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2014年10月 2日 (木)

神傳流秘書を読む 3.大森流居合之事九本目勢中刀

神傳流秘書を読む

3.大森流居合之事

 九本目勢中刀

 右の向より切て懸るを踏出し立って抜付け打込血震し納る此事は膝を付けず又抜付に払捨て打込事も有り

*相手「右の向より切て懸る」ですから、相手は我の右側正面から仕掛けて来ます。我は正面に対し左向きに座すのでしょう。現代居合では斜め左向きと教えられます。
これも、相手は我の右脇に坐しているのか、向うに離れた位置に立って仕掛て来るのか想定は自由です。
しかし次の「踏出し立って抜付」ですから、大森流の「右刀」を稽古していますから、相手の仕掛けに応じて、両手を刀に懸け右廻りに相手に振り向き、立上り右足を踏み込み相手の機先を制して抜き打つ。現代居合では相手の打ち込まんとする上段に構えたその両小手に抜き付ける。

我が抜き打ちに怯む相手に立った状態であれば右足に左足を引きつけ右足を踏み込んで上段から打ち込み大森流の血振るいをし、右足に左足を踏み揃え、右足を引いて納刀膝を着かず立ったままの納刀です。

「又抜付に払捨て打込事も有り」と抜き付けには、払い捨てるのも有りと云います。それでは払い捨てない抜き付けは、相手の打ち込む小手を押さえる様な抜き付けなのでしょう。
右足を踏込み半身で相手の小手を押さえる抜き付け、払い捨てる場合は半身で抜き付け右に披いて抜き放つのでしょう。

安永5年1776年の林益之丞政誠の英信流目録大森流居合之位勢中刀

是も坐して居也少し右向の方より敵立て来る心持也我其時右の足より立ち一文字に払ふ也其儘かむり討込む也跡は血ぶるひをし左の足を右の足に揃納る時右の足一足引納る時すねをつかぬ也

*ここでは、我は正面向きに座し、相手は少し右の正面から立って仕掛て来る、我は其の時立ち上がって右足を踏み込んで横一文字に払い捨てに相手に抜き付ける。
其の足の儘振り冠って相手に打込む跡は血振いし左足を前足の右足に引き付け、右足を引いて立ったまま納刀する。

大森流(正座の部)九本目勢中刀(月影)
剣理:正面に対して左に向きて(左45度位斜め向きにて)座したる我に、正面より立位にて間合い計り攻め来たり、間合い至りて上段に振り冠りて仕懸け来る対敵が上段に振り冠たる瞬間その両内甲手に、我れ立ち上がりざま斬り付け、対敵後退するを踏み込みて真向に斬り下ろし、勝を制する意也。(対敵が抜刀し振り冠りたる瞬間、その両内甲手に斬り付ける心地こそ大切也)

*勢中刀とは見事な業名です、敵の打ち込まんとする勢い半ばで制する業です。現代の月影の名称は、大江先生が改変してしまった古伝太刀打之事の五本目月影(居合道形の鍔留)の業名からの引用です。
相手の打ち込みにすらりと立ち上がって抜き打つ様子が月影に相応しいなどと仰る大家も居られますがどうでしょう。

現代居合は想定が絞られています。相手の攻撃のどのあたりに抜き付けるなど微細です。

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