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2016年3月12日 (土)

幻を追ってその7中山博道先生の居合4長谷川英信流6岩浪③動作

幻を追って

その7.中山博道先生の居合

4、長谷川英信流

六本目岩浪

③動作

*中山博道先生の岩浪の動作を御弟子さん方はどの様に受け止められたでしょう。
博道先生の動作を振り返って見ます。
「正面に対して右向きに立膝で座り、右手で柄を握り左手で鯉口を切り左足を斜め後方に引きつつ(この時刀を前に抜き出さず刀尖が鞘から放れるまで左足を引く)刀尖の背部を左手にのせ左手を前に右手を後ろに引いて刀刃を下に水平に向け右股(もも)の付近において左向きとなり、(この時左膝をつき右踵は左膝頭付近にして立膝となり)左手を刀背に添え目標を極め右足を直角に前に踏みつけると同時に左手で刀尖を押さえ前に突き出して敵のみぞおちを突き刺す(この時刀が上に上がらぬように水平のままを可とする)次いで両手を以って敵を引き斬りにして倒しつつ左膝を軸として右足左足共九十度右旋回する
 然る後両手で刀を戻すようにして刀尖を上にして大きく右側斜めに伸ばして敵の倒れた方(正面となる)に向きをかえ刀を頭上に振り冠り斬撃し血振り以下前に同じ。」
中山博道先生の動作のポイントは太文字の処にあります。それぞれの先生の独特の言い回しとか、新たな想定、異なる動作を拾い出して見ます。
山蔦先生の動作(昭和47年1972年発行夢想神伝流居合道より)
1、敵の想定が加わっています。「敵が自分の刀の柄を押さえようとするか、攻撃しようとして自分の方に向き直る」中山博道先生の居合は一方的に攻撃する様な雰囲気でした。
2、敵の鳩尾を突き刺すと「ただちに刀を抜く、引き抜いた刀を、くるりと左手を添えたまま、右から左へまわし、敵の背部にあてて右方向に引き倒す」この刀を引き抜き、敵の背部に当てて右方向への引き倒しは中山博道先生の動作からは読み取れません。博道先生は刺突した刀を敵に残したまま引き倒している筈です。
3、引き倒した敵の「うつ伏せに倒れている敵の右腕を右足で「トン」と踏付け」ています。克明な表現ですが、その様に敵が倒れて居るなど常の事なのか、刺突が不充分なので敵を押さえつける積りなのでしょうか。浮雲、颪などは抜き付けた刀を動かさずに左手を添えて引き倒しています。
3、引き倒しは「右方向に引き倒す」では押し倒す様に思えますが、写真は、右足の方に引き切り倒しています。
紙本先生の動作(師 中山博道先生口述 夢想神伝流居合 中伝長谷川英信流より)
1、刺突した刀は「左手が刀身の中央部にくるぐらいまで突き出す」ですから、切先が背中に出る程に刺突する心持ちでしょう。そして一旦「右手で刀を左手が刀先付近にくるまで引き」戻しそのまま右足方向に「両手で引き倒す」ように文面から取れます。
2、写真は、切先を刺突した位置より抜出してしまって、敵の右脇から水平に押し倒しています。
*檀崎先生の動作(昭和44年1969年発行の夢想神伝流居合より)
1、「刀刃は下向して水平となる同時に左手は刀背部を拇指、中指の基部に返し当て、目標をきめ、右足を半足長前にトンと踏付け刺突」この目標は敵の右腹部です。
 これは、博道先生が敵の「みぞおち」ですから、想定も博道先生は敵が我が方に振り向いて居る、檀崎先生は敵は座した方向、我と同じ右向きのまま、我に刺突されて居ます。
2、「突刺し、刺した刀を返すように水平のまま引抜き、次に両手にて引き倒し」ここでも、刺突した刀を抜いてしまってから、引き倒しています。
*浮雲、山嵐、岩浪の引き倒しですが、浮雲、山嵐共に中山博道先生は敵の胸部に斬り付けています、この「刀を動かさずに、左手を斬り付けた位置の刀背にかけて両手で敵を引き倒しています。
岩浪は「刺突しているので充分ダメージを与えている」ので、抜いてからでも充分と言われれば「そうか」でしょう。
 何故檀崎先生だけ刺突する部位が「「敵の右腹部」なのでしょう。
 敵の害意など無く一方的な不意打ちの様に思えてしまいます。中山博道先生の居合の根本精神かもしれません。
 細川義昌先生より、土佐の居合の伝書類が送られていれば違っていたかもしれないとも思うのですが、竹刀剣道の勝ち負け優先の思想、そして当時の戦争へとひた走った「明治から昭和の落とし子」の一人だったかもしれません。
 
 
 
 

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