神傳流秘書14‐7大剣取

2014年12月12日 (金)

神傳流秘書を読む 11.大剣取十本目水月

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 十本目水月

 相手高山我切先を向へさし付行時八相に払うを外し拳へ打込み勝

*相手は上段に構え、我は「切先を向へさし付け」ですから正眼に構え切先は相手の喉元でしょう。
正眼に構えスカスカと間境を越すや、切っ先を右に振り左拳に誘い相手我が左小手に八相にて払って来るのを、我は左手を右肘に引付これを外し、左足右足と踏んで透かさず相手の拳に切り込む。

柳生新陰流の「半開半向」をやってみましたが、ここは素直に相手が我が正眼に構えた刀を上段から八相に払って来るのでこれを、出足を引いて刀を上段に振り冠って外し踏み込んで相手の小手に打ち込む。
「八相に払う」は何処を八相に払うかは指定されていません。チャンバラでは無いので、一刀の下に我が戦力を奪える処へダイレクトに打ち込まれるのでなければ此の業は活きて来ません。

政岡先生は、相手上段、我は正眼に差し出して行く。相手斜めに我が刀を払って来るのを切っ先を下げて外し、ふみこんで小手を取る。

*これは竹刀剣道の常道でしょう。
相手も太刀で太刀を払う様な方法はどうも好きになれません。
相手にわが身を土壇となして撃ち込ませそれを外して勝は土佐の居合の根底に流れている様に思っていますがいかがでしょう。

以上十本

以上十本で大剣取を終わります。
太刀打之事十本、詰合十本、大小詰八本、大小立詰七本、大剣取十本、合計四十五本の仕組(組太刀)は現代居合では指導する人も無く、稽古する人も疎らです。
心ある方は何人かで研究しあって、この「思いつくままに」の仕方を完成させていただければと思います。

第17代大江宗家の残された形のみに固執し、古伝の形を遺棄する方達も居られます。
然しその方達は土佐の居合が総合武術であったことを忘れ、他流の形や動作をいかにもそれらしく取り込んでいたりします。
大江先生の教えだけでは不足と考えられ、総合武術としての修行を目指すとする事には異論などあろうはずは有りません、然し元々あったものを学ぶ事を拒否したのでは先師を蔑ろにする事で恥とすべきものでしょう。
秘事と称して伝書を公にしてこなかったのか、伝授された方の子孫に其の素養が無かったかは知りません。

この時代居合に依って人を殺傷するなど論外の事です。日夜弛まず抜きつけていく修行によって己を見つめ直し、あるべき姿を描き出し、其れに向って目指す事が究極の目的でしょう。

誤りと気づく事があれば素直に直せばよいだけです。いたずらに立場を固執すればこの道を外してしまいます。

弟子を持ち師匠と云われる先生方は文化の伝承を担っていると認識し、たとえそれが己の直近の先師が持ちこんだものであっても、明らかに他流の形や動作であれば、見直して常に古伝と照らした上で古伝に返るべきものと思います。

古伝は大らかです。自流の古伝を伝える者が無ければ、他流から学んだものを工夫して古伝の大らかな手附から業技法を生き返らせる事も許されるでしょう。
現代まで継承される流派は多くは体系的にも充分研究されています。我が国の伝統文化そのものです。
それが現代風に変化していても決して間違いではない筈です。
そんな研究を弟子達とフランクに出来る様にならなければこの道は廃れて行くでしょう。
「俺の習ったものと違う」など当たり前のことでしょう。

然し、竹刀剣道の様に統一理論を以て「ルールやかたち」を統一してしまっては、伝統文化の破壊ともなり一部の管理者によって本質を誤る事も有りうるのです。

現代は、この神傳流秘書の様に、誰でもに公開されています。流派の掟は一部の人に隠されたものでは無く、志す万人に公開されているのです。

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2014年12月11日 (木)

神傳流秘書を読む 11.大剣取九本目雷電

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 九本目雷電

 相手高山我左の脇へ切先を上構へ行時打込む処を留勝又相手車にかまえる時は我切先を下げて行也

*この雷電も抜けだらけで困りました。
相手は上段に構える、我は「左の脇へ切先を上構え行」、この構えは左青眼に構え行くとも取れます。この場合は相手が真向に打ち込んで来るのを、右足を踏み込み受けるや跳ね上げて相手の左面に打ち込み勝。

