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2014年7月13日 (日)

曽田本その2を読むの3の2目録の4極意之大事の10釣瓶返し

曽田本その2をよむの3

2、無双直伝英信流居合目録の4極意之大事

10.鉤瓶返

*これも解説は有りません。

古伝英信流居合目録秘訣極意之大事「鉤瓶返」
曽田本の「鉤瓶返」は「釣瓶返」の誤字でしょう。
「座上にては刀をば抜いて置くこと当然也然時に向うより切かくるときぬき合する間なければ鞘と柄とを取って鞘共に請て其儘引きぬいて片手打に切るべし」

*通常座して会談する様な時は、刀を腰から外し、相手により右なり左なりに置いているものです。
そんな時、正面より切って懸られ、抜き合す間が無ければ、其の儘抜かずに取って鞘共に受けてそのまま引き抜いて片手打ちに斬る。
左に置いた時、右に置いた時、左・右の片手抜き打ちを稽古して置くものでしょう。

土佐の居合には見られない業ですが、この釣瓶返は業としても工夫出来るものです。
水鴎流の九曜に立浪・立浪裏の二本が刀を帯さずに座して応じる業です。

立浪:左に刀を置き左手で鞘を取り、柄頭で敵の打込む機先を制し、右手を柄にかけるや打込まんとする敵の上段の腕を斜めに斬り上げます。

立浪裏:右に刀を置き右手で鞘を取り、柄頭で敵の打込む機先を制し、怯む処を左手で柄を取り引き抜くや刃を上にして敵の水月を突く。左手で納刀します。

*この業名も釣瓶返であって釣瓶落では無い処が面白い処です。
今では見られなくなりましたが、井戸に水桶を落すと真直ぐに素早く落ちて行く様を連続的に矢を射る、鉄砲を打つ、スポーツなどでは得点を上げるなどの様に使われます。
此処は落ちて行く桶を素早く引き上げる様を見立てて、打込まれて咄嗟に鞘ごと制して抜き打つことを、釣瓶返の表現にしたのでしょう。

古伝による土佐の居合の業名には業技法のポイントを顕わす良い業名が使われています。
大江先生の頃に業名の改変があって聊か疑問です。

たとえば現在の正座の部の二本目「右」は「左刀」でした。
現在は己が正面に向って右向きに座して居て、左側に敵が座して居ます。是は敵を意識する前に道場の正面に対する座する位置を指定して居る様です。
古伝は「左刀」で、己がどこを向いて座っていようが、己の左側に座す敵に応じる事を示唆して居ます。
是を同じ事と解するか否かは、動作には常に敵を意識する居合であるか否かによるのだろうと思うのです。

奥居合では、現代居合が場の想定を限定してしまい、人との対応を狭いものにしてしまっています。
たとえば、向詰を両詰に変えて、狭い場所での運剣動作にしています。
古伝の向詰は「抜きて諸手を懸け向を突打込也」ですから正面の敵の打込まんとする処、柄頭で敵の機先を制し怯む処を刀を抜き放ち、諸手突きして上段から真向に斬り下すのです。

古伝の両詰めは、戸詰と戸脇に分けられ、場の状況も戸襖まで持ち出されて特定されています。
古伝の両詰は戸襖も敷居も無く左右の敵に詰め寄られた時に応じる運剣動作なのです。
其の左右の敵も360度如何様の位置に座そうとも応じる事が出来ていなければ咄嗟の用を為しません。

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