神傳流秘書14-4棒

2015年2月 6日 (金)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒八本目袖返

神傳流秘書を読む

7.太刀合之棒

 八本目袖返

 棒より打込むを横に払をはづし棒の先を突付る心にて面に勝我は棒を左の手にて突敵は車に構へて居相手太刀を右車に構我棒を左の手にて杖に突居処へ右の手を添へ棒より打込むを横に払ふをはづして棒の先を面に突込む心にて勝

以上八本

*これは、難しそうで単純な業です。
相手は右車に構えている。
車の構えは竹刀剣道の横車の様に、顔を我が方に向け、両足を肩幅に開き、左肩と右肩を水平に入身とし、左手の柄頭は我が方に向けて左腰に付け、右手は右足股関節辺りに付け、刀の切っ先を下げて刃を下に向け構える。
この構えから現代の形では上段に振り冠ってから右足を踏み出し真向切り下したり、袈裟に切り下します。

江戸中期の古流では、この方法も行われていたでしょうが、多くはこの構えで腰を低く両膝を開き四股を踏む形で、刀の刃は外向きで刃を我に見せているでしょう。
古流はこの形を変えずに、そのまま右足を踏み込み目標の処に打ち込んでいきます。

我は左手で棒の上を持ち杖について左足をやや前に出しその爪先あたりに棒をついて立ちます。
我から仕掛けて、右手を逆手に棒に添え右肩に廻し、右足を踏み込んで相手の左肩に打ち込む。
相手これを横車の構えから右足を踏み込み横から払ってくる。払われる儘に相手太刀を左足を踏み替え請け流し右から廻して棒の先を相手の面に突き込む。

我れ相手の左肩に打ち込むや相手、その足踏みのまま払ってくることもあるでしょう(柳生新陰流の一刀両断)。
我の棒での打ち込みは相手の左肩に当たる様に打ち込めば相手は左肩を体を左に引き外せます。外すと同時に払ってくるので、相手太刀は我が棒を払い打つことになります。払われて請け流し突き込むとしたのですが、これでは「「棒より打込むを横に払ふをはづし」の文言にヒット出来たでしょうか。

これも第12代の英信流目録の袖返で稽古してみます。
居合棒太刀合巻 棒太刀合之位「袖返」
「是は敵は太刀を車に構え居也我は棒にて上より討也其所を敵横になぐる也我其所を懸け太刀の裏を廻し棒の先きにてみけんを突也」

*「懸け太刀の裏を廻し」は、我が棒で相手の左肩に打ち込む処、相手は太刀で棒を払ってくる、払われる儘棒の先を左手を引いて引き戻し、相手太刀の裏からみけんに突き込む。

第9代林六太夫守政が江戸で習ったものを第十代林安太夫政詡が文章にしたのだろうと思われます。その動作を、習った第十一代大黒元右衛門清勝、その次は英信流目録を書いた第十二代林益太夫政誠です。之等の先師方は皆縁戚関係あったようです。それでも動作は変わっています。この坂橋流之棒が絶えて久しい現代に「本当はこうであった」と言い切る事は不可能でしょう。手附が伝える意図を汲み取り工夫するばかりです。
居合を業じ、棒を合せ業じられる方の工夫をお聞かせ願えれば最高の喜びです。

以上八本

坂橋流棒は前回の棒合五本、今回の太刀合之棒八本の十三本が神傳流秘書では伝えられています。

安永五年1776年に林益之丞政誠による英信流目録二巻によれば、居合棒太刀合之巻に棒太刀合之位八本、棒合五に五本、心持之事に五本、極意之大事に八本があります。
神傳流秘書には心持之事、極意之大事は有りません。これらも坂橋流の棒であるかは解りません。

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2014年11月 5日 (水)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒七本目見返

神傳流秘書を読む

7.太刀合之棒

 七本目見返

 右の手にて棒を引摺り行を相手後より付来たり打込を其儘右へ振り向き棒先を面へ突込む

*七本目は見返ですから振り向いて応じる業です。
右の手に棒を持って引きずって歩み行くのですから六尺棒でしたら棒の中を右手で持って歩くと棒の先が地面を引きずります。
四尺二寸の杖ですと三分の一辺りでしょう。
棒は刀より無造作に扱われていたようですね。

