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2014年6月27日 (金)

曽田本その2を読むの3の2目録の3上意之大事の8壁添

曽田本その2を読むの3

2、無双直伝英信流居合目録の3上意之大事

8.壁添
(人中の事)立業 四囲狭き場所にて切る業也人中の事抜く時刀を身に添え上へ抜くなり

*この壁添の業名ですが、人中だと云って居ます。古伝神傳流秘書抜刀心持之事「人中」
「足を揃え立て居る身にそえて上へ抜き手をのべて打込む納るも躰の中に納る」

人混みで、敵を切るには、大江先生の居合では「袖摺返」がその様な場に於ける業と教えられています。袖摺返は大江先生が古伝の「行違」の替え業から創作したものだろうと思っています。
壁添の動作は古伝の「人中」其のものです。業名を、壁添にすると四囲狭き所の業に転化してしまいます。

大江先生の「壁添へ」
(進行中立留り両足を踏み揃え上へ抜き直下に斬下し竪立に刀を納む)
中央に出で体を直立とし両足を揃え刀を上に抜き上段となりて趾先を立てゝ真直に刀尖を下として斬り下し、其体のまゝ刀尖を下としたるまゝ血拭い刀を竪立として納む。

*現代居合では、場の想定が加わって、狭い十字路であったり、左右を壁で囲まれていたり、狭い処での運剣動作とさせられています。古伝は場の想定よりも敵の位置取りを優先しています。

河野先生の壁添
意義:我が前面に敵を受け、左又は右に壁ありて抜刀自由ならざる場合、刀を上方に抜き取りて敵を仆すの意なり。
前進しつつ右足を進め右手を柄にかけるや右足に左後足を引付つゝ両手を左胸部に把り、爪立ちながら刀を左上方に抜き取る。刀を抜きとるや剣先の下りたるまゝ刀身を体の左より廻して直に諸手上段に構ゆ。諸手上段より深く剣先を低く斬り下す。剣先を低く下げて血振いす。
両足は爪立ったるまゝ。刀を左上方より運び真後ろの方向に剣先を把り右拳を左胸部の前にとる。右拳を左前より左上方に退きて上より下に納刀し徐々に踵を下げて納刀を終る。

凱風先生の壁添
町角にて敵を待ちて斬る。
前進して町角に立止まり、見えざる敵の現るゝを待ち両足を踏み揃え真上に刀を抜き趾先を立てゝ真下に斬り下し、其のまゝの体勢にて血拭鞘を立てたるまゝ刀を納む。

英信流居合目録秘訣上意之大事「壁添」
壁に限らず惣じて壁に添たる如の不自由の所にて抜くには猶以て腰を開きひねりて躰の内にて抜突くべし切らんとする故毎度壁に切りあてかもいに切りあてゝ仕損ずる也突くに越る事なし就中身の振廻し不自由の所にては突く事肝要

この目録秘訣は、書かれている内容や其の位置取りから明和元年1764年に第10代の林安太夫政詡の手になるものと思っています。
此の様な伝書が維新後大江先生や研究熱心な河野先生の手元に早々とあれば現代居合の不思議なこじつけたような動作も見られなかったかもしれません。

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