或は左手に柄を持ち左腰に付け右手を切っ先に添えて切先を上げ、スカスカと間境を越し、相手が真向に打ち込んで来るのを、左手を上げ右手をやや低く顔前頭上に相手の刀を十文字に受け、体を右入り身となって刀を擦り落とし詰める。

次の「又相手車にかまえる時は我切先を下げて行也」です。相手は車に構え待ちかけています。
我は下段に構えスカスカと間境を越します。相手車から我が左小手に打ち込んで来るを左手を右腕に引付相手の打ち込む刀を外し、相手の流れる小手に打ち勝。

政岡先生は「上段に対しては右足を引いて体を開き物打の峰に左手をかけ右拳を右腰に当て剣尖を高く構。
車に対しては左足をふみ出して刀を水平に構える意ならん。尚「打込処を留勝」となっているが六本目の如く右足をふみ込んで額前で受止め直ちに左足をふみ込みつつ右にすり落として左足からふみ込んで水月を突くべきである。

「車に対しては」左足を前にして切先を下げ刀を水平に構え、相手が車から上段に振り冠って真向に打って来るのを六本目の栄目の様に額前で受止め右に摺り落とし水月を突く。というのです。車の構えから上段に振り冠って真向に打ち込むのは明治以降の竹刀剣道の方法です。余り参考にしたい方法では無いでしょう。車から打ち込む方法は幾つにも有る筈です。
我が構えの隙は何処か、其処へ誘いたいものです。

雷電については林益之丞政詡の居合兵法極意秘訣から「老父物語」の雷電を読んでみます。

原文のまゝとします。
雷電、片手に持ひっさげ敵の両眼え突込やいなや跡へ引亦敵打かくる処を請込、敵の右の足を打はずし打也是口伝大事・・・太刀おっ取ってするするとゆく敵切ればきるべし切らずば切るまじ。
亦するすると行かずして身を沈み車にかまえ敵切ってかかる、其拍子を、うけず其間合を勝事、我が心に浮み出ずべし、我より知るべし。
亦太刀をあだ切をして二の太刀にて勝位も有、是も我より気にのりて行くべし。
亦相懸にて敵来る時先に敵の太刀をころして勝位有、古人和卜(かぼく)刀とも云えり。
亦敵先に切って懸る時左右えひらき勝位有皆我気のはたらき也。
亦太刀を敵へ差懸切らせて引きすかして跡を切位有。
亦時によりて青眼にかまえて身をよくかこい敵より切、一度にすり込鍔きわにて勝位有。
亦敵打時我身を沈み沈体にて敵の手首を打払いて勝位有。
亦中墨を打払いて勝位も有総体足を踏み付けずに体のいつかぬ様に浮き浮きと立って右の事を行うべし、敵と気分のくいあわぬ様に我は敵と別々と成る心也、敵は〆合わせうとするを此方は夫々移らすふわりと出合ふよし、ふわりとせしは右云夫々の変出事無し。
考えるべし右の働きを敵がすれば此方の負け成る事の上にて是より外の仕筋無し深く工夫有るべし。・・

*この辺の処を読んでいますと、柳生新陰流の剣術の心得を彷彿とさせます。

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2014年12月10日 (水)

神傳流秘書を読む 11.大剣取八本目橇橋

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 八本目橇橋

 相手高山我も高山にて懸る場合にて車にきっしりとしたる時向の眉間へ切先をさし付手本を上突込み勝

*この橇橋は業名も不思議ですが、この文章の解読は難解です。
相手も上段、我も上段にてスカスカと間境に至り、「車にきっしりとしたる時」は相手か我か解らないのです。
先ず相手が上段から車に構えを替えた時、我は相手の眉間に上段から切先をさし付け手もとを上げて突き込み勝。
是では相手は何故車に構えを取ったのか相手の意図が読めません。
下手に突き込めば踏み込まれて小手を打たれそうです。

