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2014年8月 5日 (火)

曽田本その2を読むの4曽田メモの6メモの6の2河野宗家根元之巻

曽田本その2を読むの4曽田メモの6メモの6の2河野宗家根元之巻

此処に掲載する根元之巻は河野百錬先生が第19代福井春政宗家より印可された根元之巻です。河野先生は根元之巻と紹統印可を同年に受けられています。
(昭和29年発行無双直伝英信流居合術叢書より読み下し文とします)

正統第19代福井春政先生相伝書
昭和25年 第20代河野百錬に印可之巻

居合術根元之巻

抑(そもそも)此の居合と申は日本奥州林之従 大明神夢相に之を伝え奉る、夫兵術は上古中古と雖も数多の違他、佗流(他流)大人小人無力剛力嫌わずに合う兵の用云々、 末代相応の太刀と為る、尓(なんじ)云う手近の勝負一命の有無の極、此の居合恐れる者粟散辺土の堺、不審の儀之れ有るべからず、唯多夢による処也。
此の始を尋ぬ奥州林崎甚助重信と云う者、兵術によって之有るを望み、林の明神に一百有日参籠令(せしめ)其の満暁の夢中に老翁重信に告げて曰く、汝此の太刀を以て常に胸中憶持たる怨敵に勝を得ん云々。
則ち多夢に有る如く、大利を得ん、以って腰刀三尺三寸の勝ち九寸五分の事柄口六寸の勝ちの妙不思議の極意一国一人の相伝也。
腰刀三尺三寸三毒則ち三部に但し脇指九寸五分九曜五古の内証なり。
敵味方成る事、是れ亦前生の業感也、生死は一体、戦場浄土なり、此の如く観、則ち現世にこうむる大聖摩利支尊天の加護、来世に仏となり縁となる事、豈疑いあらんや。
此の居合千金を積むと雖も真実にあらざる人に堅く之を授くべからず、天罰を恐れ唯一人に之を伝え授くべし云々。

古語曰く
其の疾く進む者 其の速く退く云々 此の意を以て貴賤尊卑隔てなく前後の輩に謂れ無く、其の所作に達せし者に目録印可等相違なく許せ。

又古語曰く
夫れ百錬の構え在りて則ち茅茨荘鄙によって兵の利を心懸ける者は夜より白むに之を思い神明仏陀に祈り則ちことごとく利方を得るによって心済身耳燦然とす。

流名
林崎無想流重信流
林崎夢想流重信流

名称
横 雲 深山には嵐吹くらし三吉野の
             花か霞か横雲の空
虎一足 猛き虎の千里の歩み遠からず
              行くより速くかへるあし引
稲 妻 諸共に光と知れど稲妻の
              跡なる雷の響知られず
浮 雲 麓より吹上られし浮雲は
              四方の高根を立つゝむなり
山 颪 高根より吹下す風の強ければ
              麓の木々は雪もたまらず
岩 浪 行く舟のかじ取り直す間も無きは
              岩尾の浪の強くあたれば
鱗 返 滝津波瀬上る鯉の鱗は
              水せき上げて落つる事なし
浪 返 明石潟瀬戸越す波の上にこそ
              岩尾も岸もたまるものかわ
滝 落 滝津瀬の崩るゝ事の深ければ
              前に立添う岩もなきかな

詰合 極意奥之事
1.発早 1.拳取 1.岩浪 1.八重垣 1.鱗返 1.位弛 
1.燕返 1.柄砕 1.水月 1.霞釼

大小詰 大小立詰
1.抱詰 1.骨防扱 1.柄留 1.小手留 1.胸留 1.右伏 
1.左伏 1.山形詰 1.〆捕 1.袖摺返 1、骨防返 1.鍔打返
1.蜻蛉返 1.乱曲 1.電光石火

大剣取
1.無剣 1.水石 1.外石 1.鉄石 1.栄眼 1.栄月 1.山風
1.橇橋 1.雷電 1.水月

抜刀心持之事
1.向払 1.柄留 1.向詰 1.両詰 1.三角 1.四角 1.棚下 
1.人中 1.行連 1.連達 1.行違 1.夜之太刀 1.追懸切
1.五方切 1.放打 1.虎走 1.抜打(上中下)

英信流
1.横雲 1.虎一足 1.稲妻 1.浮雲 1.山颪 1.岩浪 
1.鱗返 1.波返 1.滝落 1.抜打(真向)

大森之部(正座)
1.前身(初発刀) 1.右身(左刀) 1.左身(右刀) 1.後身(当刀)
1.八重垣(陽進陰退) 1.請流(流刀) 1.介錯(順刀) 1.附込(逆刀)
1.月影(勢中刀) 1.追風(虎乱刀) 1.抜打

