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2014年3月11日 (火)

曽田本その2を読む8大森流居合抜方自叙行宗先生派1前身・左身・右身・後身

曽田本その2を読む

 8、1大森流居合抜方(自叙 行宗先生派)

1,前身(初刀又は初発刀) 
正面に座し抜付け冠りて切る也血振いを為し右足(踏み出したる足のこと)を引き納刀膝をつく

*自叙とは、曽田先生が下村派の行宗貞義先生の居合に中学時代に師事され、その方法を書き込んだものでしょう。
古伝神傳流秘書では大森流居合之事「初発刀」です。「前身」とか「初刀」という業の呼称は初耳ですがいかがでしょう。「前身」とは正面に向いて敵に対して居る事を表している、「向身」と同意でしょう。
根元之巻では向身・左身・右身・後身という言い方で英信流目録を書いているものもあります。
たとえば向身では横雲・虎一足・稲妻、右身では浮雲・山下し、左身では岩浪・鱗返、後身では浪返・瀧落です。我に対する敵の位置関係からの使い方です。

東北地方に伝わった林崎甚助重信の居合の伝書では、例えば秋田藩の「林崎流居合」天明8年1788年の伝書に向身之次第で7本の業を持っています、右身之次第で7本左身之次第で7本、立合之次第で10本と云う様にあります。
敵との対峙次第による業の方法を述べていたようです。
それで行くと「前身」を業名とするのは少々おかしいのですが時の移ろいによるものでしょう。

古伝神傳流秘書大森流居合之事「初発刀」
「右足を踏み出し向へ抜付け打込み扨血震し立時足を前に右足へ踏み揃え右足を引て納る也

*古伝と同じ理合でしょう。

2、左身(左刀) 
右向きより正面に抜付け冠りて切る也同断

*正面に対し右向きに座し、我が左側に居る敵に対し左廻りに振り向き、左足を踏み出し抜付け振り冠って打下し血振納刀する。

是は行宗居合は左廻りの回転業です。
古伝神傳流秘書大森流之事左刀
「左の足を踏み出し向へ抜付け打込み扨血震して立時足を前に左の足へ踏み揃え左足を引て納る以下血震する事は足を立替え先踏出したる足を引て納る也」

*この古伝の「左刀」は敵の位置関係も我の座す方向もありません。初発刀が右足を正面に踏み出して抜付けています。
この業は左足を正面に踏み出して抜付けていると読んでもおかしくはありません。
初発刀は右足を踏み込む、左刀は左足を踏み出すいかがでしょう。
現代居合では行宗流に左廻りに廻って左足を踏み出して抜付ける、何処かで変わったか伝書の内容を隠した習性に依るのか面白いところです。
たまには正面に向って左足を踏み出して横一線の抜付けをやってみるのもいいのではないでしょうか。この古伝「左刀」への拘りは次の「右身」を読んでみると何となく「そうか」と思われます。

3、右身(右刀)
左向より正面に抜付け冠り切る也同断

*行宗先生の右身(右刀)は、左身と敵の位置が入れ替わったもので左向きに座し右脇に座す正面の敵に右廻りで右足を踏み出し抜付けるのです、振り冠り打ち下して血振り納刀。

古伝神傳流秘書大森流之事右刀
「右足を踏み出し右へ振り向抜付打込血震納る」

*この古伝は、「右足を踏み出し右へ振り向」所に回転技を示唆しています。前回の「左刀」には無かった文言は「・・振り向」です。
左向きに座り右側に座す敵に右廻りで振り向く右足を踏み出して抜付け、上段に振り冠って打ち下し血振り納刀です。
「右足を踏み出し・・」が振り向くより先に書かれているのが気になりますが、とりあえずパス。

4、後身(當刀 後刀)
後向きより正面に抜付け冠りて切る也

*これは後ろ向きに座し、左廻りに廻って正面に抜付けるでも、右廻りで正面に抜付けるでも、廻る方向を指定されていませんので、どちらでもできます。現代居合は左廻り専門です。

古伝神傳流秘書大森流之事「當刀」
左廻りに後へ振り向き左の足を踏み出し前の如し

*古伝は左廻りに後へ廻れと言っています。この業は後向きです、右向きで左に廻る技と動作ではさして違いはないので、現代の「左刀・大江先生の右」と同様に出来るようになるはずです。

この初発刀・左刀・右刀・當刀は現代居合の仕方で定着していますが古伝を読んでいると疑問が湧いてきます。

なぜ「振り向く」と書かれていない「左刀」を振り向かせるのでしょう。
初発刀は右足を踏み出し、左刀は左足を踏み出す。右刀は右廻り、當刀は左廻り、よくできています。
ある範士十段の先生が「お前余計な研究をして業を台無しにしている」と云って呉れます。
形だけの居合など・・・天邪鬼な・・。

正面の敵に左足を踏み出し抜付ける理合は・・・。新陰流(真陰流)から大森六郎左衛門が創作した居合ならば足の踏み違いや、踏み替えもあったかもしれません。

以下次回とします。

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