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2014年10月 6日 (月)

神傳流秘書を読む 4.英信流居合之事一本目横雲

神傳流秘書を読む

4.英信流居合之事

 一本目横雲

 右足を向へ踏出し抜付打込み開き足を引て先に坐したる通りにして納る

*英信流居合の座し方がどこにも示されていません。口伝口授なのか、「是は重信翁より段々相伝した居合」であれば、正座である事は風習から考えてあり得ないでしょう。
胡坐か立膝でしょう。
どの様な胡坐かどの様な立膝かは解りそうも有りません。
この座仕方は今日まで伝承されている、右足を立て左足を折り敷いた座仕方、或は右足を立て左膝を着き腰を挙げた蹲踞としておきます。

立膝で対座する相手の害意を察し、我は正面に右足を踏み出し横一文字に抜き付け、上段に振り冠って真向に打ち込み、刀を横に開いて刀を納めつつ踏み出した右足を引いて座して居た様にして納める。

この古伝によると、英信流居合の横雲は、右足を踏み出し抜き付けるのです。無双直伝英信流の現代居合もこの手附に従っているのでしょう。
左足を後方に引いて抜き付ける夢想神伝流の横雲は古伝をいじってしまった様です。
大森流(正座の部)で右足を踏み出したのだから、英信流(立膝の部)は退き足に依る抜き付けを覚える業と決めつけるものでは無かったのでしょう。

夢想神伝流の山蔦先生の横雲は「初伝の初発刀と同じ要領で抜き付けるが、一歩踏み出すのに反し左足を後ろに引くと同時に抜き付ける。相手との距離が充分ある時は右足を一歩踏み出して抜き付けるもあるが、業の基本としては左足を引いて抜き付ける」

下村派細川義昌系統と思われる広島の白石元一先生の「大森流・長谷川流・伯耆流居合術手引」に依りますと横雲は「右足を踏み出すと同時に横一文字に敵の右眼に斬りつけ、更に左膝を右足踝の所まで十分引きつけると同時に刀を左方より振り冠り、右足を踏み出すと同時に斬り下ろす」
これでは、夢想神伝流が細川先生に辿れるとも言い難くなります。

北海道滝川で初め夢想神伝流を10年以上学び後に無双直伝英信流を学ばれた坂田敏雄先生は、この神傳流秘書をよく読まれておられたようです。
英信流(立膝の部)は坂田居合「無双直伝英信流居合道入門」によって現代居合を見てみます。
理合:吾が正面に対座する敵の首に抜き付け、直ちに上段より斬り下ろす業で正座一本目前と同意義である。
技法:正面に向い立膝、刀を抜きつつ腰を上げ、右足を踏み出して敵の首に抜き付け、直ちに上段に振りかぶり、敵の頭上に斬り下ろし、右に開く血振りを行い切先三寸を瞬時に納め右足を引きつつ納刀する。(右足は始め真直に引き、凡そ三分の一、刀を納めた頃より右に小円を描く如くして、左足の踵の所まで引き納刀を終るのである)
次に間を置きて右手を柄頭に送り、下側から軽く握って支え、右足を前に踏み出し、左足を引き付けて立つのである。
注意事項:1、古伝に基いている事。2、立膝から抜き付ける事は正座の場合よりむつかしい、特に腹を引かず腰を充分絞り上げる如く行わなければ体が乱れる恐れがある。3、納刀しつつ足を引き付ける際は腰を落さず前足と後膝の中間に重心を置く位の気持ちが大事である。

古伝は先師の精進によって生み出された業技法であり、それを元にした業の組み合わせ順なのです。
ですから、英信流ならば一本目から11本目まで通して抜き、その繰り返しによって運剣動作を学ぶ事で気剣体一致となる筈です。
立膝の一つ業を上手くなろうとして繰り返し稽古しますと、膝を痛めてしまいます。
通して抜く事によって、膝への負担が緩和される様にも思います。
ある程度業における動作を覚えたら英信流(立膝の部)を一本通して稽古することを特に膝が心配な50歳以上の方にお勧めします。

古伝はおおらかです、師伝によって技を演じ古伝の求めるものが掴めれば良いのですが、特定の仕方をすべてとされるのでは古伝は横を向いてしまいます。

ある大家曰く「古伝など幾ら読んでみても何も解らない、無駄な事」
「古伝の動作は復元出来るわけはない」

にもかかわらず、「元はこうだった」???

もう一つ、正座による初発刀(前)の抜き付けと、立膝による横雲の抜き付けは何が違うのでしょう。

座仕方の違いから、立膝は腰を上げると、当然右膝はすでに立って居ます、右足は左膝の位置に土踏まずが有る筈です。ですからすでに右足は正座の踏み込みの半分ぐらいの距離を稼いでいるのです。
其の上すでに体構えは出来ています。右足を踏み出すばかりなのです。この違いを剣先に如何に有利に乗せられるかがポイントでしょう。
立膝の座し方が不充分で「どっこいしょ」と腰を上げる方には無関係な話ですが・・・。

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