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2015年10月14日 (水)

曽田本業附口伝その1太刀打之位10打込一本

曽田本業附口伝

その1.太刀打之位

十本目 打込一本 仕打中 (伝書になし口伝あり、留の打込なり 曽田メモ)

双方真向に物打にて刀を合し青眼に直り退く
 
*太刀打之位の十本目は「打込一本」と曽田先生は書き加えて、これは伝書に書かれていないが口伝にある、と言うのです。
 
双方中段に構えスカスカと歩み寄り、上段に振り冠って真向に打ち下ろす。「一刀流の切落」、柳生新陰流の「合し打ち(がっしうち)」です。
土佐の居合は新陰流に影響を受けている事は外せません。
ここでの真向打ちは双方物打で刀を合わせてジリッ・ジリッと中段になって双方後退し血振り納刀する。と云うなんとも曖昧な演武が良く行われていますが真向相打ちの極意を研究する良い業です。
真向打は最も簡単な刀法であって最も難しい技でもあります。 理屈は解かってもその通りできないと言ったらいいのでしょう。
上段からの打込みで刃筋が通らない、左右どちらかに片寄り真っ直ぐに打込めないなどよく見かけます。
真っ直ぐが出来ず、左右どちらかの面打になってしまう×点合わせではこの業は成り立ちません。
背の高いものが優勢になってしまうようなことも頻繁です。 要はとにかく真っ直ぐに打ち下ろすこと、間は遠間で始めは稽古すること。
鎬の擦れ合う音を知ること。
手の内を緩めないこと。
 
初心のうちは、この「打込一本」では物打で刀を合わせます。
止めなければ双方の頭を打つことになるでしょう。
止めるとは、意図的に双方の間の真中付近の上で互いに鎬の触れ合う瞬間に止める事です。
柳生新陰流の合し打ちは、そんな位置で止める事無く、敵の真向に打込んで来るのを真向に打ち込んで相手太刀を外すという凄まじい極意技です。
この業を演じるには、双方中段に構え相手の眉間に切先を付けスカスカと歩み行き、双方間境で上段に振り冠り、打太刀の打ち込に、仕太刀は一瞬遅れて打ち込みます。
打ち勝った仕太刀は打太刀の頭上寸前で寸止めする、打太刀は外されて刀を下段に静かに下ろし負けを表します。
これで、太刀打之位十本を終了いたします。
大江先生の居合道形七本のものでも、申し合わせの形打ち稽古などと安易にしていては只の棒振りにすぎません。
忘れられた古伝太刀打之位ですが、これを打っている道場は多そうです。
業手附が古伝のものであるかどうか、神伝流秘書やこの業附口伝と対比していただければと思います。
第20代河野百錬先生の昭和13年発行の「無双直伝英信流居合道」にある太刀打之位はこの曽田先生の業附口伝からのものの様です。

古伝神傳流秘太刀打之事 十本目打込

 相懸又は打太刀待処へ遣方より請て打込み勝

*「打太刀より討ち込んで来るのを仕太刀請けて打込勝」是だけの文言です。様々な請け方は有るでしょうが「請けると同時に勝」事が到達するところでしょう。
物打で合わせ仲良く相打ちで演武を納めるなど演舞会ではいざ知らず稽古では違うだろうと思います。
太刀打之位は稽古の形であって演武会の見世物では決して無いと思います。
伝書にあったのに、曽田先生は業附口伝では「伝書になし口伝あり」といっています。この業附口伝を書かれた頃は古伝神傳流秘書をまだ見ていなかったのでしょう。

政岡先生は「斬り結ぶのみ」としています。
切り結んだのでは、次の「勝」が出てきません。伝書の心持ちとは同じように思えなくて首を捻っています。

嶋 専吉先生の「留之剣(打込一本、但し伝書になし)」

「仕中段・打中段 互に進み間合いにて真向より物打あたりにて軽く打合ひ(音を立てゝ強く撃ち合ふ意にあらず)更に青眼に直りて残心を示し正しき位に復す。
右「留之剣」終らばそのまゝ一旦後方に退き血振ひして刀を鞘に納め更に前進し正座にて刀の終礼を行ひ再度後退して対立のまゝ相互に黙礼をなし、次で神前の敬礼を行ふ」

*古伝神傳流秘書の「打込」にある「相懸又は打太刀待処へ遣方より請て打込み勝」の「遣方より請て打込み勝」の部分を、何度も読み直し空想の世界を駆け巡らせて研究して見るのも楽しいものです。

相打ちで「形」終了でいいのでしょうか。
当代は「「形」は人前でこれ見よがしに打つものではない」と仰います。

真剣で打つなど、大道芸に等しい事を・・・・おもいつくままに

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曽田本業附口伝15-10」カテゴリの記事

コメント

古伝、太刀打之位ですが、通常10本だと思っていたのですが、11本が多数派の様です。理由ご存知でしょうか?またプラス1の業名ご存知でしょうか?よろしくお願いします。

澤田さま
コメントありがとうございます。
古伝太刀打之位は神傳流秘書でもその後の業附口伝でも9本の所、打込を入れて10本です。
11本については知りません。
     ミツヒラ

投稿: 澤田 | 2015年12月11日 (金) 23時15分

つい先日久しぶりに東京時代の同門と袋竹刀を交え、剣法談義に花を咲かせました。合掌(がっし)打について、雑誌の記事等で「よいしょ」されるのを目にすると何となく、コソばゆい、恥ずかしい気分になります(笑)。袋竹刀でやる分には、竹刀に太さがあるので、踏み込みで逃げるな、正対しろなど格好つけて何とでも言えます。が、模擬刀でやってみろ、と言った途端、誤魔化すのが現状(笑)。「打ち被せ」とも呼びますが、合掌打は乱世が終わり、新たに考案された稽古用の一つなんです。居合の「刀」に馴染んだ者なら、相打になる可能性の高い無謀な技で、実戦では殆ど使えないことを即見抜くでしょう。この相打を避ける為、開祖の伊勢守の直門である柳生石舟斎、疋田豊五郎、丸目蔵人らは、十字勝(肋一寸)、栴檀(せんだん)、十手など皆が同一の極意に辿り着いてます。兵法目録事、討太刀目録といった開祖に比較的近い時代に記された伝書を読めば明らかです。赤羽根先生は著作の中で、頭の硬い(文盲の)古株らが怒って卒倒しないよう、上手に言葉を選んで編集されてますけど(笑、脱帽)。

兵法流浪さま
コメントありがとうございます。
仰るように上段からの真直ぐの打ち合いは、まともに打てないものです。
かと言って、遠間で物打ち付近を合わせて御仕舞いと言うのも頷けません。
土佐の居合に其処まで要求する処が古伝だったのでしょう。と思っています。
大江先生の創作した英信流居合道形7本目真方の様に、仕が真っ直ぐに打込み打は之を柄を左に顔前頭上に十文字請けさせる方が遥かに容易です。
          ミツヒラ


投稿: 兵法流浪 | 2015年12月12日 (土) 00時02分

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