曽田本その2を読むの2英信流詰合之位3岩浪
曽田本その2を読む
2、英信流居合詰合之位(重信流居合口伝書真詰合)
3.岩浪(仕打 納刀)
是も同じく詰合て坐する也、前の如く左の足一足引てさかさまに抜合せ、敵よりすぐに我右の手首を左の手にてとる也、我其儘敵の右の手首を左の手にて取り、此の時右手に持てる刀をはなして相手の右肘の辺りに右手を添えて我が左脇へ引倒す也。刀を合わせ血振い納刀。
土佐の居合の仕組の面白い処です。
古伝神傳流秘書の太刀打之事では「附入」、詰合では「拳取」、そのあとに「岩浪」と、立業で一本、立膝で二本の、附け入って拳を取る業があります。
附込では、打が後へ引かんとするを附け入って左の手にて拳を取る、右の足で附け入るのが一本目の出合で学んだから今度は、拳を取るので左足から附け込むのだと云います。
詰合では、太刀打之事が立業ならば、今度は居業の場合の附け入って拳を制して、しっかり相手を崩して刺突せよと次のステップを示しています。
次の岩浪では、相手より我が拳を制しに来るので、我も相手の拳を制して、固められない様に刀に執着しないで刀を放してしまい、右手を自由にして相手を投げ飛ばせと云います。
術のレベルアップを自然に手に入れられるように組み込まれている様に思えてきます。
古伝神傳流秘書詰合「岩浪」
「拳取りの通り相手より拳を取りたる時我よりも前の如く取り我が太刀を放し右の手にて敵の肘のかゞみを取り左脇へ引たおす」
ここまでには、一方的に斬り込んでいた下への抜き付けの機微も少しは知りえるでしょう。
相手が取った我が刀を持つ右拳の開放もいくつもの方法が考えられそうです。
肘のかゞみ付近の筋を押さえるとしびれてなすが儘にされたり、引き倒しも投げ飛ばしも可能で、武術の門に入る事になります。
附け込む事が出来ていればさまざまに優勢を保持できそうです。
形としても、勝負がついてから、打を引き起こすとか、打が仕の刀の位置まで誘導するとか業の位も高くなってきます。
形を「かたち」や「申し合わせ」などとせずに形の持つ奥深さを味わってみたいものです。
| 固定リンク
「曽田本その2を読むの2」カテゴリの記事
- 曽田本その2を読むの2の5英信流大小立詰7移り(2014.06.07)
- 曽田本その2を読むの2の5英信流大小立詰6乱曲(2014.06.06)
- 曽田本その2を読むの2の5英信流大小立詰5蜻蜓返(2014.06.05)
- 曽田本その2を読むの2の5英信流大小立詰4骨防返(2014.06.04)
- 曽田本その2を読むの2の5英信流大小立詰3鍔打返(2014.06.03)
コメント