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2014年8月 7日 (木)

曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の1礼式

曽田本その2を読むの4曽田メモの7河野文通の1礼式

河野先生は大阪八重垣会を結成され無双直伝英信流を広められていきました。
同時に稽古に役立つようにとテキストを出されています。
昭和8年発行の無双直伝英信流居合術全は、下村派の曽田先生も読まれて「居合術は剣道に付随するものにあらず」と息巻いていました。
河野先生も研究熱心で曽田先生に疑問点など手紙でやり取りして教えを乞いておられます。

大阪八重垣会幹事?
剣道錬士 河野稔氏との文通質疑より質問を受けたる事項次の如し。

1.英信流に於ける礼式の件

立礼は神前玉座に対する礼、座礼は刀に対する礼なりと信じ居れるが、一説に(相当の人にて)立、座共に玉座神前の礼にして座礼は近世に至りてはじまったものだと唱うるあり 如何

*質問を河野先生がされているのでしょう、英信流の礼式はどのようにするのかと聞かれたのでしょう。

大江先生堀田先生の剣道手解きに有る礼式を無双直伝英信流の基本礼式と考えるべきでしょう。(大正七年発行)
古伝には、神前玉座の礼式は指定されていません。

「神殿又は玉座に向刀を抜いてはならぬ。刀を抜くときは神殿玉座に向って右の方に体を向く即ち体の左鞘の処を向けて正座す。
此の正座で抜くと高貴の方の方に向って刃を抜き付ける事がないのであります。

刀の鍔元を左手にて持ち拇指にて鍔を抑え刃を上にし刀身を斜めとす。直立体にて神殿にむかって、黙礼をするのであります。黙礼が終れば直立体のまま道場の中央に出で神殿を左に見て体を右に向け体を前に屈め手を股に入れ袴を左右に払い左手の刀を股に乗せて正座す。正座したなれば右手は股の上に置きて上体を正確となす。

左手に持ちたる刀を右手に握りその拇指にて鍔を抑え体前に刀を立、左手は膝上に置く。
左手に持ち変え体前に出したる刀は左へ返し膝頭より五寸も離しその鐺を板の間に着け其の鐺に眼を着けて自然と右手を下し前に置く。鐺に着けたる眼は刀を置くと同時に柄頭まで眼を着け正しく置きたれば右手を鞘より離し膝上に置き黙礼をなす。此の礼は殊に心を浄め諸事を忘れ抜くことのみに一心を集めるのであります。」

*これが無双直伝英信流題十七代宗家が提唱する神前玉座への礼として書かれているのですが、是は抜き付けの心得として神前玉座に向って抜き付けてはならないと云う事を云って居るのです。大江先生系統の無双直伝英信流の礼式のポイントです。

この場合の刀は左手で持った状態で神前玉座への礼をしています。
刀への礼も膝上に両手を置いて座礼をしています。

其の後昭和8年の河野先生の無双直伝英信流居合術全での礼式は、「鍔元を左手に持ちて鍔を抑え、刃を上にして刀を下げ下座より玉座に向い直立体の儘刀を右手に持ち替え(此の時刃を後方に向け)右側に軽く接し立礼をなす」と神前玉座の礼式は変わっています。
座礼についても、「双手を八文字につきて礼を行う」ですから床に手を着いた礼となっています。

昭和10年の谷田左一先生の礼式も大江先生の様に左手に刀をもったまま、神殿の礼をしますが、是は普通の作法であって更に鄭重に行うには「柄を後ろに切先を前下がりにして刃部を後ろに向け、右手の甲を前に、親指を左側に、食指を正面に、のこり三指を右側にして、栗形の処を握り提げて出で、玉座又は神殿に向って最も厳粛なる敬礼を行う」とされています。

河野先生は、曽田先生に神前玉座への礼はどのようにするのが無双直伝英信流の流儀なのかと聞かれたのでしょう。
そこで、立礼は神前玉座、座礼は刀への礼と信じているが、昔は座礼も立礼も神前玉座の礼であって、座してする礼は近世になって始まったと云う相当な人が言っていたよ、と返したのです。

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コメント

ミツヒラさま
河野先生の著書を、師からお借りして読ませていただいてますが、書簡のようなものを目にするのは初めてです。
勉強させていただき感謝しておりますm(_ _)m

annさま
河野先生は、無双直伝英信流でわからない事があれば直に問い合わせていたようです。
初心の頃は業技法に就いて18代穂岐山先生に書簡を以って尋ねられています。
大日本居合道図譜を発行するまでに随分資料を集められた様です。
           ミツヒラ

投稿: ann | 2014年8月 9日 (土) 14時45分

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