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2014年3月21日 (金)

曽田本その2を読む10長谷川流居合抜方2浮雲

曽田本その2を読む

 10、2長谷川流居合抜方(自叙 行宗先生派)

 右身

 4.浮雲
左向きに座し左足を少し引き立ち同時に柄を左手に下横に取り更に正面に向き直ると同時に柄をとりて左足を右足に搦みて抜き付(体を左にひねりて抜く)中腰となる此の時左手を刀峯に添え(正面に向き直る)敵を引き倒して左腰外に正面の敵を切る也

*浮雲は右身ですから左向きに座し敵は右側に同じように座して居る。
故行宗貞義先生記録写の長谷川流の項で「浮雲 右脇より我柄を取来る時」と想定しています。
左向きに双方座して居る時、右側の敵が我が柄を取りに来るのを察し、左足を少し退いて立ち上がり同時に柄を左下横に取り(この場合は「柄を左手に下横に取り」は左手で柄を取って左下横に敵手を避けてもおかしくは無いでしょう。普通は左手で鞘を握り鍔を拇指にて押さえて左下横に敵手を外すはずです。)。
更に正面に向き直ると同時に、左手を鞘に持ち替え右手で柄を取り、左足を右足に搦め(からめ)体を左に捻って中腰に抜き付ける。
体を正面に向き直り抜き付けた刀の峯に左手を添え敵を右下に引き倒し、刀を上段に取り正面に向き左腰外に打ち下し斬る。
抜けが多くて口伝口授行、宗先生の動作を看取り稽古しないと詳細は不明です。

大江先生は(敵三人並び一人の敵を置き先の敵を斬る時)と大江先生・堀田先生共著の中で括弧つきで云っておられます。
長谷川流居合は一対一が原則の攻防でしょう。浮雲だけ異質な場を想定する理由が無さそうです。
ついでに大森流も一対一でしょう。陰陽進退での新たな敵が斬り込んで来る想定もどうでしょう。
一対一であっても常に新たな敵を意識する事を学ばせようとするのでしょうか。

*長谷川流居合之事では曽田先生は何故か大江先生・堀田先生共著の手附が抜けています。
大江先生の長谷川流居合(抜方と順序)浮雲
「左向き静に立ち、中腰となりて左足を後へ少し引き、刀を左手にて左横に開き、右手を頭上に乗せて力を入れる、其開きたる状態より左足を右足前方へ一文字となし刀は柄を右手に握り、胸に当て右の下へ抜きつゝ体を右へ廻し、刀尖の三寸残りし時刀を一文字の儘体は中腰となり右横より左へひねり正面に向け抜付け、折り返して打ち、左手の内にて刀峯を押へ伸ばし右手は弓張とし、右左を右斜へ引き、其膝をつき、敵を引き倒し、直に刀を肩上にてかざし、上段にて正面に直り左斜を斬る、此時膝頭外にて両手を止む、血拭い刀を納む。(敵三人並び一人の敵を置き先の敵を斬る時)」

何処となく曽田先生の浮雲の文章と似た雰囲気が有るような無いような。
大江先生の浮雲は、敵が我が柄を取りに来るので、左手で刀を左横に開いて、右手を頭の上に乗せ力を入れる(ここの右手の動作が何故か解りません)。
「左足を右足前方に一文字となし」ですから左足を右足前に正面に向けて出し、右手で柄を握って胸に当て、右下に刀を抜きつゝ体を右に廻し、切先三寸まで抜出し、刀を一文字の様に水平になして中腰となって体を右より左へ捻り正面の敵に抜き付ける。
「折り返して打ち」は、抜き付けた刀を抜取って二度打ちするのでしょう。同じ軌跡を取って二度打ちするのか方法は不明ですが、次の刀の峯に左手を添え右斜めへ敵を引き倒すのであれば、抜き取った一度目の刀を敵の右肩に打ち下すのでしょう。再び上段に振り冠り左膝外に打込む。
一人目の敵を横一文字に斬り倒し、折り返した刀で二人目の敵を斬るのでしょうか。
これも、大江先生の演武次第の様です。

