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2014年9月 7日 (日)

神傳流秘書を読む 1.抜刀心持引歌の3まりに柳

神傳流秘書を読む

1.抜刀心持引歌の3まりに柳

 ・敵にしたがって勝つべき心持  春風を切るといふ 古歌
 風吹は柳の下の糸のかたよりに
             なびくに付て廻る春かな
 強みにて行当たるをば下手と知れ
             まりに柳を上手とぞいう

 ・敵と出合う時かならず討勝と思うべからず況や恐るゝことなし間に毫末も加うべからず雷電石火の如くちらりと我が心に移時無二無三に打込事居合の極意也
然れども只打込むでなし是に柄口六寸の習なり此習を以て敵の場へふん込み討也
偏に大海を渡るに陸(かけ)にて行けば命を失う故に舟に乗りて行也居合柄口六寸の大事偏に彼の舟の心持としるべし然れども舟にてかならず渡海すと思うべからず 歌に
 乗り得ても心ゆるすな海士小舟
              波間の風の吹かぬ日ぞなき

 ・右浪間の風能く合点しては舟ものらず 古歌に
 有となしと堺を渡る海士小舟
              釘も楔も抜け果てにけり
此の心にてよく工夫有べし

*居合や太刀打は、敵の心の動きに従って勝を得る心持ちであるものだ。春風を切るということである。

電光影裏斬春風
鎌倉の無学祖元禅師の大康の乱に捕へられて斬らるゝ時、無学辞世に右の頌を作られたれば太刀を捨て拝したと也。無学の心は太刀をひらりと振り上げたるは電(いなびかり)の如くに電光のピカリとする間、何の心も何の念もないぞ、打つ太刀にも心はなし、我身にも我はなし、斬らるゝ我にも心はなし、斬る人も空、打たるゝ我も空なれば、打つ人も人にあらず、打太刀にもあらず、打たるゝ我も我にあらず、唯いなびかりのピカリとする内に、春の空吹く風を斬ったらば、太刀に覚えもあるまい、斯様に心を忘れきりて萬(*よろず)の事をするが上手の位なり。(武術叢書)

この無学祖元の電光影裏斬春風の句は次のとおりです。
乾坤無地卓狐節 乾坤狐節を卓するの地無く
喜得人空法亦空 喜得す人空法亦空
珍重大元三尺剣 珍重す大元三尺の剣
電光影裏斬春風 電光影裏春風を斬る

古歌では
柳にふく春風に、柳の細い枝が風下に吹き寄せられるように柔軟であること。
柳にまりが当たっても何気なく受け流して知らず気にある様な無心な様。

敵と出合っても、必ず勝つなどと思うべきでは無い。況や恐ろしいなどと思うことなく、少しの隙も作らず雷や火打石の飛ぶ火の様に、ちらりと我が心に写る物があれば無二無三に打込むのが居合の極意である。
然し只打ち込めばいいという事では無く、是に柄口六寸の習いを以て敵の場へ踏込み討つのである。
ひとえに大海を渡るに、陸から行けば命を失うので、舟に乗って行くのである。
居合の柄口六寸の大事は、ひとえに彼の舟の心持ちを知らねばならない。そうではあるが、舟で必ず海を渡れると思うものでは無い。
歌に せっかく舟に乗ったとしても心を許してはならない、海士の乗る舟は、波間の風に翻弄されない日などは無い。

この様に、浪間をふく風に合点して、舟に乗らずに行く 古歌に
生死の境を渡る海士小舟は、浪間の風に吹かれて釘も、楔も抜け落ちる事も在る。

此のような心で工夫するものである。

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