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2014年6月24日 (火)

曽田本その2を読むの3の2目録の3上意之大事5門入

曽田本その2を読むの3

 2、無双直伝英信流居合目録の3上意之大事

5.門入
立業にて右足にて前を突き振り返りて後を切る尚前にも切るべし

*古伝神傳流秘書抜刀心持之事には「門入」の業名は存在しません。
大江先生が土佐の居合を改変するに当たって独創された業ではないかと思います。

或は江戸末期に古伝がいじられている事も予測されます。
何故ならこの目録が谷村派15代からの相伝であるからです。

この曽田本その2の無双直伝英信流居合目録は曽田先生の実兄土居亀江が谷村樵夫から伝授された目録で、その系統は谷村派第15代谷村亀之丞自雄に連なる、16代五藤孫兵衛正亮と並ぶ楠目繁次成栄から伝わったものです。

参考に、土佐の居合は「根元之巻」を持つ者から「根元之巻」を伝授されれば当代を名乗れるような風習がある様ですが、根元之巻は飽くまでも其の流の掟をことごとく伝授された者に与えられたもので、其の流の道統としての宗家については当代宗家より「無双直伝英信流紹統允可」が授与されるべきものです。

たとえば第20代宗家河野百錬宗家は第19代福井春政宗家より昭和25年1月に「居合術根元之巻」、及び「紹統允可」を授与されています。
「・・・・流祖並歴代宗家の神霊に諮りて茲に無双直伝英信流居合術兵法正統第20代宗家を紹統允可する者也」・・・

門入に戻ります。
英信流居合目録秘訣上意之大事「門入」
戸口を出入するの心得也戸口の内に刀をふり上て待つを計知ときは刀の下緒のはしを左の手に取刀を背てうつむきとどこおり無く走り込むべし我が胴中に切かくるや否や脇指を以抜き付けに足をなぐ可し

*古伝は心得を述べています。太刀を背中に背負って上から斬り付けられても太刀で防ぎ、戸口を走り抜けろと云います。
胴に切り込んで来る場合は、脇差を以て抜き付けに足を薙ぐのだと云うのです。

大江先生の門入
(進行中片手にて前を突き後を斬り前を斬る)右足を出したる時、刀を抜き、左足を出して、刀柄の握りを、腰に当て刀峯を胸に当て、右足を出して、右手を上に返し、刀刃を左外方に向け、敵の胸部を突き、其の足踏みのまま体を左へ振り向け、後へ向き、上段にて斬り、直に右へ廻り前面に向き上段にて斬る。

*大江先生の門入が古伝の名残だとすれば、右足を踏み込んで前の敵の胸部を刀刃を左に向けて、右手の甲を下にして突いています。
その足踏みのまま後ろに振り向き、後ろの敵を上段に斬り、その足踏みの儘振り返って前の敵を上段より切下す。

前後に敵を受けた状況で門入と云う業名に相当する場の状況による運剣操作は特にありません。
現在の突き手の有り方は、甲を上にして、刃を右向きに腕の下に柄を入れた突きをしています。
大江先生は甲を下に掌を上にして、刃を左向きにして突くのです。

足踏みは、右足を踏み替える動作もないのですが、敵との間合いによっては大江先生の足踏みも充分稽古して置くものでしょう。

現代居合は「門入」と云う業名に反応して敷居、鴨居などを意識した特定の運剣を要求されますが、大江先生の時代では、是は歩行中前後に敵を受けた場合の攻防としてあったものでしょう。
戸詰・戸脇などと同様に特殊な場のみを意識すべきものではなさそうです。

其の流派のテキストによって評価される場合は、その流派の形を充分演じられる事が評価を得る事になるもので、決してそれで敵との攻防が常に勝利に終わるなどと云う事はありえないでしょう。

基準は何時でも変わってもおかしい事では無いので、ある業の動作は場の想定、敵の想定によっていくらでも変化し、己の力量によって其の時の最も有効な運剣も即座に決まる筈です。
業技法の良し悪しで勝ちが決まるものでもないはずです。まして特定の「かたち」では喧嘩慣れした者に「いちころ」でしょう。
師匠の教えは有る特定の場面の一つかも知れません。古伝は大らかです。
勝つための工夫は己の中にあるものです。
居合は「何時如何なる事にも応じられる」処に修行の価値があるのでしょう。

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