« 曽田本その2を読む8大森流居合抜方自叙行宗先生派4順刀・勢中刀 | トップページ | 曾田本その2を読む9大森流居合抜方1前・右・左・後 »

2014年3月15日 (土)

曽田本その2を読む8大森流居合抜方自叙行宗先生派5追懸・抜打。血振り

曽田本その2を読む

8、5大森流居合抜方(自叙)(行宗先生派)

10.追懸(追風 大江派)(乱刀 山川久蔵先生の伝書には虎乱刀とある)
走りながら抜付け左足を踏み込み冠り右足を踏み込み切る血振い立ちたるまま納刀

*追懸と云う業名は古伝神傳流秘書の大森流居合之事には無い業名です。乱刀もありません。
其の抜刀心持之事には「追懸切」があるのですがこれは長谷川流で元は重信流と言われます。

追懸切:抜て向へ突付走り行其儘打込也

追掛ける所は似ていますが、刀を抜放って前方の敵に向って刀を突きつけ走り込んで間に至れば上段から打込んでしまうのでしょう。

英信流居合目録では外之物之大事に遂懸切という業があります。
遂懸切:刀を抜我が左の眼に付け走り行て打込但敵の右の方に付くは悪しゝ急にふり廻り又抜払うが故なり左の方に付て追かくる心得宜し

古伝神傳流秘書大森流之事虎乱刀
是は立事也幾足も走り行く内に右足にて打込み血震し納る也但し膝を付けず。

大江先生は之を正座の部「追風」として改変されたのでしょう。
追掛けて行き抜付け真向に打込む、立ったまま血振いし納刀する、古伝も行宗先生も追掛けて行き抜打ちに切って血振い納刀です。
下村派行宗先生のこの業は古伝の虎乱刀の方法でしょう。

11.抜打(又は「止め」とも云う)
正面向き両膝にて中腰にて抜き冠りて膝を進めながら切り付け(切り下す時膝頭を肩幅に開けば自ら進むものなり)刀を開きて納刀

*この抜打の理合は文章では一方的な攻撃です。
正面の敵に両膝を立て中腰となり抜き上げて振り冠り、逃げんとする敵に両膝を開く様にして前進し切り下ろす、でしょう。敵の害意を察しなど匂ってきません。

古伝神傳流秘書大森流居合之事抜打
座して居る所を向より切て懸るを其の儘踏ん伸んで請流し打込み開いて納る尤も請流に非ず此所筆に及ばず

この古伝の抜打は素晴らしい業技法を伝えてくれています。
大森流居合を締めくくるものとして、ここには居合の到達すべき姿を語っている様に思います。

居合は一人演武です。どのように場を想定するかは個々の演武者の中に有るのでしょう。
技法だけを伝授するのではなく、その心持まで伝授する事で演武のドラマも大きく様変わりするはずです。そして武術を学ぶ人としての有り様も変わるはずです。

血振仕方
切り込みたる後左手を腰にとると同時に右手肘を四十五度に開きながら曲げ手首を巻き込む心持にて拳を右耳上に止め横下共四十五度位に刀を振り下ぐる也(拳を耳にとりて立ち振りたる時足を揃う)

*河野先生は此の大森流血振りについて無双直伝英信流嘆異録の血振いの事で次のように嘆いています。

「血振いの時剣先が手元より上がって居る人を見受けるが之も誤りである。正座の血振いは、斬り下ろしてから血振いの刀を振下す迄すべて切先下りに刀身を保持するのが正しい」

何故それが正しいのかは説明もないのでわかりません。血振いであれば切先が上がれば手元に血が垂れてくると云った先生もいましたが、刀で切った瞬間には血が出て刀に附着しないとも言われます。

如何なる理由があろうとも、人の命を奪った後に歌舞伎役者や大道芸人の様な大見栄を切る事は如何なものでしょう。

|

« 曽田本その2を読む8大森流居合抜方自叙行宗先生派4順刀・勢中刀 | トップページ | 曾田本その2を読む9大森流居合抜方1前・右・左・後 »

曽田本その2を読む」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その2を読む8大森流居合抜方自叙行宗先生派4順刀・勢中刀 | トップページ | 曾田本その2を読む9大森流居合抜方1前・右・左・後 »