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2015年11月25日 (水)

曽田本免許皆伝目録その16大江正路より鈴江吉重

曽田本免許皆伝目録


その16.大江正路より鈴江吉重


*この免許皆伝目録は、曽田本2に紹介され既にこのブログではアップされています。(平成14年8月2日・3日)

曽田本その2を読むの4曽田メモの6メモの6根元之巻1

曽田先生はどうした訳なのか、大正10年に大江先生が鈴江吉重先生に授与した根元之巻を書写しています。
下村派行宗貞義先生から曽田先生は、根元之巻を授与されていないのかも知れません。
行宗先生は大正3年1915年65歳で亡くなっています。曽田先生は明治23年1890年生まれですから行宗先生の亡くなられた時には25歳でした。
高知2中へ入学した時、行宗先生について居合を習い始めたわけで、行宗先生の亡くなるまで13年程度師事していた修行です。
曽田先生は高知2中卒業後高知武徳殿の助教授に抜擢されて行宗先生の後を継いでいる様です。
行宗先生は明治の末から大正始めにかけて京都武徳会本部の居合術教師を勤めていたようですから、亡くなる前は曽田先生との接触は少なかったと推察できます。

根元之巻はそれに依れば一国一人への相伝と云っていますが、いつの頃からか根元之巻を持つ者が複数となり、そしてさらに複数に授与されています。
是は土佐の居合の業技法をことごとく納め終った者への免許皆伝目録であってそれが土佐の居合の宗家を認める紹統允可とは異なるものと理解しています。

居合根元之巻
大江正路先生より鈴江吉重先生に伝授したる伝書の写なり

抑此居合ト申者日本奥州林之従大明神夢相二〆奉伝之夫兵術者上古中古雖有数多之違佗流大人小人無力剛力不嫌合兵用云々 末代為相應之太刀尓云 手近勝一命有無之極此居合恐者粟散邊土堺不審之儀不可有之唯依㚑(霊)夢処也 此始尋奥州林崎神助重信ト云者因有兵術望之林之明神一百有日令参籠其満暁夢中老翁重信告曰汝以此太刀常胸中憶持者得勝怨敵云々 則如㚑夢有得大利以腰刀三尺三寸勝九寸五分事柄口六寸勝之妙不思議之極意一国一人之相伝也 腰刀三尺三寸三毎(毒の誤字)則三部尓但脇差九寸五分九曜五鈷之内証也 敵味方成事是亦前生之業感也 生死一體戦場浄土也 如此観則現世蒙大聖摩利支尊天加護来世成仏成縁之事豈有疑哉 此居合雖積千金不真実之人者堅不可授之可恐天罰唯授一人伝之云々

古語曰
其進疾 其退速云々
此意以貴賤尊卑無隔不謂前後輩達其所者許目録印可等無相違

又古語曰
夫百錬之構在則茅茨荘鄙輿兵利心懸者夜自思之神明佛陀祈者則忽得利方是依心済身事燦然。

以下、根元之巻を読み下します。

*居合術根元之巻
(大江正路先生より鈴江吉重先生に伝授したる伝書の写し 曽田メモ)

抑(そも)此の居合と申すは、日本奥州林之従、大明神の夢相に〆之を伝へ奉る、夫れ兵術は上古中古数多之れ有りと雖もこの違い、佗(他)流大人小人無力剛力を嫌わずに兵の用に合う云々、末代にても相応になる太刀云々。
手近に勝ち一命の有る無しの極み、此の居合。恐れるは粟散辺土の堺(日本国)、不審の義之れ有るべからず、唯霊夢に依る処也。
此の始めを尋ぬ、奥州林崎神助重信と云う者、兵術の望み之れ有るに因って、林の神明に一百有日参籠せしめ、其の満暁の夢中に老翁、重信に告げて曰く、汝此の太刀を以て常に胸中億持する怨敵に勝ちを得ん云々。
則ち霊夢に有る如く大利を得ん、腰刀三尺三寸を以て九寸五分に勝つ事、柄口六寸に勝つの妙不思議の極意、一国一人の相伝也。
腰刀三尺三寸、三毎(毒の誤字)、則ち三部に、但し脇差九寸五分九曜五鈷の内証也。
敵味方に成る事は是れ亦前生の業感也。
生死は一体、戦場浄土也。
此の如く観るは、則ち現世に大聖摩利支尊天の加護を蒙るなり。来世に成仏成るは縁なる事、豈疑い有らん哉。
此の居合、千金を積むと雖も不真実の人には堅く是を授けざるべし。天罰を恐るべきして唯一人に之を伝え授く云々。

古語に曰く
其の進むこと疾き者 其の退くことの速き云々
此の意を以て、貴賤、尊卑隔てなく前後の輩といわず、其の所に達せし者には目録印可等相違無く許せ。

又古語に曰く
夫れ百錬の構え、則ち茅茨、荘鄙とも兵利に心懸ける者、夜自ずから之を思い神明仏陀に祈る者、則ち忽ち利方を得、是の心に依り身を済す事燦然(さんぜん)。

*大江先生が鈴江吉重先生に伝授した皆伝目録です。

大森流之部
1、前身 2、右身 3、左身 4、後身 5、八重垣 6、請流 7、介錯 8、附込 9、月影
10、追風 11、真向

長谷川流之部
1、横雲 2、虎一足 3、稲妻 4、浮雲 5、山下シ 6、岩浪 7、鱗返 8、浪返 9、滝落
10、真向

奥居合之部
1、霞 2、脛囲 3、四方切 4、戸詰 5、戸脇 6、棚下 7、両詰 8、虎走 9、行連 10、連達 11、惣捲 12、惣留 13、信夫 14、行違 15、袖摺返 16、門入 17、壁添 18、請流 19、暇乞 20、暇乞 21、暇乞

形並発声
イーエーイ
1、出合 2、拳取 3、絶妙剣 4、独妙剣 5、鍔留 6、請流 7、真方

右之条々深秘之極意也 非真実之人者努々不可有相伝者也 貴殿多年斯道熱心練磨之結果其蘊奥二達せらるゝを認爰我英信流居合術令相伝候宜しく将本流の品位を堕す事なく之か拡張を計り漫りに他流に媚ひず以て伝授の責を全ふせられん事を期せらる可し

*右の条々深く之を秘す極意也。真実の人にあらざれば、努々(ゆめゆめ)相伝有るべからざる者也。
貴殿、多年斯道に熱心錬磨の結果其の蘊奥(うんのう)に達せらるゝを認め、爰(ここ)に我が英信流居合術を相伝せしめ候、宜しく将来本流の品位を堕す事なく之が拡張を計り漫(みだり)に他流に媚びず以て伝授の責を全うせられん事を期せらるべし。

*右之条とは、目録全て之事でしょう。

天真正
林明神

林崎神助重信
田宮平兵衛業正
長野無楽入道槿露齋
百々軍兵衛光重
蟻川正左衛門宗続
万野団衛門尉信定
長谷川主税助英信
荒井勢哲清信
林 六大夫守政
林 安大夫政詡
大黒元衛門清勝
林 益之丞政誠
依田萬藏敬勝
林 弥太夫政敬
谷村亀之丞自雄
五藤正亮

無双直伝英信流居合術十七代目
大江正路蘆洲
大正十年七月吉日

鈴江吉重殿

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