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2015年7月27日 (月)

居合兵法の和歌9.寒夜にて霜を聞

居合兵法の和歌

9.寒夜に霜を聞

 寒夜尓て霜を聞べき心こそ敵二阿ふても勝を取なり

*寒夜にて霜を聞くべき心こそ敵に逢うても勝ちを取るなり

寒い夜に霜が結ぶ音を聞き分ける程の心があれば、敵の思うことも聞くことも出来るであろう、さすれば敵に出会っても勝ちを取るであろう。

現代社会では、ビジネス上の闘争もあって負ければ生死を分かつ程の事もあろうかと思うのですが、直接刃を向けての命のやり取りとは次元が違うでしょう。
音にあふれている都会に住む現代人が、失念してしまった小さな変化に感じる事かも知れません。

この歌は新庄藩の林崎新夢想流の中に次の様です。

寒事尓て霜を聞遍幾心こそ敵尓あふて能勝ち者とる遍き

寒事にて霜を聞くべきこころこそ敵にあふての勝はとるべき

妻木先生の田宮流居合歌の伝には
寒き夜に霜を聞くべき心こそ敵にあひても勝ちはとるべし

武術肝要集に「我れ已発を以って敵の未発を抑ふ。是れ業を言わず、気の位いを言うなり」とあります。

霜が降りて真っ白になってから霜を知ったのでは無く、寒さの度合いで霜が降りる事を察知する位の感性を持つことを云うのでしょう。
敵の未だ発せざるに、すでに発している事を已発というのでしょう。

宮本武蔵の兵法三十五箇条の二十三番目「枕の押へと云う事」
「枕のおさへとは、敵太刀打出さんとする気ざしをうけて、うたんとおもふ、うの字のかしらを、空よりおさゆる也。
おさへよう、こころにてもおさへ、身にてもおさへ、太刀にてもおさゆる物也。
此気ざしを知れば、敵を打に吉、はづすに吉、先を懸るによし。いづれも出会う心在り。鍛錬肝要也。」

古歌二首
「打ち寄する浪の受け太刀満潮に さし心得て飛ぶ千鳥かな」
 千鳥の波打ち際で、餌を啄ばみ潮の満ちるのを察して飛び立つ様は、懐かしい海辺で遊んだ風景です。

「未発より已発にうつる中宿 終ひのすみかとおもふべきかな」
「中宿」此の一瞬はよほどの修業によるのかもしれません。

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