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2014年10月16日 (木)

神傳流秘書を読む 5.太刀打之事一本目出合

神傳流秘書を読む

5.太刀打之事(鞘木刀也 立合之事也)

 一本目出合

 相懸りにかゝり相手より下へ抜付けるを抜合せ留て打込相手請る右足也

*神傳流秘書による無双神傳英信流居合兵法には、空間刀法の居合に設対者を設けた仕組(組居合・組太刀・勢法)が組み入れられています。
抜き打ちの一刀で制する事が出来ない場合に応じる、或は先を取られた場合に応じるもので
居合らしいものです。
大江先生は、古伝の太刀打之事を廃して「英信流居合の型」を組み上げられています。
内容は、太刀打之事に添ったものですが、中学生に覚えやすく安全で居合の業と関連させたりしています。
明治40年頃に中学校で居合を指導する機会に組み立てたと思われます。
一本目は大江先生も出合から始まりますが、双方刀を鞘に納め大森流の勢中刀(正座の部月影)の様に虎走りに駆け寄り膝下に抜き打ちして居ます。
古伝太刀打之事は「相懸りにかゝり」で双方間を詰める仕方は、工夫次第の様です。
大江先生は、白兵戦を思い描き「突撃!」の号令で走り行く兵士を想像されたかもしれません。
此の相懸りについては、曽田本に依れば五藤先生、谷村先生業付口伝を基に竹村静夫と実演したというものによると、「出合、是者互に刀を鞘に納めて相懸りにスカスカと行く・・」と歩み足を思わせます。

五藤先生・谷村先生業附口伝より出合(仕打納)
「是は互に刀を鞘に納めて合懸りにてスカスカと行く場合にて右の足を出しさかさまに抜き合せ敵引く処を付け込みて左足にてかむり右足にて討也此の時敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むる也互に中段となり我二歩退き敵二歩進みあらためて五歩退く也納刀」

古伝の出合を稽古して見ます。
鞘付木刀を使用するものです。
「相懸り」は、双方ともスカスカと歩み寄り場合に至ると打太刀より右足を踏込み膝下に抜き付けて来る。
遣方透かさず右足を踏込み抜き打ちに之を膝下で受け留める。
打太刀、上段に振り冠らんとするを、遣方左足を右足に引き付けるや上段に振り冠り右足を踏み込んで打太刀の真向に斬り下す。
打太刀左足を一歩退き右足を追い足に頭上にて柄を左に刃を上にして十文字に受け留める。
この請け留めは定番になっていますが少々不自然ですから、柄を右にして左手を刀の棟に添えて請ける十文字請けも稽古しておきますと良いかと思います。
互に中段となり遣方二歩退き、打太刀二歩進み改めて五歩退いて血振り納刀す。
古伝の名称では、相手は打太刀・我は遣方です。

出合のポイントは、打太刀から柄に手を掛けるのです。
そして打太刀から間境で仕掛けて来る、遣方はそれを受ける処が先ず最初の出合です。どちらとも云えず双方打込んで申し合わせの膝下に相打ちでは無いのです。
遣方は打太刀が斬り付けんとする瞬間に打込まれる部位を守る運剣が欲しいものです。
次に、遣方が左足を右足に引き付け攻める気を顕わすに応じて打太刀は打込まんと退いて打込まんとするが圧せられて頭上で遣方の打ち込みを受けるのです。
之が初期の稽古で学ぶ処でしょう。
古伝の抜けだらけの手附から様々な先の取り合いが工夫されるように、打太刀は仕掛、遣方が応じて学ぶ処でしょう。

大江先生の出合
打太刀は柄に手を掛ける、仕太刀は打太刀の如く、柄に手を掛け、双方体を前方少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出て、右足を出したるとき、膝の処にて打は請、仕は抜打にて刃を合す、仕太刀は直ちに、右足左足と一歩摺り込みて上段より真面に打込む、打太刀は左足より右足と追足にて退き、刀を左斜にして受ける、仕太刀は二歩退り、打太刀は二歩出て、中段の構えとなり、残心を示す、之れより互に後へ五歩づつ下り元の位置に帰り血拭ひ刀を納む。

*「刀を左斜めにして受ける」は柄を右にして十文字請けする様に思えます、大方は柄を左にして十文字請けしています。
中には刀を斜めに立てて請けている教えもある様です。

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神傳流秘書14-3大森流・英信流・太刀打」カテゴリの記事

コメント

>この請け留めは定番になっていますが少々不自然ですから、柄を右にして左手を刀の棟に添えて請ける十文字請けも稽古しておきますと良いかと思います。

柄を左に受けても攻めに転じられます。右に受けても良いでしょうが。

片腰さま
コメントありがとうござます。
どうぞ、お好きにおやりください。古伝も・・おおらかですから・・・。大江先生は刀を左に受けられたようですね。

            ミツヒラ

投稿: 片腰 | 2014年10月19日 (日) 16時47分

重ねて申し訳ありませんが「虎口」は攻めて貰うのも予定の内ではありませんか?

片腰さま
コメントありがとうございます。
古伝はおおらかです、良いと思う方法で行うことを決して咎めてはいない様に思います。
虎口にあえて攻め込むのも、虎口に隙を作るのも、不自然であってもそれはそれでしょう。

             ミツヒラ

投稿: 片腰 | 2014年10月18日 (土) 11時14分

受けてからどうなるのかが面白い所です。たぶん、お持ちの本の中に回答があると思います。

片腰様
コメントありがとうございます。
ご意見がございましたら、未熟者にも理解出来る様に、ご指導ください。
         ミツヒラ

投稿: 片腰 | 2014年10月18日 (土) 10時41分

>*「刀を左斜めにして受ける」は柄を右にして十文字請けする様に思えます、大方は柄を左にして十文字請けしています。

左で充分に業が成り立つと思われます。

肩腰さま
コメントありがとうございます。
我が刀と相手の刀がバッテンで刃合わせ出来れば、真剣刀法では十文字受けと言っていますからどのようにでも受けられると思います。
打太刀が攻めんとして振り冠る途中で打ち込まれた場合は受け太刀とならざるを得ず左にした方が容易と思います。
古伝太刀打之位は申し合わせの「形」ではなかったと思いたいので受け太刀を嫌いました。
思いつくままに・・・。
          ミツヒラ

投稿: 片腰 | 2014年10月18日 (土) 01時58分

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