そこで、車にきっしりとするのは我として見ます。
双方上段に構えスカスカと間境に至り我は、車に構える、相手左肩に上段から打込んで来るのを、腰を左に捻って外すと同時に相手の眉間に切先をさし付け手元を上げ突き込み勝。この方がすっきりします。柳生新陰流の一刀両断かとも思えます。

それでは「車にきっしりとしたる時」が何となくぼけますから、双方車に構え、相手より我が右肩に打ち込んで来るのもいいでしょう。

その次の「・・時向の眉間へ切先をさし付け手本を上突込み勝」とありますから相手が車に構えるのに乗じて、我が切っ先をさし付けるのでしょう。
うかうかと、突き込めば一刀両断されそうです。

いずれにしても抜けだらけの手附けですから想像の域を出ません。

政岡先生は、互いに上段で間に入り、相手引いて車にとるところ、我は透かさず眉間に突き込んで勝。

相手車に取らんと足を踏み替えんとするを機に、我は剣先を下げて正眼に構え踏み込んで眉間に突き込んで勝でしょう。
他流の技を心得ていれば、返し技も出てきそうです。
申し合わせの形打に終わったのでは古伝が泣きそうです。
かと言って独創も憚られます。

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2014年12月 9日 (火)

神傳流秘書を読む 11.大剣取七本目山風

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 七本目山風

 相手高山我切先をさげ前に構へ行時相手打込を左右何れなり共請請流し拳へ勝

*相手上段、我は下段に構えスカスカと間境を越す、相手は真向に打つ、或は右面、左面に打込んで来るも、請け留め請け流し拳へ勝。

上段からの打ち込みですから真向、左面、右面いずれでも「請請流し」の文言に従って、顔前頭上で十文字に請け留めて、体を躱して摺り落し相手の拳に打ち込み勝。
十文字請けは真向及び左面へ切込まれても切先を左で請け右に体を躱して打込む、右面の場合は切先を右に十文字に請け体を左に躱して打込む。

上段からの左右の打ち込みを見分けられない様では応じられず、切先左のみの「請請流す」では不都合も有りそうです。
出足が右だろうと左だろうと左右いずれにも応じられるようになりたいものです。
体捌きとそれに付随する足捌きのよい稽古です。
「請請流し拳へ勝つ」にポイントがある業です。
真向打ちを誘う様に下段から切先をすっと僅かに上げるのも有でしょう。
下段からの請け流しは、顔前頭上で正座の部の受流の様にしてみましたが、ここにも幾つもの工夫があってしかるべきものです。例えば、切先を突き上げる様にして請け請け流す。
現代居合の不十分な処を補う良い業です。
そして相手の「拳へ勝」ですから、相手は流されて打たしてくれる首や肩ではありません。

政岡先生は「左右何れなり共請請流し」を左右の足捌きにあてておられます。
「下段に構えて間に入る時、右足の出た時打下されたなら左足を左前にふみ込んで右に請け流し、左足の出た時打下されたなら右足を右前にふみ込んで左に請流すべきならん」
とされています。

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2014年12月 8日 (月)

神傳流秘書を読む 11.大剣取六本目栄月

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 六本目栄月

 相手高山我切先を左へさし胸へ横に當かまえ行時相手打込を切先に手を添え請入る

*栄月とは何とも風流な業名です。
相手は上段に振り冠り、我は柄を右に、切先を左に、左手で刀の物打ち下に添え、刀の棟を胸に宛て、スカスカと間境を越し、「ふっと」止まるや相手真向に打ち込んで来るを両手を上げ顔前頭上に刃を上にして十文字に請ける。
即座に相手の刀を右に摺り落とし、左足を踏み込んで相手喉に突き込む。

是は面白い業です。刀を抜き出して切先を左に向け横にして左手で刀身をささえて刃を前に向けてスカスカ歩み行くのでしょう。
我の異様な接近に相手がオヤと思う処をチョット立ち止まって相手の打ち気を誘ってみました。
十文字請けからの摺り落としは太刀打之事や詰合ですでに稽古済みです。

