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2014年10月 4日 (土)

神傳流秘書を読む 3.大森流居合之事十一本目抜打

神傳流秘書を読む

3.大森流居合之事

 十一本本目抜打

 坐して居る所を向より切て懸るを其のまま踏ん伸んで請け流し打込み開いて納る尤も請流に非ず此所筆に及ばず

*大森流の11本目抜打はすさまじい技です。
我が正面に座す相手が刀を抜出し「切って懸る」は、真向に打ち込んでくる状況でしょう。
坐したまま「踏ん伸んで請け流す」は、刀を前に抜出し抜き付けんとするが、相手早くも上段に振り冠り真向に打ち下ろさんとする、我れ柄頭を上に向け刀を抜き出すや、顔前頭上から左肩を覆うようにして相手刀を請けるや摺落とし、拳を返すや上段から相手の真向に打ち下ろし、刀を横に開いて納刀する。
この請流しは請流のようなものでは無い、筆に表せない、と締めくくられてしまいました。

第十代林安太夫政詡によると思われる英信流居合目録秘訣による外之物の大事に霞八相と言う項目があります。
「先生口授のまま記 外の物とは常に表の仕組より外の大事と云う事也」とありますから、動作の事よりもそれ以外の事が大事だよ、と言うのでしょう。

霞八相
雷電霞の二ヶ条当流極秘中の秘にして大事此外に無請流に心明らかにして敵の働きを見と云う教有れども当流には雷電の時の心亦霞ごしに見るが如くの心の所に大事の勝ある事を教る也
夢うつつの如くの処よりひらりと勝事有其勝事無疵に勝と思うべからず我身を先ず土壇となして後自然に勝有・・・・

「請流しは身を土壇となして後自然に勝」ではなかろうかと思うのです。
演武を見ていますと一方的に抜出し、さっさと打ち下ろしています。
中には飛び跳ねたり飛び込んだり、床を膝で踏み鳴らしたり・・何を思うのでしょう。

安永五年1776年の林益太夫政誠の英信流目録の大森流居合之位十一本目は原本に記載はありません。
十本目勢中刀で終わっていますがそのあとに「以上十一本」とありますからこの目録を書写された第十五代谷村亀之丞自雄が写し損なったか初めから無かったのでしょう。

大森流(正座の部)十一本目抜打(抜打)
剣理:正面に対座せる対敵の害意を認めるや、直ちにその真向を上段より斬り下ろして勝意也。(我れ抜刀時、刀を柄頭の方向に抜き上げる心地こそ大切也)

*もし敵斬り込み来たりてもその刀を受け流す気にて行う)と術理に記載されて古伝の気は引き継がれていると思います。

演武の締めのように演じられますが、身を土壇となして演ずるならば大森流の中で最もすさまじい業です。

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