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2015年7月14日 (火)

介錯口伝・他・神妙剣2.紐皮を掛る

介錯口伝・他・神妙剣

2.紐皮を掛る

 他流にて紐皮を掛ると云う事
仰向に倒るゝを嫌てひも皮を残すと云う説を設けたる見えたり當流にては前に云所の傳有故に譬如何様に倒るゝとも失に非ず其上紐皮をのこす手心何として覚らるべきや當流にては若し紐皮かゝりたらば其の儘はね切るべしさっぱりと両断になし少しも疑の心残らざる様にする事是古伝也

*他流には紐皮を掛けると云う事がある。
介錯して仰向けに倒れるのを嫌い、首の紐皮を残すと云う説が設けられている様に見える。
当流では、介錯を依頼された際、無調法故首を斬り放すので良ければ望む所と云って事前に断り置き、譬えどの様に倒れても礼を失するに当たらない。
其の上紐皮を残す手心はどの様にすれば覚えられるのであろう。
当流では紐皮に刀の刃が掛ったならば其の儘はね切ってしまい、さっぱりと両断して少しも、疑念の心を持つ事も無く介錯する事が古伝にあるのである。

他流はどうでも、当流は事前に首を斬り放す、と断る事が作法であると云います。

河野先生はこの土佐の居合の作法を知らず、他流の様に紐皮を残すのが介錯であると拘って伝えて居ます。
当流の古伝を知らず、書物などで知りえた他流の仕来たりを、それと知らずに持ちこんだのでしょうか。
「・・介錯は打首にあらず、打首の如く首を斬り落す事無く咽喉部の皮一重を残すの意を以て行うべきなり・・」無双直伝英信流居合道より。
昭和13年の発行が無双直伝英信流居合道です、此の時河野先生はまだ曽田本に出合っておらず、ひたすら古書を集め読まれていた時期でしょう。

同じ様な時期に書かれた(昭和12年)細川義昌先生系統と思われる白石先生の「順刀(介錯の意)」
「右足を出し乍ら刀を抜き、右足を退きて左足に揃へると同時に刀を左方より廻して右肩後に取り、それより更に右足を踏み出すと同時に左手を柄に添えて握り、前方に坐せる人の首を斬り落す」

*ここでは、首は斬り落とされています。

その後の大日本居合道図譜では、皮一重の文言は消えて居ます。

穂岐山先生の直弟子凱風先生の介錯
「・・自刃者の割腹するや右足をだしつゝ刀を左斜に打ち下して首を斬る・・」

しかし、21代の時に再び「斬り下しは首を斬り落すに非ず、皮一重を残す事」とされて現在に至ります。

世の介錯の有り様が、首の紐皮一枚を残すのが仕来りであれば、其の積りで刀を打ち振るべきで、その心積りの稽古はすべきものでよいのでしょう。
そして、依頼人には、一言断っておくのも武士の嗜みなのでしょう。

此処に伯耆流の「介錯太刀」を白石先生の手引にある、伯耆流範士石井将之先生によって学んで見ます。
「仕方第1:静かに立ち体を左に捻りつつ静かに左上に抜き、左足を出し膝を立てて斬ると同時に右左足かへ左手にて体の後に倒るるを前方に押し付け、次に左手にて白紙を取りて血を拭い其の紙を本人の体の下に押し込む。鞘に納め約八寸位納めたるとき柄を逆手に取り直して納め正面に復す。

仕方第2:静かに立ち右に向きつつ右上方に抜き右上段より右足を出して斬り下ろし、直ちに左足と換へ左手を以て体を支へ、且つ白紙にて血を拭ひ後ろを向きたる儘納め、中途にて逆手に持ち換へ納めつつ正面位に復す」

*伯耆流はさっぱりと斬り落とし体が後に倒れるのを左手で前方に押して支えて居ます。

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