指を自由にして、左手を相手の肩に懸け、「相手の左の手を前へ取り体をぬけて引廻す」の処は、右手で相手の左手首を取って体を左に廻し乍ら引き廻し倒す。

「体をぬけて引廻す」の処は沈み込んでとも取れるし、後ろに廻り込む様にとも取れます。
現存する合気の業などに、このような指を返される業は、甲手返し、木葉返しなど幾つもある様です。

| | コメント (0)

2017年7月 5日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合6玉簾

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
六本目玉簾
玉簾
 相手我が左右の指を取り上へ折上類処を此方より其親指を尓きり躰入っ亭相手の手を引もぢ指を肩二可希亭相手の左の手を前へ取り躰をぬ希亭引廻す
読み
玉簾(たますだれ)
 相手我が左右の指を取り 上へ折り上げる処を こちらより其の親指を握り 体を入って相手の手をひきもじ 指を肩に懸けて 相手の左の手を前へ取り 体を抜けて引き廻す
 

| | コメント (0)

2017年7月 4日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合5車附

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
五本目車附
車附
 支劔の通り胸を取るを我左の手二亭取り扨相手突むとする我右の手二亭留す具二入っ亭中に入る倒す
読み
車附(くるまつき)
 支劔の通り胸を取るを 我れ左の手にて取り 扨 相手突かんとする 我れ右の手にて留め 直ぐに入って中に入り倒す
参考 
支劔の通り胸を取る
 相手我が胸を左の手二亭取る・・(我可右の手二亭其手首を取り) 
読み解く
前回の支劔の様に相手が我が胸を左手で取る、我は今度は左手で相手の手首を取って制する。
相手右手拳で突こうとするのを、扨 我は右手で其れを請け留めて直に中に附け入って倒す。

扨、以降が良くわからない文章ですが、相手が右手で突き込んで来ようとするのを、右手で請け留め、相手の懐に入って、背負い投げとしたいのですが、左脇へ引き廻し倒すが無難でしょう。
 何も書かれていませんから自由に状況に応じて対処する処です。

| | コメント (0)

2017年7月 3日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合5車附

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
五本目車附
車附
 支劔の通り胸を取るを我左の手二亭取り扨相手突むとする我右の手二亭留す具二入っ亭中に入る倒す
読み
車附(くるまつき)
 支劔の通り胸を取るを 我れ左の手にて取り 扨 相手突かんとする 我れ右の手にて留め 直ぐに入って中に入り倒す
参考 
支劔の通り胸を取る
 相手我が胸を左の手二亭取る・・(我可右の手二亭其手首を取り) 
 
 
 

| | コメント (0)

2017年7月 2日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合4支剱

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
四本目支劔
支劔
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支劔(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す
読み解く
 前回の三本目裙取は我から相手の胸を取って押したのですが、今度は、相手がわが胸を左手で取る(つかむ)、我は右手でわが胸を掴んでいる相手の左手首を取る。
相手は右拳で打ち込んで来るので我は左手で其れを請け止め、右手を相手の肘のかがみに外側から巻き懸けて相手の肘を折る。
普段の稽古では引き廻して倒す。

 「相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折」ですが、我が左手は相手の打ち込む右手を請け止めて制し、右手は相手の左手首を取っています。その右手を放し相手の右手の肘のかがみに外より懸け肘折りする。
 我が右手は相手の左手首を持ったまま相手の右肘のかがみに懸ける事も相手次第で可能です。右手を相手の左手から離して相手の右肘のかがみに懸けるのも可能です。
いずれも、骨折させてしまいそうです。

 常の稽古では、相手の左右の手を取った状態で左廻りに引き倒すでしょう。

 

| | コメント (0)

2017年7月 1日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合4支剱

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
四本目支剱
支剱
 相手我の胸を左の手二亭取る我可右の手二亭其手首を取り相手右の手二亭打込を我か左の手二亭請留右の手を相手のひぢの可ゞ美二外より懸向へ折常の稽古二ハ引廻した於春

読み
支剱(しけん)
 相手我の胸を左の手にて取る わが右の手にて其の手首を取り 相手右の手にて打込むを我が左の手にて請け留め 右の手を相手の肘の屈みに外より懸け向うへ折る 常の稽古には引き廻し倒す

| | コメント (0)

2017年6月30日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合3裙取

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
三本目裙(裾?)取
同(?)相手の胸を我か右之手に亭押相手阿らそふ亭前へ押懸るを支ニ我可左の手二亭合手の右の足を取り右の手二亭相手のうなしを取っ亭う津む希に引た於す
読み
裙取(もすそとり・すそとり(裾取))
 同(2本目の無想の行き合い二?)相手の胸を我が右の手にて押し 相手争うて前へ押し懸るを機に 我が左の手にて相手の右の足を取り 右の手にて相手のうなじを取って俯けに引き倒す
読み解く
 業名は裙取(もすそとり・すそとり(裾取))です。書き出しは「曰(?いわく)と間違えそうな「同」の文字です」この一字は、河野先生の「無双直伝英信流居合兵叢書」では「同」です。原本が世に出た時に確認しましょう。

 立合の業ですから双方歩み寄り、我から相手の胸を右手で押す、相手押されじと争って前に押しかかって来る拍子に、沈み込んで相手の右足を左手で掬い取り、右手を相手の首に廻して、左脇か右脇、若しくは前にうつむけに引き倒す。

 業名の裙取(裾取)は沈み込んで我が左手で相手の右足の裾付近を掬い取る処から付けられたと思える業です。「あらそふて前へ押懸るをきに」の拍子をとらえて行うのでしょう。

| | コメント (0)

2017年6月29日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合3裙取

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
三本目裙(裾?)取
同(?)相手の胸を我か右之手に亭押相手阿らそふ亭前へ押懸るを支ニ我可左の手二亭合手の右の足を取り右の手二亭相手のうなしを取っ亭う津む希に引た於す
読み
裙取(もすそとり・すそとり(裾取))
 同(2本目の無想の「行き合い二」?)相手の胸を我が右の手にて押し 相手争うて前へ押し懸るを機に 我が左の手にて相手の右の足を取り 右の手にて相手のうなじを取って俯けに引き倒す

| | コメント (0)

2017年6月28日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合2無想

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合
二本目無想
無想
行合二相手の足を取り送り右之手二亭膝を押の希てた於春

読み
無想(むそう)
 行き合いに 相手の足を取り送り 右の手にて膝を押しのけて倒す
読み解く
 業名は「無想」何も思わずにと云うのでしょう。「行合」ですから、双方立って行き合う、所謂歩み寄る時、我はふっと身を屈め左手で相手の右足を取って引き上げるようにして送り込み、「右之手二亭膝を押の希てた於春」ですから此処は、右手で相手の左足の膝を押し除ける様に引き込み相手を仰向けに倒す。
 相手の右足膝を左手で抱え込んで送り出すや否や、右手で相手の左膝を掬う様に引き込めば相手は仰のけに倒れるでしょう。
 此処は、左手で・・相手の右出足を取る・・でよいでしょう。相手は左の後足で片足立ちになってバランスを崩しながら後ろに下がる処を「右の手にて膝を押のけ倒す」とやってみました。相手の足は右とも左とも指定されていません。古傳はおおらかですが読み解けばこんな処が自然でしょう。

 業名は無想です。想うこと無くさっと繰り出すのでしょう。あまり業名に固執するのも特定の状況に居付いてしまい良くない様ですが、此処はあれこれ思い巡らさずに繰り出すのが良さそうです。

 「相手の足を取り送り」のところは、「送り」か「急耳」か文字の判読が良くわかりません。
河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「行合に相手の足を取り急に右の手にて脺(せつ・そつ)を押のけてたおす」「急」と読まれています。

 然し此処は「送り」であって「急耳(きゅうに)」ではないでしょう。
もう一字「脺」の文字ですが之は「膝」で誤字でしょう。曽田本の中に時々出てきますが「脺」は、そつ、せつ、すいとか読んで意味はもろい・よわいでしょう。膵臓の膵臓の膵の字を「脺」に当てていたりしているのも有ります。

