神傳流秘書14‐9夏原流和之事

2015年3月 6日 (金)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移十一本目支點當

神傳流秘書を読む

13.夏原流和之事

6、本手之移

十一本目支點當

鐺返しの業にてかやされ上る処を我が左の足にて相手の陰嚢を蹴る

以上十一本

*この業も鐺返の業がもとになっています。夏原流和之事捕手和之事十一本目鐺返
「相手左脇を行通り我が左の手にて相手の左の手を取る右の手にて小尻を取りうつむけにおしたおし堅める」2015年1月11日

八文字に坐すところ、相手スカスカと我が左脇を通行く時、我が左手を左手で取り、右手で鐺を取ってうつむけに押し倒そうとするので、左足で相手の陰嚢を蹴る。

「・・かやされ上る処を」の状況がよく見えません。
相手に左手と鐺を取られ、鐺を上に上げられうつ伏せに押しかけられるのでしょう。

「左の足にて相手の陰嚢を蹴る」相手の股間に我が左足を蹴りこむ、は押し倒されるに従って、右手で体を支え反転しながら左足で蹴りこむ、としてみました。

業名の「支點當」読みは、してんとう、でしょうか、點はてん・つける・ともすです。

以上十一本

*以上で夏原流和之事を終了します。同時に神傳流秘書も完了となります。

此の神傳流秘書は「文政二年己卯之歳十一月吉祥日 山川幸雅述」で始まりました。
曽田先生が丁寧に書写され此処に掲載したものです。
奥書きは以下の様になっています。

山川久蔵

右の通り相改諸業手付覚亦歌之巻柔術不残相傳譲申所相違無望々仍而奥書如件

坪内清助殿

文政2年は1819年です。
山川久蔵幸雅の記述した最も古い傳書だろうと思います。
残念ながら、この伝書を書写された曽田先生は、この神傳流秘書を誰から見せられて書写されたのかが不明です。
「本書は他に見えざる秘本にて原本は多分戦災にて焼失せるか大事大事」と書き残されています。

夏原流和之事については、このような手附が残されたのですが、誰が何時これらの業を作り出したのかわかりません。

本朝武芸小傳巻九の末尾に小具足について世に鳴るのは竹内流だといっています。荒木流、森流などの後に夏原八太夫の名があります。
夏原八太夫は夢相流小具足の達人也、今川久太夫その傳を継ぐ、武井徳左衛門今川の傳を得、松田彦進武井の芸を傳、鈴木彦左衛門有りて、松田に従い、その宗を得て精妙と為す。
とあります、これが夏原流和であるかはわかりません。

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2015年3月 5日 (木)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移十本目五輪添

神傳流秘書を読む

13.夏原流和之事

 6、本手之移

 十本目五輪添

 遠行の業にて肩を叩時向面の通り手を取り前へなげる

*此の業は夏原流和之事捕手和之事十本目遠行の業にてですから遠行。
「前の如く相手の右脇を通り後へ廻り両手にて合手の肩を一寸叩く相手小太刀を抜かんとする処を両のひじのかがみに手を懸け背中を膝にて押引かる」2015年1月10日

「向面の通り手を取り前へなげる」とありますから夏原流和之事捕手和之事九本目「向面」
「右脇を通りしなに此方よりせり懸る相手よりもせり懸る処おしたおし右の如くうつむけに押倒し堅める」2015年1月9日

五輪添は手附にならない程省略されてしまいました。五輪添を稽古するまでに事前に今までの業は充分稽古を積んでおけとでも言うのでしょう。
本手之移とは本手(元)の業の彼我入れ替わり、変え業、返し業ですから当然の事でしょう。

楽々八文字に相対して坐す、相手立上りスカスカと歩み来り、我が右脇を通り後へ廻り両手にて我が肩を一寸叩く、我は小太刀を抜かんとする処、後よりせり懸られるので相手の手を取って前へ投げる。

業名の「五輪添」ですが「五輪」は仏教で云うところの万物の構成要素「地・水・火・風・空」の五大のことで、ここではそれを現した五輪塔をイメージしたのでしょう。
人の体を五輪に見立てゝ相手を密着させて投げる、そんな業のように思えます。

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2015年3月 4日 (水)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移九本目捫返

神傳流秘書を読む

13.夏原流和之事

 6、本手之移

 九本目捫返

 向面の事に取って後へ倒さんとするを其手を取って前へなげる

*「向面」は夏原流和之事捕手和之事九本目向面です。
「右脇を通りしなに此方よりせり懸る相手よりもせり懸る処おしたおし右の如くうつむけに押たおし堅める」2015年1月9日

