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2015年8月 9日 (日)

居合兵法の和歌22.早くなく重くあらじな

居合兵法の和歌

22.早くなく重くあらじな

 早く奈く重くあらしな軽く奈く遅き事於や悪しきとそ云

*早くなくおもくあらじな軽くなく遅き事おや悪しきとぞ云う

早くなく、重くもなく、軽くなく、遅いことを悪いと云う。

河野先生の初心者心得に「初心の間は十分に落付きて業を大きく伸び伸びとユックリ行い、業と業との間に区切を作りてなし決して素早く一連に行はぬ事。
総ての業は其の一動毎に十分なる気魄を必要とす。即ち「一動の終毎にグット確かなる気力の締り」ある事を最も肝要とし而して次の動作は更に新たなる力と気合を以て行う事。然して錬磨の功を積み錬熟するにつれ内に凛々たる気魄を養ひ業の間をつめる様心懸くる事」

*この歌は居合の運剣の動作、緩急などのリズムを歌に詠んだのだろうと思います。
早くもなく重そうでもなく、だからといってひょいひょと軽がるしいのもいけない。遅くて場の状況が解かっていないようなのはなお悪い。
そのまま解すればそんな所でしょう。

妻木先生の田宮流居合歌の伝では「早くなくおそくはあらしかるくなしおそきことをぞあしきとぞいふ」
「重くあらじな」が「おそくあらし(遅くあらじ)」となっています。

田宮流歌伝口訣に「初学には調子を習へ兎に角に早きにまさる兵法はなし」
居合は抜き付け一本にて勝つの教えゆえに、初学より先ず調子を習うが専一である。初めより、三調子に習わすこと肝要なり。それより二調子に、次に一調子に抜かすこと。この一調子は「ハナレの至極」という。初学より一調子にゆかぬ故、三調子、二調子の場より習わすことが肝要なり。

新庄藩の林崎新夢想流秘歌之大事
早く奈く於そくハあらし重く奈く加る幾事をハあし幾とそ云
(早くなくおそくはあらじ重くなくかるき事おばあしきとぞ云)

こちらも似たようなものです。早くもなく遅くなく、重くなく軽いのはだめ。
新庄藩のものは元禄14年1701年のものですから、これが元歌かもしれません。

この歌の歌心は、何を意味してるのかは居合の習熟度ばかりではなさそうです。その場に応じた調和の取れた調子を習えと言うのでしょう。
一人演武の空間刀法は、「見せる居合」に走りすぎて居合の本領を忘れてしまうものです。

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