 古文書は、書かれた人の知識次第で正しい文字があて字になっていたりします。それを書き写す場合も又その人の能力の範囲で変化してしまいます。ですから、凡てを信じる訳に行きません。
 原書と対比して見る事が出来たとしても書かれた人の思いが100%伝わる事は無いかも知れません。
 しかし、古伝の教えは繰り返し稽古しその項目の業を全て稽古し終った時に、新たな発見をする事も有り得ます。効を焦って、習い覚えているより良い業を繰り出して、古伝を越えたと思ってはならないと思います。出来るだけ忠実に手附通りにやってみる事がポイントです。手附通りに業が繰り出せない場合は、先ず己の未熟さを思うべきでしょう。

 思いつくままに・・

| | コメント (0)

2017年6月27日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合2無想

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合
二本目無想
無想
行合二相手の足を取り送り右之手二亭膝を押の希てた於春

読み
無想(むそう)
 行き合いに 相手の足を取り送り 右の手にて膝を押しのけて倒す
 

| | コメント (0)

2017年6月26日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事2立合1行違

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
2)立合 皆相掛
一本目行違
立合 皆相掛
行違
 左脇を行違ひさ満二我か左の手二亭相手の左の手を取り右の足二亭相手の足を蹴類と一拍子二後へ引た於春但た夫婦さを取る処を常ハ肩を取る也
読み
立合 皆相掛 (たちあい みなあいがかり)
行違(ゆきちがい)
 左脇を行き違いさまに 我が左の手にて相手の左の手を取り 右の足にて相手の足を蹴ると一拍子に後ろへ引き倒す 但 たぶさ(髻)を取る処を常は肩を取る也 
*読み解く
 夏原流和之事の二項目は立合です。双方立って歩み行く相掛りの攻防です。
 一本目行違
 此の立合も我から仕掛けています。相手の左脇を行き違い様に左手で相手の左手首を取り、後ろに廻り右足で相手の足を蹴ると同時に右手でたぶさ(もとどり、曲げの集めて結わえてあるところ、てぶさ、)を掴んで後へ引き倒す。
 但し普段の稽古では、たぶさを取らず相手の肩を掴んで後ろへ引き倒す。実戦では、右足で相手の後ろ足を蹴って、右手でたぶさを掴んで、左手も引いて引き倒す。
 引き倒した後のとどめは、記載されていません。

 「左脇を行違さまに」ここでは相掛りですから双方が歩み出合うわけです。従って相手は、我が左脇を行違うのです。左手どうしが行き違いです。

右の足にて相手の足を蹴る」は相手の右足でも左足でもいいのでしょう。

参考
 行違は、行きちがうこと、すれちがうこと、くいちがうこと、手筈が狂うこと・・。行き来する、行き交う、互いに違った方向に行く、すれちがう、物事がうまく行かなくなる・・。
 擦違は、擦れ合って通りすぎる、きわどいところで行き違う。
 摺は、たたむ、ひしぐ、する、すり。紙や布を折りたたむ、ひっぱて折る、印刷する。

 この、夏原流和之事の二項目目の立合についても、前回の捕手和之事同然に、南山大学の榎本鐘司教授の「北信濃における無雙直伝流の伝承について」のレポートから資料Ⅳ「無双流和棒縄居合目録」天明3年1783年大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持の目録を見てみます。

 項目は「立合」初めに無双流・・目録、括弧内を夏原流和之事とします。

 行違(行違)・夢相(無想)・爪捕(裾取)・志けん(支剱)・車附(車附)・玉簾(玉簾)・打込(打込 但し7本目燕返の後にあり)・燕返シ(燕返)・廻たおし(杉倒)・天狗たおし(ナシ)・追捕(追捕)・八幡大菩薩(類似業名ナシ 但し11本目水車)以上です。

 これらの業が、長谷川英信、荒井勢哲をへて北信濃に伝わって滝沢登愛が指導していた様です。年代的には土佐の第9代林六太夫守政の生没が寛文2年1667年生~享保17年1732年没ですから、この北信濃の目録は天明3年1783年の事ですから林六大夫の没後50年を経ています。長谷川英信あるいは荒井勢哲に直に指導されていなくともその弟子とは江戸で接触した可能性はあるでしょう。

 業名の似かよった事だけで、推測する事は出来ませんが、北信濃に有るかも知れない業手附と業名を対比し夏原流和之事の土佐への伝播が見えるかもしれません。

 史的考察はここまでとし、総合武術として書き残された土佐の古傳神傳流秘書の業技法を研究し、現代居合では得られないかもしれない武術の心持ちを求めて稽古する事を優先します。

 

 

 

| | コメント (0)

2017年6月25日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事2立合1行違

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
2)立合 皆相掛
一本目行違
立合 皆相掛
行違
 左脇を行違ひさ満二我か左の手二亭相手の左の手を取り右の足二亭相手の足を蹴類と一拍子二後へ引た於春但た夫婦さを取る処を常ハ肩を取る也
読み
立合 皆相掛 (たちあい みなあいがかり)
行違(ゆきちがい)
 左脇を行き違いさまに 我が左の手にて相手の左の手を取り 右の足にて相手の足を蹴ると一拍子に後ろへ引き倒す 但 たぶさ(髻)を取る処を常は肩を取る也 

| | コメント (0)

2017年6月24日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事11鐺返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
十一本目鐺返
鐺返
 相手の左脇を行通り我が左の手二亭相手の左の手を取る右の手二亭小尻を取りう津む希二於した於し堅める
読み
鐺返(こじりかえし)
 相手の左脇を行き通り 我が左の手にて相手の左の手を取る 右の手にて鐺を取り 俯けに押し倒し堅める
読み解く
 相手居合膝に坐す処、我はスカスカと歩み行き、相手の左脇を通りしなに身を屈めて我が左手で相手の左手首を取り、相手の後に廻り込み、右手で相手の小太刀の鐺を取り背中に押付け押し倒して俯けに固める。

 此の業名は「鐺返」こじりかえし、でしょう。濁りたい人は「こじりがえし」でしょう。鐺を取って背中に押付けて押し倒す。捕手和之事の業の一つですから、相手に捕まえに来た事を悟られない様にして、押さえこんでしまう一方的な攻撃です。

 以上十一本

 捕手和之事(使者捕・砂乱・弓返・附入・右転・右詰・抜捨・胸點・向面・遠行・鐺返)を終わります。

 こうして、捕手和之事を稽古して見ますと、現代居合が相手の害意を察して其の機先を制する、と云う精神性が、其ればかりでは無いものであって、何が何でも、与えられた使命を全うする事は、己の信じた事を貫き通す武士道精神に裏打ちされる事を意味するとも思えます。

 したがって、状況に応じ先々を打てなければならないのでしょう。その状況の中で後の先を認識すべきなのでしょう。

 是を一方的な騙し討ち、闇打ち、と云い切れるかどうか疑問です。現代居合の奥居合暇乞の業を、闇打ちだから正式な演武会ではやらないと云う人も居ます。
 たしかに主命を帯びて相手の首を取りに行ったのに、相手の隙が無く、帰り際の僅かな隙に鐺で打ち倒し仕留める心得も土佐の居合の「極意之大事」に暇乞の教えで語られています。これを卑怯な騙し討ちと解釈するのも解らない事も有りませんが、何時でも名乗りをあげてから戦いに挑むという事でいいのでしょうか。

 いや、あれは相手が挨拶の際に抜き付けんとするのを察して機先を制する居合の本領を最も良く伝える業だと云う人も居ます。
 しかし、その様に抜いていると思える演武はめったにお目に掛れません。

 暇乞ではありませんが、古伝神傳流秘書の大森流之事の抜打は「坐して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず 此所筆に及ばず」と有ります。

 それを現代の河野百錬先生の大日本居合道図譜では「正面に対座する敵の害意を認むるや直ちに其の真向より抜打にして勝つ」と古伝の「・・向より切て懸るを・・」の明解な文言を端折ってしまっています。