相手は後ろから付いて来て、突然刀を抜いて真向に打込んで来る。
無言で打込むのは武士の作法に卑怯とされますから、名を呼ぶなりして打込む事を知らせるのですが、此処はどうしましょう。
不意打ちに応じられる迄稽古を積めば無言の闇打ちも感じられるかもしれません。チャンバラ映画の見すぎですからそんな事も思ってしまいます。

我は、害意を察するや、左足を右足の前に大きく踏み出し、左手を逆手に棒の先に取り右に廻りながら、棒の先を地摺りから打込まんとする相手の面へ突き込み勝。

左足の大きな踏み込みで相手の打ち込みの間をはずしておきました。

是も第12代の林益之丞政誠の英信流目録から見てみます。
居合棒太刀合巻 棒太刀合之位七本目「見返」
「是は右の手にて棒の端をさげ引きずり行也敵跡よりおがみ討に討所を其拍子に連れて見返りざまに左の手にて棒の端を取り右の手にて中をおさえ敵のみけんを突也」

*英信流目録では「右手で棒の端をさげ引きずり行」と棒の持ち様を指定して居ます。振り返って「左手で棒の端を取り」、「右手にて中をおさえ」ですから右手を棒中に滑らせて棒の先を相手の面に突き込むのでしょう。

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2014年11月 4日 (火)

神傳流秘書をよむ 7.太刀合之棒六本目笠之羽

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7.太刀合之棒

 六本目笠之羽

 相手高山にかまえ居る処へ如此棒をかつぎ行を相手打込を一方にて合せ一方にて張り扨一つ廻して詰る

*五本目までは、同様の技を下から上に棒を扱うことを学んできました。
六本目は、「笠之羽」という変わった業名です。

これには絵がついています。棒を首の後ろで両肩にかつぎ左右の手で支えています。所謂天秤棒を担ぐ形です。それが「如此・・」のところです。

相手、太刀を上段に構えている所へ、棒をかついですかすかと行く。
相手、右足を踏み込んで真向に打ち込んでくるのを、我は右足をやや右斜め前に踏み込み棒を担いだまま頭上に上げ左足を右足の後ろに摺り込み相手打ち込む太刀を右から合せ打つ。

相手、右足を引いて左足を踏み込み再び上段から打ち込んでくる、我、右足を左足に引き寄せ左足をやや左斜め前に踏み出し右足を左足の後ろに摺り込み相手打ち込む太刀を張る。

我、頭上で棒を一つ水車にまわし、相手上段に取って引くを右足を踏み込み棒を相手の眉間につけて詰める。

相手の真向打ちを筋を変わりながら、右から合わせ、左から張り、頭上で一廻りさせ追い込んで詰める、としてみました。

この笠之羽も第12代林益之丞政誠による英信流目録の居合棒太刀合之巻より 
棒太刀合之位「笠之羽」
「是は我首へ横に置き両手をかたのあたりまでおさへ相懸りにて行く場合にて敵物討に討所を右のはしを合せ其儘左のはしを以強く横にはね勝也則ち棒のはしをかえし跡堅る也」

*相手が打ち込んでくるのを右足を踏み込み右の端で合わせ打ち、軸をそのまま足を踏みかえ左端を以て張り込んで、勝、「則ち棒のはしをかえし」の部分で「跡堅る」は古伝の「一つ廻して詰る」と続く処でしょう。

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2014年11月 3日 (月)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒五本目小鬢流

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7.太刀合之棒

 五本目小鬢流

 小鬢へ打懸る外先に同じ

*五本目は脛をなぐ、腰をなぐ、小手をはね上げる、小手を払い落すの次として小鬢へ打懸る技になります。

相手高山から遣方の左面に打込んで来る。遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み込んで張る。
又、相手刀を上段に振り上げるところ、我は棒の先を右上に上げ左足を右足に引き付け透かさず右足を踏み出し相手の左小鬢に打ち懸ける。
相手之を右足を引いて外す。

