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2015年12月20日 (日)

曽田本免許皆伝目録その41福井春政先生の目録の2

曽田本免許皆伝目録

41.福井春政先生の目録の2

 第19代福井春政先生から河野百錬先生へ伝授された皆伝目録は、大江先生が直弟子に伝授されて皆伝目録と異なっています。
 大江先生の伝授した目録は、大江先生が指導された無双直伝英信流の業名だけで構成されていますが、福井春政先生の場合は神傳流秘書の業名や曽田先生の業附口伝や大江先生の改変された業名が混在しています。
 目録ですから業の内容は有りませんので、業名と順番などの福井先生のものと古伝等と対比して何かを探って見ます。
 何を伝授し、何が名称のみの羅列なのか不思議な感じです。河野先生はこれ等の全てを稽古されたのでしょうか。
 宗家筋から宗家にふさわしい者への免許皆伝目録の違いでもあれば面白い処です。
 第17代福井春政先生の皆伝目録は、他に見られません。傍系宗家には根元之巻と紹統印可が福井先生から同じ様に手渡されたのでしょうか。
詰合 極意奥之事
1、発早 1、拳取 1、岩浪 1、八重垣 
1、鱗返 1、位弛 1、燕返 1、柄砕 
1、水月 1、霞剱
福井先生の業目録は詰合から始まります。
古伝神傳流秘書 詰合(重信流也従是奥之事極意たるに依て格日に稽古する也)
1、発相 1、拳取 1、岩浪 1、八重垣 
1、鱗形 1、位弛 1、燕返 1、柄砕
1、水月 1、霞剱  以上十本
*古伝と順番は同じですが五本目鱗形が福井先生は鱗返でした。
此れは、曽田先生の業附口伝も鱗形ですから、福井先生の誤認か河野先生の誤認或は誤植か、何処か他の伝書に依るのかも知れません。参考に第22代池田先生の無双直伝英信流居合道解説にある古伝の業種目では鱗形です。
大小詰 大小立詰
1、抱詰 1、骨防扱 1、柄留 1、小手留
1、胸留 1、右伏 1、左伏 1、山影詰
1、〆捕 1、袖摺返 1、骨防返 1、鍔打返
1、蜻蛉返 1、乱曲 1、電光石火
*古伝神傳流秘書大小詰・大小立詰は夫々独立した項目の業となります。
大小詰(是は業に非ざる故に前後もなく変化極りなし始終詰合組居合膝に坐す気のり如何様ともすべし先大むね此様にする)
1、抱詰 1、骨防扱 1、柄留 1、小手留
1、胸留 1、右伏 1、左伏 1、山影詰
此れは古伝と業名が一致しています。曽田先生の業附口伝では骨防扱が骨防です。
*古伝神傳流秘書大小立詰(重信流立合也)
1、袖摺返 1、骨防返 1、鍔打返 1、〆捕
1、蜻蛉返 1、乱曲 1、電光石火
此れは、〆捕の順番が古伝神傳流秘書と異なります。この順番は曽田先生の業附口伝の順番です、業附口伝では7本目電光石火が「移り」の名称になっています。
どうやら、福井先生は古伝は曽田先生の業附口伝より引用しているようです。
大剣取
1、無剣 1、水石 1、外石 1、鉄石
1、栄眼 1、栄月 1、山風 1、橇橋
1、雷電 1、水月 
*大剣取は、手許資料では古伝神傳流秘書にしか無い業です。
大剣取(此太刀打は和之位に有る也)
1、無剣 1、水石 1、外石 1、鉄石 
1、栄眼 1、栄月 1、山風 1、橇橋
1、雷電 1、水月 以上十本
さて、福井先生の古伝の引用資料は何処か他に有るのでしょうか。
神傳流秘書と思うのですが、谷村派に秘められた伝書があるかも知れません。
目録印可とは、其の目録の業をマスタ-して後進の者に指導出来る事が前提です。河野先生の流れの無双直伝英信流居合兵法正統会には、福井先生が目録に記載された項目の多くは伝承されていません。
抜刀心持之事
1、向払 1、柄留 1、向詰 1、両詰
1、三角 1、四角 1、棚下 1、人中
1、行連 1、連達 1、行違 1、夜之太刀
1、追懸切 1、五方切 1、放打 1、虎走
1、抜打(上中下)
*抜刀心持之事と言う名称は古伝神傳流秘書の呼称です。
古伝神傳流秘書 抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也 重信流)
1、向払 1、柄留 1、向詰 1、両詰
1、三角 1、四角 1、棚下 1、人中
1、行連 1、連達 1、行違 1、夜ノ太刀
1、追懸切 1、五方切 1、放打 1、虎走
1、抜打上中下 以上十九本
此れは神傳流秘書の儘です。
英信流
1、横雲 1、虎一足 1、稲妻 1、浮雲 
1、山颪 1、岩浪 1、鱗返 1、波返
1、滝落 1、抜打(真向)
*古伝神傳流秘書 英信流居合之事
是は重信翁より段々相傳の居合然者を最初にすべき筈なれ共先大森流は初心の者覚易き故に是を先にすると言えり
1、横雲 1、虎一足 1、稲妻 1、浮雲 
1、山下風1、岩浪 1、鱗返 1、波返
1、瀧落 1、抜打
此れは、順番も業名も同じ様ですが、福井先生と古伝神傳流秘書とは山颪は山下風、滝落が瀧落、抜打は(真向)とは言わない、ように異なります。
大森の部(正膝)
1、前身(初発刀) 1、右身(左刀) 1、左身(右刀) 1、後身(当刀)
1、八重垣(陽進陰退) 1、請流(流刀) 1、介錯(順刀) 1、附込(逆刀)
1、月影(勢中刀) 1、追風(虎乱刀) 1、抜打
*大森の部(正膝)とは福井先生は大江先生の直弟子だったでしょう。大江先生は「大森流居合」と剣道手ほどきでは書かせています。一般には河野先生の昭和8年1933年の無双直伝英信流居合術全では「正座の部」であり「立膝の部」とされています。
第19代福井先生の無双直伝英信流の呼称は変です。此の目録では河野先生も「はて」と思ったでしょう。何故このような事になっているのでしょう。
第十七代範士大江正路 第十八代穂岐山波雄 福井春政
研究協議之上改定スル所有リ口伝ス
*此処は次回の業呼称のついて、業及び呼称を17代、18代、19代で協議して改定したというのです。その口伝は宗家筋に伝わっているか否か不明です。
此処までの業呼称については、昔のままと言う事でしょう。

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