 それにもかかわらず、一方的に抜いて真向に打ち込んでいて平気な剣士が、暇乞を騙し討ちだからなどと述べる資格は無さそうです。

 そんな術理レベルの事では無く、何の為に刀を抜かざるを得ないのかが先ず有る筈です。
 その後で、身を土壇にしてとか、兵法家伝書の殺人剣や活人剣とか孫子の兵法の兵は詭道なりでも読み直して研究するところでしょう。

| | コメント (0)

2017年6月23日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事11鐺返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
十一本目鐺返
鐺返
 相手の左脇を行通り我が左の手二亭相手の左の手を取る右の手二亭小尻を取りう津む希二於した於し堅める
鐺返(こじりかえし)
 相手の左脇を行き通り 我が左の手にて相手の左の手を取る 右の手にて鐺を取り 俯けに押し倒し堅める

| | コメント (0)

2017年6月22日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事10遠行

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
十本目遠行
遠行
如前相手の右脇を通り後へ廻り両手に亭合手の肩を一寸叩久相手小太刀を抜かんと春る処を両のひぢの可ゞ美二手を懸背中を膝二て押引カる
読み
遠行(えんこう)
 前の如く 相手の右脇を通り後ろへ廻り 両手にて相手の肩を一寸叩く 相手小太刀を抜かんとする処を 両の肘のかがみに手を懸け 背中を膝にて押し引かる
読み解く
 前の如くですから、相手が居合膝に坐す所へ、我は立って歩み寄るわけです。
 相手居合膝に座して居る所へ、スカスカと歩み寄り、相手の右脇を通り後へ廻り込み、両手で相手の肩を一寸叩く、相手小太刀を抜かんと小太刀に手を掛ける処、後ろから相手の両手の肘のかがみを押え、膝を相手の背中に押付け引き倒す。

 「膝にて押引かる」が判断しずらい処です。相手の背後から両手を廻し相手の肘のかがみを押え、膝を背中に押付けると相手は前屈みにされるので、反撃しようと反り返る処を引き倒すと読んでみました。
 前にうつ伏せに押し倒すのも出来るでしょうが「和やわらぎ」と云う事では一寸強引です。
相手の力を借りるべきかと思います。

 業名の「遠行」は、えんぎょう、えんこう、おんぎょう、いずれにしても、もう聞かされることのない業名です。動作との関連を思って見るのですが心当たりが有りません。

そこで、2017年6月18日の捕手和之事八本目胸點の所で参考にした、南山大学の榎本鐘司教授のレポートを再度引用します。

 参考に、南山大学の榎本鐘司教授による「北信濃における無雙直傳流の伝承について」のレポートによりますと、天明三年1783年大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持「無双流和棒縄居合目録」にある「和目録」の業名と「夏原流和之事」の捕手和之事の業名の読み若しくは漢字が一致します。

 北信濃の和目録を先に、括弧内は神傳流秘書の捕手和之事とします。

使者取(使者捕)・五月雨(砂乱)・弓返シ(弓返)・附入(附入)・雨天(右転)・右詰(右詰)・左詰(ナシ)・抜捨(抜捨)・急天(胸點)・向面(向面)・猿猴(遠行)・ゑんはい(ナシ)・鐺返シ(鐺返)

 今回の遠行は猿猴の誤認かも知れません。そうであればこの遠行は「えんこう」と読めばいい筈です。
 北信濃の無雙直傳流の伝承された業手附が明らかになれば、また一つ土佐の居合のルーツが見えてきそうです。

 

 

| | コメント (0)

2017年6月21日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事10遠行

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
十本目遠行
遠行
如前相手の右脇を通り後へ廻り両手に亭合手の肩を一寸叩久相手小太刀を抜かんと春る処を両のひぢの可ゞ美二手を懸背中を膝二て押引カる
読み
遠行(えんこう)
 前の如く 相手の右脇を通り後ろへ廻り 両手にて相手の肩を一寸叩く 相手小太刀を抜かんとする処を 両の肘のかがみに手を懸け 背中を膝にて押し引かる

| | コメント (0)

2017年6月20日 (火)

野良猫の子育て

野良猫の子育て
 
 一昨年だったか、ブログにも書いたと思いますが、ご近所の門柱の脇から背が黒く、白い腹廻りの母猫が同じような黒白の子猫をくわえてゆっくり出てきます。
 少しも私に気が付かず悠然として歩いています。   
 小川を隔てた畑からこれを見ていた私は、いたずら心で忍び足で小川に近づき頃合いを計って小川を飛び越し母猫の脇に飛び立ちました。母猫は突然な事で子猫を口から落としてしまい、素早く4,5m走って止まりました。
 母猫の目は、我が子と私を交互に見ながら何時でも逃げられる態勢です。
 起こったことも解らないのか子猫は私の足元に寄ってきます。
 私が、母猫に近寄る素振りを見せると、母猫も飛び去る構えに身を低めます。それでもその場を離れようとはしないのです。
 子猫はもう私の足元に居ます。
 
 「ごめんね、何もしないから連れて行きなさい」と勝手なことを言う私。
 言葉など解かるわけもないのに、それでも母猫の体から警戒の気が消えたように思えました。
 子猫を連れ去ろうとする身構えを感じますが、けっしてその距離を近づけません。そこで、母猫を見つめたまま、後に足を引こうと右足をわずかに動かしたとたん、母猫はその距離を一気に飛んで我が子をくわえ反転して走り去りました。10m位走って振り向いて「どうだ」と言わんばかりに悠々と植え込みに消えて行きました。
 その子猫が、母猫から縄張りを譲られたのか昨年から我が家の周辺に居付いていたのです。出合うとなんとなく声を掛けていたのですが、他の野良猫より心なしか距離が近い様な、その上、出会うやさっさと逃げ去るでもない間柄でした。
 
 この春その猫が、一匹の子猫を連れて我が家の廻りにあらわれました。母猫と同じ様に頭からしっぽまで背中が黒で、腹は白です。
 安全距離を保ちながら、私や妻が草むしりなどしていても平気で子猫とじゃれ合っています。側に近づくと子猫はさっさと物陰に逃げ込み母猫はこちらの様子をうかがっているばかりです。
 
 紫陽花が咲き、蕗が地面を覆う様に生えて、梅雨時なのに毎日暑い日が続きます。
 紫陽花に近づこうと蕗のなかに踏み込むと何か黒いものが蕗の下を右に走り去ります。毎年、アオダイショウやシマヘビが出るので蛇嫌いな私は一瞬背筋がビクとします。母猫がフェンスをくぐって安全距離を保ちます。日陰で憩う親子猫でした。
 蕗の葉陰に子猫が行き場を失ってすくんでいます。首をつまみあげると両手両足を突っ張って拡げ硬直しています。
 かわいい眼にじっと見つめられてしまいました。地面に下ろして手を放すと、のこのこその場を離れるのですが母親の居場所が判らずにいます。
 
 それから、数日たっての事。柿の木を登ったり下りたりする猫を居間から見ていました、いつも、柿の木から我が家のベランダに飛び移りベランダで日向ぼっこを楽しんでいるのを見かけていたのですが、ちょっと様子が変です。
 ベランダを見ると子猫がいます。どうやらベランダへ上がったのはいいのですが、子猫は自力では怖くて降りられない様です。
 母猫は「こうやって降りるのよ」と何度も見本を見せているのでしょう。暇人の私もそれを三十分ほども見ていました。
 母猫より私がじれてしまい二階からベランダに出て子猫に近づくと、子猫は箱の陰に逃げ込んで息を潜めています。
 箱を取り除くと私の足元を走り抜け、柿の木の方に向かったのですがそこで立ち止まって私を見上げます。
 柿の木に飛び移れなければ、捕まえようと私は近づきます。手を伸ばそうと屈むや子猫は一気に飛び降りてしまいました。
 「おぬし、本気になればできるな」。
 あんなに何度も母猫が見本を見せていたのにです。その間、母猫は物陰に隠れていたのでした。
 ベランダを飛び降りた子猫は、クリスマスローズの葉陰に隠れています。
 居間に戻って、ふと外を見ると松の木に親子が登っています。
 母猫が子猫を置いて下りてしまうと、子猫はしばらくもじもじしていましたが爪を立てつつ頭から降りて行きました。
 是って、子猫が独り立ちするための訓練だったようです。私は母猫の手助けをしたのか、より厳しい野良猫の生きる世界を早々と子猫に味合わせてあげたのかでしょう。いずれにしても余計なことでした。
 