又、相手、右面に打ち込んで来るを、右手を其の儘左手で棒を後ろに引いて左から廻し棒の下を上にして左足を踏み替え左半身になって相手の打ち込みを張る。
相手再び上段に振り上げるところ、即座に右足を左足に引き付け棒の先を左上に上げ左足を踏み込み相手の右小鬢に打ち懸ける。相手左足を引いて之を外す。

扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて張り込んで勝。

「小鬢に打懸る」ために、有効な棒の操作がいくつもありそうです。

これも英信流目録に残っています。
棒太刀合之位「小鬢流」
「是は鬢を打也跡回し前も同じ」

相手との間合いによって脚さばきは、踏み込み足、踏み替え、継足、追い足など、自由に捌く様にしても良いと思います。
体さばきも右身・左身足に連れ棒に連れさばいてみます。
棒の捌きも棒は上下何れにても有効に打つことが出来る武器ですから、太刀の様にも使えるし、棒の先を相手に付けたまま上下反転させることも出来、槍のように繰り出すこともできるる優れものです。

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2014年11月 2日 (日)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒四本目小手落

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7.太刀合之棒

 四本目小手落

 是又上に回し小手を払い落し常に太刀を張る水車同前之業なり

*四本目は脛をなぐ、腰をなぐ、小手をはね上げるの次として小手を払い落す技になります。

相手高山から遣方の左面に打込んで来る。遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み込んで張る。
又、相手刀を上段に振り上げるところ、我は棒の先を右上に上げ左足を右足に引き付け透かさず右足を踏み出し相手の左小手を払う。
相手之を右足を引いて外す。

又、相手、右面に打ち込んで来るを、右手を其の儘左手で棒を後ろに引いて左から廻し棒の下を上にして左足を踏み出し相手の打ち込みを張る。
相手再び上段に振り上げるところ、即座に右足を左足に引き付け棒の先を左上に上げ左足を踏み込み相手の右小手を払う。相手左足を引いて之を外す。

扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて張り込んで勝。

「小手を払い落す」ために、有効な棒の操作がいくつもありそうですが、前の業と同様な動作で応じてみました。
「常に太刀を張る」はこの場合、相手太刀を受けるのではなく張る心持を言うのだろうと思います。

これも英信流目録の棒太刀合之棒より「小手落」
「手首を上より討つ也跡同じ前も同じ」

*小手揚では神傳流秘書の小手上を「こてあげ」と読めばいいのですが「こてうえ」では「小手落」とかぶりそうですから、小手を下から跳ね上げたのでしょう。これは上から払い落とすのです。

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2014年11月 1日 (土)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒三本目小手上

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7.太刀合之棒

 三本目小手上

 腰をながずして小手をはね上る也水車同前

*三本目は脛をなぐ、腰をなぐの次として小手をはね上げる技になります。

相手高山から遣方の左面に打込んで来る。遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み込んで張る。
又、相手刀を上段に振り上げるところ、我は棒の先を右下に下げ左足を右足に引き付け透かさず右足を踏み出し相手の左小手をはね上げる。
相手之を右足を引いて外す。

又、相手、右面に打ち込んで来るを、右手を其の儘左手で棒を後ろに引いて左から廻し棒の下を上にして左足を踏み替え左半身になって相手の打ち込みを張る。
相手再び上段に振り上げるところ、即座に右足を左足に引き付け棒の先を左下に下げ左足を踏み込み相手の右小手をはね上げる。相手左足を引いて之を外す。

扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて張り込んで勝。

「小手をはね上げる」ために、有効な棒の操作がいくつもありそうですが、前の業と同様な動作で応じてみました。

これも第12代の英信流目録の居合太刀合巻 棒太刀合之位 「小手揚」
「手首を下たよりはねあげる也跡同じ前も同断」

*小手上の文字が小手揚になっています。小手の上から打つのではない、小手を跳ね上げるんだと拘ったのでしょう。
英信流は拘りと改変が常にあったようです。それだけ十分に研究されたものであったとも言えないし、より良い事は先師の教えに守破離をも以て返していく良い風潮もあたのでしょう。

