« 神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事八本目波返 | トップページ | 神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事十本目抜打 »

2014年10月14日 (火)

神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事九本目瀧落

神傳流秘書を読む

4.英信流居合之事

 九本目瀧落

 刀の鞘と共に左の足を一拍子に出して抜て後を突きすぐに右の足を踏込み打込み開納る此事は後よりこじりをおっ取りたる処也故に抜時こじりを以て當心持有り

*これは立膝に座している時、後ろの相手が我が刀の鐺を掴んで抜かさない様に押し付けてくる。「おっ取りたる」ですから、「押し取って」「急いで取る」「ゆったり取る」などの意味ですから相手の動作により次の我が動作も決まって来るかも知れません。

ここは、後ろから我が鐺をゆったりと取られ、背中に押し付けられそうになるので、鐺を押し付けられるに任せてゆっくり立ち上がる。
左足を前に踏み出すと同時に急に柄を右胸に取って鐺を持つ相手の手を外し、右足を踏み出し柄を下げて相手を鐺で下から打ち上げるよう刀を水平に抜出し、後方に振り向くや相手を突き、右足を踏み込んで真向に打ち下ろし、刀を横に開いて納刀。

場の状況を「此事は後よりこじりをおっ取りたる処也」の追記で示してくれています。次の「故に抜く時こじりを以て当てる心持有り」は、鐺を外された相手が前にのめるならば出来るかもしれません。

後方に振り向き相手を突くのは、鯉口を切っ先が出るや水平に相手の胸を突く、突かれて後方に引くのに付け入って右足を踏み込み真向に打ち下ろし、左膝を着いて開き納刀が自然でしょう。

この神傳流秘書の手附では、現代居合の素養が無いと読み解けません。

大江先生の瀧落
後を向き、徐ろに立ちて左足を後へ一歩引き鞘を握りたる左手を其儘膝下真直に下げ、鐺を上げ後方を顧み、右手を膝上に置き同体にて左足を出し、右手を柄に掛け胸に当て右足を前に進むと同時に抜き、刀峯を胸部に当て、同体の儘左へ転旋して、体を後向け左足を前となし、其体の儘胸に当てたる刀を伸ばし刀は刃を右横に平として突き左(右の誤植か)足を出しつつ上段に取り、左膝を着き座しつゝ頭上を斬る、血拭ひ刀を納む。

*大江先生の手附では「抜時こじりを以て當心持」は有りません。
相手の頭上を斬るのは、突かれて倒れた相手を左膝を着いて座して斬っています。

無想神伝流の山蔦先生の滝落
「敵は自分の背に顔を向け約80cm離れて座っている想定。
鐺を掴まれ立ち上がり、鐺を右後上方に寄せ第一の振り払いを行うが敵は掴んだまま、左足を、爪先を下向きに浮かせて右にまわし、左ふくらはぎを右脛に付け、鷺足となり、同時に刀をしゃくるようにして右乳辺りに持って来て第二の振り払いにより敵手を振り払う。右手を柄に掛け左足をトンと着き、同時に右足を左足の右側30cm辺りに踏み付け、刀を右横やや上方に抜き上げ左へ廻り込む様にして、刀を上から下へ落す様に敵の胸を突く・・・」

*複雑な足捌きが行われていますが、敵の手は手附通りには振り払えないものです。
振り返っての突きは、何故か上から突き下ろす様な表現です。刃は此の時上向きになっている様です。

下村派細川義昌先生の系統と思われる、白石元一先生の瀧落
「・・・右足を踏み出すと共に刀を抜き棟を胸部に接し、刃部を下にして左足より僅かに踏み出し後方の敵を突きたる後・・」

*この瀧落はそれぞれです。
古伝は、敵手を外す方法も足捌きも刃の向きも、留めの打ち込みも語ってくれません。
握られた鐺は優美な踊りではもぎとれません。刀を抜くために大きく右足を踏み出しますと相手との距離が離れすぎてしまいます。
刺突された相手は後ろに倒れるのでしょうか、一般に前にふせって来る様にも聞きます。
この業の事理をとやかくするよりも、この複雑な動作をそれらしく捌く事でしょう。
鐺を掴まれて立つ、振り捥ぐ、抜刀し刺突する、真向に斬り下す。それぞれ気剣体一致の拍子が理解できなければただの剣舞でしょう。

|

« 神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事八本目波返 | トップページ | 神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事十本目抜打 »

神傳流秘書14-3大森流・英信流・太刀打」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事八本目波返 | トップページ | 神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事十本目抜打 »