 それからしばらくして、外から帰って来た妻が笑っています。「母猫が飛び上がって地面に両手から飛び降りるのを、子猫も真似して、飛び上がっては両手から降りているの、何度も同じ動作をやっていて、あれって獲物を捕る訓練みたい」
 そういえば、テレビで狐なんかがやっている捕獲の仕草の様です。猫の糞には蝉やらバッタのかたい殻が随分混じっていたのを思い出しました。
 此処では獲物は、昆虫類、ごちそうは小鳥やネズミや蛇ぐらいです。餌付けする人はいない様です。
 木に自由に昇り降り出来て、動く獲物に素早く飛びつく厳しいですね。
 野良猫親子の訓練を見聞きして、親子の絆にホロリとさせられ、野良猫の生きる厳しさに想いを寄せるのでした。
 
 そう言えば、随分古い話になりますが、子猫をもらってきて飼っていました。当時は外出自由な飼い方が当たり前でした。ある日この猫がネズミを捕えてきたそうです。
 ネズミ嫌いな妻は、猫がネズミをくわえて来て食卓の上に置き、自慢そうに妻を見上げていたそうです。
 大声で「捨ててらっしゃい」としかり飛ばす、ねこも驚いてネズミをくわえて飛び出て行ったそうです。
 それ以来ネズミをくわえて帰って来る事はありませんでした。キット何処かで血の滴る生肉の御馳走を楽しんでいたのでしょう。
 この子の親は飼い猫でのんびりした人懐こい猫でした。親猫から訓練される前に引き取ったような気もします。本能的に獲物を捕らえる能力をもっていたのでしょう。
 しかしこの子は、弱虫で犬に背中を嚙まれてしまい、脊椎損傷で短い命でした。
 
 この処、野良猫親子を見かけません。先日の夜のこと、県道を横切ろうとして道路の半ばまで右から走り込んだ猫が、私の車に気付いて反転して戻りました。急ブレーキで減速すると、左から一回り大きな猫が一気に車道を右に走り抜けて行きました。
 「おいおい、車道を横切る特訓は無謀過ぎるぞ・・」
 
 その後、この親子を数日見ていないのですが・・・・。
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事9向面

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
9)捕手和之事
九本目向面
向面
 右脇を通り品二此方よりせり懸る相手よりもせり懸る処於した於之如右う津む希二押た於し堅める
読み
向面(むこうめん・むこうつら・むきめん?)
 右脇を通りしなに 此方より競り懸かる 相手よりも競り懸かる処 押し倒し 右の如く俯けに押し倒し堅める
参考
如右う津む希二押た於し堅める(右の如く俯けに押し倒し堅める)
如右は六本目右詰
右詰
 如前歩ミ行て右脇を行違ひ品二相手の右の手を我が右の手二亭取り左の手をひぢ二上亭引伏せ堅める
読み
右詰(みぎつめ)
 前の如く 歩み行きて 右脇を行き違いしなに 相手の右の手を我が右の手にて取り 左の手を肘に上げて 引き伏せかためる
前の如く歩ミ行て
 二本目砂乱まで前は戻ります。
 相手坐し居る処へ我は立って歩み行・・
読み解く
 相手居合膝に坐す処へスカスカと歩み行き相手の右脇を通りしなに、相手の右肩に両手を掛け競り懸ると相手も腰を上げて、倒されまいと下から競り懸って来る。更に強く競り懸って右手で相手の右手首を取って左手を相手の右ひじに乗せ引き倒し俯けに押しかためる。

 相手の「右脇を通りしなに此方より競り懸る」の動作ですが、相手の右脇を通りしなにどの様に競り懸るのかがポイントでしょう。どこにもその方法が述べられていません。 

 「右の如く」は夏原流和之事捕手和之事六本目「右詰」でしょう。
「前の如く 歩み行て 右脇を行違ひにしなに 相手の右の手を我が右の手にて取り 左の手を肘に上て引伏せかためる」

 相手は抗って右手で抵抗して来る処、その右手を右手で取って、其の儘右手を引き体を右に開いて左手を相手の右肘に掛け俯けに引き倒す。

 この業の業名は「向面」です、むこうつら、むこうめん、むきめんどの様に読んだのか解りません。相手が競り懸かられて顔を我が方に向けるのかも知れません。

 古伝の復元はいくつも出来て来そうです。ある大家曰く「古伝の復元など出来る分けは無い」だそうです。古伝はおおらかです、現代居合の様に物差しで測る様な形に嵌め込まれていません。

 師匠に手解きされた、初心者向けの動作、審査用の動作にとらわれた、マニュアル人間の寂しい発想に思えます。

| | コメント (0)

2017年6月19日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事9向面

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
9)捕手和之事
九本目向面
向面
 右脇を通り品二此方よりせり懸る相手よりもせり懸る処於した於之如右う津む希二押た於し堅める
読み
向面(むこうめん・むこうつら・こうめん?)
 右脇を通りしなに 此方より競り懸かる 相手よりも競り懸かる処 押し倒し 右の如く俯けに押し倒し堅める
参考
如右う津む希二押た於し堅める(右の如く俯けに押し倒し堅める)
如右は六本目右詰
右詰
 如前歩ミ行て右脇を行違ひ品二相手の右の手を我が右の手二亭取り左の手をひぢ二上亭引伏せ堅める
読み
右詰(みぎつめ)
 前の如く 歩み行きて 右脇を行き違いしなに 相手の右の手を我が右の手にて取り 左の手を肘に上げて 引き伏せかためる
前の如く歩ミ行て
 二本目砂乱まで前は戻ります。
 相手坐し居る処へ我は立って歩み行・・
 

| | コメント (0)

2017年6月18日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事8胸點

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
8)八本目胸點
胸點
 歩ミ行相手の胸を足二亭蹴る平常の稽古二ハ此業なし子細ハ胸を蹴る故也
読み
胸點(きょうてん)
 歩み行き相手の胸を足にて蹴る 平常の稽古にはこの業なし 仔細は胸を蹴る故也
読み解く
 相手が居合膝に坐すところへスカスカと歩み行き、相手の胸を足で蹴り倒す。平常の稽古には此の業は行わない。その理由は胸を足蹴にするからである。

此の業名「胸點」と読みましたが、其の場合は、きょうてん・むねてん・むねつけとなるでしょう。
「點」の行書の様に書かれていますが「占」と「犬」は同じ様な崩しですから「胸黙」とも読めます。それでは、きょうもく・むねもく・きょうぼく・むねだまり・・。

 河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では、この業名は「胸蹴」とされています。恐らく「點」か「黙」判断できず、業の有り様から「蹴」に変えてしまったのでしょう。
 この業は後に「本手之移」という中に「支點當」或は「支黙當」と云って鐺を取られて陰嚢を蹴る業がありますので、其処では河野先生も「支点當」と「點」を当用漢字の「点」にしています。何れが正しいかは判りません。

 武士の顔や胸を足蹴にされるのは屈辱です。稽古中だとて心すべきことだったのでしょう。
胸などは簡単に肋骨が折れることもあるでしょうから、稽古では古伝に従うのがよさそうです。

 参考に、南山大学の榎本鐘司教授による「北信濃における無雙直傳流の伝承について」のレポートによりますと、天明三年1783年大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持「無双流和棒縄居合目録」にある「和目録」の業名と「夏原流和之事」の捕手和之事の業名の読み若しくは漢字が一致します。

 和目録を先に、括弧内は捕手和之事とします。

使者取(使者捕)・五月雨(砂乱)・弓返シ(弓返)・附入(附入)・雨天(右転)・右詰(右詰)・左詰(ナシ)・抜捨(抜捨)・急天(胸點)・向面(向面)・猿猴(遠行)・ゑんはい(ナシ)・鐺返シ(鐺返)

今回の胸點は急天の誤認かも知れません。この北信濃の無雙直傳流の伝承された業手附が明らかになれば、また一つ土佐の居合のルーツが見えてきそうです。

| | コメント (0)