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2014年10月31日 (金)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒二本目腰車

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7.太刀合之棒

 二本目腰車

 □砕に替る事なし□をながずして腰をなぐの違ひ也水車同前也

*□砕きは脛砕きでしょう。脛を薙ぐのではなく腰を薙ぐのです。

前回の業の、脛に打ち込む処を腰に打ち込むと替えただけの業です。
前回も同様ですが、「なぐ」は「薙ぐ」の文字を当ててみました。「打つ」と言っていない処を意識したのです。「薙ぐ」は、かる、そる、なぐ、横ざまに払って切る、また、倒す。
打つのとは違うので、足を引いて外すが言葉に準じそうな気がします。

此の業も第12代林益之丞政誠の英信流目録に残されています。
英信流目録 居合棒太刀合巻 棒太刀合之位 「腰車」
「是も同し事也棒を腰へあつるなり跡は何れも同じ」

*脛砕きと同じで脛では無く腰を薙ぐのです。

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2014年10月30日 (木)

神傳流秘書を読む 7.太刀合之棒一本目□砕

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7.太刀合之棒

 一本目□(脛)砕

 相手高山遣方棒を左の手にて持居る処へ相手打懸る処へ右の手にて棒を逆手に取り下を上にて合せ又一方にて□をなぐ又打込を此度は右を後へ引左身にて如前下を上にて合せ□をなぎ扨水車に取り廻し□(追)込み扨相手より又打込を我右身ならば下にするを棒の先を面に突付る心にて合せ勝也

*業名の始めの一字が読めません。月に旁は布です。二本目は腰車、三本目が小手上・・と順次上に上がっていますから、「脛」すねくだき「脛砕」でいいでしょう。河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「脛砕」です。

「太刀合之棒」ですから相手は太刀で遣方は棒での攻防です。
相手は刀を上段に構えています。遣方は「棒を左の手にて持居る処へ」ですから、棒中を左手で持って自然体で立つと思うのですが、次の「相手打懸る処へ右の手にて棒を逆手に取り」なので、此処は棒合と同様、左手で杖の様に突いて左足をやや前に半身に立ちます。

相手高山から遣方の左面に打込んで来る。遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み込んで合わせる。
「又一方にて脛をなぐ」は、左手を後ろに引いて左肩から棒を廻し棒の上を下にして左足を踏み込み相手の右足脛を薙ぐ。
相手之を右足を引いて外す。

又、相手右面に打ち込んで来るを、左手を其の儘右手で棒を後ろに引いて右から廻し棒の下を上にして右足を踏み込み右半身(左身)になって相手の打ち込みを張る。
即座に左手を引いて棒を左肩から廻し左足を踏込み相手の左脛を薙ぐ。相手左足を引いて之を外す。

扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて合わせ勝。

坂橋流の「水車に取り廻し」はどの様にするのか不明です。
頭上で手を持ち替え水平に廻す、正面で手を持ち替え縦に廻す、右片手で8の字に廻す。
此処は水車ですから縦に廻すのが手附に従う事かも知れません。

この太刀合之棒についても第12代林益之丞政誠による安永5年1776年の英信流目録に残されています。原文のまま掲載しておきます。

英信流目録居合棒太刀合之巻 棒太刀合之巻一本目脛砕
「是は敵は太刀を上段にかむり我は左の手にて棒の中を持杖に突き楽々立合也敵ふみ込おがみ討に打所我は右の手にて棒の上のはしを逆手に取り右の足を一足引き右の手を下へさげ棒の下たのはしを太刀へ合せ右の足を一足ふみ込み右の手にて持ちたるはしにて敵の左の脛を打ち先をさげ左の手を上へあげ討也
敵亦討所をさげておるはしにて太刀をはね躰をかわり左の手にて持たるはしを敵の左の脚へ当て我も左の足をふみ込み棒を跡へくり出し車の如くかまえる也
其の所を敵我が足を片手にてなぐる也
それより水車を廻し追込む也
但し棒は右で二つ左で二つづつ廻していくつも廻し行うく迄追込む也
右の手の行たる時追い留り候えば(?)敵拝み討に打所を下たより棒の先にて拳をはね上げ亦我も其儘棒の先にて拝討に打なり
敵其所を請て我が棒の先を左の手にてとり右の手にて持たる太刀を我がみけんへ討也
我其所を左の片手にて棒を上へさし上げ右の手にて棒の前えより敵の右の手首をとり棒を前へおし手を我が方へ引きかためる也
俗に云棒しばりなり
亦左の手が先へ出てくる時追當りたれば先をさげ持て敵討所を真見合へ棒の先をさし付右の手を下げてかためる也」

