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2015年12月12日 (土)

曽田本免許皆伝目録その33山内豊健公の伝書読み下し

曽田本免許皆伝目録
その33.山内豊健公の伝書読み下し

居合術根元之巻
抑此居合ト申者日本奥州林之従 大明神夢相二メ奉傳之夫兵術者上古中古雖有数多之違侘流大人小人無力剛力不嫌合兵用云々 末代為相應之太刀尓云 手近勝一命有無之極 此居合恐者粟散邊土於堺不審之儀不可之有唯依㚑夢(霊夢)処也 此始尋奥州林崎神助重信ト云者因有兵術望之 林之明神一百有日令□籠(叅・参籠であろう)其満暁夢中老翁重信告曰汝以此太刀常胸中憶持者得勝怨敵云々 則如㚑夢有得大利以腰刀三尺三寸勝九寸五分事柄口六寸勝之妙不思儀之極意一國一人之相伝也 腰刀三尺三寸三毎則三部尓但脇差九寸五分九曜五銘(五鈷 の鈷を銘と書き間違い)之内証也 敵味方成事是亦前生之業感也 生死一體戦場浄土也 如此観則現世蒙大聖摩利支尊天加護来世成仏成縁之事豈有疑哉 此居合雖積千金不真實之人者堅不可□(援とあるが爰(ここに)の誤字でしょう))之可恐天罰唯授一人傳之云々
古語曰
其進疾者 其退速云々
此意以貴賤尊卑無隔不謂前後輩其所作者許目録印可等無相違
又古語曰
夫百錬之搆(構)在則茅茨荘鄙與兵利心懸者夜思之神明佛陀祈者則忽得利方是依心済身事燦然

*読み下し
 抑、居合と申すは日本奥州林の従、大明神の夢想に之を伝え〆奉る。夫れ兵術は上古中古数多他流の違い有ると雖も、大人小人無力剛力嫌わずに兵の用に合う云々。
 末代相応の太刀に云う、手近の勝ち、一命の有無之れ此の居合に極まれる。此の居合恐らくは粟散邊土の堺に於いて不審の儀之有るべからず。唯、霊夢に依る処也。
 此の始めを尋ずぬ、奥州林崎神助重信と云う者、之兵術有るに因って之を望み、林の明神に一百有日参籠せしめ、其の満暁に夢の中で老翁重信に告げて曰く、汝、此の太刀を以て、常に胸中憶持たる怨敵に勝を得ん云々。
 則ち、霊夢の如く有りて腰刀三尺三寸を以て大利を得、九寸五分に勝事、柄口九寸五分に勝の妙不思儀の極意、一国一人の相伝也。
 腰刀三尺三寸は三毒、則、三部に但、脇差九寸五分は九曜五の五鈷の内証也。敵味方になる事是亦前生の業感也。生死一體戦場浄土なり、此の如く観るは現世に摩利支尊天の御加護を蒙り、来世に成仏するは縁ある之事豈疑い有らんや。
 此の居合千金を積むと雖も不真実之人には堅くこれを授けるべからず。天罰を恐るべし唯一人に之を伝う云々。
古語に曰く
 其の進は疾く、其の引くは速し云々。
 此の居合貴賤尊卑を以て、前後の輩と謂わず隔て無く所を作す者には、目録印可等相違なく許す。
又古語に曰く
 夫れ百錬の構え在りて、則、茅や茨の荘鄙であっても、兵の利を心懸ける者は夜之を思い、神明佛陀に祈る者は則、忽ち利方を得是に依り心済み身は燦然。
英信流居合術名稱
正座之部
一番 向身、二番 右身、三番 左身、四番 後身、五番 八重垣、六番 請流、七番 介錯、八番 附込、九番 月影、十番 追風、十一番 抜打
立膝之部
一番 横雲、二番 稲妻、三番 虎ノ一足、四番 浮雲、五番 颪、六番 岩浪、七番 鱗返、八番 浪返、九番 瀧落、十番 真向
奥居合之部
一番 霞、二番 脛囲、三番 四方切、四番 戸詰、五番 戸脇、六番 棚下、七番 両詰、八番 虎走、九番 行連、十番 連達、十一番 惣捲、十二番 惣留、十三番 信夫、十四番 行違、十五番 袖摺返、十六番 門入、十七番 壁添、十八番 請流、十九番 暇乞、廿番 仝、廿一番 仝
型並二発聲
イ-ヱ-イ
一番 出合、二番 拳取、三番絶妙剣、四番 獨妙剣、五番 鍔留、六番 請流、七番 真方、
番外一 速浪、仝二番 雷電、迅雷(仝三番の文言が欠落)
右之条々深秘之極意也 非真實之人者努々不可有相傳者也 貴殿多年斯道二熱心錬磨之結果其蘊奥二達セラルヽヲ認め爰二我英信流居合術ヲ相傳候宜シク将来本流ノ品位ヲ堕ス事ナク之カ擴張ヲ計リ漫二他流二媚ヒス以テ傳授ノ責ヲ全フセラレン事ヲ期セラル可シ
*読み下し
右之条々(正座の部・立膝の部・奥居合の部・型ならびに発声)之深く秘す極意也。真実に非ざる人には努々相伝有るべからざるもの也。貴殿、多年斯道に熱心に之を錬磨す。結果其の蘊奥に達せらるゝを認め、ここに我が英信流居合術を相伝候。宜しく将来本流の品位を堕す事なく之ガ拡張を計りみだりに他流に媚びず以て伝授の責を全うせられん事を期せらるべし。
天真正
林明神
初代
林崎神助重信
田宮平兵衛業正
長野無楽入道槿露齋
百々軍兵衛光重
蟻川正左衛門宗續
万野團右衛門尉信定
長谷川主税助英信
荒井勢哲清信
林 六大夫守政
林 安太夫政詡
大黒元右衛門清勝
林 益之□(丞の誤字か)政誠
依田萬蔵敬勝
林 □(彌の誤字)太夫政敬
谷村亀之□(丞)自雄
五藤正亮
無双直伝英信流
居合術十七代目
範士 大江正路
大正十四年八月吉日   花押
山内豊倢(健の誤字)殿

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