2017年6月17日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事8胸點

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
8)八本目胸點
胸點
 歩ミ行相手の胸を足二亭蹴る平常の稽古二ハ此業なし子細ハ胸を蹴る故也
読み
胸點(きょうてん)
 歩み行き相手の胸を足にて蹴る 平常の稽古にはこの業なし 仔細は胸を蹴る故也

| | コメント (0)

2017年6月16日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事7抜捨

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
七本目抜捨
抜捨
 相手の左の脇を行通り品二合手の左の手を我が左の手二亭取り後へ廻る相手右之手二亭後へ婦り向小太刀を抜付類を右の手二亭留左の手を放シひぢ二添へて引た於し堅める
読み
抜捨(ぬきすて)
 相手の左の脇を行き通りしなに 相手の左の手を我が左の手にて取り後へ廻る 相手右の手にて後へ振り向き小太刀を抜き付けるを 右の手にて留め 左の手を放し 肘に添えて引き倒し堅める


読み解く
 居合膝に座して居る相手の方にスカスカと歩み寄り、相手の左脇を通りすがりに腰を屈め相手の左手首を我が左手で取り、相手の後に廻り込むと、相手小太刀を右手で抜くや左廻りに振り向き様抜き付けて来る、我は右手で相手の右手首を取ってそれを留め、左手を相手の左手から離し、相手の右肘に掛け左に廻りながら引き倒しかためる。ぐるぐる左廻りをして見ました。

 もう一つ、相手の左手を我が左手で取り後ろに廻って押し付けようとする処、相手右手を逆手に小太刀を抜いて、右脇から我が腹部に突き込んで来るのを右手で相手の右手首を取り、左手を離して相手の右肘に付け右廻りに引き倒しかためる。

 状況に応じ如何様にも応じられて、古伝は生きて来るのでしょう。古伝の手附はおおらかです。

| | コメント (1)

2017年6月15日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事7抜捨

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
七本目抜捨
抜捨
 相手の左の脇を行通り品二合手の左の手を我が左の手二亭取り後へ廻る相手右之手二亭後へ婦り向小太刀を抜付類を右の手二亭留左の手を放シひぢ二添へて引た於し堅める
読み
抜捨(ぬきすて)
 相手の左の脇を行き通りしなに 相手の左の手を我が左の手にて取り後へ廻る 相手右の手にて後へ振り向き小太刀を抜き付けるを 右の手にて留め 左の手を放し 肘に添えて引き倒し堅める
 

| | コメント (0)

2017年6月14日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事6右詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
六本目右詰
右詰
 如前歩ミ行て右脇を行違ひ品二相手の右の手を我が右の手二亭取り左の手をひぢ二上亭引伏せ堅める
読み
右詰(みぎつめ)
 前の如く 歩み行きて 右脇を行き違いしなに 相手の右の手を我が右の手にて取り 左の手を肘に上げて 引き伏せかためる
前の如く歩ミ行て
 二本目砂乱まで前は戻ります。
 相手坐し居る処へ我は立って歩み行・・
読み解く
  相手座している処へスカスカと歩み行き、右脇を行き違う時にさりげなく腰を屈め、相手の右手首を我が右手で取り右腰に引き寄せるように静かに引き、伸びた右手のひじの上から左手を押えるように載せ、左膝を付くや右廻りに引き伏せ堅める。

 行き違いざまに相手の右手をさりげなく取る事が出来れば、技は懸りそうです。この業は捕手和之事ですから、主命によって相手を捕縛するために行くわけです。
 和は「やわらぎ」です柔らかい態度で相手が安心して構えて力まない様にするわけです。

| | コメント (1)

2017年6月13日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事6右詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
六本目右詰
右詰
 如前歩ミ行て右脇を行違ひ品二相手の右の手を我が右の手二亭取り左の手をひぢ二上亭引伏せ堅める
読み
右詰(みぎつめ)
 前の如く 歩み行きて 右脇を行き違いしなに 相手の右の手を我が右の手にて取り 左の手を肘に上げて 引き伏せかためる
前の如く歩ミ行て
 二本目砂乱まで前は戻ります。
 相手坐し居る処へ我は立って歩み行・・

| | コメント (0)

2017年6月12日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事5右転

曽田本その1
1.神傳流秘書読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
五本目右転
右転
 如前歩ミ行亭相手手を上る処を両の手尓て指を取りわけ左の方へ引廻し又た於し砂乱の如くう津む希二引廻し亭堅める
読み
右転(うてん)
 前の如く歩み行きて 相手手を上げる処を 両の手にて指を取り分け 左の方へ引き廻し 又 押し 砂乱れの如く 俯けに引き廻して堅める
参考
前の如く:四本目附入に戻ります。
附入
 如前歩ミ寄っ亭右の手二亭相手の胸を突阿於の希ニた於春也
読み
附入(つけいり)
 前の如く歩み寄って右の手にて相手の胸を突き仰のけに倒す也
前の如くですから、二本目砂乱迄戻ります。
砂乱
 相手坐し居る処へ我は立って歩ミ行使者捕の如く引た於さむとする相手た於禮之と春るを支ニ左の手二亭突たおし扨右足を相手の肩へ歩ミ込ミうつむけ二直しかたむる也
読み
砂乱(さみだれ)
 相手坐し居る処へ 我は立って歩み行き 使者捕の如く引き倒さんとする 相手倒れじとするを機に 左の手にて突き倒し 扨 右足を相手の肩へふみこみ俯けに直し固る也
参考
 使者捕の如く引た於さむとする:楽々坐したる時向の右の手を我が右之手二亭取り向の右の膝を足二亭踏我が脇へ引た於してかたむるなり
読み
使者捕(ししゃほ・ししゃとり)
 楽々対し坐したる時 向うの右の手を 我が右の手にて取り 向うの右の膝を足にて踏み 我が右脇へ引き倒して固るなり
読み解く

 「前の如く」は使者捕の四本目附入です「前の如く歩み寄って右の手にて相手の胸を突く・・・」

「砂乱」は使者捕の二本目砂乱「・・相手たおされじとするをきに左の手にて突きたおし扨右足を相手の肩へ歩み込みうつむけに直しかたむる也」

 相手座す処へスカスカと歩み寄り、右足を踏み込み右手で相手の胸を突かんと突き出す処、相手其の手を右手で受け留める。
 我は、其の相手の手を、両手で親指と他の四指と取り分けて握り込み、左に身を開いて引き廻し、相手倒されまいとする処を後ろに押し倒し、右足を相手の肩に踏み込み、こらえ様と踏ん張るのを右脇に引き廻して俯けにして堅める。
 右転が業名です。初めに左の方へ引き廻していますから、次には右へ引き廻す事を指しているのでしょう。

 相手に仕掛てみました、場合によっては相手が「やあ」と右手を上げる時とも考えられそうですが、さて相手は思う様に掴まれた右手に軽々といたぶられるかは、拍子次第とも云えそうです。
力任せでは動かす事は出来そうにありません。

| | コメント (0)

2017年6月11日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事5右転

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
五本目右転
右転
 如前歩ミ行亭相手手を上る処を両の手尓て指を取りわけ左の方へ引廻し又た於し砂乱の如くう津む希二引廻し亭堅める
読み
右転(うてん)
 前の如く歩み行きて 相手手を上げる処を 両の手にて指を取り分け 左の方へ引き廻し 又 押し 砂乱れの如く 俯けに引き廻して堅める
前の如くは四本目附入です。
附入
 如前歩ミ寄っ亭右の手二亭相手の胸を突阿於の希ニた於春也
読み
附入(つけいり)
 前の如く歩み寄って右の手にて相手の胸を突き仰のけに倒す也
参考
前の如く:二本目砂乱まで戻ります。
砂乱
 相手坐し居る処へ我は立って歩ミ行使者捕の如く引た於さむとする相手た於禮之と春るを支ニ左の手二亭突たおし扨右足を相手の肩へ歩ミ込ミうつむけ二直しかたむる也
読み
砂乱(さみだれ)
 相手坐し居る処へ 我は立って歩み行き 使者捕の如く引き倒さんとする 相手倒れじとするを機に 左の手にて突き倒し 扨 右足を相手の肩へふみこみ俯けに直し固る也
参考
 使者捕の如く引た於さむとする:楽々坐したる時向の右の手を我が右之手二亭取り向の右の膝を足二亭踏我が脇へ引た於してかたむるなり
読み
使者捕(ししゃほ・ししゃとり)
 楽々対し坐したる時 向うの右の手を 我が右の手にて取り 向うの右の膝を足にて踏み 我が右脇へ引き倒して固るなり

| | コメント (0)

