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2014年7月29日 (火)

曽田本その2を読むの4曽田メモの6メモの2斬春風

曽田本その2を読むの4曽田メモの6メモの2電光影裏斬春風

電光影裏斬春風
鎌倉の無学祖元禅師の大康の乱に捕へられて斬らるゝ時、無学辞世に右の頌を作られたれば太刀を捨て拝したと也。無学の心は太刀をひらりと振り上げたるは電(いなびかり)の如くに電光のピカリとする間、何の心も何の念もないぞ、打つ太刀にも心はなし、我身にも我はなし、斬らるゝ我にも心はなし、斬る人も空、打たるゝ我も空なれば、打つ人も人にあらず、打太刀にもあらず、打たるゝ我も我にあらず、唯いなびかりのピカリとする内に、春の空吹く風を斬ったらば、太刀に覚えもあるまい、斯様に心を忘れきりて萬(*よろず)の事をするが上手の位なり。(武術叢書)

*無学祖元(むがくそげん)(1226~1286)               
鎌倉時代,宋から渡来した臨済宗の僧。無学派の祖。南宋,明州の人。道号は無学,諱(いみな)は祖元,諡号(しごう)は仏光禅師・円満常照国師。
執権北条時宗の招きにより弘安2年1279年来日,建長寺に住した。のち円覚寺開山。時宗をはじめ鎌倉武士の帰依厚く,弘安の役前後の政策に影響を与えた。

この無学祖元の電光影裏斬春風の句は次のとおりです。

乾坤無地卓狐節 乾坤狐節を卓するの地無く

喜得人空法亦空 喜得す人空法亦空

珍重大元三尺剣 珍重す大元三尺の剣

電光影裏斬春風 電光影裏春風を斬る

*ここの処は武術叢書の中の不動智(不動智神妙録又は剣術法語)に書かれているもので沢庵和尚が柳生但馬宗矩に送ったものと云われています。

「舞を舞えば手に扇とり足をふむ、其手足をよくせん、扇を能くまはさんと思うて忘れきらねば上手とは申されず候、いまだ手足に心が留まらば、わざは面白かるまじき也、悉皆心を捨きらずしてする所作は皆悪く候」

*不動智を読みながら曽田先生もふとメモされたのでしょう。

この句をもじって、日蓮上人の伝説にもあったような気がします。

山岡鉄舟も句を作っています。

学剣労心数十年 剣を学んで心を労し数十年

臨機応変守愈堅 臨機応変守愈堅し

一朝塁壁皆摧破 一朝の塁壁皆摧破

露影湛如還覚全 露影湛の如く覚全として還る

論心総是惑心中 論心総て是心中の惑い

凝帯輪贏還失工 輪贏還失工を帯して凝る

要識剣家精妙処 剣家の精妙の処識を要す

電光影裏斬春風 電光影裏春風を斬る

剣道数十年、絶対不敗の境地まではきた、そしていま、最後の難関を砕き去ったぞ、一点に集まる露のように満ち足りたこの平静、あれこれ考えるー迷っているからだ、勝負にこだわれば腕がすくむだけ、なに?剣の秘訣が知りたいのか、春風を一気に断ち切る、これだよ

山岡鉄舟「剣禅話」より

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コメント

ミツヒラさま
いま『不動智神妙録』を読み始めています。
博士論文が佳境に入り、気が張り詰めているなかで、それでも、焦らずに落ち着けているのは、この本のお蔭だと思います。
剣の秘訣は、人生の秘訣でもあるような。
求めるものが、そこにあります。

annさま
コメントありがとうございます。
歌に
「心こそ心迷はす心なれ 心に心心ゆるすな」
不動智神妙録の終りにこの句がありましたね。
3,4年前に駒込駅の本屋で茶道裏千家家元千 玄室宗匠の「いい人ぶらずに生きてみよう」を手にしていました。
思いつくままに・・
            ミツヒラ

投稿: ann | 2014年7月29日 (火) 22時38分

ミツヒラさま
居合句があることを
居合を学び知りました。
亡くなった父親は、俳句を好み、わたしの俳号まで決めて、俳句を勧めましたが、わたしは短歌の方が好きでした。
茶道や華道も、父親が勧めてくれたものでしたが、不肖の娘は、長続きしませんでした。
しかし、居合を始めてから、また、一から学びたくなりました。
道と名のつくものには、共通するパワーみたいなものがあるのですね。
日本に、生まれてこれて良かったと感謝しております。
ann

annさま
コメントありがとうございます。
居合の師匠も、学問の先生も、御父上まで素晴らしい方達ですね。
でも、結局やるのは自分でした。
今日、何度やってもうまくいかない技に、何度も何度もしがみついていました。
結局出来ないまま時間切れです。
人の出来る技は必ず出来る、理屈を程よくまとめる動作のポイントがつかめないのです、決して手を抜かない相手に感謝です。
            ミツヒラ

投稿: ann | 2014年7月30日 (水) 19時14分

ミツヒラさま
お返事ありがとうございます。
出稽古に伺っています道場の館長さまも、その道場の皆さんも素晴らしく、感謝の気持ちをもって、お稽古させていただいています。
どれほど、周りの方々に助けていただいてきたことでしょうか。
ほんとうに、感謝するばかりです。

わたくしも手抜きができない性分で、ひとつのことをやりだすと、キリがないほどです。
そういう毎日ですが、そういう時間が一番楽しいですね。
ann☆

annさま
コメントありがとうございます。
出稽古は元より、宗家のテキストすら読まなくてよい、と言う程のひどい先生も世の中にはいる様です。
また、師伝に拘って進歩しないのも情けないですね。
有る先生の晩年の御言葉で、思い出すのは「最初に習った先生の形」とか、そんなものだろうと思います。
可愛い弟子には武者修行を進めるだけの器量が無ければ弟子は師匠を越えられそうもないでしょうね。
猛暑に負けずに早朝稽古にして見ましたが、同じことで汗びっしょり。
家内が「加齢臭が腐ってる」と言って、」胴着をむしり取られています。
             ミツヒラ

投稿: ann | 2014年8月 1日 (金) 20時37分

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