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2014年11月 7日 (金)

神傳流秘書を読む 8.詰合一本目発早

神傳流秘書を読む

8.詰合(重信流也従是奥之事 極意たるに依而格日に稽古する也)

*詰合(重信流である、これより奥の事、極意なので確実に稽古するものである)
この詰合以降の業は極意業と言っています。
古伝を置き捨ててしまった明治の土佐の居合は奥の稽古が不十分です。
その分、業の技法の末節に拘り過ぎているようです。
場の想定を特定してしまい、物差しで測るような運剣動作のありように、先師は嘆いているでしょう。
古伝の教えを知らなかった為に、他の武術を取り込みおかしな動作を得々として指導したりしています。
中には、大江先生が残した業以外は無双直伝英信流に非ずと息巻く次第です。
大江先生も中学生向けにやむなく古伝を置いてきただけかも知れません。
詰合もそんな憂き目にあっている仕組の太刀打です。おおいに稽古し、独りよがりの空間刀法から抜け出るきっかけを作りたいものです。
最近は詰合を、演武会の出し物の様にされている処も有る様ですが、あくまで稽古業であるはずです。
形から抜け出せなければただの申し合わせの踊りでしょう。

一本目発早

楽々居合膝に座したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込み勝也

*「楽々居合膝に座したる時」ですが居合膝の座し方が解りません。相対して座す時の武士の座し方は時代考証ではどうだったのでしょう。
戦国末期では正座は一般的でなかったと云う事を信じれば、胡坐か片膝を立てた坐り方だったでしょう。
即座に応じられる座り方は片膝を立てもう片方を爪立って床に着いた立膝の構えでしょう。其の儘尻を下ろせば略現代の居合膝です。
この詰合は戦国末期に林崎甚助重信から引き継いで居る業ならば片膝立てた座仕方と云えそうです。
河野先生は甲冑を付けた時の座仕方と云い切っていますが其れも有でしょうが疑問です。寧ろ攻撃態勢を保持した体構えと考えた方が自然です。

此処で、神傳流秘書が「居合膝」と言い切るのは、居合う、互に座して向かい合う時位の意味のもので、座仕方は何時でも応じられる体構え胡坐では無い片膝立の座し方なのでしょう。
正座はこの頃ようやく武士の中に浸透してきた頃でしょう。

互に片膝を立てて座して居る時相手より、腰を上げて左足を引くや我が右足に抜き付けて来る、我も即座に左足を引いて相手の刀を右足斜め前で虎一足の様に(左足を引き刀を逆さに抜て留め)受け留める。

古伝は、相打ちではありません。相手に抜き付けられ請け止めています。
相手請け止められて、上段に冠らんとする処我左足膝を右足に引き付け座すや相手の真向に打ち下す、相手頭上にて十文字に之を請ける処刀諸共斬り下ろして勝。

曽田先生の実兄が指導を受けた第16代五藤孫平衛正亮・谷村樵夫自庸の口伝が曽田先生の業附口伝として残されています。

業附口伝 詰合之位
「一本目八相(口伝に発早とあり)
是は互に鞘に納めて詰合て相向い右膝立て座る也
互に左足を一足引きて倒様に抜合する也(互に右脛へ抜付ける)
其儘ひざを突き仕太刀はかむりて面へ打込也此の時打太刀は十文字に頭上にて請け止むる也
互に合せ血振い足を引き納刀」

*古伝の教えを失って、形ばかりの仕組の手附になってしまった様です。下に互に抜き合せる相打ちです。
古伝は打太刀に抜き付けられ、相手の剣先は我が膝下に付き我が剣は相手の刀を受払う事で後の先を取って勝ちとなっています。
稽古は古伝の心持ちでしょう。

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