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2014年4月25日 (金)

曽田本その2を読む2の1英信流居合の形1出会

曽田本その2を読む2

 1、英信流居合の形(大江正路先生、堀田捨次郎著)

 1.出会(立姿)(納刀)

打太刀は柄に手をかける、仕太刀も打太刀の如く柄に手をかけ双方体を少し前方に屈し虎走にて五尺の距離に出て右足を出したる時膝の処にて打は請け、仕は抜打にて刀を合す

仕は直に右足左足と一歩摺り込み上段より真直に打ち込む、打は左足より右足と追足に退き刀を左斜にして受け

仕は二歩退く打は二歩出て中段の構となり残心を示す、之より互に五歩退き元の位置に帰り血拭い刀を納む。

*大江先生の形の一本目は「出会」です、是は古伝神傳流秘書の「太刀打之事 出合」と思われます。
古伝の出合:相懸りにかゝり相手より下へ抜付るを抜合せ留て打込相手請る右足也
古伝は打太刀を打とも相手とも敵とも云います。仕太刀を仕とも遣方とも我とも云います。

大江先生は古伝を解りやすくしているのか、堀田先生が習ったまま見たままを記述されたのか、これが大江先生の「英信流居合の形 出会」の原本でしょう。

この業の動作で、「膝の処にて打は請け、仕は抜打にて刀を合す」は打が先に仕掛け、仕が機先を制して打に打込み、打はその仕の斬り込みを膝の処で危うく受け止めたと解するのでしょう。
打は仕を導いて勝ちパターンを身に着けさせるものと、古来より言い習わされています。相打ちでは無いのでしょう。

「仕は直に右足左足と一歩摺り込み上段より真向に打込む」についてですが、双方虎走で右足を踏出して抜付けています。大きく踏み出し抜付けた右足を更に摺り込むには、左足を右足に引き付けて右足を踏出す、或は左足を踏み出し右足を踏出す歩み足でしょう。
竹刀剣道の様に左足を蹴って右足左足と摺り込む事もあり得ます。
打の後退が大きければ、左足、右足と歩み足が妥当ですが、打は「左足より右足と追足に退き・・」ですから、抜き付けの際の後ろ足である左足からの退きは大きい退きになりそうもないと思われます。右足・左足と退く歩み足ならば、仕も歩み足が必要です。

河野先生の昭和8年の無双直伝英信流居合術全の英信流居合形「出合」では「仕太刀は直ちに右足にて一歩摺り込み上段より・・」と直され「打太刀は左足より右足と追い足にて退き・・」と直されています。
更に昭和17年の居合道図譜の「出合」では、「打太刀は左足より一歩退き・・仕太刀は左足を継足して諸手上段となるや右足を一歩摺り込みて・・」となります。

もう一つ、打太刀が仕太刀の真向打ちを受ける動作ですが「刀を左斜にして受け・・」と云うあいまいな表現はいくつもの請太刀を作り出している様です。
刀を左斜めとは、左上に切先を向け柄を右斜め下にして、柄に諸手を掛けて受ける、右片手で受ける、左手を物打に添え右手を柄にして受ける。
何れも顔面頭上に左上がりに切先を取り刃を上にして受けるのでしょう。或は右左を逆にして柄を左に切先右上もあり得ます。
ここは、打が仕をどのように打ち負かそうとして、仕の攻めが早くやむなく頭上で受け留めたという処です。請け太刀の収集をしてみれば面白い処です。

河野先生は、大日本居合道図譜では、諸手を柄に掛け、切先を右に向け刃を上に刀を水平にして顔前頭上で受けています。
尚「真向より敵刀諸共斬下して勝つ」とすさまじいものです。
この文章のつもりで、木刀で力一杯打込めばどうなる事やら・・。
木刀による形稽古の限界が防具を着けた竹刀による試合稽古に劣る処でしょう。
但し真剣は当てっこでは無いのでその辺が気になります。

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コメント

いつも勉強させて頂いております。
打太刀の請ですが、大日本居合道図譜では「柄を左」ですね。単純に書き間違いと思いますが、蛇足させて頂きます。
しかし何故大江宗家は「スカスカと」行く処を虎走に改変されたのでしょうか。抜き付けも仕が請けるのを、後の先にされています。中学生向けの簡易化にしては、疑問です。寧ろもっと簡単に、初手から仕が一方的に仕掛けるだけなのかとも勘繰ったりしております。
大江宗家の真意を知る術もありませんが…

玄さま
コメントありがとうございます。
河野先生の柄を左に訂正しておきます。ありがとうございます。
古来より流派にかかわらず、打は仕に勝ち口を覚えさせるものとして、共通の事だったようです。
打たれて何が何でも強くなる反面、正しい運剣で確実に勝つ事もあって、事理一致を目指したのでしょうね。
順序と形を覚えると仕が一方的に攻めて行く傾向があるようです。それだけ打の位が高く無いと「かたち」ばかりの太刀打ちに終わりそうです。
形にもタメが無いとただのチャンバラの様です。
中には仕・打の先の取り合いと指導されたと
ばかりの事もあるようです。
              ミツヒラ

投稿: 玄 | 2014年4月25日 (金) 08時26分

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