「右の如く」が良くわかりません。恐らく捕手和之事の五本目右転か六本目右詰を指しているだろうと思います。

六本目右詰「前の如く歩み行て右脇を行違いしなに相手の右の手を我が右の手にて取り左の手をひじに上て引伏せ堅める」2015年1月6日

五本目右転「前の如く歩み行て相手手を上る処を両の手にて指を取りわけ左の方へ引廻し又たおし砂乱れの如くうつむけに引廻して堅める」2015年1月5日

此処は、「向面」だけを参考にすれば良さそうです。
双方相対し八文字に坐す時、相手立上ってスカスカと歩み寄り、右脇を通りしなに我が右手を取ってせり懸って後ろに倒さんとするを、我もせり懸り相手の右手をひねり返して左手を添え前へなげる。

この本手之移9本目捫返はもんかえし、ひねりかえし、なでかえし、の何れかの読みでしょう。

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2015年3月 3日 (火)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移八本目坐配謀

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13.夏原流和之事

 6、本手之移

 八本目坐配謀

 胸天の移り也常の修行此事なしむねを蹴る足を此方より取り向へ突倒す也

*坐配謀は、ざはいぼうでしょうか。読みは不明です。
「胸天」という業名は見当たらないのですが、夏原流和之事捕手和之事八本目「歩み行相手胸を足にて蹴る平常の稽古には此業なし子細は胸を蹴る故也」とする「胸點」の業があります。2015年1月8日
點は「てん」ですから「天」と同音ですので当て字としたのでしょう。

我が坐している所へ相手スカスカと歩み来たり、我が胸を足蹴にして来るので、その足を取って相手をあお向けに倒す。

「突倒す」の文言が気になります。蹴ってくる相手の足を取るや、相手の体に浴びせていくなどを言うのでしょう。

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2015年3月 2日 (月)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移七本目九寸返

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13.夏原流和之事

 6、本手之移

 七本目九寸返

 抜捨の通り抜付を留処を振り向て中に入りたおす也

*抜捨は夏原流和之事捕手和之事七本目抜捨です。
「相手の左の脇を行通りしなに合手の左の手を我が左の手にて取り後へ廻る相手右の手にて後へふり向小太刀を抜付るを右の手にて留左の手を放しひじに添えてひきたおし堅める」2015年1月7日

業名の九寸返は、小太刀の寸法でしょうか。
相手、我が左脇を通りしなに、左手で我が左手を取って後ろへ廻りこむ、我は後ろへ振り向きざまに小太刀を抜いて抜き付けるのを、相手は右手で我が右手首を留めて左手を放すを機に中に入り押し倒す。

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2015年3月 1日 (日)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移六本目勝骰

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13.夏原流和之事

6、本手之移

六本目勝骰

右詰の通りに我が手を取り伏せんとするを直にきに中に入る

*右詰は夏原流和之事捕手和之事六本目右詰です。
「前の如く歩み行て右脇を行違いしなに相手の右の手を我が右の手にて取り左の手をひじに上て引伏せ堅める」2015年1月6日

楽々対座する時相手立ち上がって歩みより、我が右脇を通りしなに、右手で我が右手を取り左手をひじに掛けて引き伏せようとする、その機をとらえて相手の中に入り・・ここまでがこの業の手附です。
後は、状況次第にどうぞと言っているようです。逃れるだけならば、でんぐり返しもいいかもしれません。

この業名の勝骰は、かつさい、しょうさい、しょうず、しょうとうなどの読みでしょう。
骰はさいころです。

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2015年2月28日 (土)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移五本目請返

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13.夏原流和之事

6、本手之移

五本目請返

右転の通り我が手を出すを相手両の手にて取り引廻さんとするを下より相手の左の手を取り転びころびすれば相手倒るゝ也

*「右転」とは夏原流和之事捕手和之事の五本目右転です。
「前の如く歩み行て相手手を上る処を両の手にて指を取りわけ左の方へ引廻し又たおし砂乱の如くうつむけに引廻して堅める」2015年1月5日

「砂乱」は捕手和之事二本目砂乱
「相手坐し居る処へ我は立って歩み行使者捕の如く引たおさむとする相手たおれじとするをきに左の手にて突たおし扨右足を相手の肩へ歩み込みうつむけに直しかたむる也」2015年1月2日

