« 曽田本業附口伝・序 | トップページ | 曽田本業附口伝その1太刀打之位2附込 »

2015年10月 5日 (月)

曽田本業附口伝その1太刀打之位1出合

曽田本業附口伝

1.太刀打之位

一本目 出合 仕打納
是は互に刀を納めて相掛りにてスカスカと行く場合にて右の足を出しさかさまに抜き合せ敵引く処を打込みて左足にてかむり右あしにて討也此の時敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むる也互に中段となり我二歩退き敵二歩進み□めて五歩づつ退く也納刀

*この出合は、双方納刀したままスカスカと歩み行くであって、虎走りのように小走りに間を詰めていません。

大江先生の無双直伝英信流居合道形(英信流居合の型)では、「打太刀は柄に手を掛ける、仕太刀は打太刀の如く、柄に手を掛け、双方体を前方少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出て、右足を出したるとき、膝の処にて打は請、仕は抜打にて刃を合す」でした。のっけから動作が違います。

この古伝太刀打之位を虎走りして演じているのを見ていました。
決められた事だからと、虎走りするのは流の決め事ですが、不自然です。ここは、「スカスカ」と相掛りに間境に接するものでしょう。お互いに「右足を出しさかさまに抜き合せ」と業附口伝では相打ちとなります。

嶋 専吉述「無双直伝英信流居合術乾」という小冊子があります。昭和17年1942年4月18日から二週間のこと、嶋先生は高知に出向き、第19代福井春政先生に2週間潮江の高知商業の道場に通って武道行脚した際の覚書を綴ったものです。
出合 帯刀のまゝ柄を把りつゝ相掛りにてスカスカと前進(互に三歩前進とせるもあり)間合にて右の足を踏出すと共に互に相手の右脚に斬付くる心にて剣先を下方に抜き合す。・・」
と、ここでも、スカスカと相打ちしています。
続いて打太刀退くところを仕太刀附込み左足を右足に進めて振り冠り右足を一歩踏込みて上段より打太刀の面を打つ、このとき打太刀は一歩体を退き(右足を軽く退き左足を退き)仕太刀の刀を頭上にて剣尖を右方に十文字に請け止むるなり」

虎走りでは、大江先生の公案当時の事を思えば、歩兵が臆する心を後ろから煽られて突撃するような感じがします。
古伝は、普段の歩み足で相掛りしたいものです。

神傳流秘書の太刀打之事出合
相懸りにかゝり相手より下へ抜付るを抜合せ留て打込相手請る右足也

相懸りに歩み寄り、打は刀に手を掛け、左足で間境を越し、右足を踏み込み抜き付ける、仕は刀に手を掛け右足を大きく踏み込んで打の右脛に抜き付け留める。打は、上段に冠らんとする処、仕に圧せられて体勢を立て直すべく左足、右足と追い足に退き、仕は即座に左足を右足に引き付け上段に振り冠り打の真っ向に打ち下ろす。
打は是を十文字に請け留める。
間合は近間になり、打は大きく反り身になって請けざるを得ない。
双方攻めんとしつつ、打は仕に圧せられて退くに付け入って行くものです。

*古伝は「相懸り」でスカスカとも虎走りとも云って居ませんが、通常スカスカと歩み寄るのでしょう。

抜き合せは「相手より下へ抜付るを抜合せ留」ですから現代の正座の部八重垣の受払の動作で仕は応じると読むべきでしょう。

十文字に請け止めた打から中段に戻します。この時、間が近すぎれば左足右足と退いて中段となる。
仕はその位置で中段となり切っ先を合わせて打は二歩出て、仕は二歩退き、双方左足から五歩ずつ戻り右足前で横血振りして納刀する。左足を右足に揃え、次の業になる。
この時互いに切先で糸筋の切れざるような残心は当然でしょう。

古伝の正しい血振り、納刀は不明ですが、大江先生の無双直伝英信流居合道形に準じておきました。

十文字の請け方は、柄を左に剣先を右にして刀を前額上で水平に刃で請ける。
この受け方は少々不自然です。

或いは、柄を右に切っ先を左に向け物打付近に左手を添えて刀棒の形をとって仕の打ち込みを刃で請ける。
刀棒の場合は仕の刀を摺り落として、攻めに転ずる事もできそうです。

次回は二本目「附込」です。

|

« 曽田本業附口伝・序 | トップページ | 曽田本業附口伝その1太刀打之位2附込 »

曽田本業附口伝15-10」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本業附口伝・序 | トップページ | 曽田本業附口伝その1太刀打之位2附込 »