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2015年5月 6日 (水)

英信流居合目録秘訣 2.上意之大事9棚下

英信流居合目録秘訣

2.上意之大事

 9、棚下

 二階下天上の下抔に於て仕合うには上え(、)切りあて(、)毎度不覚を取物也故に打込む拍子に(脺)膝を突いて打込むべし此習を心得るときはすねをつかずとも上へに當ざる心持有

*二階の下や天井の下などに於いて戦うには、上へ切り当てゝ、毎度不覚を取るものである故に、打ち込む拍子に膝を着いて打込むべきである。
此の習いを心得る時は脛を着かずとも上に当てざる心持である。

打込む時は膝を着いて打込むと云いながら、此の習いに従えば脛をつかずとも上に切り当てない、と云う処が良くわかりません。
脺(せつ、そつ)の文字は意味は「もろい、弱い」ですからここでは当てはまりません。曽田先生の誤写か原本の誤字でしょう。
状況から考えれば、「膝を突いて打込むべし」でしょう。
そうすると、後の「すねをつかずとも・・」との意味合いが取れませんが、脛を床に着くには膝を着く事にもなるので文字に拘る事も無いでしょう。
河野先生はこの脺を「すね」と読んで無双直伝英信流居合兵法叢書に当てゝ居ます。
夢想神傳流の木村栄寿先生の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集及び業手付解説」では脺は膝と読んでいます。

何れにしても身を低くして打込むものと解する事で、天井等の高さについては其の場に於いて、どの程度身を低くするか即座に読み取る事でしょう。
頭の当たらない感覚は大凡身についていても、刀の切先が当たらない感覚はなまじの稽古では難しいものです。

古伝神傳流秘書の抜刀心持之事に棚下があります。
「大森流逆刀の如く立て上へ抜打込む時躰をうつむき打込是は二階下様の上へ打込めぬ心持也」

大森流の逆刀は「向より切て懸るを先々に廻り抜打に切右足を進んで亦打込み足踏揃へ又右足を後へ引冠逆手に取返し前を突逆手に納る也」

どの様に上に抜くのかこの手附では解りません。現代居合の附込の抜刀法を棚下に応用すれば、身を低く俯けて刀を前に抜出し左脇から低く俯いた背中に振り冠るとするのでしょう。

大江先生の棚下を稽古して見ます。
「(頭を下げて斬る)座したる処より、頭を前方へ下げ、稍や腰を屈め右足を少し出しつゝ、刀を抜き、上体を上に起すと同時に上段となり、右足を踏み込みて真直に切り下す」

棚下での抜刀法を解説して居ますが、これでは棚に切り当てそうです。そこで棚から這い出て斬ると伝わったのでしょう。
棚下から這い出るも有、棚下の中での攻防も有、抜刀心持之事は「格を放れて早く抜く也」でした。
棚下、床下、階段下、天井下色々工夫次第でしょう。
現代居合は、「棚の下等の頭の閊える低い場所にある時之を這い出て正面の敵を斬るの意なり」です。河野先生大日本居合道図譜より。

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