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2014年10月15日 (水)

神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事十本目抜打

神傳流秘書を読む

4.英信流居合之事

 十本目抜打

 大森流の抜打と同じ事也

*英信流居合之事では十本目は抜打で大森流之事の十一本目抜打と同じ事と云って居ます。
大森流居合之事抜打
座して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此所筆に及ばず

大江先生の英信流抜打は長谷川流真向で現在は無双直伝英信流居合兵法立膝の部真向です。
大江先生の立膝の部真向
「正面に向って座し、腰を伸し趾先を立て、刀を上に抜き上段となり、同体にて切る此時両膝を左右に少し開く。血拭ひは其姿勢のまゝ刀を納め、伸したる腰は徐ろに正座に直り、刀の納まると同時に臀部を両足踵の上に乗せ、静に正座となる。」

大江先生の大森流抜き打ち、無双直伝英信流居合兵法正座の部抜打となります。
「正面に座す、対座にて前の敵を斬る心組にて其正座の儘刀を前より頭上に抜き、上段に冠り、身体を前に少し出し、前面の頭上を斬る、血拭ひは中腰の同体にて刀を納む。」

*大江先生は、大森流は「刀を前より頭上に抜き」英信流は「刀を上に抜き」です。
古伝の「向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み」の心持ちが文面からは見られません。

下村派の細川義昌先生の系統と思われる白石元一先生の大森流居合術抜き打も英信流居合術の抜打も全く同じとされています。
「両膝を立て(両足は爪立て)刀を抜くや直ちに左方より真向に振り冠り斬り付く」

*大森流も英信流も抜き打ちは同じです。
そして「左方より真向に振り冠り斬り付く」の文言に、「踏ん伸んで請流し打込み」の心持ちが見られます。

大江先生の系統も後に河野先生の頃から正座の部抜打に「もし敵斬り込み来たりてもその刀を受け流す気にて行う」とあり、真向にも「(右拳は顔前を通して頭上に)刀を左肩側より体を囲う様に剣先を下げて抜き取り・・」とその心持を伝えています。

抜打は本来大森流も英信流も同じであったのでしょう。刀を前に抜く、上に抜くいずれも相手が打込んで来る事を意識した動作であるべきものでしょう。一方的に斬り掛っていくのではない処が忘れられると闇打ちです。

林安太夫政詡による英信流居合目録秘訣に「勝事無疵に勝と思ふべからず我身を先ず土壇となして後自然に勝有」と、相手に打たせて其の機に乗じ応じると言うものです。

英信流居合之事を終ります。英信流は正面に相手を請ける業が横雲・虎一足・稲妻・抜打の四本、右脇に相手を請ける業が浮雲・颪の二本、左脇に相手を請けるのを岩浪・鱗返の二本、後ろに相手を請けるのは波返、瀧落の二本です。
相手は一人と思いますが、浮雲ばかり右側に複数とするのは腑に落ちません。
業から見て一対一でしょう。
業名や場の想定に反応し過ぎる反面、古伝の心を失念して居る処も在って何故とつい出てしまいました。

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コメント

いつも勉強させて戴いております。

現代居合の浮雲の、柄を右胸に引寄せ「隣に座す一人を送り出すように」抜く所作は本来、敵に柄を取られる処立ち上がり様に振りもげなかった場合(または柄に居着かせて)の和が替業にあったものと考えております。
現代居合は、この替業が理合を失い、動作のみ残った物にむりやり想定を後付けしたように思えてなりません。
端から観れば大した違いは無いでしょうが、不肖稽古の際は一対一想定で手首を極めるよう意識したりもしております。

玄さま
コメントありがとうございます。
浮雲は、この流の独特な業のようです。神傳流秘書では、今では抜けだらけにしか見えない手附けで、当時は何かやっていたのでしょう。
右の相手に柄を取られた想定はいいですね。
それで急激に右胸に柄を引き付けて、その上左足で相手を蹴飛ばすなどすれば最高です。
実はそのような浮雲を拝見したことがあります。
相手が我が柄に手を懸けようとするのを外せれば、そのまま右回りに抜き付けた方が合理的ですよね。
林六太夫の伝えたかった事が読めずに今日も教えられた通りの浮雲を抜いています。
踏みもじる左足の踏み方が21代はこうだった、22代はこうだとか、違うとか言いながら・・。

投稿: 玄 | 2014年10月16日 (木) 08時39分

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