2017年6月10日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事4附入

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
四本目附入
附入
 如前歩ミ寄っ亭右の手二亭相手の胸を突阿於の希ニた於春也
読み
附入(つけいり)
 前の如く歩み寄って右の手にて相手の胸を突き仰のけに倒す也


読み解く
 相手が坐す処へ、我はスカスカと歩み寄り、右足を踏み、左膝を着くや右手で相手の胸を突き仰向けに倒す。
 随分単純な業です、如何に捕縛に来たと気付かれずに間に入れるかがポイントでしょう。倒した後の始末が書かれていません。当然相手の反撃も有ろうかと思います。
 この業の返し業は六番目の本手之移として相手が附入を外す業が四本目変之弛(へんのはずし)に有ります。
 「附入の業にて突倒さんとするを体を開後へ送る也」要するに筋変えに外せと言うのでしょう。
 夏原流和之事も形ではない事を示唆しています。業の想定を習い稽古し工夫し自由自在に応じられる様に組み立てられています。
 生真面目な知ったかぶりの大人は形を演じられれば変化に容易に対応できると云うのですが、人は自分が危ない場合は本能的に予期せぬ防御と思わぬ攻撃をしてくるものです。約束事の形にこだわれば踊りになってしまいます。

 剣友に合気の達人が居ます。居合を始めて5、6年で英信流の業を全て修得しています。いつの間にか合気の捌きがコラボとなって独特の動作も垣間見られます。それでは元の形は、と問えばすらすらと演じてくれます。
 人が人と対する事は、得物が有る無しに関わらず、武術における人の動きは同じ事なのでしょう。
 相手の居ない居合による運剣動作しか知らない剣士でいたのでは前に進めそうもありません。組太刀・棒・和の手附を齧ってみれば何かに気付く筈です。

 ○×式の試験問題を記憶力を頼りにこなしてきた者には、決められた形がないと不安で仕方がないのでしょう。昇段審査や競技会の課題や演武は形でしょう。課題が変わっただけで悲鳴を上げる情けない指導者が多すぎます。「俺が習った形と違う」だそうです。
 そして、毎年指導要領が変わって困ると言う範士十段も居たりして、平和で戦う事も無い時代のなせる事かも知れません。

| | コメント (0)

2017年6月 9日 (金)

曽田本その1神傳流秘書原文10夏原流和之事1使者捕4附入

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
四本目附入
附入
 如前歩ミ寄っ亭右の手二亭相手の胸を突阿於の希ニた於春也
読み
附入(つけいり)
 前の如く歩み寄って右の手にて相手の胸を突き仰のけに倒す也
 

| | コメント (0)

2017年6月 8日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事3弓返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
三本目弓返
弓返
 相手坐処へ如前歩ミ寄って左の手二て相手の左の手を取り右の手にて相手の小太刀の柄を取て脇へねぢた於し其柄を右之足二て歩ミ向の小手をかためたる時相手右の手をもって打込むを我も右之手二て留左の手を相手のひぢ尓そゑ亭うつむ希ニ引直し堅める
読み
弓返(ゆみかえし)
 相手坐す所へ 前の如く歩み寄って 左の手にて相手の左の手を取り 右の手にて相手の小太刀の柄を取って 脇へねじ倒し 其の柄を右の足にて踏み 向うの小手をかためる時 相手右の手をもって打ち込むを 我も右の手にて留め 左の手を相手の肘に添えて俯きに引き直し堅める
読み解く
 相手坐す処へすかすかと歩み寄って、腰を屈め左の手で相手の左手首を取り、右手で相手の小太刀の柄を取って、左に廻り左脇にねじ倒し、柄で相手の左手を押え右足で柄を踏み付け相手の小手をかためる。
 相手右手で打ち込んで来るのを右手で受け留め、手首を取り、左手を相手の右肘に添えて、うつむけに引き直しかためる。

 弓返の意味が解らなかったのですが、矢を射た後、弦を前にくるりと返すあの雰囲気でしょう。相手を左脇にねじ倒し、右に引き直す動作を弓返しに譬えたのでしょう。

 

| | コメント (0)

2017年6月 7日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事3弓返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
三本目弓返
弓返
 相手坐処へ如前歩ミ寄って左の手二て相手の左の手を取り右の手にて相手の小太刀の柄を取て脇へねぢた於し其柄を右之足二て歩ミ向の小手をかためたる時相手右の手をもって打込むを我も右之手二て留左の手を相手のひぢ尓そゑ亭うつむ希ニ引直し堅める
読み
弓返(ゆみかえし)
 相手坐す所へ 前の如く歩み寄って 左の手にて相手の左の手を取り 右の手にて相手の小太刀の柄を取って 脇へねじ倒し 其の柄を右の足にて踏み 向うの小手をかためる時 相手右の手をもって打ち込むを 我も右の手にて留め 左の手を相手の肘に添えて俯きに引き直し堅める

| | コメント (0)

2017年6月 6日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事2砂乱

曽田本その1
1、神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
二本目砂乱
砂乱
 相手坐し居る処へ我は立って歩ミ行使者捕の如く引た於さむとする相手た於禮之と春るを支ニ左の手二亭突たおし扨右足を相手の肩へ歩ミ込ミうつむけ二直しかたむる也
読み
砂乱(さみだれ)
 相手坐し居る処へ 我は立って歩み行き 使者捕の如く引き倒さんとする 相手倒れじとするを機に 左の手にて突き倒し 扨 右足を相手の肩へふみこみ俯けに直し固る也
参考
 「使者捕の如く引た於さむとする」・・・楽々坐したる時向の右の手を我が右之手二亭取り向の右の膝を足二亭踏我が脇へ引た於してかたむるなり
読み解く
 相手が座している処へ我は立ったまま、すかすかと近付き、腰を屈め相手の右手首を右手で取り、右脇に引き倒そうとするところ、相手は倒されまいと後ろに反るを機に、左手で相手の胸を突き倒し、反身になるところを右足で相手の右肩を踏みつけうつむけに直し固める。

 これも、我から一方的に攻め込んでの捕り物です。居合は相手の無い仮想敵による空間刀法ですから、いつでもどんなへぼでも独りよがりで勝つことはできますが、和は相手次第ですからそうもいきません。
 仲間といろいろ研究して見てはいかがでしょう。この古伝の指定する方法を変えずに試す事が大切で、古伝の要求事項を違えてしまうと、相手との攻防の機や拍子を学べなくなってしまうかもしれません。
 たとえば、相手の右手を我が右手で取るのですが、相手の右手の何処という指定はないのです。最も有効な所は手首なのか、肘なのか、前腕なのか・・。

 使者捕では右手で相手の右手を取っていますが、同じ様に左手で相手の右手を取ったならばどうなるのか、広義に解釈することもできます。

 右足で相手の肩への踏み込みは何処なのか・・。仰向けに反った相手をどのように俯けに直すのか・・。
 夏原流の解説はどこにもありませんので、素手に依る古武術などを参考に研究され復活されればと思います。
 結果が出れば間違いないと云えるでしょうが、古伝の体捌きは現代人が忘れている事も多く、本気で取り組まなければあらぬ方に向って行っているかもしれません。

| | コメント (2)

