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2014年12月17日 (水)

神傳流秘書を読む 12.抜刀心持之事五本目三角

神傳流秘書を読む

12.抜刀心持之事

五本目三角

抜て身を添へ右廻りに後へ振り廻りて打込也

*此の業名は江戸時代前期から中期には何と読んだのでしょう。
さんかく・みすみ・みつかど、みすみでは聞いただけでは??です。

業名もしかと読めず、技はおろか対敵の位置関係も解りません。
業名の三角から我を囲んで三人の敵と対座していると、勝手に思います。
次に敵の配置ですが「後へ振り廻りて打込」ですから一人は後ろに座している。
そうであれば、我が左右に一人ずつ、後ろに一人の三角。
あるいは、我が左前に一人、右前に一人、後ろに一人。我は三角形の中に囲まれた状態など思い描きます。
正面に一人、右に一人、後ろに一人もありです。右が左でもあるでしょう。
後ろに二人、前に一人も想定できそうです。

三人の敵に我は囲まれ、挑まれた状況でしょう。
そこで、我は、敵の害意を察し、刀を抜き放ち刀に身を添うようにして後方の敵を刺突し、右廻り右に振り向き、上段に振り冠って右の敵を切り、右肩を覆うように上段に冠りつつ左廻りに左側の敵に振り向き真向に打ち下ろし勝。

対敵の位置によって、違いはあっても、「抜て身を添え」で後ろを刺突して見ました。そこから右廻りに左の敵を切先外れに牽制し、右の敵にも切先外れに刀を通過させておいて、刀を右肩から振り冠って右の敵に斬り付ける。そして左廻りに右肩を覆いつつ戻って左の敵を斬る。

英信流居合目録秘訣という伝書があります。これも第十代林安太夫政詡の記述と思われますがそこに上意之大事として「三角」が解説されています。

三角「三人並居る所を切る心得也ケ様のときふかぶと勝んとする故におくれを取る也、居合の大事は浅く勝事肝要也、三人並居る所を抜打に紋所のあたりを切先はづれにはろうときはビクとするなり其所を仕留る也三人を一人づつ切らんと思う心得なれば必仕損ずる也一度に払ふて其おくれに付込んで勝べし」

夢想神伝流には此の業名が伝わっていますが山蔦先生の場合は戸詰(三角)としていますし、大江先生の戸詰ですから古伝とは言い難いと思います。檀崎先生は三人の敵を迎え、古伝の趣があります。
細川義昌系統と思われる広島の白石元一先生の三角も古伝を感じます。

大江先生はこの三角は捨て去っています。
大江先生は初め下村派、後に谷村派を習って谷村派第17代を名乗ったと言われていますが、大江先生には伝書が伝わっていなかったかもしれません。
知っていても、中学生向けに業技法を教育上変更せざるを得なかったかも知れません。
或は大江先生の時代にはもう古伝は失伝していたかも知れません。
然しその事は同時代を生きた細川先生が古伝を継承していますから言いきれません。
時を得て谷村派が脚光を浴びて全国に普及したのですが、古伝伝承は下村派に残って消え去る運命にあったものが中山博道先生によって夢想神伝流として生まれ変わり、古伝を伝える正統下村派は消え去ったのかも知れません。

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