政岡先生は「栄目」と業名をあげておられますが之は誤植で「栄月」に訂正されています。
「左足をふみ出して正面向きのまま柄にかけた右手は腹の右前、物打の峯に添えた左手は腹の左前で、刀は水月の前で刃は前に向き、両前膊は水平に構える。間に入るや正面に切り下されたので額前で十文字に受け止める(刃は上向く)直ちに左足をふみ込みつゝ右にすり落し、左足からふみ込んで水月を突く。

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2014年12月 7日 (日)

神傳流秘書を読む 11.大剣取五本目栄眼

神伝流秘書を読む

11.大剣取

 従是相寸

 五本目栄眼

 相手高山我は左青眼に構へる時相手横に払を放して拳へ勝

*是より相寸、ですから我も相手も太刀を持っての攻防です。
相手高山ですから上段に構えています。
この上段は、太刀を頭上に45度に高く構え、左拳は頭上、又は顔前頭上(額の上)でしょう。
顔前頭上は竹刀剣術の統一方法の構えでしょう。

我は左青眼ですから、太刀の切っ先を相手の右目に付け、又は相手の上段に構えた右肘につけ左足前にしてやや半身に構えます。

相手上段、我は左青眼に構えスカスカと間に入るや「相手横に払う」、さて相手は我のどこを横に払ってくるかは何も書かれていません。
左青眼に構えた太刀かも知れません、右拳かも、左拳かも知れません。あるいは肩かもしれません。

上段から「横に払う」は動作が大きくなりますから、相手も工夫が必要です。
相手は上段ですから左右いずれでも打ち下ろせます。

我は左青眼ですから剣先は左です。右拳が誘う様にあるのですが、ここでは、相手は八相に我が太刀を払ってくるのを左足を引いて太刀を上に外し即座に右足を踏み込み相手の小手に切り込む。

政岡先生は相手が太刀を八相から横に払って来るのを切っ先を下に外し、流れた相手の拳に切っ先を挙げて打ち込む。

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2014年12月 6日 (土)

神傳流秘書を読む 11.大剣取四本目鉄石

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 四本目鉄石

 是も前の如く坐し是は廻り寄りて切らんと心得て抜かざる時行なりに小太刀にて地をハタと叩いて氣をうばうて入りてさす

 従是相寸

*是も相手は「前の如く坐し」ですから居合膝に坐す処、我が「廻り寄りて」は、めぐりよりて、めぐってきて、そばに寄ってくれば切ろうとしているが抜こうとしない時、我は小太刀を下げてスカスカと間境に歩み行き、体を低め、小太刀で地をハタと叩き相手の気を奪って、相手が抜こうと抜くまいと体を低めたまま中に入り、柄手を制して刺す。

いささか、文章が解りずらいですが、抜こうとしているが、抜く気があっても抜こうとしない相手の気を奪って付け込んで刺す、という業です。
仕組の稽古でこの気を出せるかは難しいでしょうが成りきって稽古する事も大切な事だろうと思います。

政岡先生は、相手が抜かないので抜刀して地面をはたと打つと抜きはじめる、そこを飛び込んで右手をおしあげてさす。としています。

「従是相寸」これより相寸、四本目までは相手は太刀我は小太刀での攻防でした。
五本目以降は相寸です。双方太刀を帯して行います。

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2014年12月 5日 (金)

神傳流秘書を読む 11.大剣取三本目外石

神傳流秘書を読む

11.大剣取

 三本目外石

 是無剣の如く放したる時又右より打を留入りてさす

*これは、奥居合居業の一本目現代居合の「霞」古伝の抜刀心持之事の一本目「向払」に応じるものでしょう。

相手居合膝に座す処へ我はスカスカと小太刀を下げて間境を越すや、相手抜き打ちに出足を払って来るので出足を引いてこれを外す。相手手を返して、進んで我が右方より切り替えして来る、これを踏み込んで小太刀で請け留め、中に入って刺す。

間境を左足で踏み越える処、相手その左足に抜き付けて来る、我は左足を引いてこれを外す。
相手抜き払って手を返し、左足を右足に引き付け右足を踏み込んで我が右足に切り返して来る。我は右足を少し踏み込んで小太刀でこれを請け留め、相手上段に取らんとするを、我れ右足踵に左膝を引きつけ相手に付け入って刺突する。

