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2011年11月16日 (水)

極意の秘歌(13首目ぬけばきる)

新庄藩の林崎新夢想流秘歌之大事十三首目

「ぬ希ハ支るぬ加年ハ支れよ此刀 堂□き留事□大事こそ阿連」

* 模様のある鳥の子和紙に書かれていますので小さな写真では判読が出来ません。

天童郷土研究会長の伊藤先生の判読にお任せします。

「ぬけばきるぬかねばきれよ此の刀 ただきる事は大事こそあれ」

* 抜けば斬る、此の刀を以って抜かねば斬ってしまえ 只無心に斬る事が大事なのだ。と云う事でしょうか。奥義の秘歌です。もう少し突っ込んで見たいと思います。

敵が抜こうと抜かざるとに関わらず斬ってしまえ此の刀を以って 只斬る事が大事な事だ。

もう少し、抜けば躊躇無く斬る、抜かずとも威を以って圧してしまえ ただ躊躇なく斬る事が大事である。ここまで解釈すると居合らしくなってきました。

田宮神剣は居合歌の秘伝

「抜かば切れ抜かずば切るなこの刀 たい切ることに大事こそあれ」

* 上の句は解るのですが下の句の「たい切ること」がさっぱり解りません。

「たい切る」

「たい」は怠(おこたる、なまける)、帯(切るに冠する語として「切ること・ただ切る事」)、他意(他意無く切る、只切る)、耐え(耐え切る)。

上の句の「抜かば切れ」は対敵が抜いたら躊躇無く切るものだ、あるいは抜かずばいられずに抜いた以上切ることと思いますが、「抜かずば切るなこの刀」は対敵が抜かなければ切るな、では西部劇です。

抜いたなら躊躇無く切れ、抜かぬなら切らずに思いをとげよ、只切る事に大事な思いがあろう。

下村派の伝書

「抜は切れ抜すば切るなこの刀 只切事に大事こそあれ」

*新庄藩の歌は「・・抜かねば切れよ」ですし田宮流や下村派では「・・抜かずば切るな」と反対の事を云っています。

言葉の変化があったとしても、この句はしっかり現代まで300年伝承しています。 しかしどのような状況であろうとも切らねばならぬ時は無心に「只切る事」が此の句のポイントでしょう。

武蔵の「万理一空」の如あらゆる人智を尽くし終え、空となって戦わねばならない「只切る事」と思います。そうでありたいものです。切るとは刀を持って切る事では無い・・

新庄藩の秘歌の此の歌は全く其の儘に寛政3年1791年に伝わり寛政12年1800年にも伝わっています。

そして明治44年1911年の伝書にもそのままに伝わっています。

「抜ハ切抜可年ハきれよ此刀 たゝき類事尓大事こそ阿連」

「抜かば切る抜かねば切れよ此の刀 ただ切る事に大事こそあれ」

新庄藩の秘歌之大事はよく明治末期まで200年の歳月にもかかわらず其の儘の歌で残ったものです。

さすが変体仮名は大幅に改められています。

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