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2012年12月 7日 (金)

大江正路宗家の娘

土佐に於ける居合の今日あるは第十七代大江宗家による時の中学生への指導が大きいと思われます。
その大江先生の事は知るようで知らないものです。
だからこそ明治以降の土佐の居合、無双直伝英信流の神様の如き思いを抱かせるものです。

ここに、大江先生の娘さんが嫁いだ相手とカナダに移住し、カナダに於ける日系一世として当地で果てた語りを息子さんが綴り一冊の本になっています。

ある日、京都の先生から私の疑問を晴らされるようにお送りいただいたこの本の中に維新後の侍の苦渋と大江先生の生活が娘さんの眼を通して垣間見れたものでした。

私の知る限りにおいて居合をされる先輩諸氏にお聞きしてもご存知の方はおられませんでした。

ページを追って少しご披露して置きます。

カナダに渡った侍の娘 ある日系一世の回想

ロイ・キヨオカ 増谷松樹訳 (株)草思社 発行2002年

・トランクの中に分厚い土佐の本を大事にしまってある。・・・あたしの父の大江正路(おおえまさじ)のことも出ている。長谷川流居合の最後の大名人で、山内家の師範であったことがちゃんと書いてある。

*大江正路は「おおえまさじ」と読むのでしょう。

・俸禄も失い、年金もくれる人がいなかったらどうして暮らしていける?

・父は生計をたてるために、地区の高校と警察で剣道を教えていた。

・あたしが生まれたとき、父はもう五十近かった・・父の生まれたのは明治の前よ明治維新の頃は20歳くらい。・・父は昭和二年に七十六歳でなくなった・・ガンで死んだらしいけど・・

・佐々木信綱が千載館と云う名付けをしてくれた筆を作って家の前に小さな店を出して自分の筆や筆記道具を売っていた。

後はぜひこの本をお読みいただき、土佐の居合を味わっていただければと思います。

語りは大江先生の娘メリー・キヨシ・キヨオカ、1896年土佐の士族、大江正路の長女として生まれ1917年に見合い結婚しカナダに渡り7人の子を儲け、太平洋戦争時のカナダで日系一世の方々と同様に迫害にあっています。100歳で1996年になくなられています。
筆者のロイ・キヨオカはメリー・キヨシ・キヨオカの次男です。原題はMothertalk訳者は増谷松樹先生。

居合の話しはともかく大江先生の娘さんの生き様を通して明治の日本人、明治の女の心を見ることが出来ます。

そして無双直伝英信流居合術の第十七代宗家として土佐の居合を今日に導かれた門下の方にとっては神様の如き大江正路先生も神ならぬ人としてこの世におられた事を偲ぶ事となるでしょう。

人生を歩んで来られた方々には感慨深くお読みいただけるものと思います。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

ミツヒラ 様

いつも楽しく拝読させていただいております。ありがとうございます。
10年ぶりにこの本を読み返してみました。

167ページに出てくる石碑の話を思い出します。私の師匠であります野田亨先生から、五台山にある大江正路先生の頌徳碑の前で、この石碑のお話を良くお聞きしました。

本の中の「最初の責任者」は政岡壹實先生で、「引き継いだ人」が野田亨先生だと思います。
政岡先生が残された「地之巻」のあとがきにも6行ほど野田先生がふれられています。

懐かしく、メールさせていただきました。

これからもよろしくお願い申し上げます。

椎屋さま
コメントありがとうございます。
大江先生の頌徳碑の原石が運ばれて来た「・・あの日汗してトラックの助手席で満足そうに窓外を眺めていた師の面影がいつ迄も忘れられません」
ご息女の思いと政岡先生の思いが重なって良い師弟だったなーと思っています。
これからも宜しくご指導お願い致します。
              ミツヒラ

投稿: 椎屋 | 2012年12月 8日 (土) 05時42分

ミツヒラさま、

はじめまして。いつも参考となる記事をありがとうございます。

現在、アメリカの正統会所属の道場に通いながら稽古しております。
大江宗家の娘さんがカナダに移住されていたという話を始めて耳にしました。
貴重な情報をありがとうございます。

日本を離れて英信流を学ぶ外国人も多く、この本に興味を持つ道友も多くいると思います。

わたしも、さっそく本を注文したいと思います。

へっぽこ剣士 拝

へっぽこ剣士さま
コメントありがとうございました。
この流派の宗家の人となりは知られていない事が多いのは宗家が一子相伝ではなく芸を次ぐ事を優先して来た為とも思えます。
長谷川英信とか大江正路などのこの流の真髄に手をつけられた方の生涯はそのまま流派の業の真髄でもあろうかと思えます。
今後とも宜しくご指導いただければ幸いです。
                  ミツヒラ

投稿: へっぽこ剣士 | 2012年12月 7日 (金) 15時59分

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