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2014年12月23日 (火)

神傳流秘書を読む 12.抜刀心持之事十一本目行違

神傳流秘書を読む

抜刀心持之事

 十一本目行違

 行違に左の脇に添へて払い捨冠って打込也

*この手附は、「行違に」ですから、相手が前から歩み来り、擦違う時に相手の害意を察しての動作でしょう。
「左の脇に添えて払い」は相手は前から来て我が左脇を通り過ぎようとするか、我から相手の左脇に外すかは自由です。
行き違う寸前に刀を前に抜き放ち左脇に刀の棟を当て切先を後ろに刃を外向けて、左腕の上に右腕を乗せて、右足を一歩前に踏み出しすれ違い様相手の左胴を引き切る。
その足の儘左廻りに相手に振り向き上段に冠り打ち下す。

此の業の初動は現代居合の奥居合立業袖摺返の動作です。
英信流居合目録秘訣の上意之大事では行違「我左脇を通す宜し切る事悪しと知るべし行違さまに抜て突事宜し又敵先に抜んとせば先んじて早く柄にて胸を突くべし行違の詞の掛様の事大事有夜中に往来をするにうさんなる者の有時は自分の姓名を急に呼かくべし我に敵するものなればはいと答るもの也其所を切るなり旅などにては白昼にも此心得有るべし又何んぞ言を云かけて見るに我に敵する気有者は必ず返答にあぐむものなり」

*英信流居合目録では左脇をすれ違う時に突くのが良いと言っています。或は相手の胸を突いてしまえというのです。払い捨てる行違とは相手を左脇を通す様にする処は同じようですが後は異なります。

細川先生系統と思われる白石先生の摺違「歩行中摺違ふ際敵を斬る意、歩行中敵と摺れ違う一歩手前に於いて(左足にて鯉口を構え右足を踏み出して)刀を抜き、左足を出すと同時に刀を左側に取る。此時右手は左肘の外に位置し、左手は鯉口を持ちたるまま、右脇腹に取り左右の腕は交叉す。続いて右足を踏み出し摺れ違いざまに敵の胴を横に払い、直ちに振り返り右足を出すと同時に、再び上段より斬り下ろす。」

*この白石先生のテキストは昭和12年の発行大森流長谷川流伯耆流居合術手引きによります。古伝の趣を伝えていると思います。

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神傳流秘書14‐8抜刀心持之事」カテゴリの記事

コメント

ご回答、誠にありがとうございます。この技をくりだせる場面の想定が、私に全くできませんでした。どんな場でも1対1の対面歩行で、視界の中で柄に手がかかり、白刃がキラめいたら、こちらが剣を後ろに隠しても、気付かない者はいません。しかしご回答、特に最後の2行を何回も読むにつれ、何となくです(確信ありません)が、この技を使える場面が思い浮かびました。こちらの技の起こりが相手に見え難く、相手の目に自分の姿が映った時には既にこちらは抜刀している状態、視界そして周囲の音でこちらの敵意に相手が気づき難い状況。鱗返のような素早い抜打よりも、この技を使う方が最適(?)な状況は確かにあります。上意之大事という言葉が私の頭に重くのしかかりそうです。

兵法流浪さま
コメントありがとうございます。
コメントをいただいてから何度もこの業を演じてみました。
何事も無くお互いに擦れ違う間際に抜刀して、摺れ違って敵の後に出た時には敵の左脇腹を切り裂いている、敵も一歩乃至二歩前進して振り返る、我は踏み出した足を軸に左に振り廻り真向から切下す。でしょうか。
相手の左脇腹は太刀を差しているので、押し付けて引き切るのが良さそうです。
色々想定していると古伝が「まだまだ」と云って居る様です。
           ミツヒラ

投稿: 兵法流浪 | 2015年2月 1日 (日) 21時29分

勉強させて頂いてます。抜刀後、切先を後ろに向けて刀を左脇に添える(両腕を交差する)理由がわかりません。そのまますれ違い即、抜打ちする方が早いように思います。行き違い(対面通行?)で、こちらが抜刀しても、相手は無防備に近づいてくるのでしょうか?あるいは、すれ違った後に後ろを向いてワザワザ左脇に構えるのでしょうか?抜刀して構えるような時間があるのでしょうか?上意之大事の文言に従い、素直に突きなさいと言われれば確かに納得できますが....

兵法流浪さま
コメントありがとうございます。
この業は現代居合の袖摺返の元になった業です。
神傳流秘書の抜刀心持之事の業手附は、現代居合の袖摺返(賢の事)の様に左脇に刃を外向けて擦違い様に払い捨てる、と指定して居ます。
第9代林六太夫はこの様に第8代に習ったのでしょう。「かたち」はやって見ればそんなに難しくないのですが、実戦では相手と擦れ違う間積り、敵意を見せない居合心、将に奥居合です。
相手を突く場合では、どの様な間積りで、何時抜いて突くのか是も居合心が不充分ならば同じ事でしょう。
其の儘抜き打ちも同様と思います。
細川系と思われる白石先生の摺違は「敵と摺れ違う一歩手前・・」と教えてくれています。
どの様な場面を想定しこの業をくりだせる事が出来るかが奥居合たる処かと思います。
           ミツヒラ

投稿: 兵法流浪 | 2015年2月 1日 (日) 02時31分

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