「使者捕」は捕手和之事一本目使者捕
「楽々対し坐したる時向の右の手を我が右の手にて取り向の右の膝を足にて踏我が右脇へ引たおしてかたむる也」2015年1月1日

楽々対座している時、相手は立ち上がって歩み寄り、我が上に上げた右手を相手両手で取って指を取り分け左の方に引き廻さんとする。
我は相手の左手を取り、相手の引き廻しに転び転びすれば相手を引き倒す事が出来る。

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2015年2月27日 (金)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移四本目変ノ弛

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13.夏原流和之事

 6、本手之移

 四本目変ノ弛

 付入の業にて突倒さんとするを躰を開き後へ送る也

*この「変ノ弛」の読み方は、曽田先生は「へんのはずし」とメモを添えています。
「付入」は夏原流和之事捕手和之事の四本目附入でしょう。
「前の如く歩み寄って右の手にて相手の胸を突きあおのけにたおす也」2015年1月4日

「前の如く」は三本目「弓返」で「相手坐処へ前の如く歩み寄って左の手にて相手の左の手を取り右の手にて相手の小太刀の柄を取て・・・・」2015年1月3日

弓返にも「前の如く」ですから、二本目砂乱れに戻ります。
「相手坐し居る処へ我は立って歩み行使者捕の如く引きたおさむとする・・」2015年1月2日

砂乱にも「前の如く」ですから、一本目使者捕まで戻ります。「楽々対し坐したる時向の右の手を我が右の手にて取り向の右の膝を足にて踏み我が右脇へ引たおしてかたむる也」2015年1月1日

どうやら、始動が見えてきました。古伝の省略した「前の如く」の部分は素直に戻れば展開が見えていいものです。

楽々相対して座す時、相手が立ち上がって歩み寄り、我が胸を右手で突いて突き倒そうとするを機に体を左に躱して開き相手の右手を外して我が体の後ろへ送り引き倒す。

相手の流れる右手を我は右手で取って引き倒すとも、何とも書かれていません。古伝はおおらかです、思う様にやって見るのが良さそうです。

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2015年2月26日 (木)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移三本目山越

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13.夏原流和之事

 6、本手之移

 三本目山越

 弓返しの通りにたおされたる時我打込んで合手請留て引ふせんとする時左の手にて相手の足を取り引かるゝをきに起上り付込み倒す也

*「弓返」は夏原流和之事の捕手和之事三本目弓返です。
「相手坐す処へ前の如く歩み寄って左の手にて相手の左の手を取り右の手にて相手の小太刀の柄を取て脇へねじたおし其柄を右の足にて歩み向の小手をかためたる時相手右の手をもって打込むを我も右の手にて留左の手を相手のひじにそえてうつむけに引き直し堅める」2015年1月3日

「前の如く歩み寄って」は、相手坐し居る処へ歩み寄っての事でしょう。
是は相手に左手を取られ、更に小太刀の柄を取られてねじ倒され、右足で小太刀の柄を踏み固められた時に、我は右手で相手に打ち込むのを請け留められ、左手を固められて俯けに引き伏せられられそうになる時、左手で相手の足を取って、相手が引こうとするを機に起き上がって相手に付け込んで倒す。

此の業は、弓返しの我と相手を逆にして返し業を繰り出すもので、弓返の彼我逆の攻防と山越を合せて見ました。

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2015年2月25日 (水)

神傳流秘書を読む 13.夏原流和之事6本手之移二本目小車

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13.夏原流和之事

 6、本手之移

 二本目小車

 砂乱の業にて我が手を取りすくばる処へ付込み来るをきに中に入り倒す

*「砂乱」は夏原流和之事の捕手和之事二本目砂乱です
「相手坐し居る処へ我は立って歩み行使者捕の如く引きたおさむとする相手たおれじとするをきに左の手にて突たおし扨右足を相手の肩へ歩み込みうつむけに直しかたむる也」2015年1月2日

使者捕は「楽々対し坐したる時向の右の手を我が右の手にて取り向の右の膝を足にて踏我が右脇へ引たおしてかたむる也」2015年1月1日

小車は、我が座して居る時、相手立ってスカスカと近寄って来て、我が右手を取り、右の膝を踏み付け引き倒そうとするので、我は引き倒されまいと、すくむ様にグットする処へ、相手は更に引き倒そうとするのを機に、我は付け込んで相手の中に入り左手で相手を突いて仰向けに倒す。

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