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2015年12月26日 (土)

曽田本免許皆伝目録その47山本宅治先生から大田次吉先生

曽田本免許皆伝目録

47.山本宅治先生から大田次吉先生

*是までの処で、大江正路先生から伝授された先生方の伝書を拝読して来ました。
大江先生の直弟子から孫弟子への伝書は第19代福井春政先生から河野百錬先生への根元之巻・目録及び紹統印可を河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書から拝借しました。
 
今回は、土佐の山本宅治先生から、土佐出身ですが東京で居合を広められた、「土佐英信流」の著者大田次吉先生への伝書を拝見してみましょう。
大田先生の根元之巻きは、その著書「土佐英信流」の箱に大部分印刷されています。
 大田先生から御弟子さんへは、免許皆伝の無双直伝英信流根元之巻及び業目録は一人も授与されていないと聞いています。
 大田先生と曽田本のつながりは、天の為せる事と思います。大田先生の御弟子さんが曽田先生の息子さんから「私は居合をやらないから曽田本を持って居てほしい」とお預かりしたものがこのブログになっているわけです。
 この曽田本は、戦前にひたすら、土佐の居合を追い求めた曽田虎彦先生の思いが籠められたものです。このようなものは譬え「あげる」と言われても「金を出して買ったとしても」個人が、勝手に扱うべきものではないでしょう。天からお預かりしたもので、後世に引き継ぐべきで宝物です。
居合術根元ノ巻
抑此居合術ト申者日本奥州林之従大明神夢相(夢想の当て字か)ニテ奉傳之夫兵術者上古中古雖有数夛之違侘流大人小人無力剛力不嫌合兵用云々 末代為相應之太刀尓云   手近勝一命有無之極此居合恐者粟散邊土於堺不審之儀不可有之唯依㚑夢処也 此始尋奥州林崎神助重信ト云者因有兵術望之林之明神一百有日会(令の誤字)□□籠(参籠の不明文字ムの下に火、その下に水、大江先生の伝書の写し書きに依る誤りか)其満暁夢中老翁重信告曰汝以此太刀常胸中憶持者得勝怨敵云々 則如㚑夢有得大利以腰刀三尺三寸勝九寸五分事柄口六寸勝之妙不思儀之極意一国一人之相傳也 腰刀三尺三寸三毎(三毒の誤字)則三部尓但脇差九寸五分九曜五六(五鈷の判読ミスか古いの草体)内証也 敵味方成事(古に又)是亦最生(前生の誤字)の業感也 生死一體戦場浄土也 如此観則也(也の挿入ミスか)蒙大聖摩利□(支の不明文字)尊天加護 来也(世の誤字)成仏成縁之事豈有疑哉 此居合雖千金(積千金の積の字欠如)不真実之人者堅不可授之可恐天罰唯授一人傳云々
古語曰
其達疾者 其退速云々
此意以貴賤尊卑無隔不謂最後(前後の誤字)輩其所作者許目録印可等無相違(大江先生の伝書では此処は「此意以貴賤尊卑無隔不謂前後輩達其所者許目録印可等無相違」(ですから山本先生は「達」の文字が欠如しています。達するものには)
又古語曰
夫百錬之搆在則茅茨荘鄙與兵利心懸者夜自思之明神佛陀者祈則忽得利方是依心済身事粲然(燦然の異体字)
居合根元ノ巻読下し
 抑、此の居合術と申すは日本奥州林の大明神により夢想にて之を伝え奉る、夫れ兵術は上古中古数多の違い有れども他流大人小人無力剛力嫌わずに兵の用に合う云々、末代相応に為る太刀に云う、手近の勝ち一命の有無、此の居合に極まる、恐らくは粟散邊土の堺に於いて不審の儀あるべからず、之は唯霊夢に依る処也。
 此の始めを尋ぬる、奥州林崎神助重信と云う者に因り、兵術有ると之を望み、林の明神に一百有日参籠せしむ、其の満暁の夢中に老翁重信に告げて曰く、汝此の太刀を以て常に胸中に憶持たる怨敵に勝を得ん云々。
 則、霊夢に有る如く大利を得ん、腰刀三尺三寸を以て九寸五分に勝事、柄口六寸に勝つの妙不思議の極意、一国一人の相伝也、腰刀三尺三寸三毒、則、三部に、但脇差九寸五分九曜五鈷の内証也。
 敵味方と成る事、是亦前生の業感也、生死一体戦場浄土也。
 此の如く観るは、則、大聖摩利支尊天の加護を蒙る也、仏と成るは縁なるの事、豈疑いあらんや。
 此の居合千金と雖も不真実の人には堅く之を授くべからず、天罰を恐るべし唯授一人に伝う云々。
 古語に曰く
 其の達する事疾き者 其の速く退く云々
 此の意貴賤尊卑の隔て無く前後の輩と謂わず其の所を作る者に目録印可等相違無く許す。
 又古語に曰く
 夫れ百錬の搆え在りて、則、茅茨荘鄙と兵利を心懸けるは夜自ずから之を思い明神佛陀を祈るは、則、忽ち利方を得ん、是に依り心済み身に燦然。
山本宅治先生の伝書は大江先生の伝書から根元之巻を作成されていると思いますが聊か、判読ミスによる誤字が気になります。
伝書には他人に判読させない様に敢えて誤りの文言も有と云いますが、土佐の伝書に其れは感じられません。
又、仏教用語が判りませんと判読不能に陥ったと言えるかもしれません。
「腰刀三尺三寸三毎(三毒の誤字)則三部尓但脇差九寸五分九曜五六(五鈷の判読ミス)内証也」
腰刀三尺三寸は貪・瞋・痴の三毒である欲望・怒り・無知に対し三部の金剛界・胎蔵界・蘇悉地によって煩悩を打ち破り智徳を以って一切を包み込む菩提の心に依って、但(ただ)、脇差九寸五分に勝つのである、己の運命を切り開く五鈷をもって成就する事の証しである。
しかし、土佐の居合の根元之巻が指し示しているように、太刀を以て脇指の討ち込んで来る柄口六寸に応じる業は、失念して土佐の居合では見る影も無いと言えます。
 更に、居合心を曹洞禅によって導こうとする、曹洞五位の教えも、生死を越えて黙然として「珊瑚枝々掌に月着く」の譬えも、聞かされる事の無いものになっている様に思います。
 
 

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