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2015年10月 6日 (火)

曽田本業附口伝その1太刀打之位2附込

曽田業附口伝

その1.太刀打之位

二本目 附込 仕打納刀 附入とも云う

是も出合の如く相掛にて右の足を先にして場合にてさかさまに抜き合せ敵の引かんとする処を我左の足を一足付込左の手にて敵の右の手首を取る此の時は左下に引きて敵の体勢を崩す心持にてなすべし互に刀を合せ五歩退き八相に構え次に移るなり

*附込は附入とも云う、ですから相手に付け入る事は付け込むと同意でいいのでしょう。

仕打共に出合のように納刀のまま相掛に「スカスカ」と歩み行きます。
「スカスカ」の雰囲気は「すたすた歩く」「するする歩く」「滞りなく行く」、虎走りや小走りを想像しません。

大江先生の無双直伝英信流居合道形では「柄に手を掛け、双方体を前方に少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出て」と指定されていましたから虎走りしました。
虎走りを否定するつもりはありませんがスカスカ間に歩み入る動作も学んでおいて良いでしょう。
踵を上げて爪先で蹴り出すのではなく、爪先をやや浮かせ薄氷を踏む如くのスルスルと歩む常の足使いを身につけて見たいものです。
「スカスカ」と「スルスル」はイメージが違いますが、「バタバタ」や「スイスイ」とか「スース-」とでは無さそうです。

間に至るや打は右足出るとき左手に鯉口を握り、左足で間境を越し柄に手を掛け刀を抜き出し右足を踏込み抜き付けんとする。
仕は機先を制して打が左手で鯉口を握るや右足・左足と踏み込み柄に手を掛け刀を抜き出し右足を踏み込むや打の踏み込まんとする右足脛に抜き付ける。打は是を右足の前で請ける。

仕に圧せられて打は左足を引いて退かんとする処、仕は透かさず、左足を打の右足側面に一足踏み込んで付け込み、退かんとする打の右柄手の手首を取る。
仕はこの時右足も左足の後方に摺り込み、左入り身となり、打の手首を制するや体を沈めて左下に打の体勢を崩す。
手附はここまでです。打の手首を制し体勢を崩してしまえば、仕は太刀先で容易に詰める事はできます。
大江先生の「拳取」によって「刀尖を胸に付け残心を示す」
仕は、元の位置に戻り、互いに刀を合わせ五歩退き八相に構える。

古伝神傳流秘書の太刀打之事二本目附入(附込とも云う)

前の通り抜合せ相手後へ引かむとするを附入左の手にて拳を取る右の足なれ共拳を取る時は左の足也

この業のポイントは、「相手後へ引かむとするを附入」の部分でしょう。抜き合わせて拮抗し、相手が引こうとしないのにこちらからサッサと拳に手を伸ばして取りに行くなどではありません。

「拳を取る」ですが、大江先生は「打太刀の右手首を逆に持ち下へ下げる」、河野先生は、相手の右手を逆にして制する事に意を使いすぎ「打太刀の右手首を左手で、中指は手首関節部、拇指は掌中を逆に握り、左下方に引いて打の体勢を右に崩し、右手の自由を奪う」

業附口伝は「一足付込左の手にて敵の右の手首を取る此の時は左下に引きて敵の体勢を崩す心持にてなすべし」

古伝は「附入左の手にて拳を取る」これだけで相手の右手を制し体勢を崩す事も学ぶ事も出来るはずです。

昭和17年の嶋 専吉先生の無双直伝英信流乾にある、第19代福井春政先生との太刀打之位二本目附込を稽古して見ます。
「互に右手を柄に懸け相掛りにて進み間合にて右足を踏出すと共に相手の右脚に抜合すこと「出合」の場合と同様なり。
次で打太刀の退かんとするところを仕太刀跳込むが如く左足を相手の右側に深く一歩踏込み右足をその後方に踏み添えて体を開き、相手の右手首を左手にて逆に捉へ之れを己が左下方に引きて打太刀の態勢を崩し、刀を右手にて腰部に支へつゝ剣尖を打太刀の水月に擬し之れを刺突の姿勢となる。互に中段に刀を合せ正しき位置に復したる後双方五歩後退し血振ひの上、刀を納む。」

*福井先生も相手の右手首を逆手に取って左下に崩しています。
古伝神傳流秘書の夏原流和之事を稽古しますと原文に従った稽古では極めて自然に相手を崩す方法を述べています。
非力な小兵の者が剛力を力任せに崩す事は有りません。

太刀打之位は、土佐の居合に残された初歩的な太刀を鞘に納めたまま相懸る組太刀に依る剣術への道へも導くもので、空間刀法の居合に対敵を意識した間と間合いを知る良い稽古です。

次の三本目請流は八相に構えて相掛りに歩行くので業附口伝では納刀せず元の位置に戻り八相に構えます。
嶋先生が福井先生に習ったように納刀したならば、其の位置で刀を抜き、左足を前に右足を引いて八相に構える事になります。

次回は三本目請込です。

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