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2016年10月26日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く1抜刀心持引歌11業歌左身

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
1、抜刀心持引歌
11)業歌左身二首
岩波
 行舟のかぢ取り直春間もなきは
          岩尾の浪の強く當れバ
(谷村先生の本には「波返」「鱗返」ト有従て此の歌は前後ならんかと自雄□トノ註アリ 曽田メモ)
鱗返
 瀧津浪瀬上る鯉の鱗は
          水せき上て落る事なし
*読み解く
 岩波
 岩波の業名が先に有ったのでしょう。お題頂戴による歌でしょうから、岩に当たる荒浪の状況と、業の岩波の動作をイメージして見ます。
 漕ぎ出した舟の舵を取り直す暇も無く、磯の端の岩に強く当った浪に舟は翻弄されている。
 歌の情景はこんな処でしょう。業歌としては、岩に打ち付ける強い波に舵を取る暇も無く翻弄されるように敵は我の反転に躱す間も無く刺突される動作を思い描いたのでしょう。

 岩波の場合、対敵の害意が動作に現れないうちに先んじて攻撃して居る様な教えをしている処も有る様です。
 刀を抜く処を敵に見せない様に抜出し、敵に向くや否や刺突する。或は、敵が柄を取りに来るので刀を抜出し、柄を取らせない様にして敵に振り向いて刺突する。
 英信流居合之事六本目岩浪
「左へ振り向き左の足を引き刀を抜左手切先へ添え右の膝の外より突膝の内に引き後山下風の業に同じ」

(正岡先生 無双直伝英信流居合兵法地之巻)
 右に向かって座す処へ、左側から敵がおそいかかるを察し、刀に両手をかけて腰をあげて後に抜き、左に向きなおり水落目がけて突き上げ、直ちに引きぬいてふりあげ真甲から切り下す動作

(京都山内派無双直伝英信流居合術)
 同一方向に列している左側の彼に対し知られざるよう刀を抜き突如その方に向き直り胸又は腹を突き更に引廻して上段より切下ろして仕止む

*古伝は、まず腰を上げ左脇に坐す敵に振り向き、左足を後方に引くや刀を抜き、柄頭を以て敵を牽制し、敵が怯む間に切っ先を敵に返すや刺突する、のでしょう。柄頭を敵に制せられるのであれば、右に抜き出すなど変化は自在です。
 いつの頃からか、左脇の敵に振り向かずに刀を前に抜いた人がいたのでしょう。それから限定的付帯条件を付けてしまったようです。

*
鱗返 
 瀧津瀬を遡上し鱗を光らせる鯉は、瀧の様な急流の瀬の水を関上げても落ちることはない。と言うのでしょう。

 第15代谷村亀之上自雄の本では英信流の七本目が浪返で八本目が鱗返なのでこの歌も前後が入れ替わっているのではないか、と注意書きがある、と曽田先生はメモをされています。

この伝書は山川久蔵幸雅によって書き写されたものですから誤写もあるかもしれませんが、この神伝流秘書以外に古いものはないのでこのままにして置きます。
 曽田先生の言われる谷村亀之丞自雄のものは英信流目録だろうと思いますが実態は判りません。

 歌と業がマッチしているような気がしませんが、鱗返の業名から読まれた歌で、鱗の文字があればよい、程度でしょう。

英信流居合之事7本目鱗返
「左脇へ廻り抜付打込み開き納る (秘書には岩波と同じ事を記しあり 口伝口授のとき写し違へたるならん 曽田メモ)」

 

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