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2014年4月20日 (日)

曽田本その2を読む14長谷川流奥居合抜方9壁添

曽田本その2を読む

 14、9長谷川流奥居合抜方(大江正路先生、堀田捨次郎先生著)

△立業

17.壁添(人中の事 曽田メモ)(進行中立止り両足を揃え上に抜き、直下に斬下し竪立に刀を納む)
中央に出て体を直立とし、両足を揃え刀を上に抜き、上段となりて趾先を立てゝ真直に刀尖を下とし斬り下し、其の体の儘刀尖を下としたる儘血拭い刀を竪立として納む。

*曽田先生は是は「古伝の人中だよ」と云っています。
然し下村派行宗師匠の「長谷川流奥居合抜方(行宗先生口伝)」では「壁添へ:(人中のこと)四囲狭き所にて切る」(2014年4月3日)でした。

古伝神傳流秘書抜刀心持之事には「壁添」と云う業名はありません。
「人中」がどうやら、大江先生のおっしゃる「壁添」のようです。

人中:足を揃え立って居る身にそえて上へ抜き手をのべて打込む納るも体の中にて納る

*大江先生の壁添も人中の様に両足を揃え刀を体の左側に添って上へ抜き、上段に取って手を伸ばして、直下に斬り下します。切先は下向きで、その切先の位置で血振りは右足の脇より僅かに出る程度で刀を横に振ります。納刀は血振りの切先を体の左に添って上げ、鍔元7~8寸を鯉口に寄せ柄頭を上に引き上げ一気に体の左側で納刀します。

あたかも、人の中で、敵と向かい合い、左右に大きく刀を振るう事の出来ない場面を想定させます。そのまま両脇が狭い壁などに囲まれた動作にイメージされます。

古伝英信流居合目録秘訣の上意之大事に「壁添」の教えが在ります。
上意打ちを命じられた場合の心得で決して仕損じる事は許されません。

壁添:壁に限らず惣じて壁に添たる如の不自由の所にて抜くには猶以て腰を開きひねりて体の内にて抜突くべし切らんとする故毎度壁に切あてかもいに切あてゝ仕損ずる也突くに越したる事なし就中身の振廻し不自由の所にては突事肝要也

古伝は壁などの左右が不自由な所では抜いて斬れでは無く、抜いて突けと云っています。
突く場合の抜刀は「向詰」の「抜て諸手を懸け向を突き打込む」の突きでしょう。
上に抜上げて真向に斬り下すのは人中の業で、この場合は左右の人も害せずに、敵との間に人が邪魔しない位接近する様な運剣でしょう。

この「壁添」の心得を「人中」の技に変えて作られたのが大江先生の「壁添」でしょう。

現代居合では、場の想定をいろいろ模索され、河野先生は「我が前面に敵を受け、左又は右に壁ありて抜刀自由ならざる場合い刀を上方に抜取り・・」でした。その後21代では「正面に敵を受け、左に壁ありて普通の如く抜刀し得ざる場合、左上方に刀を抜き取り・・」と変わっています。

場の想定が狭い十字路で、左右何方からか敵が現れるのを斬るとか、四方が狭いとかいろいろ聞きますが此の運剣は古伝の「人中」の方法がぴったりです。

場の想定に気を取られるよりも、身の内で両足を揃えた運剣操作の不安定さを如何に補う事が出来るかの方が重要でしょう。

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コメント

こんばんは。この技の演武では、切り下ろした時、両踵をくっつけ爪先立の方が多く見られます。両踵を付けて爪先立つ理由は何かあるのでしょうか?今日の稽古で高段者に問うてみましたが、満足できる回答は皆無(笑)。群衆の中で、踏み込めないので「足を揃えて切る」のみならわかりますが、踵を付けて爪先立つ理由が全く理解できません。県境を越えて伯耆流と関口流を見ても、細道、人中なら「飛び違える」か「揃えた両膝を割る」切り下ろしを見かけます。爪先立たなくても、強い切り下ろしは可能です。この技も大江先生の創作のようですので、もはや「技でなく稽古用の型」だと割り切るしか無いのでしょうか?

兵法流浪さま
コメントありがとうございます。
壁添は大江先生が抜刀心持之事「人中」の業を左右に壁などの障害物のある場でのわざとして業名を変えてしまったものと判断しています。
壁添などの場合は「体の内にて抜き突くべし」
と古伝は言っています。突きの方が遥かに有効でしょう。
「人中」は「足を揃へ立って居る身にそえて上へ抜き手をのべて打込む納めるも躰の中にて納る」と言っています。足は揃えて体を立てて体の内で刀を操作する方法を学ぶ様に組み立てられています。爪先立つことは特に言っていません。しかし左右後ろに人が居て、目の前に居る敵を身幅の中で抜き切り納刀する事を優先すれば、このような爪立ちは、気剣体一致の良い方法です。
ほんの僅かでも身幅から刀を出さず、軸心を立てたまま拝み打ちする際、結び立ちから踏み出す事の出来ない場合どの様に足遣いをすれば最大の効果を生み出せるのか、研究課題でしょう。習い稽古工夫のスパイラルでしょう。
爪立つことは大江先生の「剣道手ほどきに」ある教えで、細川義昌系と思われるものには足遣いは不明瞭です。
・・・であらねばならぬ、よりも・・であればどうなのかを考える事と思って居ます。
否定から入ると、居合は殆ど無力でしょう。
形を「いや」と云う程稽古して、同じ事を後輩に尋ねられた時に応えられなければ、無駄ですから止めてしまうだけです。
              ミツヒラ

投稿: 兵法流浪 | 2015年2月14日 (土) 23時39分

ご教示、誠にありがとうございました。真っ向切り下ろした時、一瞬グラつく、居付く(固まる)先輩の演武が多いです。私もそうでした。足捌きそのものに無理があるのかなぁと思ってました。爪先立ちで、伯耆流の「両膝割り」や関口流の「飛び違え」に負けない安定した切り下ろしができるよう鍛錬するしかなさそうです。当流では「爪先立って」切り下ろすことを大前提として稽古します。この技を後輩の前で模範演武するには、まだ時間がかかりそうです(笑)。

投稿: 兵法流浪 | 2015年2月15日 (日) 12時35分

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