第17代範士大江正路 第18代穂岐山波雄 福井春政研究協議の上改定する所あり口伝す

奥之部(改定)
1.霞 1.脛囲 1.戸詰 1.戸脇 1.四方切 1、棚下 1.両詰
1.虎走 1.行連 1.連達 1.惣捲 1.総留 1.信夫 1.行違
1.袖摺返 1.門入 1.壁添 1.請流 1.暇乞 1.暇乞 1.暇乞

形(改定)
発声(イーエーイ)
1.出会 1.拳取 1.絶妙剣 1.独妙剣 1.鍔留 1.請流 
1.真方  以上

外之物之大事
1.行連 1.連達 1.追懸切 1.惣捲 1.霞 1.雷電

上意之大事
1.虎走 1.両詰 1.三角 1.四角 1.門入 1.戸詰 
1.戸脇 1.壁添 1.棚下 1.鐺返 1.行違 1.手之内 
1.輪之内 1.十文字

極意之大事
1.暇乞 1.獅子洞入 1.地獄捜 1.野中之幕 1.逢意時雨
1.火村風 1.鉄石 1.遠方近所 1.外之釼 1.釣瓶返
1.智羅離風車

右の条々深く之を秘す極意也、真実の人にあらざれば努々相伝あるべからざるもの也。
貴殿多年斯道に熱心鍛錬の結果其の蘊奥に達せらるるを認めここに我が英信流併し始祖重信流居合術を全て相伝候、宜しく将来本流の品位を堕す事無く之が普及を計り漫に他流に媚びず以って伝授の責を全うせられん事を期せらるべし

天真正
林崎明神
     初代 林崎甚助重信 
          (以下18代穂岐山先生迄連記)

林崎夢想流
林崎神伝重信流
林崎神伝流
林崎無雙神伝重信流

右一之名称也

昭和25年1月3日
      無雙直伝英信流

    第19代正統宗家
      居合道範士・柔道教士7段
      従7位 福井春政

大日本武徳会居合術範士
     河野百錬殿

*多夢とあるのですが之は灵夢で霊夢でしょう。霊の異体字です。多夢では意味が不明です。意味を求めますと他に誤字もありそうです。
流名について幾つか書かれていますが、無双直伝英信流以外は、何処にあったのか調べられません、
業名についても、現代は例えば、正座の部前であって大森之部(正座)1.前身(初発刀)は違和感です。
目録のうち古伝も伝授されたのでしょうか。現在では如何様に引き継がれているのか疑問です。
立膝の歌などあってユニークな根元之巻でしょう。

 

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コメント

ミツヒラさま
とても 勉強になりました。
わたくしの師は、亡くなられた師を、いまでも敬い、その道統を守り抜いています。
わたくしは、初代館長である師の師に、お目にかかることもできず、どのような方であるかも知りません。
しかし、河野百錬先生より、一字をいただき、その教えを引き継ぎ、後進の育成に力を注がれてきた方であったことは、わたくしの師を見ていて分かります。
本物の師弟とは、かくあるべきと、わたくしは師より、学ばせていただいています。
同じ師を師事していても、各々が、少しずつ違ってくるようです。
誰が一番優れているかとも決めれないものです。
それでも、優れた弟子というものは、自らの師を宣揚し、後進の育成に力を注ぐべきもので、決して自らを師より優れているとは思わないもの。
われが一番などという浅はかで不遜な態度や言動など感じられないもの。
ただただ、師の歩いた道を、正しく歩くもの。
そのことに、重きをおき判断するべきものだと思っております。
わたくしの師の師は、優れた弟子であって、わたくしの師もまた、そうであると、改めて思い到るキッカケをいただけた記事でした。
ann☆

annさま
コメントありがとうございます。
かって今は亡き師匠の話として、そのお弟子さんからお聞きした事です。
もう体も自由にならなくなって居られたそうです。其の時「思い出すのは最初に指導を受けた師匠の形ばかりが浮かぶ」と仰っておられたそうです。
そんなものかも知れません。
反面「弟子たる者師匠の出来ない事でもやれ」と仰った師匠も居られます。
師を越えられなくとも越える事を目指すものでありたいと思っています。
それが恩返しかも知れません。

投稿: ann | 2014年8月 6日 (水) 23時20分

ミツヒラさま
お返事ありがとうございます。
どういう立場になったとしても、恩を知る者でありたいと思います。
師のみならず、周りの先生方に、皆さんの視点から助言をいただき、不思議とそれが、かぶることなく、この様にすれば宜しいですよと教えていただいていることにも感謝しております。
また、それが、例え些細なことであっても、わたくしには、大切な糧になります。
一人では、何者にもなれません。
周りのみなさんの助言は、わたくしへの励まし。
例え、優れた者になれなかったとしても、努力していくことが、恩返しだと思っています。
ほんとうに、有り難いと思います。
師より、貴重な書籍の数々をお借りできることも、どれほど恵まれていることか。
当たり前のように考えていた自分が恥ずかしいです。
終生、その様であると思います。
ann☆

投稿: ann | 2014年8月 7日 (木) 07時50分

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