形にはなりますが、すさまじい技です。

政岡先生は、打の動作は奥居合「霞」の動作である。相手のぬき付けを引き外し、返す刀を受け留め、跳ね上げて飛び込んでさす。

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2014年12月 4日 (木)

神傳流秘書を読む 11.大剣取二本目水石

神傳流秘書を読む

11.大剣取

二本目水石

如前く待処へ小太刀をさげかくる時相手深く懸って抜付るを小太刀を持たるなりに止入りてさす

*相手居合膝に座す処、我は小太刀を下げてスカスカと間境を越して切先を相手の眉間に付ける、相手、我が胴に抜き付けて来るを、踏み込んで小太刀にて請け止め、踏み込み後足の膝を着いて身を低め相手の懐に入り、左手で相手の右肘を制し刺す。

間境にスカスカと入るは、左足で踏み込み相手の打ち気を誘う様にして、抜き付けて来るや右足を踏み込み小太刀で相手の刀を請け止め、左膝を右足踵に引き付け体を下げ、右足を踏み込み相手の中に付け入って、左手で相手の右肘或は右手首を、下に押し付けて制するか、相手が、請け止められて、即座に上段に振り被る機に相手の右肘を我が左手で押上げ小太刀で刺突する。

足踏みなどを付けてしまいますと、その様にするものと拘ってしまいますから、色々試してみる方が良いと思います。

政岡先生は、相手が抜き付けて来るのを抜請けに留め、小太刀で相手の太刀をはね上げ飛び込んで刺します。

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2014年12月 3日 (水)

神傳流秘書を読む 11.大剣取一本目無剣

神傳流秘書を読む

11.大剣取(此の太刀打は和之伝に有也)

 一本目無剣

 相手居合膝に坐し居処へ小太刀をさげかくる相手抜打つを放し入りてさす

*神傳流秘書に有る太刀打は太刀打之事10本・詰合10本・大小詰8本・大小立詰7本・大剣取10本合計45本あります。
更に安永五年1776年に第12代林益之丞政誠による英信流目録に小太刀之位六本が記載されています。是は神傳流秘書には無い太刀打ですが間と間合いを覚えるには良い業です、この英信流目録以外に見られないものなので最終回に譲ります。

大剣取は「此の太刀打は和之伝に有也」ですが之は、神傳流秘書の和は夏原流の和です。
「和」はやわらぎと読む様です。
夏原流に有る小具足・小具足割に小太刀(短刀)による仕組が有りますからその辺を言うのかも知れません。
小具足とは素手による格闘技では無く短刀を用いた格闘技を一般的に云うものです。

大剣取は神傳流秘書のみに記載されているもので、今までの様に曽田先生による五藤先生の業附口伝は存在しません。従って古伝の抜けた部分を補うものは居合から類推するばかりです。

*相手居合膝に坐している処へ我は小太刀を右手に下げてスカスカと間境を越し切っ先を眉間に付け懸って行く。
相手抜き打ちに我が小太刀を払って来るのを出足を引き右手を上げて、「放し」はずして透かさず相手の中に入り左手で相手の右腕を制し刺す。

小太刀を払ってみましたが、間境を越した我が出足を払って来るでも、腰を払って来るでもいいでしょう。
相手は外されて即座に上段に振り被るか、手を返して霞の様に打ち返すかも知れません。

居合膝はどのようにするのか不明ですが、現在の立膝の座仕方と思えば良いのでしょう。
夏原流の小具足の処に「両方足を爪立左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に坐す」とあります。両足爪先立っている様です。

現存するテキストでは政岡先生の無双直伝英信流居合兵法地之巻ぐらいです。
政岡先生は「小太刀をさげてかゝる」二本目は「持ちたるなりに」となっているので、抜刀して正眼とも考えられるが、居合の形として考えて納刀のまゝとしたものである。抜刀して左手を腰に、中段「入身の構」でも可ならん。
「間に入った時払われたので引いて外す、飛び込んでさす」

上段に振り被る処踏み込んで左手で相手の肘を制しています。

*ここは「小太刀をさげかくる」を優先して、小太刀を抜刀して右手にひっさげて無形の位で間境を越す、が古流の伝らしく、あえて居合の納刀に拘るものでもなさそうです。

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