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2015年12月25日 (金)

曽田本免許皆伝目録その46大江正路先生相伝政岡先生読み下し

田本免許皆伝目録

46.大江正路先生相伝

政岡壱實先生伝書読み下し

原文
抑此居合術ト申者日本奥州林従 大明神夢相二〆奉伝之 夫兵術者上古中古雖有数多之違侘流 大人小人無力剛力不嫌合兵用云々 末代為相応之太刀尓云 手近勝一命有無之極此居合 恐者粟散辺土堺於不審之儀不可有之 唯依㚑夢処也 此始尋奥州林崎神助重信ト云者兵術因有望之 林之明神一百有日令参籠其満暁夢中老翁重信告曰 汝以此太刀常胸中憶持者得勝怨敵云々 則如㚑夢有得大利以腰刀三尺三寸勝九寸五分事柄口六寸勝之妙不思議之極意一国一人之相伝也 腰刀三尺三寸則三部尓但脇差九寸五分九曜五之内証也 敵味方事是亦前生之業感也 生死一體戦場浄土也 如此観則現世蒙大聖摩利支尊天加護来世成佛成縁之事豈有疑哉 此居合雖積千金不真実之人者堅不可授之可恐天罰唯授一人傳之云々
古語曰
其進疾者 其退速云々 此意以貴賤尊卑無隔不謂前後輩 其所者許目録印可等無相違
又古語曰
夫百錬之構在則茅茨荘鄙輿兵利懸者夜自思之神明佛陀祈者則忽得利方是依心済身事燦然
読み下し
*そも此の居合術と申すは、日本奥州林の従大明神の夢相(想の誤字)にて伝え奉る。   
夫れ兵術は、上古中古数多の他流の違い有ると雖も、大人小人、無力剛力、嫌わずに合う兵の用云々。
 末代、相応の太刀と為る云々。手近の勝ち一命の有無此の居合に極まる、恐らくは粟散辺土の堺(境)(*粟散辺土の意味:遠く離れた地にある、粟粒(あわつぶ)を散らしたような小国。インド・中国などの大国に対して日本をさしていうことが多い。仏教語。)に於いて、不審の儀之有るべからず、唯霊夢に依る処也。
 此の始めを尋ぬれば、奥州林崎神助重信(*神助:土佐に伝わった甚助の誤字か、敢えて神助としたかわかりません。谷村亀之丞自雄の伝書も神助、大江先生は神助の名で通しています。福井春政先生は甚助に改められています。)と云う者、兵術を望み有るに因って、之を林の明神に一百有日参籠せしめ、其の満暁の夢中に老翁重信に告げて曰く、汝此の太刀、常に胸中に憶持する怨敵に勝を得ん云々。
 則、霊夢に有る如く大利を得、腰刀三尺三寸を以て九寸五分に勝事、柄口六寸に勝つの妙不思議の極意、一国一人の相伝也。
 腰刀三尺三寸、則、三部に、但し脇差し九寸五分は九曜五之(五鈷の判読ミスか)の内証也。
*(此処は、元、三毒則三部であった処、大江先生が三部のみ残されたと思います。三毒は貪瞋痴、むさぼり求める心・怒りの心・真理に対する無知。
 三部は密教の仏部・蓮華部・金剛部、また金剛界・胎蔵界・蘇悉地。金剛界は密教で、大日如来の、すべての煩悩 (ぼんのう) を打ち破る強固な力を持つ智徳の面を表した部門。胎蔵界は金剛界に対して、大日如来の理性の面をいう。仏の菩提 心が一切を包み育成することを、母胎にたとえたもの。蘇悉地(そしつじ)はそれらの成就。)
*九曜五古は九曜五鈷の間違いでしょう。
 土曜(聖観音)、水曜(弥勒)、木曜(薬師)、火曜(虚空蔵)、金曜(阿弥陀)、月曜(勢至)、日曜(千手観音)、計都(釈迦)、羅睺(不動明王)の9つの星を「九曜曼荼羅」として信仰した。
 平安時代には「九曜曼陀羅」は真言のご本尊として崇拝され、中でも、この九曜文様が「道途の安全の守護」今で言う「交通安全」の霊験あらたかな「おまじない」だ、ということで、公家衆の輿車・牛車・網代輿・雨眉車・文車等の多くに描かれたと伝えられ厄よけの重要な文様です。
*五鈷は五鈷杵の略で金剛杵、密教で煩悩を破砕し菩提心を表す金属製の法具。
*内訟は内証、仏語、自己の心の内で真理を悟ること。内面的な悟り。)
 