*英信流目録の太刀合一本目は脛砕ですが、神傳流秘書に初めは同じようなものですが、水車の廻し様は「右で二つ左で二つづつ」の様に幾つも廻して追い込んで行く、廻し方は右、左持ち替えなのか、両手で廻し右廻り左廻りか口伝でしょう。
廻す位置も頭上か正面か左右脇か・・?。
棒縛りの技が加わっています。
是は棒術の各流派に伝わっている、普通の技法でしょう。
我、真向に拝み討つと相手たまらず棒を左手で掴んで、右手で太刀を振り下して来るのを左手を差し上げて相手の腕を留め右手で相手の腕を取って棒を押し、右手を引き込んで「棒しばり」にする。
棒しばりにしないで神傳流秘書の様に面(眉間)に突き込むのも伝えています。
業は他流を取り入れたり、新たな発案により進化する見本のようなものです。
此の業で坂橋流棒術の多くは語られている様に思えます。

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2014年10月29日 (水)

神傳流秘書を読む 6.棒合五本目込入

神傳流秘書を読む

 6.棒合

 5本目込入

 追込の如く両方立合我足を一足づつ引上下合せ相手打込むを中にて請下にて合せ張如前勝也

*「追込の如く両方立合」ですから、一本目の様に双方棒を左手で杖に突き左足をやや前にして左足先に棒を突いて立合う。

相手、右手を左手の下方に棒に添え右から廻して遣方の左面に右足を踏み込んで打込んで来る、遣方は左足を引いて同様に右手を左手の下方に添え右から廻して之を上で請ける。

相手、右手を其の儘に左手を引いて棒の下を取り、左から廻して左足を踏み込んで遣方の右足に打込んで来る、遣方は右足を引いて同様に右手を其の儘に左手を引いて棒の下を取り左から廻して左足の前で之を請ける。

相手、更に左手を其の儘に右手を棒の上に取り右から廻して右足を踏み込んで真向に打込んで来る、遣方は左足を引いて両手で棒を頭上に捧げ棒中で之を請ける。

相手、更に左足を右足に引き付け、棒を右肩に取り右足を踏み込んで遣方の右足に打込んで来る、遣方左足を引き右足も追い足に之を下にてはり請けに請けるや左足を右足に引き付け、右肩から棒を廻し掛けて右足を踏込み相手の左面に打込み勝。

相手前へ前へと攻めて来るのを一足づつ下りながら之に合わせ、真向に打込んで来るのを頭上に十文字に請け、更に足に打込んで来るのを下がりながら張り受けに合わせるや、攻めに転じて廻し掛けて踏み込んで打ち込み勝。

此の業も第十二代林益之丞政誠による英信流目録の居合棒太刀合巻棒合五つより「込入」が参考になります。
「是は楽々棒の中を持ち先の如く立合也敵より上え打懸る所を我も右の上えにて請け右の足を一足引き敵左の下を出す也其時我も左の下たを合せ左の足を一足引き敵亦上より討所を両手にて両端を取り左の足を踏み込み十文字に請け下た下たとはねる也仕廻は右の足にて詰る也。

