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2014年4月 9日 (水)

曽田本その2を読む13長谷川流奥居合抜方5棚下

曽田本その2を読む

 13、5長谷川流奥居合抜方(大江正路・堀田捨次郎著)

 △座業

 6.棚下(頭を下げて斬る)
座したる処より前方へ頭を下げやや腰を屈し右足を少し出しつゝ刀を抜き上体を上に起すと同時に上段となり右足を踏み出して真直ぐ斬り下す。

*この業は、河野先生の「大日本居合道図譜」の棚下では、「棚の下等の頭の閊える低い場所にある時之を這出でて正面の敵を斬るの意なり」と場の想定が述べられています。

「上体を屈め右足を深く前に踏込み(着眼は正面に)乍ら刀を抜く。左膝を右足踵迄引付けつゝ上体を起し乍ら諸手上段となり、右足を一歩踏込むや敵の真向に打下す。血振い納刀する事同じ」

下村派の細川義昌先生の系統と思われる白石元一先生の棚下
「低き棚の下又は天井床等の下にて前方に居る敵に対して行う意)鯉口を構えたる後左足を十分後方に伸したるまゝ退きて上体を前方へ傾け(此時右足太股に上体を接す)刀を左側にて抜、直ちに振り冠り上体を起す事無く前方の敵を斬る。
血振り、納刀。血振りを行いたる後左膝を床につけ、刀を納るにつれて上体を起し同時に右足を引き付ける。」

*大江先生の手附では「棚下で頭を下げて上体を起すや斬る」運剣法が、河野先生では棚から這い出て切るとなります。
白石先生の場合は、棚下での攻防でしょう。右足を出さず左足を退いて体を低くして上体を起さずに斬り付けています。

古伝神傳流秘書抜刀心持之事棚下
「大森流逆刀の如く立て上へ抜打込む時体をうつむき打込是は二階下様の上へ打込めぬ心持也」

*古伝は棚下での運剣です。上体に添って刀を抜き、上体は「打込む時うつむき打込む」

古伝英信流居合目録秘訣上意之大事「棚下」
「二階下天井の下抔に於て仕合うには上へ切りあてゝ毎度不覚を取物也故に打込む拍子に膝を突いて打込むべし此習いを心得るときはすねをつかずとも上へ不當心持有」

*この古伝は心得です。上体を俯けて打込むのであって、棚下から這い出ません。

河野先生の昭和8年の「無双直伝英信流居合術全」の棚下では「・・体を前に「うつむけ」体を低くして右膝を立て左足を右足踵に引付けると同時に刀を左肩より頭上に引き抜くと共に双手を掛け右足を進めて前に低く切り込み、(打ち下したる時は上体は真直に)刀を開き納刀する事前に同じ」

*棚下から這い出る状況は読めません。これが本来の棚下の運剣法だったのでしょう。
昭和13年の無双直伝英信流居合道及び昭和17年の大日本居合道図譜によって河野先生は幾つかの業技法を場の想定に合わせて変えています。

政岡先生の棚下「前に屈みながら両手をかけ腰を浮かせ、右足を出つゝ刀を前に抜く。
左膝を右足近くまで送り、体はうつむいたまま刀をあげて左手を柄にかけ、なるべく体に近く背に負う如くふりかぶる。
両手を前下に差し出しつつ、体をおこし、両手はそのまま握りしめながら右足を出して、手の内の冴えで切下して終る・・」

*政岡先生の棚下は棚下での運剣技法です。棚下から這い出ていません。

這い出て斬るもよし、這い出ずに斬るもよし、むしろ這い出ない稽古を十分研究すべきかもしれません。

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