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2015年4月29日 (水)

英信流居合目録秘訣 2.上意之大事2両詰

英信流居合目録秘訣

2.上意之大事

 2、両詰

 是又仕物抔言付られ又は乱世の時分抔にわ使者抔に行左右より詰かけられたる事間々之れ有也ヶ様の時の心得也尤其外とても入用也左右に詰かけられたる時一人宛切らんとするときはおくれを取るなり故に抜や否左わきの者を切先にて突すぐに右を切るべし其わざ唯手早きに有
亦右脇に者に抜手を留らるべきと思ふ時は右を片手打に切りすぐに左を切るべし

*これも前回の虎走の心得の様に上意打ちを云いつけられた時など、決して仕損じてはならない様な時の心得であり、又、乱世の時に使者に赴き、左右より詰め掛けられる事は間々あるものでその様な時の心得である。
尤も其の外の場合でもこの心得は入用である。
左右より詰め懸けられた時、一人づつ切ろうとすれば遅れを取る、そこで刀を抜くや否や左脇の者を切先で突き、直ぐに右脇の者を切るのである。
其の技は唯手早い事が大切である。
また、右脇の者に抜手を制せられそうに思う時は、右脇の敵を片手抜打ちに切り、直ぐに左脇の者を切るのである。

この心得の業は「両詰」古伝神傳流秘書の抜刀心持之事にあるものです。
「抜て片手にて左脇を突き直に振向いて右脇を切る
右脇へ抜打に切り付け左を斬る」

大江先生の現代居合では改変されてしまい「両詰」は、「抜放け諸手にて真向を突き斬る」という業になっています。是は古伝神傳流秘書では抜刀心持之事「向詰」です。
どうして、両詰と向詰が入れ替わらなければならないのかは其の経緯が大江先生はなにも残されて居ませんので不明です。寧ろ大江先生は神傳流秘書の存在を知らず、教えられた通りであっただけかもしれません。

古伝は「詰」とは敵に「詰め寄られる、詰め懸けられる」などで「両」は両脇、「向」は前、「左」は左脇、「右」は右脇、「後」は後ろの様に敵の配置を意図して居ます。

大江先生のものは、「両」は両側に障碍物がある場の想定に変えられています。
この心得の大江先生の現代居合では奥居合居業の「戸詰」・「戸脇」が相当するのでしょう。
大江先生も「戸詰」は、右を斬り左を斬る。「戸脇」は左を突き右を切る。とされていたのですが業名に「戸」の文字をいれたため、本来の業技法に戸障子があって即座に斬り込めない場の想定を限定してしまい、業が特定してしまったと思われます。

河野先生の昭和8年の無双直伝英信流居合術全では、「戸詰」は右斜め前の敵を右片手で切り付け、直ちに左斜め前の敵を斬る。で「戸」の表現は有りません。同様に「戸脇」も左後方の敵を刺突し、右斜め前の敵を切って居ます。是も「戸」による場の想定は見られません。

然し昭和13年発行の「無双直伝英信流居合道」では「吾が直前の左右に戸あり、其の戸の向う側の左右に座する敵・・」と云うのが「戸詰」。
「吾が直前の左右に戸あり、敷居の向う側右と吾が左後方に敵・・」と云うのが「戸脇」となってしまいました。

河野先生が先代に問うて書かれたものと思いますが、特定の場の想定に依り古伝の持つ、大らかなものは失われてしまいました。
マニュアル人間にはぴったりのものとなったとは思います。
形を統一してしまえば、大勢での合同稽古では、同じ様に居合体操をする事が出来て、戦争へ向かっていく時代にマッチしたのでしょう。

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