2017年6月 5日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事2砂乱

曽田本その1
1、神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
二本目砂乱
砂乱
 相手坐し居る処へ我は立って歩ミ行使者捕の如く引た於さむとする相手た於禮之と春るを支ニ左の手二亭突たおし扨右足を相手の肩へ歩ミ込ミうつむけ二直しかたむる也
読み
砂乱(さみだれ)
 相手坐し居る処へ 我は立って歩み行き 使者捕の如く引き倒さんとする 相手倒れじとするを機に 左の手にて突き倒し 扨 右足を相手の肩へふみこみ俯けに直し固る也
参考
使者捕
 楽々坐したる時向の右の手を我が右之手二亭取り向の右の膝を足二亭踏我が脇へ引た於してかたむるなり
読み
 使者捕の如く引き倒さんとする:楽々坐したる時 向うの右の手を我が右の手にて取り 向うの右の膝を足にて踏み 我が脇へ引き倒して堅むるなり
 

| | コメント (0)

2017年6月 4日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事1使者捕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
一本目使者捕
使者捕
 楽々對し坐したる時向の右の手を我が右の手二亭取り向の右の□(膝)を足に亭踏我が右脇へ引た於してかたむる也
読み
使者捕(ししゃほ・ししゃとり)
 楽々(らくらく)対し坐したる時 向うの右の手を 我が右の手にて取り 向うの右の膝を足にて踏み 我が右脇へ引き倒して固るなり
読み解く
 楽々は相変わらず意味する処は良くわかりません、草書体の楽の文字ですから、ほぼ間違いはない読み方でしょう。
 座仕方ですがここには居合膝とも正座とも指定が有りません。自然体で楽に座すのでしょう。
 三項目の小具足、五項目の小具足割は「左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に座す」ですから居合膝を指定して居ます。二本目立合、四本目後立合は立っての事です。
 
 この古伝を土佐に伝えたのが第九代目林六太夫守政です。守政は大森流正座を取り入れていますから、第七代長谷川英信の頃に居合和集された夏原流和は、戦国期の面影を残すもので、全て居合膝かも知れません。
 此の業を稽古して見て居合膝でも正座でも出来ると、思います。

 楽々座して相対して居る時、我が方から腰を上げ相手の右手首を右手で取り、右足を踏み込んで相手の右膝を踏み付け、右脇に引き倒しかためる。

 此の業は、我が方から一方的に仕掛けています。それは此の業が捕手和之事使者捕と云う業名に由来します。
 主命を請けて捕り物に行き、取り押さえる事が役目だからです。そうであれば相手を警戒させない楽々座すことも、此方から隙をみて仕掛ける事も納得できるものです。

| | コメント (0)

2017年6月 3日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事1捕手和之事1使者捕

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
一本目使者捕
使者捕
 楽々對し坐したる時向の右の手を我が右の手二亭取り向の右の□(膝)を足に亭踏我が右脇へ引た於してかたむる也
読み
使者捕(ししゃほ・ししゃとり)
 楽々対し坐したる時 向うの右の手を 我が右の手にて取り 向うの右の膝を足にて踏み 我が右脇へ引き倒して固るなり

| | コメント (0)

2017年6月 2日 (金)

春から夏へ

 五月になると、湘南地方は早々とサクランボの佐藤錦が赤い実を輝かせてくれます。 然し早起きの小鳥と食べ頃の見分けの競争です。
 明日の朝一番にと収穫しようと思って行って見ると、残っているのはカメムシに果汁を抜かれ萎んだものや小鳥が試しに啄んだ片割れのサクランボばかりです。
 楽しみにしてくれているご近所のお婆さんに、少しでもお裾分けと心がけるのですが「今年も小鳥にやられました」と言い訳ばかりです。
 
 タマネギもすっかり大きくなって、地面から浮き上がって収穫時です。こちらは小鳥も虫も寄り付かないので「もう少し大きく」などと思っていると夏みかん程になってしまいます。
 大型スーパーの園芸売り場で買った苗では、土地に合わないのか育ちが悪く、農協で仕入れた苗や、種から育てた苗の方が良く育っています。
 
 数年前に苗から育てたイチゴは、勝手に蔓を伸ばして、勝手な所に生えて、九条ネギの畝の脇とか、タマネギの間とか、ミントの群落に大きな赤い実を葉陰にそっと実らせて食べ頃です。毎日数粒ずつ採れて楽しむばかりです。来年はイチゴの畝を作ろうなどとは、少しも思わない怠け者です。
 
 五月の半ばから、コジュケイがけたたましく「チョットコイ・チョットコイ」と鳴いています。わずかに残された里山に命を繋いでいる様です。
 五月も終わる頃から、待ちに待ったホトトギスが「トッキョ キョカキョク」と日の出前から早口言葉です。
 
 実生の枇杷がようやく実を付けて、このところ日増しに黄色が濃くなってきています。一つもいで、口にしました。
 甘さは今一ですが新鮮な甘酸っぱさが口いっぱいに広がってきます。もう少し熟してからと思うのですが、タイワンリスが里山の木々を渡り歩いています。カラスも狙っていそうです。
 効果は解りませんが、紙袋をかけて見たのですが、一昨日夜の土砂降りの雨で破れてしまいました。もういいや、小さな生き物と共生の覚悟です。
 ご近所の庭にある枇杷は今年はブドウの様に実って枝が垂れ下がる程になっています、うちのは、その3倍は大きいと自己満足です。
 
 今年は、3月から4月初めの気候が合わなかったのか、昨年の猛暑にやられたのか、春の蝶の数が少なかったのです。5月半ばから忽ちにぎわい出して楽しませてくれます。ミカンの花に俗名鎌倉蝶のモンキアゲハがナガサキアゲハやクロアゲハと乱舞しています。
 
 風に煽られているアカボシゴマダラのメスが榎の廻りを舞っています。
 
 羽化したばかりで笹に羽を休めるアゲハチョウ。
 
 タイワンホトトギスの葉裏にルリタテハの痛そうな棘をもった幼虫が夢中で柔かそうな葉をむさぼっています。
 そろそろ蛹になりそうなくらい大きくなってきました。
 
 アブラナ科の野菜は、モンシロチョウが集まって来て、「卵を産んで青虫だらけになるからやめたら」と忠告しておいたのに、「昨日はモンシロチョウを36匹捕ったのに今日も捕り切れない程来ている」と言って、蝶を眺めて喜んでいる私に「遊んでないで捕れ」と怒り出すしまつです。とうとうキャベツ畑は、キャベツの芯を露わにしてモンシロチョウの天国になってしまいました。
 
 わずかに残された都会の里山と田園は、小さな生き物が集まって来ています。お陰様で葉先が触れたりして腕はかぶれてかゆい事、かゆい事。
 紫陽花が色づいてきました、夕暮れ時には蝙蝠が燕返しを繰返しています。
 
 
 
 
 
 

| | コメント (0)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事序文

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
序文
従是以上六段之和ハ自夏原氏段々相伝也 長谷川流二至而居合和集うしタル者也

読み
 是より 以上六段の和は 夏原氏より段々相伝なり 長谷川流に至りて 居合和(ヤワラ)集したるものなり
読み解く
 夏原流和は六段と言って1捕手和之事11本・2立合11本・3小具足11本・4後立合11本・5小具足割10本・6本手之移11本、の六段65本がセットされています。
 夏原氏および夏原流和の謂れは明確なものが見当たりません。
 段々相伝して第七代長谷川英信の頃英信流と一体化したものであると言うようです。

 土佐の居合には居合、棒術、仕組(組太刀)、和(やわら)がセットされて第九代目林六太夫守政が土佐に持ち込んだと思われます。この和の術の伝書は神傳流秘書にあるだけで他に見られないものです。

 夏原流和之事を公開されたのは、第二十代河野百錬先生が曽田先生から曽田本の写しを得て、昭和30年1950年に無双直伝英信流居合兵法叢書として発行されて世に出されたものと思われます。

 木村栄寿先生の昭和57年1982年発行の林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業手付解説には、夏原流和之事は記載がありません。

 ここでは、曽田先生の直筆による夏原流和を稽古してみます。武術はともすると神業のような術を以て良しとする思いがあるようですが、普通の人が、不意の攻撃に自然に応じられる様に手附に則って極自然に稽古してみます。