 敵味方の事、是れ亦前生の業感也(*業感は仏語、善悪の行為が因となって、苦楽の報いを感受すること。 )
 生死一體戦場浄土也(*浄土は五濁、悪道のない仏・菩薩の住する国。)
 此の如く観て、則、現世は大聖摩利支尊天の加護を蒙り、来世に仏と成るは縁なるの事、豈疑い有らんや。
 此の居合千金を積むと雖も、不真実の人には、堅く之を授くべからず。天罰を恐るべし。唯一人に之の伝を授(さずく)云々。
 古語に曰く 其の疾き者は進み 其の速く退く云々 此の意、貴賤尊卑を以て前後の輩、其の所の者と謂わず隔てなく、目録印可等相違無く許す。
 又、古語に曰く 夫れ、百錬の構え在りて、則、茅茨(茅や茨)荘鄙と兵の利を懸ける(心懸ける)者は夜自ずから之を思い神明佛陀に祈る者は、則、忽ち利方を得、是に依って心済み身は燦然。
英信流居合術名稱
正座之部
㈠向身 ㈡右身 ㈢左身 ㈣後身 ㈤八重 
㈥請流 ㈦介錯 ㈧附込 ㈨月影 ㈩追風 (十一)抜打
(*五本目 八重で垣の文字が欠落しています)
立膝之部
㈠横雲 ㈡虎一足 ㈢稲妻 ㈣浮雲 ㈤颪 
㈥岩浪 ㈦鱗返 ㈧浪返 ㈨瀧落 ㈩真向
奥居合之部
㈠霞 ㈡脛囲 ㈢四方切 ㈣戸詰 ㈤戸脇
㈥棚下 ㈦両詰 ㈧虎走 
㈨行連 ㈩連達 (十一)惣留 (十二)惣捲 (十三)信夫 
(十四)行違 (十五)袖摺返 (十六)門入 (十七)壁添 (十八)請流
(十九)暇乞 (二十)同 (二十一)同
型並発声
ヤ-エイ-(*大江先生の鈴江吉重への伝書では「イ-エ-イ」でした。)
㈠出合 ㈡拳取 ㈢絶妙剣 ㈣独妙剣 ㈤鍔留 ㈥請流 ㈦真方
右之条者(条々の判読も有か)深秘之極意也非真実之人者努々不可有相傳也
貴殿夛年斯道二熱心錬磨之結果其温奥二達セラルルヲ認爰我英信流居合術相傳候宜将来本流ノ品位ヲ堕ス事ナク之ガ擴張計漫ニ他流二媚ズ以傳授ノ責全フセラル事ヲ期セラル可シ
読み下し
 右の条は、深秘の極意也、非真実の人には、努々相伝有るべからざる也。
 貴殿多年斯道に熱心に錬磨の結果、其の温奥(蘊奥でしょう)に達せらるるを認め爰(ここに)我が英信流居合術を相伝候。宜しく将来、本流の品位をおとす事なく之が拡張を計り漫(濫)りに他流に媚びず以て伝授の責を全うせらる事を期せらるべし。
天真正
林明神
初代 林崎神助重信
田宮平兵衛業正
長野無楽入道槿露齋
百々軍兵衛光重
蟻川正左衛門宗続
万野団衛門尉信定
長谷川主税助英信
荒井勢哲清信
林 六大夫守政
林 安大夫政詡
大黒元衛門清勝
林 益之丞政誠
依田萬藏敬勝
林 弥太夫政敬
谷村亀之丞自雄
五藤正亮
無双直伝英信流居合術十七代目
大江正路
政岡一實殿
(*政岡先生のお名前は壹實です、ここでは一實、ブログでは壱實としてあります)

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