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2015年4月 1日 (水)

居合兵法極意秘訣 3.居合仮り名1の2肩敵の拳に當る

居合兵法極意秘訣

.居合仮り名

1の2、肩敵の拳に當る

 1、 肩敵の拳に當る

*打ち込む際、相手の拳に我が肩が当たるほどの高さで打ち込んでいくのでしょう。
甲冑を着た介者剣法を思わせます。
柳生新陰流の柳生石舟斎宗厳が孫の兵庫助利厳に与えた新陰流截相口伝書事(慶長8年1603年)にある「身懸五箇之大事」の二番目に「敵のこぶし吾肩にくらぶべき事」との教えがあります。
兵庫助が尾張大納言に印可相伝の際(元和6年1620年)に進上した「始終不捨書」では身を前懸かかりにして構えては居着いてしまうから、前を豊かにして「直立たる身の位」で、打ち込み勝時に「身之懸五箇」とすべきだと改善しています。

2、 右の手短  左のひじ長

新陰流截相口伝書事「身之懸五箇之大事」を上げておきましょう。

第1 身を一重に成すべき事

第2 敵のこぶし吾肩にくらぶべき事

第3 身を沈にして吾拳を盾にしてさげざる事

第4 身をかかりさきの膝に身をもたせ跡のえびらをひらく事

第5 左のひじをかがめざる事

*これは第5項目の教えでしょう。
右手は柄の鍔際を握っていますから容易に前に出ますが、左手は肘が曲がって刀が前に伸びて行かない事を戒めているのでしょう。右手は少しゆったりと肘を曲げ、左手の肘を伸ばすように心得ろと言うのでしょう。
居合の切下ろした拳の位置が臍前一拳から一拳半ですと少々剣先の伸びは少ないようです。
袈裟切などでは特に左肘が曲がりますから師伝を研究し直す処です。
腰で斬る腹で斬るならば左の肘は屈みません。
かと言って天井をスイープさせてフィニッシュで両拳を臍前に引き込んでくるのも見るからに納得できません。刃筋の通った動きは切先の円形を描く放物線状の動きにもある筈です。

3、 右の足にて太刀を下し左の足にて勝を取る

*これは、どうやら第4項目に当たるのではないでしょうか。
右足を踏み出し右足の膝に重心を乗せるように太刀を打ち込み、左足膝を伸ばして、一重身になって勝。
この文章からは、右足を踏み込んで中墨に打ち込み上太刀になるや左足を踏み込んで太刀を摺り込んで敵の甲手から腹部へ刺突するとも読めます。

4、 左の肩を向る事・1 手字

*これは、左の肩を敵の方に向ける事によって左肩の前に出た一重身となり、敵が左肩に打ち込んで来るのを十文字勝ちすると言うのでしょう。
第1項目で「身を一重に成すべき事」ですから構えの基本は右足前か左足前の一重身を推奨しています。
これは敵を誘う手立てかも知れないと思うのです。
「手字種利剣の目付」などと言う新陰流の教えから、目付は敵の動きを察知する大切なもので手字は「衣の内合して衣文成るを太体の手字と云う也、手裏見は手の内也」十兵衛の月之抄より
ですから目付の場所は敵の両肩から着物の合せの辺りを遠山の目付をすると言うのでしょう。そこへ打ち込んで十文字勝ちを取るのでしょう。

5、 足一本の事・1 峯谷二星

*足一本の事が不勉強で解りません。
次の峯谷から類推すれば踏み出す足一本で敵の動きを峯谷の動きで察知して踏み込み足一本で切り下すとでも読めます。
新陰流では足を揃えて立ったりするのを嫌う様です、また大きく左右の足を開いて打込めば最も嫌う居付になってしまいます。

峯谷は嶺谷、腕のかがみ、両腕の伸び縮み、をいう。兵法家伝書より。
右肘を嶺左肘を谷。

その際の、二星は目付であって、正しく切り込む目付をさすのでしょう。
目付は敵の目を見て動きを知ることでもあるのです。
もう一つは敵が柄を握って居る両拳へ目付をしろとも云います。
此処では峯谷である肩拳の辺りに目付をするのがよさそうです。

6、 右におこり左におこり無刀の事

*新陰流截相口伝書事に見られませんが、敵の打ち出す刀が右からであろうと左からであろうとその起こりに合わせ無刀でも応じられる、というのでしょう。
三学円の太刀の右旋左転かな、などと思って見ます。
大森流居合之事の冒頭にある「上泉伊勢守信綱之古流五本仕形有と云う」はこの三学円の太刀と思われます。

古流剣術や居合を考え乍ら稽古して行きますと、無刀も剣を持っても同じ事と気付かされます。解るは出来るならばと思うのですが・・・。

 右のケ条常に我が心中に能く覚えるべき事也

*林六太夫守政が学んだ新陰流の中にこの教えががあると思われます。

*前回(2015年4月1日)のなぞなぞの様な文言を何とか解いて見たいとしたのですが不勉強でここまでです。
何れにしても大森六郎左衛門が第九代林六太夫守政の剣術の師匠で上泉伊勢守信綱の真陰流ですからこの「新陰流截相口伝書」の内容は、真陰流(新陰流)を習う上では当然のこととして伝わったと思って間違いはないでしょう。
そして、林六太夫守政一代の事として失伝したのでしょう。
その心持まで失念してしまったのでしょうか、居合兵法極意秘訣はこれからです。
読者の方からのご教示をいただければ幸いです。

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