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2015年3月13日 (金)

神傳流秘書を読む 14.目録小太刀之位六本目上段ノ弛

神傳流秘書を読む

14.英信流目録

 小太刀之位

 六本目上段ノ弛

 是は敵は上段也我は小太刀をひっさげ相懸りにてスカスカと行場合にて敵片討に打所を我行でもなし行ぬでもなし気のつり合にてすっかりと弛し上より討込なり

*この「上段ノ弛」は相手は上段、我は無形の位に小太刀をひっさげて、相懸りにすかすかと歩み寄る。
間境で相手、我が真向を片手打ちに打って来る、我は相手が空を打って来るのに付け入って行くでもなく、間を外すでもなく、「気の釣合」にて、上体を少し引いて「すっかりと弛し」、同時に上段に振り冠って右足を踏み込み真向に打ち込む。

相手は、我れが小太刀であり太刀との差を意識して、「片討」とはどのようにするのか分かりかねますが、片手打ちに大きく打って来るのでしょう。
聊か間遠いと見てふっと前に乗り出すようにして、すっと上体を引いて間を外す。
相手の太刀が空を切るや透かさず小太刀を振り冠って、筋替わりに左足、右足と大きく踏み込んで真向に打ち込む。
そんな、間の見切りを稽古してみました。

これで英信流目録に残された小太刀之位六本を終わります。
この英信流目録は、谷村派の第十二代林益之丞政誠によって安永五年1776年に書かれたものです。
それを嘉永五年1852年に谷村派の第十五代谷村亀之丞自雄が書き写したものです。
それを更に、昭和に入って下村派の曽田虎彦先生が書き写したとされます。
昭和23年には曽田先生は河野先生にこの写しを送られています。

その後この原本は誰の所有であったか、返還されたのかも不明です。
神傳流秘書に無い小太刀之位なので、第九代林六太夫守政が江戸で第八代荒井勢哲あるいは第七代長谷川英信から伝授されたものでは無さそうです。
江戸時代末期に何処かの流派のものが紛れ込んだと思われます。

小太刀位は昭和30年に河野先生が曽田先生の写本を元に「無双直伝英信流居合術叢書」を出され公開されました。
現在では相当の大家と称する方でも、本の存在を含めて小太刀之位を知らず、ましてそれを演じたのを見た事もないと思われます。

大剣取と合わせて小太刀之位は残しておきたいものです。
これらの古伝には現代風のマニュアル化された動作はありません。
手附を紐解き動作を付ける事の難しさは、江戸時代の武士の心得のある者には容易に出来た事でも、現代では失念した身体操作を呼び覚まさない限り難しいものです。

このブログを目にする事の出来る居合人は、高段位の方ではごく少なくPC操作の出来ない世代の方には不可能なことです。
若い方々が自ら掘り起こす以外に神傳流秘書の居合は伝承されることは無いでしょう。
居合を総合武術であったとして、他流の方法を取り入れてしまった先生や道場は幾つもあるようです。
神傳流秘書の業に戻って見る事も良いのではと思う次第です。

然しマニュアルが無ければ読めない、読んでもどの様にしたらよいか解らない、動画がないから出来ない、誰かその道の大家の指導が無ければ出来ない、ないない尽くしの若者に古伝を継承出来るか不安です。
この道を志すならば、伝統ある古流剣術の本物を目指す先生の教えを乞い、それを学ぶと同時に、古い時代の文字や言葉も学ぶ覚悟がないと難しそうです。

それには、幾人かで知恵を出し合いグループでものにする「輪」の組織も必要です。
段位や所属年数などによるカビの生えた「和」の組織では無理と考えます。

武術は、人と人が互に己の信じた事を貫くために行使する最終手段であるはずです。

明治以降に武術が分割されて独立した技術ばかりが目につきます。
得意とする武術を持つ人が集えば古伝は幾つも理解されていくはずです。

新しい時代は、道場間の壁を越え当然師匠の懐からも顔を出し、部門の壁を越えた繋がりが古に導いて呉れる筈と信じて居ます。

それを後ろから見守り、急げと応援する心が無ければ、現代の若者を揶揄する資格すら、年寄りにはないものと信じます。

河野先生も「私の足らざる所を補足して呉れる様な熱意ある研究家を待つ次第である」と結ばれています。

是は無双直伝英信流居合兵法叢書の自序にある思いで、資料をもっと集めてほしいと云って居るばかりでなく、古伝と現代居合に根本的違いは認めがたいとも云われています。

古伝の大剣取、小具足、小具足割、小太刀之位は小太刀を持つ我れも十分研究するのであるが、太刀を振う打太刀の研究も居合人ならばより学ぶべきものでしょう。

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