 夏原流和之事については、神傳流秘書の巻末に手附が残されたのですが、誰が何時これらの業を作り出したのかわかりません。
 本朝武芸小傳巻九の末尾に小具足について世に鳴るのは竹内流だといっています。荒木流、森流などの後に夏原八太夫の名があります。
 夏原八太夫は夢相流小具足の達人也、今川久太夫その傳を継ぐ、武井徳左衛門今川の傳を得、松田彦進武井の芸を傳、鈴木彦左衛門有りて、松田に従い、その宗を得て精妙と為す。
とあります、これが夏原流和であるかはわかりません。

 南山大学の榎本鐘司先生による「北信濃における無雙直伝流の伝承について」の論文から、「無雙流和棒縄居合目録」の和目録には、夏原流和と思しき業名が散見されています。
 例えば、神傳流秘書の夏原流和之事捕手和之事の使者捕は使者取、砂乱は五月雨、弓返は弓返シ、附入は附入、右詰は右詰、抜捨は抜捨、胸点は急天、向面は向面、遠行は猿猴、鐺返は鐺返シ、と対比できます。
 
 同じく、夏原流和之事の立合では、行連は行違、無想は夢相、裾取は爪捕、支剱は志けん、車附は車附、玉簾は玉簾、燕返は燕返シ、打込は打込、杉倒は廻たおしあるいは天狗たをし、追捕は追捕とほぼ同じ業名です。

 業の項目は夏原流和之事と同様に、立合は立合、小具足は小具足、後立合は後立合、小具足割は小具足割などと同じ項目が続きます。

 これは、天明三年1783年の北信濃の大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持の資料に依ります。この北信濃の無雙直伝流は、長谷川英信、小菅精哲斎正継(恐らく 荒井兵作勢哲(清鐵))などによって伝承されたものと思われます。
 土佐の居合の第9代林六大夫守政が、江戸勤番中に江戸にて修行したもので、師は誰であったか確証は有りませんが、土佐の居合と北信濃の居合には繋がるものが有りそうです。
 夏原流和之事は北信濃から遡る方がよさそうです。

 此処では、古伝神傳流秘書の巻末に有る夏原流和之事の手附に基づいた業技法を学ぶ事が目的であって、伝承系統の歴史はご興味のある方が、追及されることにお願いしておきます。

 

 

 

| | コメント (0)

2017年6月 1日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文10夏原流和之事序文

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
序文
従是以上六段之和ハ自夏原氏段々相伝也 長谷川流二至而居合和集うしタル者也

読み
是より 以上六段の和は 夏原氏より段々相伝なり 長谷川流に至りて 居合和(ヤワラ)集したるものなり

| | コメント (0)

2017年5月31日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事22戦場之大事

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
22)二十二本目軍場之大事
軍場之大事
 具足のゆるきを取り押上る心得肝要也故に着料之具足は押上られてものど二つかざる様二仕置べきなり高き所などより飛ふ時おのづとのどにつかゆる事有るもの也 心得二有儀なり
読み
軍場之大事(ぐんばのだいじ、いくさばのだいじ)
 具足の緩きを取り 押し上げる心得肝要也 故に着料の具足は 押し上げられても喉に付かざる様に仕置くべきなり 高き所などより飛ぶ時 自ずと喉に閊ゆる事あるもの也 心得に有る儀なり
読み解く
 軍場之大事についての解説は、具足はしっかり着用して緩い処が無いようにして置け、さもないと、押し上げられたり、飛び降りた時にのどにつかえさせるなという心得です。どこか抜刀心持之事には似つかわしくない心得です。
以上で抜刀心持之事を終了しましす。
現代居合の奥居合居業、立業と抜刀心持之事の業名を対比しておきます。
 
 抜刀心持之事    無双直伝英信流奥居合現代
 一本目 向拂      一本目 霞
 二本目 柄留      二本目 脛囲
 三本目 向詰      七本目 両詰
 四本目 両詰      三本目 戸詰
                四本目 戸脇
 五本目 三角      無し 五本目 四方切 
 六本目 四角      無し 五本目 四方切
 七本目 棚下      六本目 棚下
 八本目 人中      十七本目 壁添
 九本目 行連      十本目   連達
 十本目 連達      十四本目 行違
  十一本目 行違    十五本目 袖摺返
  十二本目 夜之太刀  十三本目 信夫
 十三本目 追懸切   無し
 十四本目 五方切   十一本目 惣捲り
 十五本目 放打     十二本目 總留
 十六本目 虎走     八本目 虎走
 十七本目 抜打上   十九本目 暇乞一
        抜打中   二十一本目 暇乞二
        抜打下   二十本目 暇乞三
 十八本目 抜打    無し
 十九本目 弛抜     無し(十八本目 受け流し)
 二十本目 賢之事    無し(夢想神傳流袖摺返)
 二十一本目 クヽリ捨 無し(夢想神傳流門入)
  二十二本目  軍場之大事 無し

| | コメント (0)

2017年5月30日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事22軍場之大事

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
22)二十二本目軍場之大事
軍場之大事
 具足のゆるきを取り押上る心得肝要也故に着料之具足は押上られてものど二つかざる様二仕置べきなり高き所などより飛ふ時おのづとのどにつかゆる事有るもの也 心得二有儀なり
読み
軍場之大事(ぐんばのだいじ、いくさばのだいじ)
 具足の緩きを取り 押し上げる心得肝要也 故に着料の具足は 押し上げられても喉に付かざる様に仕置くべきなり 高き所などより飛ぶ時 自ずと喉に閊ゆる事あるもの也 心得に有る儀なり

| | コメント (0)

2017年5月29日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事21クヽリ捨

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
21)クゝリ捨
クゝリ捨
 -手附記載なしー
読み
クヽリ捨(くゝリすて)
 -手附記載なしー

読み解く
 クヽリ捨(くゝりすて)
 -手附記載なしーですから読み解くことはできません。

 細川家による、木村栄寿本「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流・・」でも「神傳流業手付」の抜刀心持之事には「クヽリ捨」には手附の記載は有りません。
 檀崎先生や山蔦先生は大江先生の「門入」を「隠れ捨」の業名として当てておられます。
 大江先生の門入も古伝には相当する業が見当たりませんのでこれも疑問ですが、現代居合として継承されています。
 檀崎先生や山蔦先生は中山博道先生の指導を受けられたという事ですが、中山博道先生の居合は、大森流・長谷川英信流までは手附が残されていますが奥居合に関しては謎です。いずれにしてもその真相は手持ちの資料では不明です。
 
 土佐の居合の手附は神傳流秘書よりも古いものは現存せず、江戸時代末期までの伝書類も乏しく現代居合への変遷は辿れません。
 抜刀心持の両士引連・賢之事・クヽリ捨は、神傳流秘書に於いてー手附記載なしーなので第9代林六大夫守政が江戸から、土佐にもたらした時には既に業名ばかりであったのかも知れません。
 
 流派の業技法は、その時代の指導者の心得違いや、時代の趨勢によって変化して行くのもやむおえない事でしょう。
 然し、現代では、変えた時にはその理由を明らかに示すのも指導者の責任です。
 棒の振方りばかりの指導で、「業手附の解釈は俺はこう考える」だけでは、古参の者から「先代の方が良かった」と言う感情論だけが浮かび上がって本論が見えなくされてしまいます。
 挙句は「居合を学ぶには元より其の流儀の形を重んじ、苟もこれを変改するが如き事無く錬磨すべきである」と言いつつ「其の習熟するに於いては、何等形の末節に拘泥する事無く、各流を一貫する居合本来の精神を悟りて、日夜錬磨の功を積み、心の円成に務め、不浄神武不殺の活人剣の位に至るを以て至極となす(第20代河野百錬先生の無双直伝英信流居合道昭和13年1938年より)」として己の「形の末節」の正統性を云々するのでは、日夜研鑽せずとも時至りて思いもよらぬ允可を得て功成り名遂げたと錯覚する者には「形の末節」ばかり気になるものです。
 

| | コメント (0)

2017年5月28日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事21クヽリ捨

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
21)クゝリ捨
クゝリ捨
 -手附記載なしー
読み
クヽリ捨(くゝリすて)
 -手附記載なしー

 

| | コメント (0)

«曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事20賢之事