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2014年10月11日 (土)

神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事六本目岩浪

神傳流秘書を読む

4.英信流居合之事

 六本目岩浪

 左へ振り向き左の足を引刀を抜左の手切先へ添え右の膝の外より突膝の内に引き後山下風の業に同

*六本目の岩浪は相手は左脇に座し、我に仕掛けんとするのです。
ここも相手の仕掛けようとする動作は何も書かれていません。
相手の怒りに満ちて殺意を含む言葉でしょうか。
刀に手を掛け抜かんとするのでしょうか。
我が方に乗り出して我が柄を取らんと手を伸ばすのでしょうか。
それとも我が左手を掴んで我を制しようとするのでしょうか。

我は、立膝に座し、我が左に同じく立膝に座す相手が、我に害意を持って仕掛けんとするのを察し、刀に両手を掛けるや腰を上げ左足爪立ち、右足を軸に左廻りに左に振り向き、相手に対するや左足を後方に引くと同時に刀を抜出し、切先鯉口を出るや左手拇指と食指で切先に添え、切先を右膝外に付け、左膝を床に着くや相手の胸部を刺突する。
左手を刀の棟に添え、右足を右に踏み出し刀を右足の内側に引く様にして相手を引き倒す。
刀を撥ね上げ上段に振り冠り右足を踏み込んで引き倒された相手の胴に斬り下ろし横に開いて納刀。

古伝は、相手の害意を察し、即座に刀に両手を掛けて左廻りに相手に向き抜刀するのです。
この運剣動作は、現代居合の夢想神伝流では、座した方向の後に左足を引いて刀を抜出し、左膝を着いて90度左に廻って相手に正対して刺突して居ます。
同様に無双直伝英信流もその様です。
無双直伝英信流山内派では「刀に手をかけ腰を浮かし左足を右足元に寄せ爪先を立て刀が相手に見えぬ様体に近く右方に抜く・・」と云う抜きようです。山内派と云っても大江先生の指導によった筈ですから、何処かで動作を変えてしまったのでしょう。

大江先生の岩浪
右に向き、左足を後へ引き、刀を体前に抜き直に左手にて刀尖を押さへ、右膝頭の処へ着け、左足を右足に寄せ、体を正面に直し・・」ですから山内派の抜刀所作ではありません。
山内派は「同一方向に列している左側の彼に対し知られざるよう刀を抜き突如其の方向に向き直り胸又は腹を突き・・」これでは闇打ちの印象を持たれます。

何れにしても、どの師伝でも、我が左に座す相手の害意を察知し、其の方に向き直ってから抜刀する事は無く失念した動作でしょう。
稽古をして、その理を得て見る事も良さそうです。

この古伝岩浪は、左側の相手の害意を察し、機先を制して抜刀し刺突すると云う業であり、何時抜くのか、どの様に座した相手を刺突するのかを学ぶ業なのでしょう。想定を様々に思い描くのはそれとして、想定を限定してしまうべきものでは無い様な気がします。

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