棒の中を持ちは、二本目の立合が左手で棒の中を持って相対して立合うでした、右手で棒の上の端を逆手に取って、相手が右面に打ち懸けて来るのを、同様に足を踏み替え、左足を踏込み右の上で請ける。
相手右足を一足引いて、左の下を打って来る、其の時我も右足を踏込み左の下で合せる。
相手左足を一足引いて、真向に打込んで来るので、これを両手を棒の端に取り左足を踏み込み十文字に顔面上で請ける。
十文字に請けるや、相手棒を左膝・右膝と足を踏み替えつつ打込んで来るのを、我も右足を踏込み替え左膝、左足を踏み替え右膝と合せはね、しまいは右足前にて詰める。

英信流目録の方は相手が後退しつつ打込むのを、追い込んで合わせて行きます。神傳流秘書は相手に攻め込まれ後退しつつ機を見て追い込む様で同じ業とも云い難いのですが之も追い込んで勝つか、後退して勝か、何れも稽古して見るものでしょう。

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2014年10月28日 (火)

神傳流秘書を読む 6.棒合四本目行違

神傳流秘書を読む

6.棒合

 4本目行違

 両方右の手にて棒を引摺り右あいに行違ふ時見返りて下を上にて合せ又一方を上にて合せ又一方を下にて合張如前打懸て勝

*打方、遣方共に右手に棒の中ほどを持って引きずるようして右側を行き違う。
行き違ってお互いに振り向いて見返り、左足出たとき棒の上を左手で持ち、右手を逆手に持ち替え、右に廻りながら右肩に棒を振り上げ、左足を右足に引付、右足をやや斜め右に踏み込んで相手の左面に打ち込み双方棒を合わす。ここが「見返りて下を上に合せ」の部分になります。

「又一方を上にて合せ」は、右手を其の儘、棒を左手で後方に引き寄せ握りを持ち替え棒の上を下に下を上にして左肩に廻し、左足を踏み込んで相手の右面に打ち込む、相手、同様に棒を左肩に廻し右足を引いてこれを棒で受ける。

「又一方を下にて合張」は双方、左手を其の儘、右手を後方に引いて棒の上を下に、下を上にして右肩から廻して右足を踏み替え相手の出足に打ち込む。

「如前打懸て勝」は、三本目請込の業の「扨一方を廻し掛て勝」を再現します。
合張るや棒を右肩から廻し右足を左足に引き付け、相手右足を引いて撃ち込まんとするを右足を踏み込み相手の左面に打ち掛け勝。
これでは「廻し掛けて」が理解できていない気もします。相手の棒を巻き落とすのも考えてみるのですが、私は剛力をもって戦うことを良しとしないのでこのようです。

棒術には流の掟があろうかと思うのですが坂橋流の棒は失伝していますから、手附を元に稽古を繰り返し、身に着けて最も良さそうな技を選んでみるのも面白そうです。

棒は、上も下も、物打もありません。自由に扱えますがそれだけ厄介です。
足の踏み替えを入れてみました。

第12代林益之丞政誠による英信流目録居合棒太刀合巻棒合5つ「引違」
「是は楽々右の手にて棒の端を取り引違う也其引違い様に左の手にて棒の中を取り右の手をさげ棒の下を上げ上にて亦合せ亦下た下たと合也仕廻は右にて詰る也」

*神傳流秘書は「行違」ですが英信流目録は「引違」です。この違いは「行」の草書体と「引」の草書体の読み違いとも取れますが、棒を引きずって相手と擦れ違う訳でそれ以上追及しても原本が見当たりませんので意味はないでしょう。

右手で棒の中ほどより上をもって、後ろの端を下げて相手とすれ違います。古伝の稽古では指定がなければ相手も同じ様に構えるものです。
すれ違うや棒の中ほどを左手で逆手に持ち、振り向きざま棒の下で相手の右面を打つ、合わされて即座に左手を引いて棒を返して相手の左面を打ち、合わされるやその足のまま相手の左膝を打ち合わされて足を踏み替え相手の右膝を打ち、合わされて足を踏み替え右足を踏み込んで水月を突く。

同じ様な手付でも、棒は刀と違って、棒の上でも下でも、様々な攻防が可能です。
失われた坂橋流棒の掟は棒術の錬度次第で蘇ってくるかもしれません。

 

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