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2011年12月 1日 (木)

極意の秘歌(残歌1首目物をよく)

極意の秘歌は山形県村山市の林崎甚助重信公資料研究委員会の編著になる「林崎明神と林崎甚助重信」平成3年発行の初版本を元に、新庄藩に伝わった「林崎新夢想流」元禄14年1701年相馬忠左衛門政住から田口彦八郎へ伝授した「秘歌之大事」を読み解いてみました。

此の伝書の伝系は林崎甚助‐田宮平兵衛-長野無楽齊-一宮左太輔‐谷小左衛門‐駒杵平次衛門‐相馬忠左衛門‐田口彦八郎

明治44年1911年の伝書は、相馬忠左衛門‐松田梅翁‐松田諸意‐松田六左衛門‐桜井友右衛門-門屋又八郎-松坂善之進-松田隼人-松坂次郎左衛門-早坂理三

河野百錬宗家の「居合道真諦」に掲載されている伝書も寛政3年のものですが相馬忠左衛門-常井甚五右衛門・・・

相馬忠左衛門は何人かに複数伝授したようです。

土佐の無双直伝英信流居合道の正統宗家

林崎甚助-田宮平兵衛-長野無楽斎-百々軍兵衛‐蟻川正左衛門-萬野団右衛門-長谷川英信・・・・・・

歌は田宮平兵衛業政の頃に成立したかもしれません。長野無楽斎も一緒に3人で歩いた時期があったかもしれません。

林崎新夢想流の秘歌之大事は無双直伝英信流に伝わる歌、田宮流に伝わる歌ともにその原型に近い歌かもしれません。幾つかは夫々に見出せました。

現在の無双直伝英信流は土佐から明治以降全国に広がって行ったのですが、東北地方に営々と明治末まで伝承した林崎甚助重信の居合の原型もあったわけです。東と西に、あるいは田宮流に業名からは繋がらないものも、歌の心ではつながりを感じられました。

林崎新夢想流の秘歌之大事27首に無い歌で、田宮真剣は居合歌の秘伝と下村派伝書の居合兵法之和歌から幾つか引き続き詠んでみたいと思います。

田宮流歌伝口訣より

「物をよく習ひ納とおもふとも 心懸けずばみな廢るべし」

此の歌は下村派の伝書にもあります

「物を能習ひ納と思ふとも 心かけすば皆すたるべし」

田宮流の妻木正麟先生の解説書によりますと「例へば許を取り、習い納めたると思ひて心にも捨て、思い出す事なき時は一向に習はざるよりはおとる也。心は勝の理を知れ共、次第に心はうすくなりて、心計いたり結局ガイになるものなり」。

武道のような古い因習を残している芸事には、在籍年数の順位による序列と段位による序列が暗黙に流れています。是は日本の軍隊の指揮命令系統、そして年功序列とそれによる賃金体系の根幹をなしてきた風習で年功を否定するつもりは有りません。しかし是だけ変化の激しい時代では年功だけでは仕事が進まないのも事実でしょう。

古参の者が豊かな経験に裏打ちされた能力と、底にある暖かな人間味と、弛まぬ努力の人で有り、若手は古参に見習うべきものを見つけ、見守られている安心感の中で新しいものを吸収し活き活きと働ける事が本来でしょう。

古参の者が疎んじられる原因は古参のものにあるべき事が自覚されていない事、にも拘らず古参風だけ吹かせることです。

何処の道場でも数十年の古参で高段位の方も居られるでしょう。段位は何かの都合で審査を受けられなくなり、後輩に段位を越されながらも日々の稽古をされる求道の剣士も居られる筈です。

始末が悪いのは古いだけで稽古にもロクに顔を出さず、たまに来れば私服で、初心者相手に「ああだ、こうだ」と教え魔になる者です。もっと悪いのは稽古にも来ず、道場の行事でもあれば真っ先に自己主張をするような者です。それが80代ならいざ知らず50代や60代では呆れ返ってしまいます。

来る時は稽古着で来るのが当然の事、自らも稽古し、見取り稽古をさせるほどのことでありたいものです。

きっと此の歌のように、習い覚えた亡霊が頭に巣くい、抜けば心いたりて技にならず、と云えましょう。そんな人は鬱陶しいばかりです。

それも呑み込み悟りの境地に至りたい、とは少しも思えず苦笑しています。

納会シーズンですが、ダメ古参との不味い酒とは縁を切って、糟糠の妻と美味しい肴でおいしい新米を食べる事にしましょう。

「居合とは心に勝つが居合なり 人に逆うは非がたなりけり」(秘歌之大事)

「心こそ敵と思いてすり磨け 心の外に敵はあらじな」(百足伝)

「性を張る人と見るなら前方に 物争いをせぬが剣術」(百足伝)

我身の至らなさを揶揄する声が聞こえてきますが・・・・・天邪鬼でへそ曲りです。

三つ子の魂百までとはよく言ったものです。

銀さんの娘さんに

「怖いものは有りますか」

4人平均年齢93歳、口をそろえて

「何んも無い」

そんな境地には程遠いのですが・・・・・・・。

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