« 曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の1礼式 | トップページ | 曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の2流名2 »

2014年8月 8日 (金)

曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の2流名1

曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の2流名1

無双直伝英信流と名発表の年代

英信は技古今に冠絶し精妙神技を以て始祖以来の達人として聞へ古来業に独創の業を加え茲に流名を無双直伝英信流と改め爾来当流を改称し長谷川英信流又は長谷川流或は英信流と呼ぶに至れり。
而して英信は享保の頃江戸に於て斯道を研究大成し、晩年土佐に□□して大に之を広め同地に其の逸材を輩出せしが、以下□右の如く
享保時代として、英信として相違なきや

是は同氏が当流に関する小冊子を発刊するに当たり尋ね越したる質疑なり以下何れも同断。

*河野先生が発刊する小冊子は昭和8年1933年発行の「無双直伝英信流居合術全」でしょう。
河野先生の質問は無双直伝英信流の流名の成立した時期は何時かという事です。
それに対して、時期は享保の頃【1716年~1736年)だと断定して居ます。
流名は重信流だったものを長谷川英信が達人で古来からの業に独創を加えて改変したので
長谷川英信流、又は長谷川流、英信流と呼ぶようになったと云います。

曽田先生は、知識は豊富だったでしょうが、事実を証明するバックデータを示してくれませんのでそれまでです。
曽田本から探ってみたいと思います。

曽田本の基になっている古伝神殿流秘書は下村派の山川久蔵幸雅が文政2年1819年に神伝流秘書を書写したものです。
従って神伝流秘書は文政2年1819年以前に成立している事になります。
山川幸雅が写した神殿流秘書は誰が書き、誰が秘蔵していたかは曽田本では判明できません。

長谷川英信から山川幸雅までの土佐の居合の下村派の道統は以下の通りと云われています。

7代長谷川主税之助英信-8代荒井兵作信作(荒井勢哲清信)-9代林六太夫守政-10代林安太夫政詡-11代大黒元右衛門清勝-12代松吉左衛門久盛-13代山川久蔵幸雅

谷村派の道統も参考に上げておきます。

7代長谷川主税之助英信-8代荒井兵作信作(荒井勢哲清信)-9代林六太夫守政-10代林安太夫政詡-11代大黒元右衛門清勝-12代林益之丞政誠-13代依田萬藏敬勝

長谷川英信に就いては、土佐の人と云うがその確証はどこにも無く出自も生没年も不明と云うのが現在の処その様です。
林六太夫守政は山内家に名が残り八十石の知行を食んだ武士で、長谷川流が土佐に根を下ろしたのは林六太夫以後と考えねばならない、と平尾道雄先生の「土佐武道史話」で述べています。

荒井勢哲が土佐藩士であったかどうかは、南山大学の榎本鐘司教授の研究論文を読むと聊か疑問ですが、林六太夫が江戸詰めの際に師事しその際何らかの土佐藩との係わりがあったかもしれません。

神傳流秘書の居合兵法伝来に依れば、その由来を述べています。
本来「重信流」だと云います。
「目録には無双神傳英信流居合兵法とあり是は本重信流と言うべき筈なれども長谷川氏は後の達人なる故之も称して英信流と揚げられたる由なり」

従って土佐の居合は文政2年1819年以前に「無双神傳英信流」と云っていた目録があった事になります。

然し突然土佐の居合には無双直伝が冠されています。
そのルーツは林六太夫が荒井勢哲の無双直伝流を習い、当時有名であった長谷川英信が荒井勢哲の師でもあった事から、もたらされたと推測できそうです。

林六太夫は享保17年1732年に70歳で亡くなっている(平尾道雄著土佐武道史話)そうです。生まれは1662年寛文2年の頃でしょう。
荒井勢哲は南山大学の榎本鐘司先生の調査では元和1625年~寛永1644年の頃の生まれで80歳(1705年)以上存命の様に捉えられる様ですから、どうやら土佐の林六太夫とダブる事が出来そうです。
残念乍ら長谷川英信は荒井勢哲とダブる頃だろうとしか想定できません。

曽田先生の断定される英信流は享保の頃と云うのは、間違いないのかも知れません。

江戸時代の年号
元和1615年-寛永1624年-正保1644年-慶安1648年-承応1652年-明暦1655年-万治1658年-寛文1661年-延宝1673年-天和1681年-元禄1688年-宝永1704年-正徳1711年-享保1716年-元文1736年-延亨1744年-寛延1748年-宝暦1751年-明和1764年-安永1772年・・・。

神傳流秘書は林六太夫の養子林安太夫が書いたものであれば林安太夫が安永五年1776年に病死と云う事ですから享保の頃と云うのもあながち間違いではなさそうです。

林六太夫は無双直伝流を無双神傳英信流と名付けたと推測できるのですが、それが又、無双直伝英信流になるには、何か謂れがありそうです。

|

« 曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の1礼式 | トップページ | 曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の2流名2 »

曽田本その2を読むの4」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の1礼式 | トップページ | 曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の2流名2 »