古伝神傳流秘書英信流居合之事浮雲
「右へ振り向き足を踏みもぢ彳腰をひねり抜付左の手を添え敵を突倒す心にて右の足上拍子に刀をすねへ引切先を後へはね扨上へ冠り膝の外へ打込み後同前又刀を引て切先を後へはねずして取って打込事も有

*抜けだらけですが古伝はすっきりしています。敵は一人とも何とも云っていません。

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コメント

今日の稽古を見た剣道6段の方から「左足首は大丈夫か?」と問われたのが、敵を避け抜き打ちの時、鷺足となり左足裏が返った箇所です。ここも長年の疑問の一つです。敵を蹴り飛ばす想定として「鷺足」の身勢となることまではわかりますが、左足裏が返る理由はあるのでしょうか?もう昔になりますが、香川の岩田先生が添手で二太刀を仕掛ける浮雲をどこか(大分?広島?)で見かけた際は、一太刀二太刀ともに左足裏は返っていませんでした(剣道日本のビデオ、浮雲の標準型では裏返ってましたけど)。左足裏が返らなくても、鷺足で低い身勢を取れます。左足裏が返っていれば、二太刀(打ち返し?)で左足首を痛めかねません。この左足裏の返りも、「技」ではなく「作法」なのでしょうか?

兵法流浪さま
コメントありがとうございます。
壁添に続いて、浮雲ですか。
大江先生は、敵三人並び一人の敵を置き先の敵を斬る、と添え書きしてそれを無双直伝英信流は守って居ますが動作は、一人目の敵を斬るに過ぎないもので、付け足しに一人目の敵を柄で押し除けて二人目を斬るとしています。
古伝は「右へ振り向き足を踏みもぢ彳腰をひねり抜付左の手を添へて敵を突き倒す心にて右(左?)の足上拍子に刀をすねへ引き切先を後ろへはね扨上へ冠り膝の外へ打ち込む・・」となぞなぞの様な手附です。
敵は我が右脇に一人、一回抜き付け、突き倒し、振り冠って打ち下す、だけです。突き倒しも斬る動作の一つに入れても三度斬るだけです。
替え業は幾らでもあったでしょうが、そんなものに捉われる意味はないでしょう。
敵を足で蹴る、二度打ちするなども替え業でしょう。
大江先生も二度打ちして居ます「右横より左へひねり正面に抜付け、折り返し打ち・・」長谷川流早抜きでも二度打ちして居ます。
ここは右隣の敵をどの様に制するかが公案です。
右敵が近すぎて踏み込めなければ、左足を踏み込まずに、其の儘抜き打つ、此の場合、充分腰を落とし、四股を踏む様に打ち込む。
敵が逃げようと間が開くならば左足を大きく踏み込んで抜き打つ。左足を踏み込む程の間が無ければ鷺足となって四股の変形で体を安定させ抜き打つ。
敵も黙って斬られるわけはないそれに耐える体勢をどの様に作るかが課題でしょう。
夢想神傳流の松峯先生が居合の研究で「なぜ「さぎ足」か」と解説されています。
          ミツヒラ


投稿: 兵法流浪 | 2015年2月15日 (日) 00時07分

ご教示、誠にありがとうございました。「安定させ抜き打つ」ことが浮雲の要旨の一つ、「古伝はおおらかです」とのコメントが、漸く、かなり私の中に染み込んできました。一字にこだわり過ぎるという制定居合の悪癖が知らず知らず私に入り込んでいるということでしょう。松峯先生は(剣道日本の特集・浮雲で)、敵に右膝裏を払われてもグラつかぬよう左膝と交差させる為の身勢として鷺足を説明されてました。鷺足の左足裏が裏返るかどうかについては、説明されてなかったような....おそらく、細事にこだわるよりも、このブログのように、安定した抜き打ちで敵を制するまでを大らかに述べたかったのかもしれません。

投稿: 兵法流浪 | 2015年2月15日 (日) 13時01分

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