英信流目録 2.小太刀之位1左請眼
英信流目録
2.小太刀之位
一本目 左請眼
左請眼と申は敵は上段にかまえ我は片手にて小太刀を向えさし付敵の左の眼へ切先を付て相懸りにて行也敵場合にて我小太刀を筋違に右へ横に払ふ也其時我すぐに小太刀をつむりへかむり左の手にて敵の右のひじを取勝也
*左請眼と云うのは、敵は太刀を上段に構え、我は右片手に小太刀を取り、右足を前に踏み一重身となって相手の左眼へ切先を付ける。
相懸りに双方歩み寄る処、敵は、切間に至れば、左眼に付けられた我が小太刀を八相に右へ払ってくる。
其の時我はすぐに小太刀を頭上に冠り、踏み込んで左手で相手の右ひじを取って、相手の真向に小太刀を打ち込み勝。
双方スカスカ歩み寄る時、我が小太刀を相手の左眼に突き付けて歩み寄るので、相手は小太刀が気になって払ってくるのを上に外して、流れた右手を押さえて、小太刀を打ち込む。
古伝は小太刀を払うと指定して居ます。稽古では、小太刀を持つ右拳を打ちに来るのを外して打ち込むのも、太刀の長さを利して我が右肩口に切り込むのを外して打ち込むのもありでしょう。
いずれにしても、相手の打ち込みを外すや踏み込んで相手の右ひじを制して、打ち込む。
小太刀を抜いて構える際、左手を栗形に添えて構えるのが剣道形にありますが、ここではどのように左手を裁くのか指定されていません。
形にとらわれず研究してみるのも良いかもしれません。英信流小太刀の左手の構えは・・・。
既に失伝した小太刀の位です、古伝神傳流秘書にある大剣取の一本目無剣を参考にして見ます。
無剣
「相手居合膝に座し居処へ小太刀をさげかくる相手抜打つを放し入てさす」
*相手居合膝に坐している処へ我は小太刀を右手に下げてスカスカと間境を越し切っ先を眉間に付け懸って行く。
相手抜き打ちに我が小太刀を払って来るのを出足を引き右手を上げて、「放し」はずして透かさず相手の中に入り左手で相手の右腕を制し刺す。
小太刀を払ってみましたが、間境を越した我が出足を払って来るでも、腰を払って来るでもいいでしょう。
相手は外されて即座に上段に振り被るか、手を返して霞の様に打ち返すかも知れません。
居合膝はどのようにするのか不明ですが、現在の立膝の座仕方と思えば良いのでしょう。
夏原流の小具足の処に「両方足を爪立左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に坐す」とあります。両足爪先立っている様です。
現存するテキストでは政岡先生の無双直伝英信流居合兵法地之巻ぐらいです。
政岡先生は「小太刀をさげてかゝる」二本目は「持ちたるなりに」となっているので、抜刀して正眼とも考えられるが、居合の形として考えて納刀のまゝとしたものである。抜刀して左手を腰に、中段「入身の構」でも可ならん。
「間に入った時払われたので引いて外す、飛び込んでさす」
相手外されて上段に振り被る処踏み込んで左手で相手の肘を制しています。
*ここは「小太刀をさげかくる」を優先して、小太刀を抜刀して右手にひっさげて無形の位で間境を越す、が古流の伝らしく、あえて居合の納刀に拘るものでもなさそうです。(2014年12月14日)
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